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1.ヘルヨ二十1/主従パロ
どこまでも残酷で、それでいて、否それ故に彼は美しい。
唯一無二、己が全てを捧げる人。
「十代。十代。僕の愛おしい主(ひと)。」
「お前は主に対する礼儀がなっちゃいないよな。突っ込む気も失せたけど。」
ほうと吐き出される吐息すら甘美。
玉座にゆったりと腰掛け、細い足を組む。たったそれだけの所作なのに、酷く眩しい。
傅く己の矮小さを、思い知らされる。共に、彼の為に身体も魂もその一片までも差し出すのだという決意を新たにさせる。
「あーあ。お前みたいな変態、どうして俺臣下にしてんだろ…。」
頬杖を付いて、こちらを見やる視線に含まれる色は紛れも無い嫌悪。
ああ、でもそれでも構わないのだ。だってこの愛おしい主は、この瞬間、己だけを見てくれている!
「弟はあんなに常識人なのにさぁ。…まぁ、独占欲が多少強いきらいはあるけど、にしたってお前ほどじゃない。」
組んでいた足で、頬をぺちぺちと叩く。玩具を玩ぶような、その行為。
相手を人間として見ていないかのようなその行為は、人によってはたまらなく尊厳を傷付けられるものなのだろう。
けれど己は違う。彼から与えられるものならば、己は何でも喜んで享受してみせよう。
だって己は、魂の底から彼の下僕なのだから!
「嫌だねぇ十代。僕をあんな奴と比べないで貰えるかい?確かに顔は一緒だけれど、」
言って、頬にあった足を両手で、恭しく捕らえる。瞬間、不機嫌に歪んだ顔には、わざと気付かぬふりをした。
「僕はあいつなんかより…この世のだれよりも君に従順で、そして愛しているんだよ?」
「気持ち悪ぃ。」
「その歪んだ表情も素敵。どんな表情をしていても君は素敵だけれど、やっぱり負の表情に浸る君は格別だ。」
「…ほんっとに、きもちわりぃ…。」
脆い硝子細工を扱うような手つきで彼の足から靴を引き剥がし。
現れた白い肌に一つ、口付けを。
俺の書くヘルヨさんはどうもセクハラをしたがるらしい
2.ヨハ十/主従パロ/上のと対
たとえ他の誰が認めなくとも。
…君は俺の、世界でたった一人の主。
正確に言えば、『彼』に名は無い。
便宜上『十代』と呼ばれることが多いが、それは『彼』が『十代』の影武者だからだ。
『十代』の3つほど下の異母弟である『彼』は、『十代』とほとんど生き写しであった。
違いらしき点は晴天と夕焼けの『十代』の瞳が、『彼』は琥珀を溶かし込んだような瞳であるぐらい。
『十代』と似なければ、『彼』は名を貰えたのだろうか。
考えても詮無きことだ。
けれど、愛おしい人の名前を呼びたい…そんなささやかな願望くらい、抱いていたっていいじゃないか。
玉座とは程遠い、粗末な木の椅子。部屋も、お世辞にも豪華なんていえたものじゃない。
しかし目の前にいるのは、紛れも無く自分の王。
自分の。自分のための。自分のためだけの、王。
「…ヨハン。」
『彼』が己の名を呼ぶ。嗚呼だが何ということだろう、己は返す名前を持っていない。
『彼』は、『十代』と呼ばれることを酷く嫌う。当然だ、『彼』は『彼』であって、『十代』ではない。
仕様が無いので、笑顔で返す。上手く笑えていれば良いのだけれど。『彼』は鈍いように見えて、他人の機微には敏感だから。
主を悲しませるなんて、騎士として失格だ。
「なぁヨハン。駄目だよ。俺はお前の主じゃない。お前が仕えるべき人は、他にいるはずだろ?」
「どうして?何も間違ってなんかない。俺はお前が大好きで、大好きで、大好きなんだ。だから、俺はお前の…お前だけの騎士でありたい。」
その言葉に、悲しそうに『彼』の瞳が細められた。
どうか悲しまないで。どうか嘆かないで、愛おしい人よ。
