はぁ……
風呂上がり。
目の前の現実を突きつけられて、アタシはひどく落ち込んでいた。
お風呂場からダイニングを素通りしてリビングへ。
いつものように風呂上がりの牛乳をパックから直接飲んで、シンジをからかってやる気力もなかった。
なんとかソファーに辿り着いたけど、すっかり力が抜けてそのまま動けなくなった。
「どうしたの、ため息ばかりついて」
アタシを心配して、夕飯の片づけを終えたシンジが横に座った。
両手には氷が入ってよく冷えたグラス。
差し出されたレモンティーを一口飲んだら、少しだけ気が楽になった。
「……ねえ、最近アタシってどう?」
「どうって?」
「抱き心地とか、よくなった?」
「えっ? だ、抱き心地?」
ほんのり赤くなって照れるシンジ。
からかうには絶好の獲物だけど、今のアタシにはそんな余裕がなかった。
「どう?」
「あ……うん」
「やっぱそうなんだ……」
「……」
「……」
「えっと、アスカ……?」
「とうとうアタシ、でぶでぶになっちゃったんだぁー!」
「え? ええええっっっ?! そんなことない! 全然太ってなんかないし、アスカはカワイイよ」
「そういってくれるのはシンジだけよ。今日、ヒカリにもいわれたの。
最近、同じことミサトやリツコにも言われてて、シンジにも言われたらもうお終いよ!」
「でもさ、僕らって成長期だし、そんなに気にすることないんじゃ……?」
「いいわよ、そんな慰め。確かに身長も伸びてるけど、今、体重が増えてたのは事実なんだから」
「そう……なんだ」
「……うん」
「……」
「……」
「……」
「別れよっか」
「ええっ?! なんで急に!」
「だってアタシ、幸せなんだもん。シンジと一緒ですんごく楽しくて、幸せ太りってヤツなのよ、きっと。
だからさ、幸せじゃなくなれば痩せるかなって」
「な、なにいってんだよ、アスカ! 嫌だよ僕は。幸せだから別れなくちゃいけないなんてオカシイよ!
ダイエットしよ。責任もって、アスカを痩せさせてみせるからさ」
「シンジ……」
「ね?」
「……うん」
二人で誓ったあの日からちょうど一ヶ月。
既に日課となった風呂上がりの審判を受け、誰もいないダイニングを抜けてリビングへ向かう。
そこには神妙な面持ちのシンジが、きちんと正座をして待っていた。
シンジの正面にあるクッションの上に、アタシも正座で向かい合う。
「どうだった?」
「ダメ。また増えてた……」
「そっか……」
「別に気にしなくていいよ。アタシの身体が勝手に太っちゃったんだし、シンジは頑張ってくれたもん」
「でも痩せなかったってことは……」
「ううん。痩せなかったのは残念だけど、別れようなんて言わない。食事とか運動とか、一緒になって頑張ってくれたでしょ?
そのとき思ったの。やっぱりシンジと別れたくないなって」
「そっか!」
「でもアタシでぶでぶだし、そんなのが嫌だったら……きゃっ!」
ぎゅっ
気づいたらシンジの腕の中。
きつくきつく、抱きしめられていた。
「何言ってんだよアスカ。冗談でも嫌だよ。僕の方から嫌いになることなんてないんだから」
「うん、ありがと」
アタシの方からもおずおずと腕を回す。
胸の奥から暖かい気持ちが湧き出して、それが全身に広がって幸せな気分になれた。
この気持ちをどうにかシンジに伝えたい。
そう思ったら、自然とキスを求めていた。
チュッ
「……嬉しかったからお礼」
チュッ
「お返し」
もっとしたい、と思ったらシンジの方からしてくれた。
こんなことの一つ一つが、二人が通じ合ってるんだなぁって実感する。
お互いの腕を背中に回して、ひっしと抱き合ってるアタシたち。
全身で感じるシンジの体温が、とっても心地いい。
「やっぱり、抱き合うって気持ちいいね。シンジが嬉しいなら、抱き心地がよくてもいいかも」
「すごく気持ちいいよ。アスカの感触って、とっても柔らかいし」
「えっち」
「え、あ、いや! 確かに胸が当たって気持ちいいけど……!」
