<孕ませ神殿>1 巫女長アドレナ・中
「アドレナさんっ!」
僕は、巫女長に抱きついた。
熱い息を吐きながら、彼女の唇を求める。
「あ……」
頬を染めたアドレナさんは、しかし、拒む様子を見せずに、僕を受け入れた。
柔らかな、甘い唇に、僕のそれが重なる。
脳天までしびれる感動に、僕はくらくらした。
未熟者同士二人のキスは、おどおどとした動きから始まったが、
やがてお互いの舌を求めて大胆になってきた。
「んっ……んっ……」
目を閉じたアドレナさんの頬が桜色に染まる。
アドレナさんの舌は、ものすごく柔らかくて繊細だ。
僕の舌は、それを絡めとろうと執拗に巻きつく。
「ああ……」
アドレナさんがもらした甘く吐息は、唇を重ねている僕の口の中に注がれ、
そのかぐわしさに、僕はいっそう興奮した。
「んっ……ふわっ……」
息が続かなくなって、いったん唇を離すと、僕とアドレナさんの唇の間を、
唾液が細い銀色の糸となって伸びた。
「……」
ふいに、僕は、アドレナさんが、今まで僕が思っていたよりもずっと若いことに気が付いた。
巫女長としての立ち居振る舞いとイメージから、僕は彼女をずっと年上と思い込んでいたけど、
こうして間近でみるアドレナさんの美貌には、少女と言ってもおかしくないくらいの幼さが残っている。
きっと僕と同い年くらいか、せいぜい一つか二つ年上だ。
「あ、アドレナさんっ──」
まるで、恋人と会っているような感覚に襲われ、僕は彼女の肩をつかんだ。
「きゃっ」
そのままベッドに倒れこむ。
彼女は小さな悲鳴をあげたが、そのしぐさには僕を拒むそぶりのかけらも見当たらなかった。
細くて白い首筋に、僕の唇が這う。
セックスの時の簡単な手順は、神殿の<事前授業>で教えられていたけど、
そうした知識はグルグルと頭の中でまわってまったく役に立たなかった。
今の僕を行為に推し進めているのは、牡としての生殖本能だった。
神官衣を、引き裂くようにしてはだける。
さきほど、鏡越しに見たどの巫女よりも白く、きめこまかな肌があらわになる。
アドレナさんは着やせする人なのだろうか、僕が思っていたよりもずっと大きな胸は、
若い乙女の瑞々しい張りに満ち溢れていた。
「――っ!」
「あっ──ああっ!」
アドレナさんの鴇色の乳首を目にした次の瞬間、僕はそれに吸い付いていた。
乳房を丸ごと口にせんばかりの勢いで、かぶりつく。
左右の乳に音を立てて吸い付くと、アドレナさんは僕の下でのけぞった。
「……」
ひとしきり、アドレナさんの胸を堪能すると、
僕はいよいよ見たくてたまらなかったものへと目標を定めた。
「あ……」
神官衣の裾に手をかけると、アドレナさんは、頬をさらに赤くした。
もじもじして視線をそらす。
しかし、その身体は、緊張してはいるが抵抗する様子はなかった。
それをいいことに、僕は、神官衣を躊躇なく剥ぎ取った。
「おお……」
思わず声が出る。
アドレナさんの白い腹部、白い太もも、そして──。
「――すごい、これが、アドレナさんの……」
衣を脱がすのと同時に、僕は腿をつかんで下肢を(できるだけ優しく)広げていたから、
僕の目には、アドレナさんの秘所が丸見えになっていた。
「ああ……」
アドレナさんが、顔を両手で覆いながら羞恥がきわまった声を上げた。
アドレナさんのあそこは、つるつるだった。
恥毛が生えていないのは、<大地の母神>の巫女の流儀にのっとって、
妊娠・出産を経験していないから剃り落としているのか、
それとも単にまだ若いアドレナさんのそこがまだ芽生えていないだけなのか。
僕は後者だと思った。
白く滑らかな肌と、その真ん中の大切な部分。
誰にも汚されていない場所の事を「処女地」と呼ぶけど、僕はその本当の意味を知った。
「すごい……これが、アドレナさんの、あそこ……」
僕は、愛しい人の性器を見て、頭の中が沸騰するかと思った。
「……はずかしい…です。あまり……見ないでくださいまし……」
