生き肝、濡れ衣、人柱

 

 

 

 フランドール・スカーレットがどのような性格をしているのか、紅魔館に棲んでいる妖精メイドでも知らない者は数多い。彼女が紅魔館当主のレミリア・スカーレット(500才)の妹であり、紅魔館の地下に軟禁されている495才前後であることぐらいが一般的なフランドール情報である。
 その能力はありとあらゆるものを破壊する程度の能力と言われているが、実際、本当に何でもかんでもぶっ壊すことが出来るかどうかは怪しいとされている。もし仮に何もかもを破壊することが出来たのなら、おそらくこの世には塵の一片たりとも残らないからだ。
 しかしながら、時の文々。新聞によれば、紅魔館に飛来した隕石を苦も無く木っ端微塵に破壊したという記録も残されており、能力の信憑性はかなり高い。むしろ、滅多に目撃されないという彼女の神秘性も相まって、話に尾ひれ背びれが付いてしまうのは世の常と言えた。
 曰く。
 フランドールを見たものは七日以内に高熱を出し、発熱して二十四時間以内に博麗神社の賽銭箱に全財産を収めないと地獄の苦しみを味わい尽くした後に悶死するとか。
 曰く。
 フランドールが軟禁されているのは姉レミリアの寵愛を一身に預かるためであり、夜な夜な淫靡な嬌声が紅魔館の地下から響き渡るとか。
 曰く。
 フランドールはその能力故に一日一度は他人の血を見なければ我慢できない人格であり、紅魔館に在籍するメイドの中から、特にメイド長の前で粗相をしたものはメイド長みずからフランドール嬢の生贄にされるとか。
 幼女だとか。
 でも巨乳だとか。
 適度に人々の興味を引くような話題であれば、その真偽は問われないところなどはかの幻想郷縁起に通じるところがある。
 噂とは、娯楽である。
 時には、ネタにされる当人にとっても。
「へー、いろんなのがあるんだねー」
 ベッドの上に寝転がりながら、フランドール・スカーレットはにまにまと呟く。枕元に広げているのは、文々。新聞を制作している唯一の人材である射命丸文が彼女のためだけに織り上げたフランドール・スカーレットオンリーレポートである。
 無論、当の文は彼女の弾幕を事細かに撮影したこともあるから、表面的ではあるにせよフランドールの実態を知っている。
 幼女は正解。
 博麗神社は、巫女が意図的に流したデマだろう。
 それ以外の寵愛、生贄の正否は、文も裏が取れていない。隠しているのなら、無理に暴くこともないと文は考える。まして、暴いて面白い類の話でもないなら尚更だ。
 フランドールは流言飛語として幻想郷を席巻している情報の数々を眺めて、他人事のように屈託無く笑う。意地が悪いのか、それとも救いようがないほどに無邪気なのか、いまひとつ判断が付かないのだけれど。
「ねえねえ」
「何でしょう」
 文はベッドに隣接した豪奢な椅子に腰掛け、現在のフランドールの姿を事細かに描き続けている。以前に取材した時となんら変わったところはないが、それでも手持ち無沙汰になるよりはよほとましだ。
 一旦筆を置き、フランドールの質問に備える。
「この世の中じゃ、サイズが70くらいでも巨乳と認知されるものなのかしらん」
 自身の胸をぐりぐりとこねくり回しながら――その膨らみは非常に微々たるものだから、ただマッサージをしているようにしか見えないのだが――、フランドールは文に尋ねる。
「断定は出来ませんが、単に、妄想の産物かもしれないですし」