「くすくす」
「あ」
「冗談よ、じょーだん。シンジがおっぱい好きなの知ってるもん。わざと当ててるに決まってんでしょ?」
「アスカぁ」
「なによ、ホントのことでしょ? えっちのときだって、胸ばっかり触ってくるじゃない」
「そんなことないよ。他にもいっぱい触ってるじゃないか」
「やっぱりえっちじゃん」
「う〜っ」
「じゃあさ、今日もこれからダイエットのための“運動”する? シンジがしたいなら、これからも運動は続けよっかなって」
「そうだね。アスカが続けたいなら運動しようか」
「別にアタシはしなくてもいいのよ? シンジが運動したいみたいだから、手伝ってあげようかなって」
「えっち」
「ア、アタシはえっちなんかじゃないわよ。えっちなのはアンタの方でしょ」
「僕はえっちだもん。だからアスカとずっと運動してたいし」
「開き直ったわね。や……はむっ、ん」
予告なしに唇を奪われた。
しかもいきなりのディープなヤツ。
入り込んできた舌を追い返そうと迎撃するんだけど、いとも簡単に絡め取られる。
アタシの舌は敏感すぎて、ろくな抵抗もできずにもて遊ばれてしまった。
必死に口腔内で抵抗しているうちに、二人の隙間に手が入り込んできた。
そのまま、服の上から右の乳房を撫でる。
キスだけで期待するようになってしまった身体は、容易く反応を見せてしまう。
ほら、軽く手のひらで掠っただけで硬くなる胸の先端。
そのまま胸をじっくりと熱を込められるように揉まれて、つい甘い鼻息で鳴いてしまうアタシ。
抵抗むなしくしばらく嬲り続けられて、ようやく唇は開放された。
「ふぁ……」
「僕は気持ちいいし運動したいんだけど、アスカが嫌ならもうやめようか?」
卑怯よアンタ。
人をこんな状態にさせておいて、そんな質問するなんて。
ああ、でも頭の中に靄が掛かったようで何も考えられない。
熱と酸欠のせいだ。
アタシの身体は充分火照っちゃって、行き着くところまで行かないと下がってくれない。
こうなったらもう、否定する答えなんて見つかりっこないじゃないの。
「して」
「ん?」
「もっと、もっと……して」
顔、首筋、胸元。
唇が届くところいっぱいにキスの雨。
ベッドに横たわって、されるがままのアタシ。
キスをされると、すぐに力が抜けてこんな風になってしまう。
何かのスイッチを切られたようにものすごく弱くなって、普段の自分じゃなくなっちゃう。
唇が触れたところからぴりぴりと電流が走って、どんどん身体が熱く狂わされていく。
肌を這う手のひら。
くすぐったいだけだった感覚もいつしか快感を弾けさせるようになった。
鋭敏になる感覚とは逆に、判断が鈍くなっていく思考回路。
「ひゃ」
耳たぶを甘噛みされて、現実に引き戻された。
楽しそうな笑顔が目の前にある。
アタシにおねだりさせたときと同じ、心底楽しそうな表情。
意地悪されて、バカシンジなんかに従わされるなんて嫌なはずなのに。
なのに、受け入れている自分がいる。
でもきっと、こいつだから。
シンジだから、許してしまうのだろう。
「服、脱がすよ?」
「ぅ……んっ」
シンジがタンクトップの裾に手を掛け、そのままたくし上げる。
アタシは既に力の入らない腕を、なんとかバンザイみたいな格好にして脱がすのを手伝う。
ホットパンツと下着もスルスルと取り外されると、もはや身に着けているものがなくなった。
シンジも素早く自分の衣服を脱ぎ去ると、体重をかけないようにしながらアタシに覆いかぶさってきた。
「はむぅ、んちゅ、ちゅ、ちゅ……」
深く、深くキスをする。
背中に腕を回して、シンジの存在を全身で感じながら。
素肌と素肌で直接感じる体温。
骨と筋肉のつきかたが全然違う男の子のカラダ。
抱き合いながらキスをすると、すごくキモチイイ。
お互いが裸になる間、少しだけおあずけされていたカラダもすぐに熱を取り戻した。
「アスカの身体、すごくキレイだよ」
たっぷりとキスを堪能してから、呆けたアタシの顔を覗き込むようにしてシンジは言った。