どうか、どうか笑っていてほしい。叶うならば、己のためだけに。
そっと、細い手を取る。
白い手の甲に、触れるだけの口付けを一つ。
こんなもので忠誠が誓えるなら…何度だって繰り返すのに。
嗚呼、お前の、お前だけの騎士(もの)になりたい。
ヨハ十は手にキス、ヘルヨ十は足にキスが萌え。
3.ヨハンVSヘルヨ/しゃいにんぐうぃんどパロ/すごい険悪な兄弟
互いの間にあるものは、剣戟の音だけで充分だ。
「僕にそっくりな心剣士がいるって聞いてたからまさかとは思ったけど。…本当に君だったとはねぇ。」
「それはこっちの台詞だぜ。…なんでてめぇがこの世界にいるんだクソ兄貴。」
ぎらりと睨めつける蒼い視線に、けれどユベルは怯む様子もなく。
わざとらしく肩を竦める仕草をしてみせて、彼は顔に似合わぬ凶暴な笑みを口に佩いた。
「正直君に用は無いんだよね。僕は天水の塔の管理者に会いに来たんだから。」
つい、とヨハンの隣の少年を見遣る。
まるで無表情。輝く金の瞳は、正しく王の名を冠するに相応しい。
「…覇王、だっけ。…君に塔に行かれると、困るんだよねぇ。」
「成程。…狙いは神器の復活か。」
ぽつりと零された低い呟きに、ユベルは笑みを深くする。
「そこまで理解して貰えたんなら話は早いね。さっさと帰ってもらえると嬉しいな。僕としてはあんまり無益な殺生はしたくないんだよ。」
「言いやがるぜ。先に戦争を仕掛けてきたのはそっちじゃねぇか。」
「けど、きっかけを作ったのはそっちだ。僕はただ、少ぉし、背中を押してあげただけ。あの哀れな、宰相のね。」
微かに眉を寄せたその表情。哀れんでいるようで、悲しんでいるようで、彼はその実何も哀れんでなどいない。悲しんでなどいない。
ヨハンの知る兄とはそういう人物だ。そういう、非道な、人物だ。
知っている。よく知っている。きっと誰よりも一番知っている。だから退かない。折れない。容赦しない。
「…どうやら。…退くつもりはないようだね。」
「当たり前だ。てめぇにやるものも譲るものも妥協することも!一ッ欠けらもありゃしねぇ!!」
「君が僕に勝つつもり?笑わせるね。いいよ。殺せるものなら殺してみればいい。」
微笑む橙と、射抜く蒼が交差する。その中に、兄弟の情などという生温い感情はありはしない。
互いに、互いが、倒すべき敵。
彼の隣にパートナーはいない。心剣士を名乗る以上本来ならばいるのだろうが、あえて連れて来ていないのか。
「心剣無しでやるつもりかよ。」
「君には丁度良いハンデだろう?」
これはまた随分と、舐められたものだ。…上等だ。
「さぁ。とっとと始めよう。…早く帰りたいんだ。城で淋しがりやの僕のお姫様が待ってるんでね。」
ヨハン&覇王様コンビの心剣は日輪烈光かエクセリオンでお願いしたい
4.ヘルヨ十/しゃいにんぐうぃんどパロA
淋しがり屋の、お姫様。
僕の可愛い、お姫様。
「ただいま。」
「ユベル!?どうしたんだよ、その傷…!」
そこここに付いた、大小様々な傷。致命傷は無いようだけれど、鼻を掠める錆びた匂いが、十代の心をざわめかせる。
血の匂い。死の匂い。
「早く手当てしないと…!今人を、」
「大丈夫だよ。これぐらいの傷、どうってことない。」
「でも…!」
頭に手を置いて、ユベルは十代の瞳を覗き込む。琥珀と橙が、混ざり合って、溶け合う。
「それとも十代は、信じられないのかな?僕の言うことが。」
言われた言葉に、首を振って否定する。彼を否定することは出来ない。
だって彼は、自分を必要としてくれた。優しくしてくれた。肯定されたのは、いつぶりだっただろうか。
姉、兄とまだ一緒にいられた頃。ああそれは一体、どのぐらい前だったのだろう。
それすらも霞むほどに彼女は時を重ねすぎて、またそれと同じだけ孤独だった。
「君のお兄さんに会ってきたよ。」
「!覇王、に…?」