アドレナさんは、こちらも両手を覆う手指の間から、
もうこれ以上ないというくらいに真っ赤になった顔を見せながら、消え入りそうな声で言った。
「だめ──もっと見たい。アドレナさんのここ」
「ああ……」
僕は宣言どおり、アドレナさんのあそこに顔を近づけた。
どうすればいいのか。
これから何をすればいいのか。
僕は、本能の求めるままに行動した。
アドレナさんの押し広げられた下半身に、顔をうずめる。
「――ひっ!」
アドレナさんが小さな悲鳴を上げた。
ぴちゃ。
ぴちゅ、ぴちゃ。
僕は、<大地の母神>の巫女長の女性器を舐めはじめた。
「ひああっ!――そ、そんな、そんなことっ!!」
アドレナさんが身をよじって悲鳴を上げる。
ぴちゃ、ぴちゅ。
ぴちゅ、ぴちゃ。
女の子のあそこをなめるのは、もちろん初めてだけど、
僕の舌と唇はまるで別の生き物のように巧みに動いた。
アドレナさんのあそこは、こうなっていたんだ。
こんな香りがするんだ。こんな味がするんだ。
興奮した僕の舌が、どんどん動きを活発にする。
不思議なことに、さきほどまであんなに喉がからからだったのに、
甘い香りのするアドレナさんのあそこを舐めはじめると、
後から後から唾液があふれ出してきた。
まるで、アドレナさんのあそこを僕の唾液で汚しぬくことを本能が命じたように。
「ひっ、あっ……あっ! だめ、だめです、そんなところを舐めてはっ!」
勢いづく僕とは逆に、アドレナさんは先ほどまでの冷静さを失っていった。
僕にあそこを舐められることに嫌悪感はないのだろうが、
羞恥心が反射的に拒否のことばを口にさせてしまうのだろう。
僕はかまわずに舐め続けることにした。
「たしか、こういうときの女の人の「だめ」は、本当のだめ、じゃないんだよね?」
「そ、そんなっ……」
「だって、アドレナさんやイリアさんが<事前授業>で教えてくれたよ?」
「ひっ……」
ちゅる。
ちゅちゅちゅ。
僕は、アドレナさんのあそこに口をつけて、吸いたててみた。
舌の上に、僕の唾液ではない、かぐわしい液体の味が広がる。
アドレナさんの蜜液だ。
「アドレナさん、濡れてきてるんだ……」
「あ、あふっ……そ、そんなっ、はずかしいこと、い、言わないでください……」
アドレナさんは、息も絶え絶えだった。
僕の愛撫で、こんなに感じてくれるなんて。
初めての相手として僕に応じてくれたのだから、
アドレナさんが僕に好意を持っているということは確信していた。
でも、アドレナさんの乱れようは、肉体的なものだけではない。
処女は、きっと身体の反応だけで、こんなに乱れたりはしないと思う。
まるで、待ちわびた恋人が相手の時のような、心のときめき。
錯覚かもしれないけど、僕はアドレナさんからそんなものを勝手に感じて、すっかり嬉しくなった。
舌を丁寧に使って、溝を掘りおこすように女性器を舐めあげる。
アドレナさんが羞恥と興奮とそして快楽の入り混じった小さな嬌声をあげる。
舌の先を尖らせて性器の中にもぐりこませようとすると、
秘所の潤んだ肉は乙女の抵抗をみせたが、男の強引さに負けて僅かな侵入を許した。
柔らかな肉襞がぴっちりと僕の舌を包み込む。
「〜〜〜っ!!」
舌先を引き戻すと、アドレナさんの蜜液が、女性器と僕の唇とを細い糸でつないだ。
はぁ、はぁっ。
アドレナさんは、必死で快楽に耐えている。
僕は、この人に絶頂を与えたくなった。
舌先を女性器の上側に滑らせる。
「ひっ──」
何をされるか悟ったアドレナさんが、甘い悲鳴を噛み殺した。
アドレナさんの、小粒の真珠のようなクリトリスが獲物だった。
ぴちゃ、ぴちゅ、ちゅるん。
舐め上げ、優しく吸い上げると、アドレナさんは、下肢はおろか身体全体を痙攣させた。
「ふうっ……ふぅうんっ!」
アドレナさんは、快楽に必死に耐えていた。
「アドレナさん……イってもいいんだよ」
僕は、アドレナさんに絶頂を与えようとした。
この女(ひと)に快楽の極みを与えたかった。