シーツの上に投げ出されたままのアタシの腕を取ると、軽く指先にキスをした。
「や、やだ。ちょっとくすぐったい」
「指だって、こんなに細くて華奢だし」
そのまま指先から肩を目指して、小鳥が踊るようにキスの足跡を付けていく。
それだけだとくすぐったいだけだったんだけど、シンジの右手は同時にアタシのふとももを撫でてきた。
ゾクゾクとした快感が背筋を駆け上る。
腕にされてる刺激とクロスして、軽いキスもすぐさま快感へと昇華された。
「腕も脚も、細くて長いし。ぜんぜん太くなんかない」
肩まで達したキスのステップは、頂上を目指して女の子のふくらみを登っていく。
途中、軽く吸ったり舌で舐めたりとかのイタズラを繰り返しながら。
「おっぱいも丸くておっきくて、すごく僕好み」
てっぺんに辿り着くと、唇ではむはむと乳首の硬さを確かめた後、たっぷりと唾液を湛えた舌で舐め上げた。
「ああああーーっっっ!」
アタシのカラダはあっけないくらいに簡単に絶頂を迎えた。
カラダ全体がピンと突っ張って、頭の中が真っ白になった。
けど、シンジは愛撫を止めてくれなかった。
続けさまに大きく口を開けておっぱいを口に含むと、舌先で乳首を蹂躙した。
吸ったり舐めたりするのはもちろん、あまつさえ軽く歯を立てたりした。
そのたびにアタシは嬌声で応えるしかなかった。
身体を重ねるようになってから、アタシの胸はシンジの愛情をたっぷりと注がれて育った。
もともとアタシの弱点だったこともあるんだけど、ますます感じやすくなっちゃった気がする。
開発、されちゃったのかもしれない。
やがてシンジは、反対側の山の攻略に取り掛かった。
散々弄ばれた胸がそのままにされるはずもなく、麓からせり上がってきた左手にがっちりと掴まれた。
乳房全体を好きなように揉みくちゃにされたり、唾液で汚れた乳首も指先でくるくると弄ばれる。
吸われ、舐められ、甘噛みされ。
揉まれ、撫でられ、弄ばれ。
ありとあらゆる刺激をアタシのカラダは快感として受け取った。
アタシの胸全体を余すとこなく唾液でべとべとに汚すと、ようやく満足したのかアタシのカラダの更に下部へと狙いを移していった。
おっぱいだけをそんなにねちっこくいじめるなんて、ホントおっぱい好きなんだから。
へんたいバカしんじ。
でもそれを受け入れちゃってるアタシも、へんたいさんなのかもしれない。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
アタシは絶頂に何度も押し上げられて、既に肩で息をするほどに荒くなっていた。
アソコも恥ずかしいくらいに液体を吐き出していて、お尻のあたりが少し冷たい。
全身も篭った熱を冷まそうと大量の汗を噴き出していたけど、執拗に愛撫を続けるシンジの前じゃあまり意味をなさなかった。
「お腹もすべすべだよ。余計なお肉なんてついてないし」
シンジはそういって、アタシのお腹を慈しむように撫でた。
スルリと両手を脇腹に滑らせて逃げられないように胴体を固定すると、ぬるりと体の中心に舌を潜らせた。
「や、そ、そんなトコ……!」
「いいから。僕に任せて」
たっぷりと唾液を乗せた舌がアタシのおへそに侵入してきた。
普段、他人に触れられることのない部分がシンジに清められていく。
くぼみに溜まってた汗や汚れを、舌で削ぎ落とされる快感。
でも、汚いところを舐められてる──そう思ったらカッと顔が熱くなって、とっさに両手でシンジの頭を引き離そうとした。
けど、やっぱりカラダはアタシの言うことを聞いてくれなかった。
引き離すために伸ばしたはずの両手はシンジの頭に優しく置かれ、舌の動きに合わせて柔らかい黒髪に指を絡ませただけだった。
シンジは指のように舌を使い、細かい動きを繰り返して窪みを刺激する。
シンジの愛撫を全て快感として受け取ってしまうアタシのカラダは、そんな初めての刺激にも着実に快楽への階段を上り続けていた。