耳に吹きかけられるようにして紡がれた言葉を反芻して、傷を負った彼を見て、十代の脳裏に嫌な予感が過ぎる。
「まさかその傷…覇王がやったのか…?」
彼は答えない。ただただ静かに微笑むだけ。けれどそれだけで、返答としては十分だった。
大切な人が、大切な人を傷つける。行き場のない感情に、眩暈さえ覚える。
どうして。―――どうして。
「お兄さんはね、悪い心剣士に騙されているんだよ。」
頭に置かれていた手が頬を滑り、首筋を辿って肩へと落ちる。酷く粘着質な、愛撫のようなそれを、けれどやはり十代は拒めない。
「助けてあげなくちゃ。教えてあげなくちゃ。どちらが正しいのか。…君の力が必要なんだ。手伝ってくれるよね、十代?」
必要。その単語に、半ば反射的に十代は頷いた。
「…良い子。」
毒のように甘い口付けが、色を無くした十代の唇に落とされた。
ヘルヨ十コンビの心剣はミストルティン一択。これしかありえない。
5.ヨハ十/オリジの「diabolus in musica」パロ。/詳細はオリジのページへどぞ
それは、悪魔の歌。
囚われてはならぬ、魅せられてはならぬ…悪魔の、歌。
「頼む、止めろ、止めてくれ…ッ、…ヨハン!!」
無我夢中で耳を塞ぐが、甘く、高らかに響く歌は止まない。
十代にとってそれは、耳で捉える音ではない。耳を塞いだくらいで消えるような音では、ない。
分かっている。分かっている。そんなことは分かっている。―――けれどそれでも、足掻かずにはいられないのだ。
身体の奥底で何者かが目覚めるのを感じると同時に、感覚が引き波のように遠ざかる。
意識は、ある。悔しいくらいに、明瞭に。けれどもう十代の身体の主導権は、彼には無い。
ただただ、彼の…ヨハンの歌を、聴くだけ。酷く透明なアルトが、身体中に染み渡る。
そうして無慈悲な旋律が、彼の身体を作り変える。
風が水面を撫でるかのように腕の皮膚が細波立ち、一瞬にして鱗へと変質する。
まろやかに輝くオパールのような、白い鱗が、手の甲から肘辺りまでを覆う。
肩甲骨にも変化が表れる。骨が突き出し、枝分かれする。そうそれは、翼だった。
最も顕著な変化は、尾。人間には決してない筈のそれが、今十代には存在していた。やはり腕と同じように白い鱗で覆われている。
―――伝説の虹竜。それが、十代の身体に存在するもう一つの、魂の正体。
『さぁ、行こう、十代。その力でみんなみんな、消しちまおうぜ。』
そんなこと、望んでなんかいない!懸命な叫びは、けれどヨハンには届かない。
ちっぽけな硝子玉に閉じ込められたかのようだった。声も想いも、何もかも…届かない。
あの頃のヨハンの笑顔が、遠い。二人並んで笑っていられたあの時間は、一体全体何処へ行ってしまったのだろう。
ああ、ああ。分かっている。…分かっている。彼を変えてしまったのは間違いなく、自分なのだから。
(ごめん。ごめんな、ヨハン。)
(なぁ。何度だって謝るから。ずっとずっと、一緒にいるから。)
(だから。なぁ…ヨハン、)
溜まっていた涙が零れて、白い鱗に砕けて消えた。
虹竜化した十代が書きたかっただけの話
6.ヨハ十/漫画版ヨハン妄想/もし漫画版ヨハンがイービル使いだったら
さぁ、牙を向け。どこまでも、抗ってみせろ。
「…カードを2枚伏せて、ターンエンド。」
攻めあぐねる十代に、相手の少年―――ヨハンは、心底残念そうに、嗤った。
「反撃の一手は未だ無し、か。早いとこ引いとけよォ?じゃなきゃこのまま喰っちまうぜえぇ?」
「…お前のターンだ。」
そっけなく返されたその一言に、けれどヨハンは機嫌を損ねた風でもなく。
軽く口の端を持ち上げて、剣を薙ぐようにカードを引く。
そのカードを確認したヨハンの翠玉が、にんまりと、愉悦に歪む。獲物の喉元を食い破るような、止めの一手!
