成田「景虎は見目よき男子であろう」
伊勢「さようでございましょうか」
成田「正直に申してみよ!」
伊勢「わたくしが何を申そうとも、あなた様は聞く耳がないかと存じますゆえ
何も申しません」
成田、いきなり伊勢に襲いかかる。伊勢、されるがままになり
それがさらに成田を苛立たせ、常にも増して伊勢を乱暴に扱う。
伊勢は、今までにない姿にされあられもない体位をさせられる。
「どうじゃ、この淫らな姿は。景虎に見せてやりたいものよ」
「妬心にかられ、もはやその両の目は何もうつしませぬか」と
伊勢は涼やかに言い放ち萎えてしまう成田。
景虎の元から伊勢が戻った後、成田は妻伊勢の前では不能になり
伊勢は、髪を下ろし尼僧になる。
その伊勢の元を景虎が訪ねる。
「そなたをかような姿にしたは、我の罪・・・」
伊勢、静かに景虎を見つめ
「罪はわが身から出たこと。どうぞご放念を」と凛と告げる。
「我のために、仏に慈悲を願ってもくださらぬか」
伊勢、黙って手を打ち、障子が開けられ庭が見える。
冬枯れのその庭を黙って見つめる伊勢と景虎・・・