「ほうほう」
「あなたが、実はそうであってほしいという願望ですね」
「妹、姉を超える! みたいな?」
「まぁ、おそらく」
 天井高く腕を突き上げるフランドールにも、文は丁寧に受け答えする。ふうん、へえー、と感心しているのか虚仮にしているのか判然としない呟きが漏れて、フランドールはベッドに置いた狐のぬいぐるみを掻き抱いた。
「時に、射命丸のひと」
「射命丸ですが、何か」
「へんななまえー」
 ちょっとかちんときた。
「そういうこと言うと、あなたのすっぽんぽんの写真ばらまきますよ?」
「取り分は九・一ね」
 売れると踏んでいるらしい。
 確かに、幼女で巨乳と信じているものたちならば高値で取引できるだろうが、やな世界だ。
「まー、冗談よ。半分は冗談じゃないんだけど、四捨五入でも半分の五は十の位にもってかれるから多分冗談のほう」
「四捨五入だと、零も含まれますよ」
「じゃあなんでサイコロに零はないのだろう」
「そうすると零の面が何も書かれていない面になりますから、落丁と間違われるのかも」
「過保護だねえ」
「あなたほどじゃありませんよ」
 ある程度の含みをもって、文はフランドールに告げる。
 文の口調に一片の鋭さを垣間見たフランドールは、吸血鬼らしく唇の端をくくと歪ませ、抱えたぬいぐるみの首を脇の下で絞める。
 乱暴にも見えるが、すぐ破壊しないところを見ると彼女なりに手加減しているらしい。これもひとつの愛情表現である。多分。
「つかぬことをお聞きするけど」
「どうぞ」
「天狗の世界じゃ、軟禁を過保護って言うの?」
 フランドールは、胡坐を掻いたまま可笑しそうに笑う。
 己が立たされている状況を皮肉に変える術など、彼女はとうの昔に学んでいる。綻んでいても五百年だ。与えられたものを壊すばかりが能ではなく、闇雲に狂った自分を演じ続けるほど律儀な道化でもない。
 身に余る危険な能力が彼女を紅魔館に押し込めている理由のひとつではあるにせよ、その気になれば、彼女は簡単に此処を飛び越えていける。だが、彼女はこの状況を甘んじて受け入れている。
 姉の顔を立てるような献身も、幻想郷を危険に晒さないようにという配慮もなく、ただ、外に出なければならない理由がどうしても見当たらなかっただけのことだ。
 だから、その理由が見付かるまで、彼女はこの部屋でぼーっと過ごしているのだろう。
 飽きるまで、飽きてさえも。
「――えぇ、過保護ですね。可愛い子には旅をさせよ、手のひらに浮かんでいる目を見つめているだけなら、視野が極端に狭くなってしまうのは自明の理です」
「言うねえ」
 大して臆することもなく、抱き抱えたぬいぐるみの鼻を摘まみながらフランドールは告げる。どちらにも非はないのだから、当たり前のことなのだけど。
 彼女はしばし右の手のひらを開いたり閉じたりしていたが、文が半ば真剣な目で自分を見ていることに気付くと、挑発気味にその手のひらを文に突き付けた。
「書いてないよ、何も」
「案外、綺麗な手のひらですね」
「お嬢様ですから」
「箱入り娘であることには、変わりないのでしょうが……」
 思うところが顔に出て、察したフランドールが先手を取る。
「いいんだよ、別に。私は今んとこ好きでここにいるんだし、外に出たところで太陽は痛いし雨は降るしね……そだ、あなた天狗なんだから風でも吹かせてなんとかしてよ」
「太陽風は吹き飛ばせませんよ」