「俺は場のモンスターを生贄に、E−HEROマリシャス・エッジを召喚!…さぁて。今お前の場にモンスターはいない。
ライフは2000。何とかしなきゃなぁ?ここで終わっちまうよなぁあ?」
甚振るような蒼い視線を、十代は真正面から受け止めて、そして拒絶する。
負けない。負けない。こんな奴に、『彼』のデッキを、魂を、想いを!否定されてなるものか!!
「いや、まだだ!罠発動、『ミラクル・キッズ』!俺の墓地にはヒーロー・キッズが一体。よってこのターン終了時まで、
マリシャス・エッジの攻撃力は400ポイントダウンする!」
「だが、それじゃぁまだ足りないなぁ。…バトルだ。マリシャス・エッジでダイレクトアタック!」
ぎらりと煌く刃が十代を狙う。けれど十代の狙いは、今まさにこの瞬間だった。
「罠発動!『スピリッツ・フュージョン』!ライフを1000払い、墓地のフォレストマン、オーシャンをゲームから除外することで、
ジ・アースを融合召喚するッ!」
白い巨体が鉤爪を跳ね返す。爆風とともに、悪魔の姿がはじけ飛ぶ!
「…っ、ぐ…!……ふ、ふふ…は、ははは、あーっはっははははぁ!よ〜やく本気になったかぁあ?そうだよ!そうこなくっちゃぁなああ!
くっくくく!いいぜいいぜ!カードを1枚伏せてターンエンド!さぁさぁ十代!なるたけ足掻いてみせろよぉ?一口で終わっちまうご馳走なんて、
喰った気しねぇからなぁあ!!」
ヨハンの、狂気の滲み出るような哄笑に、十代は意識して口角を上げる。そうでなければ本当に、喰われてしまいそうだった。
呑まれるな。呑まれるな!…まだ何も、終わっちゃいない。
ここで終わる事は許されない。諦めたりしたら、それこそ『彼』への最大の裏切りだ。
至極愉しそうな翠玉を睨みつけて、十代は祈るようにカードを引いた。
阿呆かお前イービルは覇王様の嫁だろjk
7.ヨハ二十/ジャイアンデルセン/はとさん的には精一杯のラブラブ
飽きるまでと、貴方は言うけれど。
唐突に。読んでいた本を取り上げられる。不満を込めて睨み付けるけれども、当の相手は何処吹く風。
「返せよ。」
一応、そう言ってはみるものの、こういうときのヨハンは人の言う事を聞かない。
…否。それはいつもか。いつだってこいつの世界は、こいつを中心に回ってる。
本が、遠くへ放り投げられる。…てめぇ、どこまで読んだか分かんなくなるじゃねえか。
心の中で毒づいてみても、こいつに伝わるはずもなし。きっと口にだしても伝わらないだろうけど。
肩をがっちりと押さえられて、まず額に一つ、軽いキスを。続けてこめかみに、もう一つ。
次は耳。正直耳が馬鹿になるんじゃないかって思うくらいに、執拗に、執拗に。
そうしてその舌が首筋を辿って、喉元へ。
べろり。舌全体で味わわれる。…まるで、大型犬だ。躾けのなってない、蒼い毛色の綺麗な大型犬。
まぁ。躾けようとしない己にも、非はあるのだろうけど?
「…噛み切らないのか?」
挑発するように言うと、ヨハンはことり、と可愛らしく首を傾げた。畜生、無性に憎らしい。
そう思うのを分かっててこいつはそういう、可愛らし〜い仕草をやってみせるのだから、タチが悪い。
「なんで。そんなことしたらお前のだぁいすきな、あぁんなことやそぉんなことが出来なくなっちまうだろォ?」
「はン。困るのはむしろお前のほうじゃねぇか。」
「違いねぇや。」
くつくつと噛み殺すように笑って、またべろりと同じ所を舐める。
これは本腰いれて躾を考えるべきか。難題に盛大に溜息を吐く。
「俺が飽きたら、噛み切ってやるよ。…お前に触れるのなんて、俺一人で十分だからな。」
…それは一体、いつになるんだろうね?
ヨハ二十的にはこれでもラブラブだと思ってる