でも、アドレナさんは、いやいやするように首を振った。
「アドレナさん、――嫌なの? それとも怖いの?」
考えてみれば、彼女は処女の身だ。自慰の経験があるかどうかも疑わしい。
性的な絶頂感に対する嫌悪感や恐怖感があるかもしれない。
「ち、ちがいますっ……ただ……」
「ただ……?」
「はじめての絶頂は、あなたと一緒に……迎えたいの…です」
あえぎながら潤んだ瞳を向けたアドレナさんの美しさに、僕は呆然となった。
僕がアドレナさんと交わりたいのと同じくらい、アドレナさんは僕と交わりたがっているのだ。
最初の絶頂を一緒に──つまり、僕とのちゃんとしたセックスの中で迎えたいと言ったのだ。
そのことばの意味を理解したとたん、僕の男根は、今まで以上に固くそそり立った。
「い、いいの? アドレナさん。ほんとうに、入れちゃうよ……?」
「来て……ください。わたくしの中に……、あなたと、あなたの子種を、ください」
小さな声で途切れ途切れに言われたことばに、僕は人生最大の衝動に駆られた。
「あ、アドレナさんっ!!」
僕の男性器は、これ以上ないというくらいに大きく膨れ上がり、石のようにカチカチだった。
それを、真珠色のアドレナさんの性器にあてがう。
「ああっ、そ、それが──あなたの……」
ああ、<事前授業>でならった。
はじめての時、男の子は、女の人にたしかこう言うのだっけ。
「あ、アドレナさん、――ぼ、僕の童貞を、初めての子種を受け取ってください」
顔から火が出るほど恥ずかしいせりふだ。
だけど、アドレナさんは、こちらも顔を真っ赤にしてちゃんと返事をしてくれた。
「はい、よろこんで。――あなたの童貞と、はじめての精を受け取ります。
……もうひとつ、私の純潔も、あなたに捧げます──」
その声を聞くやいなや、僕はアドレナさんの中に突き進んだ。
「ああっ……ふあっ!!」
「おお……」
僕がアドレナさんの濡れた肉を割って入っていくと、二人は同時に声を上げた。
アドレナさんの声は、破瓜の痛みも混じっていたが、
僕がそれに何か言う前に、アドレナさんはにっこりと笑った。
「――嬉しい。あなたと、一つになれました」
「――っ!!」
そのことばに、僕の生殖本能は最高点に達した。
できるだけゆっくりとアドレナさんに負担をかけぬよう、
でも出来るだけ強く、激しく──矛盾した二つの動作は、牡の本能がやってのけた。
僕が動くたびに、アドレナさんの吐息から痛々しいものが抜けて、歓喜のそれに変わってくる。
「うふう……んむっ……」
二人の唇が自然と重なったのは、アドレナさんが痛みを気にしなくなったのと同時だろう。
僕とアドレナさんは唇と性器の二箇所で粘膜を絡み合わせて一つになった。
ちゅく、ちゅく。
ぎゅぬ、ぎゅぬ。
僕の物を包み込んだアドレナさんの性器が粘液質な音を立てる。
柔らかな、ぴっちりとしたたくさんの肉襞が、僕の男根を全ての方向から包みこんで愛撫する。
「ああっ──す、すごいよ、アドレナさん、すごく、き、気持ちいいっ……よっ…!!」
「ふあっ、あっ……わたくしも、わたくしもですっ!」
アドレナさんの上に重なった僕が何十度目か腰をゆすったとき、今までで一番大きな絶頂が僕を襲った。
口付けを離して、アドレナさんにささやく。
「うわっ、あ、アドレナさんっ……。だ、だめだ。もう、イきそう……」
アドレナさんのとろけたような表情の中で、潤んだ瞳が熱っぽく輝いた。
「――」
僕と交わっている美しい女(ひと)は、無言できゅっと僕を抱きしめた。
手だけでなく、足がすべるように僕の足に絡みつく。
腿と腿、膝裏と膝裏、ふくらはぎとふくらはぎ、すねとすね。足の裏や足指まで。
僕はアドレナさんに絡み取られた。
「……こ、こうして、身体を密着させると、子宮の奥に子種が届きやすくなるのです……」
もう一度口付けを求めながら、アドレナさんがささやいた。
「い、いいの、アドレナさん、ほんとに、ほんとに出しちゃうよっ!?
