Road to happiness






 冬休みも終わり、3年生は自由登校になっていた。
 あたしは、もう大学が決まっていたので、ほとんど家か朋也の家にいた。

「はぁ・・・。寒いわね。こんな日は、早く朋也に抱きついて暖めてもらうに限るわね」

 あたしは、朋也に家へ急いで向かっていた。
 この前、朋也の受けた会社の合否通知が届く日だから・・・
 受かっているといいな・・・
  あたしたちは、お互いの進路が決まって、卒業したら二人で暮らそうと約束している。

 


 朋也の家の前までもうちょっとのところで、何かを見ている朋也の姿が見えた。
 あたしは、急いで、朋也のもとに向かった。
 朋也の後ろに立ったけど、まだ気がついていない

「・・・・・・杏の・・・・・」

 朋也があたしのことをなんか言ってる

「あたしが、どうかしたの?」

「あっ、杏・・・か。ごめん、また駄目だった」

 朋也はすまなそうに言った。
 そうかぁ・・・またダメだったのね・・・

「そう・・・。元気出してね。次は大丈夫よ」

 「あぁ・・・。そうだな・・・」

 あたしは、朋也を励ましたけど、なんかすごい辛そうだった。

「あのな、杏・・。俺さ、全然ダメだし・・・」

 朋也が全部言い切る前に、なんて言おうとしか分かってしまった。
 それが、わかった瞬間、すごく腹が立った。
 だから、確認の意味をこめて、聞いてみた。


「ねぇ朋也、就職が決まらないからって、あたしと別れようなんて思ってない?」

「あっ、ああ。その・・・き、杏、俺・・・」

 やっぱり、そうだ。
 あたしは、

 『バッチン!!』

 思いっきり、頬を叩いてやった。

「朋也のバカ!!いつも言ってるでしょ!!
 あたし、そんなの気にしてないの!!
 あんたと、一緒にいれればそれでいいの!!」

 と言うと
 あたしは、泣きながら、朋也の胸に飛び込んだ。
 朋也は、ちゃんとあたしを抱きしめてくれた。
 そして

  「あぁ、そうだな。俺も一緒にいたい」

 ってちゃんと言ってくれた。
  
「だったら、そんなことで、別れようなんて思わないでよ」

「あぁ、わかった。ごめんな」

 あたしは、さっき叩いた朋也の頬をなでて

「うん。朋也、いきなり打ってごめんね」

「いいんだ。おかげで頭冷えたよ。ありがと」
 
「はやく決まるといいね」

 そういうと、あたしは朋也の頬にキスをした。










 「大丈夫よ!!次こそはね!!」

 朋也の就職先は全然決まらなかった。
 不採用の通知が届くたびに、あたしは励ました。
 やっぱり、進学校での就職って難しいのかなぁ

 
 結局、朋也の就職先は卒業式の前日になっても決まらなかった。










 卒業式の前の日夜

  あたしが寝ようとしていると、
  「ちゃららら〜♪」
 朋也専用のメール着メロがなったのでびっくりした。
 朋也がこんな時間にメールしてくるなんてめったになかったから


  『明日、大切な話があるから夕方、杏の家に行っていいか?』
 
 あたしは、大切な話ってなんだろうと思いつつ

  『いいよ〜待ってる。 あたしは、寝るねお休み〜』

 と返しておいた。

  大切な話って何だろう・・・
 
  あたしは気になったけど、朝早いので寝ることにした。





・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・


  
   卒業式の日

  
「ねぇ、朋也。夕方にあたしの家で話があるっていったけど、今じゃだめなの?」

  あたしは、朋也の話が気になったので、二人で写真を撮った後に聞いてみた

「あぁ、夕方までまってほしい。あと悪いんだけど、職員室に行かないとだめだから、先に帰っていてくれないか?」

「えっ、いいよ。待ってるわよ。朋也と一緒に帰れるのも最後だしね」
   
「あぁ、それなら、待っててくれ。できるだけ早く終わらせるから」


   あたしは、教室で朋也を待つことにした。   
   

・・・・・・・   


「おぃ、杏終わったから帰ろうか?」

「うん。ずいぶん早かったのね」
 
  朋也は、30分もしないで終った。
  職員室に用事ってなんだったんだろう

「ねぇ朋也、職員室に何しに行ったの?」

「ちょっと幸村のじいさんに用事があったんだ」

「ふん〜。あっ、そうだ朋也、腕章ちょうだいね!!」

  ここの学校では、ブレザーなので第二ボタンのかわりが腕章だったので
  あたしは、朋也と交換しようと決めていた。    
   
「ああ、いいぞ」

  といって腕章をくれた。
  それから、あたしたちはいつものように分かれ道まで色々と話した

「それじゃあ、またあとでねな」

「うん。まってるよ」



  
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・



 (ぴんぽ〜ん)

 あっ、朋也がきた。
 
「お母さん〜。朋也きたみたい〜」

 お母さんに一声かけて、あたしは玄関に出た。
 もし、これでセールスとかだったら、辞書お見舞いしてやる

 鍵を開けて、ドアを開けると朋也が立っていた。
 あたしは、とびっきりの笑顔で

「朋也〜♪。いらっしゃい〜」
 
 とで迎える

「おう。で、大事な話があるんだが、上がっていいか?」

「うん。あと、ご飯食べていってね。お母さんが朋也の分も作ってるから」
 
 今日の朝、朋也が来ることは、お母さん達に伝えてある。
 お父さんなんかはしゃいじゃって、朝から、あたしの辞書を3発もくらってる
 

「いいのか?それならお言葉に甘えて」

「うん♪とりあえず、あたしの部屋でその大事な話聞かせて?」

「あぁ、わかったよ」





 朋也とあたしは、部屋に敷いてある座布団にすわって落ち着いた

「で、大事な話ってなに?」

あたしの方から、話をきりだした。

「あぁ、俺さ就職はとりあえず、やめようと思うんだ。
 それで、1年バイトしながら勉強して、大学に行こうと思うんだ」

「えっ!?」

 あたしは、びっくりして変な声をだしてしまった。
 朋也が大学?