「……え、ほんとに?」
 文がこくりと頷くと、フランドールは見るからに落胆した様子で手持ちのぬいぐるみをジャーマンスープレックス気味に叩き付けた。技を決めた当人もまた、仰向けのままベッドに転がる。
 意外に頑丈なぬいぐるみである。
「残念ながら、私の中の妖怪ランキングにおきまして天狗がトップ3から陥落しましたー」
「一位は、吸血鬼なんですね」
「うんにゃ」
 寝転んだままふるふると首を振り、年甲斐もなく足をばたつかせながらフランドールは言う。
「どっちかというと、私かなぁ」
 実に、彼女らしい台詞だった。
 彼女はハンドスプリングの要領でひょいと起き上がると、何やら微笑ましい表情をたたえている文に訂正を申し出た。
「いや、戦ったことないからわからないけど。いろんなのに。実際、あんまり本気で戦ってもいけないことになってるらしいからねえ。いやはや、何とも棲みにくい時代になったものです」
「あなたたちにとってはそうかもしれませんが、こちらにとっては、むしろ歓迎すべきことですよ。誰も、棲む場所を壊されたくありませんから」
 文は、フランドールの右手を見る。
 フランドールは、悩ましげに腕を組む。
「……むうん。百歩譲って、へんななまえの射命丸の言う通りでも、ちょっと納得いかないものが」
「私もそこを蒸し返されるとは思いませんでした」
「やっぱりへんだよねえ、名前」
「変じゃありません」
「そりゃあ、ヤマザナドゥや優曇華院の方がよっぽどだろうけど」
 それは言わない約束である。
 口ごもる文の代わりに、フランドールが話を先に進める。
「ただまー、好き勝手に暴れられないってのが気に入らないだけなんだけどさ。私は。だから、難しいことはないよ」
 言って、右の手のひらに焔の剣を作り上げる。
 ――熱い。
 全てを握り潰す右手は、この瞬間から全てを焼き尽くす刃と化した。彼女は、災厄の杖と名指される炎を肩に抱いているだけだ。必ずしも、文に危害を加えようとしているのではない。くすくすと、冗談めかして笑っていたとしても。
 威嚇か挑発か、あるいは何らかの試験なのか。
 意図を汲み取るだけ無駄かもしれないけれど、文は、彼女の言葉を待った。
 時間は、数分とかからなかったに違いない。
「ふうん」
 炎は解かず、感心したように呟いて、フランドールは意地悪く目を細めた。
 ぞくっとする。
 単純なおぞましさと、外見にそぐわない厭らしさのために。
「単なる破壊魔だと思われるのも癪だから、今は戦わない。まー、戦う理由が出来たら別だけど」
 ふっ、と蝋燭の火を吹き消す容易さで、レーヴァテインは呆気なく掻き消える。文はいつの間にかだらだらと掻いていた額の汗を拭い、拭い取った汗のぬめりを憂う。
 その様子を眺めていたフランドールが、きゃっきゃと愉快に笑う。年齢相応、と呼ぶには老獪さを感じてやまないけれど。
「疲れる? 私と話してると」
 文は、正直に答えた。
「はい……正直」
 フランドールは、嬉しそうだった。
「稀代の新聞記者が、随分と弱気なものね」
「あなたが特別だということですよ」
「取り分は九・一ね」
 特別料金。
「それは、紅魔館の主から搾取します」
 どうぞー、と遥か天井の向こう側を仰ぎながら、呑気に告げる。
 本来ならば依頼主であるフランドール本人から搾取すべきなのだが、彼女にそれ相応の金銭感覚が備わっているかどうか定かでない以上、監督者にあたる者から何らかの報酬を頂かなければならない。