「あっ、あっ、あっ、あああああ!!!」
おへそでイッちゃった、イかされちゃった……
シンジに愛されちゃったところは、もうどこでも快楽を覚えてしまう気がする。
アタシの意思とは無関係に、どんどん開発されていくアタシのカラダ。
ねちっこく舐め回すようなシンジの視線だけで絶頂に達する自分を妄想して、あまりの嬉しさに戦慄さえ覚えた。
「アスカ、アスカ……」
深く沈んだ意識の奥に届く、アタシの名前を呼ぶ声。
気だるげに目を開けると、心配そうな視線で見つめるシンジと目が合った。
「ぅ……ん?」
「大丈夫? ちょっといじめすぎちゃったみたいだね。ごめんね」
シンジは添い寝をしながら、汗びっしょりのアタシを落ち着かせようと、優しく髪を撫でてくれてた。
どうやらアタシは、気を失ってしまっていたらしい。
髪をそっと梳く指先は、幼き日のママのように暖かくて。
身を任せ、このまま眠ってしまいそうになる。
……でも、不意に感じる違和感。
足に触れている熱の塊。
明らかに異質な固い感触。
アタシは気づいてしまった。
シンジがまだ、キモチよくなっていないのを。
……ふう。
アタシは一つ大きく深呼吸をすると、全身に力を入れて、シンジを押し倒した。
「てや」
「ちょっ!アスカ?!」
シンジが下で、アタシが上から圧し掛かってるという、さっきとは全く逆の格好。
見下ろされる側になったシンジは、まだどうなるのか理解してないみたい。
カチカチのシンジが、アタシの下に敷かれてるのを感じる。
軽くお尻を揺すると、ピクンと身じろぎしたのがわかった。
あはっ、シンジもアタシのナカに入りたいんだ。
いやらしくお尻を前後に動かすと、シンジがアタシの愛液でべったりと濡れた。
「ねぇ……シンジ?」
愛欲に潤んだ瞳でシンジを見つめる。
アタシのカラダに自然と目を奪われていたシンジが、慌てたようにしてアタシの顔を見る。
視線だけの交歓。
それでも、シンジはアタシの考えてるコトがわかったみたい。
目は口ほどに物を言うってホントね。
ものすごく期待をした目でこっちを見てる。
「やっぱり、二人で運動しないと……ね?」
アタシはふらつく腰を高く上げると。
片手で真っすぐシンジを固定し、そのまま腰を落とした。
「んんっ?! んあああぁぁぁぁぁ!!!」
「く……っ!」
シンジが突き刺さった瞬間。
そのままふわっと力が抜けて、全体重がアタシのカラダの最奥に突き刺さった。
反射的に背筋が仰け反る。
「ふぁぁぁぁぁ」
すごい。
やっぱりシンジのおっきい。
アタシのナカをいっぱいに押し拡げてる。
お互いの性器と性器を繋げるという、毎日のように繰り返している行為。
けど、馴れ親しんだはずのこの感覚は、いつも新鮮で懐かしい。
アタシは最初の大きな波をやり過ごしてから、もう一度大きな深呼吸をして身体が欲している酸素を取り込む。
自分の身体が落ち着いたのを見計らうと、両手をシンジの胸に置いて、ゆっくりと腰を前後に動かし始めた。
カラダを一生懸命動かすたびに。
つながってる場所から、水気を含んだいやらしい音が聞こえてくる。
いっぱい、いっぱいアタシの中、擦られて。
カラダの中心から沸き起こる快楽が、アタシのカラダを支配していく。
「ア、アスカ」
「……あによ」
「あんまり無理しない方が……」
「むり……んっ……なんか、あっ……してないわ、よ」
「で、でも……」
「これはアタシのダイエットなんだか、らっ! 協力するって約束したじゃ……ない」
自分だってキモチイイって顔してるくせに、何言ってんのよ、このバカシンジ。
眉間にしわ寄せて我慢しちゃってさ。
アタシのこと気にしてやせ我慢するなんて、ホントバカみたい。
「それにっ、二人で運動してる……んふっ、だからっ! アンタも気持ち良くならないと意味ないじゃ……ないの……よっ!」
びくん!
アタシの中で自己主張してるシンジが、さらに大きくなった。
ふふっ。
いいよ、シンジ。
二人でキモチよく……なろ?
