それでもいい。
ここに居る限り、お前は俺だけのものだ。





ちくりと感じた痛み。
棘が刺さった時のような違和感に、意識を内に向けてみれば。
「・・・馬鹿なことを。」
思わず、呟く。
先ほどまでは、うずくまっているだけだった十代が、いつの間にやら鎖に囚われていた。
近づくことすらままならないほどの、夥しい鎖。
首に、腕に、胸に、腹に、足に。至る所に絡みつき、十代の四肢を空中に縫い止めていた。
意識は無いようだ。固く目を瞑っている。
「・・・それで、俺からの干渉を遮ろうとでもいうのか?…それとも、」


「それで己を罰しているつもりか?」


漆黒の空間を走る鈍色の鎖。それはさながら、闇夜に月光を受けて光る蜘蛛の巣のよう。
十代の紅い制服が、鎖の色に良く映える。なら十代は蝶か。
自ら戒められることを望んだ、愚かで哀れな紅い蝶。

不意に、十代の唇が動く。…が、音としては聞き取れずに終わる。
何を言おうとしたのだろう。
殺してしまった仲間への謝罪か、自身の行動に対する後悔か。
嗚呼、何れにしろ愚かだ。お前が罰せられねばならぬ理由など、何処にも在りはしないというのに。


十代の頬に、手を伸ばす。しかしそれは、鎖に阻まれ届かない。
あくまでも己を認めようとしない、その頑なな意志を見せ付けられているかのようだった。
「…それで俺を拒んでいるつもりかもしれんが、お前がここに居る時点で既に俺の勝ちだ、十代。」
こんな心の奥深くになど、誰も立ち入れはしない。
ここに十代が存在する限り、十代は己だけのもの。手に入れたという感覚に、知らず口の端を歪める。
「そう、お前は…俺のものだ。」
言霊にすることで、より事実を確かなものにする。



拒めばいい。閉じこもればいい。何をするもお前の自由。
けれど、己のものであるという真実。これだけは誰にも、お前にも覆させはしない。

誰にも、渡しはしない。この世界でたったひとつの、愛おしいものよ!!





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あとがき。

8月10日は覇十の日!ってことで何か上げようと思い、実際書き始めたのが4日の月曜日。
しかしながら気に入らなかったので、前日9日土曜日に全消しして書きなおすという暴挙にでました。
ほんとうはね、ジム戦の時ジムとオブが十代の心象世界に行った時の場面にしようと思ったんだ。
しかしながらここで大問題発生。ジムの口調がどうにもこうにも書けない。その上シリアスぶち壊しなんだあの口調。
…というわけで、お二人には退場していただきましたサーセン。
まぁどっちにしろ、鎖に拘束される十代が書きたかっただけ。

(2008.08.10)





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