 とはいえ、紅魔館の当主たるレミリア・スカーレットの金銭感覚に期待することそのものが無謀であるとも言えるのだが、そこはメイド長の手腕に期待したい。
「さぁて」
 のっそり起き上がったフランドールは、胡坐を掻いた自分の足首を握り締め、面白い答えを希望するかのように意味深な口調で文に尋ねた。
「此度の謁見を経て、あなたの中のフランドール・スカーレットはどう変化したのかしら」
 身体を前後に揺らし、じっとしていられない子どものように忙しなく、彼女は待つ。
 多かれ少なかれ、暇潰しの意味で文を呼んだことは確かだろう。
 だがそれ以上に、フランドール・スカーレットと相対した者がどう反応するか、そして印象がどう変化するかを彼女は楽しみにしている。彼女の興味深げな眼差しを見るにつけ、文は徐々に確信の色を濃くしていた。
 何度か彼女と遭遇し、一度は正式に取材も敢行したものの、彼女の人となりを把握するにはただ一度きりの会合では時間が足りない。五百年かかって、ようやく朧気に何かが見え隠れする程度の人格なのだ。フランドール・スカーレットは。
 だとすれば、彼女が吸血鬼であって良かったとさえ思う。
 でなければ、彼女は誰にも理解されないまま滅びていただろうから。
 ……でも、結局は。
「いえ、特には」
 正直に、感ずるままの答えを口にした。
 対するフランドールは、にやりと口元を綻ばせ。
「この、正直者めー」
 華奢な腕を懸命に伸ばし、空を切るような浅い勢いで文にデコピンをお見舞いした。
 ぱちん、と弾けた音が文の額から心臓の奥に澄み渡り、一瞬の後に痛みとして自覚する。きょとん、と目を丸くしているのは文ばかりで、フランドールは相も変わらず含みがあるのかないのかはっきりしない笑みを浮かべているだけだ。
 だから、結局。
 彼女は、他人に理解されようがされまいが、どちらでも構わないのだろう。
 あるがままの自身を晒し、その姿を見た誰かの反応を楽しむだけで、おそらくは満足なのだ。
 そうでなくても、数百年は生きて行けるだけの太い神経は持ち合わせていそうだけれど。
「レポート、面白かったよ」
 傍らに投げていた書類をぺしぺし叩きながら、文に気の抜けた賞賛を送る。若干、唐突なデコピンに呆けていた文も、褒められていることがわかると座ったまま丁寧にお辞儀をする。
「はぁ、ありがとうございます」
「また、気が向いたらこんなの書いてよ。暇だし。それにあなた、新聞記者の才能あるよ。私が保証する」
 堂々と、自信満々に胸を張って宣言するフランドール。だが、文が記者であることを知っている以上、これは明らかな皮肉である。けれども、その態度があまりに堂に入りすぎているから、彼女はもしや射命丸文が新聞記者であることを失念しているのではと思えたのだ。三歩歩けば全てを忘れる鶏じゃないけれど、うっかりど忘れした可能性も否定できない。
 憎めない、食えない、様々な形容の仕方があるけれど、文はあえてこの言葉を選んだ。
「……まぁ、才能が無くても新聞記者になれるという、前向きな意味に取っておきます」
「そうそう。いつか夢は叶うってー」
 明後日の方向に慰めの言葉をかけるフランドール。
 ばしばしと肩を叩かれながら、文は営業用と素の笑みを半々に混ぜたような笑みを浮かべて。
「それにしても」
「うん」
 ――あなたは、本当に面白い方ですね。