シンジの両手がそっとアタシの腰に添えられて。
少しずつ、シンジも動かし始めた。
「ふぁっ、あっ、あっ、ぁんっ!」
シンジもとっくに我慢の限界に来てたみたいで。
すぐさまそれは激しい動きに変わった。
嬉しそうにアタシのナカがシンジをぎゅうぎゅうと締め付ける。
それに逆らうようにシンジが抽挿を繰り返す。
いっぱい擦られて。
いっぱい突き上げられて。
アタシ達が同時にイクのも時間の問題だった。
「も、もうだめっ! イ、イク、イッちゃう! しんじっ、しんじぃぃぃぃ!!!」
「くっ、ぅぅぅぅぅぅ!」
どくん、どくん、どくん。
熱い塊がアタシの奥にぶち当たって。
そのまま溶けるように熱が染み渡っていく。
上体が、糸が切れたみたいにシンジの上に倒れ込む。
体重を預けると、アタシとシンジの間で柔らかくおっぱいが潰れた。
「「はぁ、はぁ、はぁ……」」
頭の上からシンジの呼吸が聞こえる。
呼吸さえもシンクロしてるのがちょっと嬉しい。
首筋に顔を埋めると、汗をかいたシンジの匂い。
運動した後の、いつもより強いシンジの匂い……好き。
見上げると、こちらを見つめていたシンジと目が合う。
求められるままにキスを交わす。
しばらくキスを続けると、アタシの中に納まったままのシンジが自己主張を始めた。
アタシはそれに気づくと、何も言わずに微笑み返す。
シンジはぎゅっとアタシの背中を抱きしめて。
そのまま上半身を起こし、対面座位の格好になった。
「はっ、あっ、んんっ……」
どちらともなく、再び動き始める。
ずん、ずんと揺さぶられるアタシのカラダ。
振り落とされないようにシンジの背中へ両手を回す。
繋がってるところからは、シンジが出入りするたびにえっちな混合液が掻き出される。
でもアタシの中からは、更に溢れるくらいの愛液が湧き出して。
シンジも精液を、もっと、もっと吐き出そうと抽挿を激しくする。
「イイっ、キモチイイ! シンジのキモチイイよっ!」
えっちのことで頭がいっぱいになる。
はしたない言葉が口から出てくるのを止められない。
涙とか涎とか流れる液体をそのままに、アタシは快楽に身を任せる。
シンジはねっとりと涎を舐めとると、そのままアタシに口づけた。
「んむぅ、ちゅ、ちゅぷ、はぁ、んちゅ……」
甘い、甘い唾液の交換。
息が苦しくなって口を離すと、その間も惜しむように唇を奪われる。
にゅるりと舌を絡め取られると、そのまま舌だけをちゅうちゅうと吸われた。
酸欠と、それだけでない何かで頭がくらくらする。
ふわふわと、どこかに飛んで行ってしまいそうな錯覚を覚えて、より一層きつく抱きしめる。
シンジもイキそうなのか。
パンパンに張り詰めたシンジを、奥までぐりぐりと押しつけられる。
胸とかお尻とか、柔らかいところを好きなように貪られる。
最後にぐっと腰を押しつけられた瞬間、そのときは訪れた。
「はぁっ……イク、イクっ、イっちゃう!」
「出すよ、アスカ!」
「し、しんじ! 好きっ! すきっ! あっ、あ、あ、ああああぁぁぁぁ!!!」
「アスカぁっ!!」
二度目といえど、先ほどと劣らない濃度と量の欲望がアタシの中で解き放たれた。
あれだけシンジにイかさせたのに関わらず、今日一番の絶頂がアタシを襲う。
脊髄に直接、快感が押し寄せる。
カラダががくがくと震え、頭の中で白いスパークが何度も弾けた。
カラダの方が警告を鳴らしそうなほどの快感。
それでもアタシは、シンジが与えてくれたものを逃したくなくて。
ひたすら貪欲に受け入れ、それと引き換えに激しい体力の消耗を覚えた。
「……しんじぃ」
夢もうつろに呟くと、シンジは優しいキスで答えてくれた。
大量の汗にまみれ、シンジが力なく項垂れるのを感じながら。
運動の後の心地よい脱力感に、今度こそアタシは身を任せた。
しっとりと濡れた肌を触れあわせる、心地よい事後のひととき。
ベッドの上でシーツに包まれながら、気恥ずかしそうに微笑みあう。
軽く指を絡ませ合いつつ、シンジが話を切り出した。
「それにしても、さ。なんでアスカのこと、太ったって言ったんだろうね」
改めてアスカのカラダ見たけど、とアタシのお腹を撫でながら、シンジは言った。
今更ながら、愛撫されてるときの褒め言葉を思い出して、少しだけ照れる。
「でもみんな言うのよ、『アスカってホント丸くなったわね』って」
「……ねえ、アスカ。みんな、そう言ったの?」
「そうよ。それにみんなして『シンジ君と付き合ってから〜』なんて付けるから、シンジに別れようなんて言っちゃったんじゃない。
……って、シンジ。なんで、アンタ笑ってんのよ」
「アスカ、それはね……」
結局。
アタシが丸くなったって言われたのと、体重の増加は全く無関係な話で。
体重の方の原因は、次のメディカルチェックで明らかになるのだけど、これはまた別の話。
end.