「この前、芳野さんの会社に面接に行ったんだけど、親方が、
 俺の成績をみて、この成績なら大学に行って専門的なこと勉強してきたらどう?って言てくれたんだ。」

朋也は、あたしが入れた紅茶を飲んで一息つくと、話を続けた

 「とりあえず、来月から大学を卒業するまでは、バイトで雇ってくれるっていうしさ。
 俺この仕事、芳野さんを手伝っていて、すごく面白いと思えたし、興味があるんだ。
 それに、色々と調べてみたら、杏の行く大学に電気関係の学部もあるから
 俺、そこに行こうと思ってる」

「うそ〜!!本当に?」


「あぁ、そこの大学なら杏と一緒に居られるしな」

「うれしい〜!!また、朋也と同じ学校にいけるなんて!!」

 もう朋也と学校に行くことなんて無いと思ってたので、
 朋也が、学部は違うけど同じ大学に行くことを決めてくれてうれしかった。


「(じわっ)ともやぁ〜!!」

 あたしは泣きながら、朋也に抱きついた。
 朋也はしっかりとあたしを抱きしめてくれる。
 やっぱり、朋也は最高の彼氏ね!!

「まぁ、1年後輩になるけど、受かったらよろしくな」
 
 そうだ、あたしは今年入学だから、
 朋也が後輩になっちゃうのかぁ
 でも、そんなことどうでもいい。朋也と同じ学校にいられるなら・・・
 あたしは、涙を拭きながら、

「うん、こちらこそよろしく〜。ちゃんと勉強して受かってね!!」

「あぁ、頑張るよ。式が終わった後、幸村のじいさんに相談したら、高校の成績は問題ないって。
 あとは、大学の入学試験に受かればいいってさ」

「よかったじゃない〜。じゃあひと安心ね」

 あたしは、安心した。幸村先生の言うことならまず、間違いがないから。








 朋也が、あたしの両親にも報告すると、二人はすごくよろこんでいた。
 うちは、あたしと椋しかいないから、朋也は息子みたいな感じなんだと思う。

 みんなで夕食を食べていると、お父さんが
 
 「朋也君一つ提案なんだが、どうだろう、家に下宿しないかい?」

 「えっ、いいんですか?でもなんか、悪いです」

 「いいも何も、君はウチの息子になるんだそれに、会社はここから5分もかからない近所にあるんだよ」

  お父さんナイス!! 
  そういえば、前に冗談交じりであたしに下宿の話してたわね。

 「ねぇ、朋也。あたしも、お父さんの意見に賛成よ」

 
 「そうですね。それじゃあ、お言葉に甘えてよろしくお願いします」

 「それじゃあ、決まりだね。さて、朋也君今晩は、1杯付き合ってもらうよ」
 
 「卒業したし、いいですよ」

 「ち、ちょっとお父さん、なに言ってのよ。朋也も。」

 「いいじゃないかぁ、せっかく朋也君が家に来てくれるって言ってるんだから」
 
  お父さん、すごく嬉しそう。
  まぁ、うちは女3人に男はお父さん一人だからね。
 
 「まぁ、いいか。飲みすぎちゃだめよ」

 「わかってるよ。さて朋也君、はじめようか」

 
・・・・・・・・・
 

 「あらあら、二人とも伸びちゃって」

 「やっぱり、飲みすぎちゃったのね。お母さんどうする?」

 「私は、 お父さんを部屋に連れて行くから、あなたは朋也さんをお願いね」

 「うん、わかった〜」

  あたしは、ソファーに朋也を寝かせて、毛布をかけた

 「まったく、しょうがないんだから。でも、ありがと。これからもよろしくね」

  すやすや寝息を立てて寝ている朋也の頭を撫でて、唇をあわせた。
 









 

 それから、朋也は芳野さんのところでバイトをして、
 受験勉強は、あたしが見てあげた。
 








―そして、1年後― 合格発表の日



「えぇ〜と、9-L の710」

「あっ、あったよ!!朋也!!」

「ん、どこだ?・・・・おお、あった〜!!」

 あたしは、思いっきり朋也に抱きついた

「えへへ〜。これからよろしくね〜♪」

「あぁ、よろしくな」

     
  そして、あたしと朋也はキャンパスライフを楽しんだけど、それはまた別のお話。









あとがき


 こんにちは〜。桜花劉孫です。えぇと、初めて祭りに参加します。
 今回の話を最初朋也視点で書いたんですが、やはり杏祭りには
 杏の視点でないとと思い、書き直しました。
 
 実はこの話の大本のネタは、例の消えてしまったクリスマスSSのネタです。
 あと、今回当初の予定では杏の両親を登場しませんでしたが、
 悩んだすえ、登場させることを決めました。
   藤林父のイメージは彼氏彼女の事情の宮沢父ですw(わかるひとが居ること期待)  
  タイトルもかなり悩みました。1週間くらい悩んで、ふと頭に浮かんだタイトルを英語にしてみました。
 はたして、タイトルが適切なのか分かりませんが・・・・ 

  いままでの中で自分が書いた中で一番いいSSになっているといいのです。
 
 最後まで読んでいただきありがとうございました。

追記

 現在、このSSの続きを、長編SSで書いていこうと思ってます。
 ただ、たいへん忙しいため、1話目のUPがいつになるかわかりません。
 ですので、もしよろしければ気長に待っていてください。

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