 

 

 立ち止まり、天に大きく両腕を突き上げるのは、憎らしいくらい晴れ晴れとした青空の下に佇む者が一度は行う所業だろう、と文は考える。
 うぅん、と気の抜け切った声を漏らし、目尻に浮かんだ涙の雫は決して悲しみや喜びによる衝動ではなく、単なる生理的な反動であった。フランドールから解放された喜び、と言葉にするのは簡単だが、拘束されていたわけでもなく、むしろみずから飛び込んだ火の中であるから多少の混沌は覚悟していた。
 想像通りでもあり、想像以上でもあった。
「んぅ……」
 腰に手を当て、五体満足で再び天を仰げることを感謝すべきかどうか悩んでいると、門番の女性が心配そうに声を掛けてきた。
「あの、どうかしましたかー。もしかして、こうして再びお日様の下を歩ける幸福を噛み締めるべきかどうか悩んでました?」
 ご明察、と言いかけて、それほど自分はわかりやすい顔をしているのかと自己嫌悪に陥る。悔しいから己の頬をぐいぐい引っ張っていたら、門番の紅美鈴に笑いながら止められた。
 そんなに笑わなくても。
 だが、あまりにも楽しそうに笑うものだから、不意にフランドールの無邪気な笑顔が脳裏を掠め、何も言えなくなった。
「いやいや、フランドール様の部屋から帰って来た方は大抵あなたのような顔をするんで、今回もそうかなーと思っただけですよ」
 深読みしないでくださいな、と手のひらを合わせる。中華風な服装も相まって、拳法然とした優雅さが窺えた。
 ふと空を見上げれば、待たせていた鴉が悠然と雲の間を舞っている。と思ったら、別の鴉の尻を追いかけているようにも見える。鴉出身の文だからわかるが、あれは本気だ。指笛でも吹いて召還したろうかとも思ったが、女の方もまんさらじゃなさそうだから放置することにした。
「呑気なものですねぇ、鴉は」
「……いえ、私も鴉なんですけど」
 傍らの気配に目をやれば、いつの間にやら赤髪の門番が呑気に空を見上げている。日差しを遮るために手のひらを空にかざし、鴉の鳴き声に耳を傾けながら、美鈴は文に語りかける。
「フランドール様、如何でした?」
「噂に違わず、と言ったところです。取材にも力が入りますね、大抵は空回りに終わるのですけど」
 はは、と美鈴が笑う。美鈴にも、思うところが少なからずあるらしい。
「透明な柳、と個人的には思ってるんですよ。フランドール様のことは」
「それは、言い得て妙ですね」
「如何なる干渉も受け流し、それでいて相手から見えないところで話を続ける……自分は見えているのに、相手は自分を認識してくれない。でも、それを何とも思っていない。苦にするだけの理由もありませんから、当然のことなのかもしれませんが」
 いやはや、と肩を竦める。
 紅魔館から一歩外に出れば、そこは森に囲まれた湖という緑に溢れた空間である。息を吸えば何らかの獣の匂いが鼻筋を掠め、耳を澄ませば波の音や獣の鳴き声が脳に反響する。
 あまりにも生命に満ち満ちた世界の只中にあって、文は原色に彩られた紅魔館を振り仰ぐ。今は開かれた門の向こうに、危なっかしい吸血鬼が眠りに就いている。
 文の目線を辿るうちに、美鈴もまた紅魔館の壁をぼんやりと眺めていた。腰に当てた手は、腹の底からため息を搾り出すためのポンプかと思えるくらい、多くの呼気を含んだ吐息が美鈴の口からこぼれ落ちる。
 だが、その表情には一片の憂いもない。
「時に、射命丸さん」
「あ、いえ、文で構いませんが」
「んじゃあ、お言葉に甘えて。文さん」
 言い回しがフランドールに似ているな、と文は思った。
 もしかしたら、彼女は門番と話すこともあるのかもしれない。
 入口と出口にあたるこの場所は、おそらく彼女にとって最も身近な場所だろうから。
「気が向いたら、またフランドール様に付き合ってあげてください」
 ――でないと、私がまた付き合わされる羽目になりますから。
 なんてことを付け足して、美鈴は屈託の無い笑みを浮かべた。
 いろいろと、敵わない女性である。
 自然に、顔が綻んだ。
「はい。気が向いたら」
 確証のない約束を交わして、文は青と白の斑な空を見上げる。
 鴉が鴉を追い掛け回し、果たしてどちらが自身のしもべだったろうかと思いを巡らす。
 彼女は、文が最後に告げた言葉を覚えているだろうか。
 三歩進んで二歩下がる、そうすれば、少しだけ昔のことも思い出せるかもしれない。顔を覚えてもらえるのは嬉しいことだが、彼女に限れば、いつでも初対面の方が面白い付き合いが出来るのかもなあと思いもするのだった。
 暇潰しのために招待され、厄介な彼女を鎮めるための人柱となる。そんな役割にも役得があると考えられるのだから、しばらく文の訪問は続きそうであった。
「うぅん……」
「良い天気ですねえ……」
 二人、並んで伸びをする。
 原色の世界に、鴉の鳴き声が響き渡る。
 あたかもそれは吸血鬼の寝息のように、深く、鋭く、適度に愉快な響きをもって真っ青な空に舞い上がっていった。

 

 

 



SS
Index

2007年1月14日 藤村流

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