アドレナさんのこと、妊娠させちゃうよっ!?」
愛しい女(ひと)の柔らかな肌が密着すると、女性器さえもがぎゅっと僕を強く抱きしめ、
僕の絶頂間は耐えられないくらいに高まった。
「いいの……ですっ。 アドレナの中に、あなたの精をください……!」
アドレナさんは、下からさらに強く僕を抱きしめて固定した。
「うわあっ、ア、アドレナさんっ!!」
僕は僅かに動くことが出来る腰を、全身全力で動かした。
限界はすぐに来た。
「くふっ、イ、イく、イくよっ!!」
「ああっ、来て、来てくださいましっ!!」
最後の瞬間、アドレナさんは僕の唇を自分の唇でふさいだから、
僕たちはキスをしながら人生最初の絶頂を同時に迎えることになった。
目の前が虹色に、次いで真っ白になる。
どくっ、びゅくっ、びゅるっ……。
男根の律動は、単に性器だけのものではなかった。
射精感は、アドレナさんの中にうずめている下半身を中心にして、
身体全体がアドレナさんの中に溶け込んでいくように強かった。
その放出感は、僕の子種がアドレナさんの子宮に流れ込んでいっていることを実感させた。
僕は、アドレナさんの処女を奪っただけでなく、
今まさに、彼女に自分の子供を妊娠させようとしているのだ。
「あああああああ……」
全身が痙攣した。
精神的な感動に呆然としていた肉体に、快楽が戻ってきたのだ。
夢精の時とは桁が違うほどの量の精液を放ったのに、まだ射精をし終わっていないのに、
僕の男根は再び熱く固くなった。
「ひあっ……」
自分の膣(なか)で、それを感じ取ったのだろう、とろけきったアドレナさんが反応した。
「つ、続けるよっ!? いいっ!? アドレナさん!?」
「は、はいっ……。何度でも、何度でも来てくださいっ。アドレナの中に、全部、ぜんぶっ!!」
「ああっ、ア、アドレナさん……っ!」
僕はアドレナさんとつながったまま、何度も続けて射精をした。
アドレナさんは、それを全部、彼女の膣と子宮で受け止めた。
僕たちは、絡み合う二匹の蛇のように、快楽にのたうち、生殖本能に身を任せた。
びゅくっ、びゅるっ、ぴゅくっ。
アドレナさんのあそこは、ぴっちりと僕の男根をくわえ込んでいたから、
優しく圧迫されて、僕の射精は、長く長く続いた。
細い管の中を、ゼリーのように濃い精液がまわりを包み込む肉の抵抗に抗いながら通っていく快楽。
それが、豊穣な湿地のように潤みきった膣の中に迎え入れられ、
奥へ奥へと導かれ、愛しい女(ひと)の子宮の中に流れ込んでいく充足感。
射精が最後まで終わらないうちに、次の絶頂が来て、僕はずっとアドレナさんの中に精液を出し続けた。
僕たちは何度も何度も交わった。
何度も何度もキスを交わし、お互いを褒め称え、愛をささやいた。
そして、二人の間に子供ができるように、何度も何度も女神にお祈りを捧げながら、また交わった
僕の欲望は衰えることなく、体力の限界まで射精を続け、
アドレナさんも、射精されるたびに絶頂を迎えてのけぞった。
やgて、時間の感覚も分からなくなった頃、僕とアドレナさんは、
ベッドに裸体を沈み込ませるようにして気を失い、そのまま眠りに付いた。
「――はい。濡れタオルです。これで汗をお拭きください。お食事と飲物は、このバスケットの中に──」
丸一日たって、イリアさんが部屋の外に色々な物を持ってきてくれた。
呼び鈴を鳴らせば、いつでも来てくれたのだけど、
僕とアドレナさんは、お互いとのセックスに夢中で他のことが目に入らなかったし、
限界までむつみ合った後、失神するようにして眠り込んだから、それだけの時間がたっていたのだ。
「ありがとう」
僕はぼんやりしながら、それを受け取った。イリアさんがくすりと笑う。
「その呆けた顔。よほどお楽しみのようですわね。
……ひと段落ついて、他の巫女を呼びたくなったらいつでも声を掛けてください」
「あ……いや……」
僕は歯切れの悪い返事をした。
イリアさんの、神官衣の胸元をゆるめたところからのぞく巨大なおっぱいを見ても、
正直なところ、僕の男根はぴくりとも反応しなかった。
「ごめん、イリアさん、他の巫女さんはいいや。――あ、まだ、いいやってことで……」
言い直したのは、そのままだと、イリアさんにも興味がないという意味になるからだったけど、
実際、僕はアドレナさん以外の女性と交わる気が全然なくなっていた。
「……正直な人ですこと。まあ、何かあれば、呼び鈴を鳴らしてください」
怒るかと思ったけど、イリアさんはにやにやとした笑みを浮かべて僕を眺めた後、外へ出て行った。
僕はバスケットを抱えて、部屋に戻った。
若い牡と牝──僕とアドレナさんの性行為の匂いに満ち溢れた部屋に戻ると、
さきほどのイリアさんではまったく反応しなかった男根が、また天を向いて硬くそそり立ってしまった。
欲望を抑えながら、汗を拭き、食事をし、お茶で割った神酒を飲みながら二人でおしゃべりをしているうちに
また二人の気持ちは限界に達して、ベッドに倒れこむようにして抱き合い、交わり始める。
塔の中から一歩も出ないそんな生活が二ヶ月くらい続いた。
……そして、僕は、待ちに待った知らせと,人生最大の失意とをほとんど同時に受け取った。
「――月の物がこなくなりました」
──アドレナさんが、幸せそうな顔で僕にそう告げた次の朝、彼女の姿は神殿から消えていた。