<新婦のことば>
なぜ君と結婚したのかだって?
簡単なことだ。
結婚すれば、君と思う存分セックスできるからな。
恋人関係や同棲とちがって、夫婦になれば、
どれだけ君と愛し合っても誰にも後ろ指を指されないからな。
笑うなよ。
私は理屈が多い女だが、これだって私なりに考えた選択だ。
恋や愛情は理屈では割り切れない。
君と出会ってから、私は、自分がしょせん動物のメスでしかないことを思い知ったよ。
だが、今はそれを嬉しく思う。
君はオスで、私はメス。
惹かれあうのも求め合うのも、自然の摂理だ。
だが、私たちは理性ある人間でもあるから、
それに関する状況を整えるためには、冷静な判断が不可欠になってくる。
私は、誰が何を言おうともあまり気にしない性質(たち)だが、
君との長い生活を考えれば、君や私の親族や、友人や職場の人間を
味方につけられるなら、そうした状況に持っていくのがベストと計算した。
──いや、べつにむずかしい話ではない。
私が、君を死ぬまで独占するためには、婚姻関係を結ぶのが一番有利だという結論に達しただけの話だ。
婚姻関係には、法的にも、慣習的にもいろいろな特典がある。
君の子供を産めるというのは、その最たるものだな。
別に、未婚でもできなくはないことだが、生まれてくる子供にとって
私生児よりは、両親がきちんと結婚している夫婦であることのほうが間違いなく幸せだ。
結婚式にきた君の親族にも言われたばかりだろう。
「はやく子供を作れ」と。
おせっかいなことばだが、今なお多くの人間が夫婦とはそういうものだと思っている。
つまり、私が君の妻になった以上、どれだけ君とセックスしようが、
避妊をせずに君の子供を孕もうが、誉められこそすれ誰にも非難されない、ということだ。
それは、私の望みにも関係してくることだからな。
──君の遺伝子を受け継ぐ子供を作ると思うと、とてもどきどきする。
私の子宮で、君の精をと私の血と肉でまぜあわせて、君の命を次世代につなぐのだぞ。
女として、これほどの快楽はない。
ふふ。
それに、君は、セックスの時に生でするのが好きなのだろう。
安全日にはいつもコンドームをつけずにセックスしたがっていたからな。
生でしたときは、避妊手段を講じたときよりも君は感じていた。
私は、その顔を見るのが好きでな。
君がいつもよりも感じているが嬉しくてしかたなかった。
はじめて私の膣に精液を中出ししたとき、君の気持ちよさそうな表情を見て、
私は続けざまにオルガスムスに達してしまった。
ふふふ。
今日から私たちは、危険日だろうがなんだろうが、
大手を振って膣内射精ができる間柄だぞ。
新居には、最初から、避妊具の類は何も持ち込んでいない。
これからの私たちには、必要ないものからな
──いつもながら、君の性器は正直だな。
天を向いてそそり立っている。
──私の性器も正直だって?
当然だ。
私も、私の性器も、自分に正直でなかったことは一度もない。
だから、君を迎え入れたくてこんなに濡れもするさ。
ふふ、では夫婦の交わりをはじめようか。
新婚初夜だ。
朝まで、たっぷりセックスを楽しもう。