(有)求聞史紀・稗田阿求部社会福祉課
早速ですが、幻想郷縁起が完成しません。
なんてことでしょう。
神の意志が働きかけているとしか思えません……あわわ……あわわ……。
作者なのに完成させることが出来ないとは。とは。
もはや、人ならざるものの大いなる意志によって動かされていると言っても過言ではないでしょう。まずいです一刻も早くお祓いとかされるべきですね。じゃないと産まれる子どもの背が小さくなったり阿礼乙女だったりすること請け合いです。
でもこの近辺でお祓いしてくれるところと言ったら、贔屓目に見ても上白沢の慧音さんか博麗さんちの霊夢さんくらいしか思い付きません。
慧音さんに頼ると「それはお前が怠けているからいかんのだろう気を引き締めて丁寧に綴ることだ」と洒落の通じないまともな突っ込みが入りそうですし、かたや霊夢さんは「印税いくら?」と生々しい話を聞いて来るでしょうし、何だか出歩くのも億劫になるくらいの欝度です。94点です。
まあ書けばいいのですが、まあなかなか書けない。
机にほっぺたを浸して眠るのにも慣れてきました。
締め切りはいつでしょうか。私が生きているうちに書けばいいのでしょうが、次から次へと綴るべき事項が増えて参りますので、絶対存命しているうちに終わんないなというか没後はどうするんでしょうね幻想郷縁起。
あぁ、だから再編なんですね……。
阿礼乙女、巷では可愛いだのちっこいだの格好いいだの小さいだのちみっこいだの言われておりますが、実はこのような大変な身分なのですよ。そのへん分かってらっしゃいますでしょうか。いや別に小さくなる必要はありませんが。というか望んでちっちゃく仕上がってるわけじゃありませんから。
所詮はないものねだりなのです。
……のびろーのびろー。
「阿求や」
お父様です。
障子越しに呼び掛ける声は実に重々しく、私の懸命なる成長祈願を嘲笑うかのような低調ぶりで何だか死にたくなります。
それはともかく。
お父様でもお父さんでも良いのですが、人がいる前ではお父様と呼べと言われていますからとりあえずお父様で。
何でも、そっちの方が可愛いからだそうです。私が。
すみませんバカな親ですみません。
そんな愉快なお父様は、幻想郷縁起の編纂は進んでいるかね、と白々しく尋ねて来ます。
うお、まずいです。
締め切りを何度も破っているものですから、全然全く進んでおりませんあははとか愛想笑いする余裕も受け入れる余地も存在していないという現状です。
いっそ逆上するのも手です。が、唯一の問題は絶対に負けるということです。
で、最後には私を抱き締めて号泣します。
私は痛みで泣いていることでしょう。
変な一族……。
「お父様」
何かね、と重鎮ぽく構えているので、折角なので言ってみました。
「阿礼乙女やめてもいいですか」
表に出ろ、と仰いました。
冗談ですよ。
勘弁してくださいよもうー。ははは。
……殺されるかと思った……。
一回、お父様が素面で御影石叩き割ってるとこ見ちゃいましたからね。死にますって。口からエクトプラズム式稗田阿求とか出てきちゃいますって。
「阿求」
はいはい。
下手に逆らうとのっぴきならない状況に陥るので、ここは黙してお父様の話を聞くことに致します。
お父様は言いました。
「調子が出ないのなら、ひとつ良い薬を処方しよう。どうだい」
もう幻想郷縁起が進んでないの筒抜けでしたけど、お咎めがなかったので万事オーケイとします。結果オーライとも言います。
しかしながら、お父様の善意に答えないとまた何やらよく分からない愛を謡われかねませんし、ここは素直にその薬とやらを頂くことに致しました。
養老の滝でも見付けたのでしょうか。
いずれにしても、わざわざ処方するくらいですから相当なブツに違いありません。心が震えます、いろんな意味で。
私は、お父様の言い付け通りにある和室に待機していました。
廊下は襖に遮られ、隣の部屋は障子に隔てられています。辛気臭い机と古めかしい箪笥、それと何枚かの座布団がある以外は何もない空虚な部屋でありました。
そこに、ぽつんと稗田阿求が座り込んでいるわけです。
お父様が言うには、時が来れば隣の部屋に薬を持った男が現れるから、その男から薬を直接受け取れ――とのことですが、何だか障子開かないんですけどどういう構造になってるのか意味不明です。しかも、ところどころ障子の紙がきれいに抜き取られていて、開け放された覗き窓みたいになってます。
まあしかし、待つしかないわけなのではありますが。
暇です。
超暇です。
待ち時間が長いところまで再現しなくてもいいです。待つ時間があるのなら幻想郷縁起書いてますよ、と言いたいところですが、書こうとしても書けないから困ったものです。
いやなんか気分が乗らなくて……。
げにおそろしきは心の病ですねえ……格好よく言うとモチベーションですが、意味はよく分かりません。
外来語は意味分からなくて当然です。
とまあ、益体もないことをうだうだと愚痴っておりましたら、障子にすっと人影が映り込みました。手渡しでもするのかしら、と呑気なことを考えていますと、彼は障子の前に立ち、何やら衣服を脱ぎ始めました。
脱いでますね。
あー、あっという間に下半身が丸裸に。
しかも、あの、ちょうどよく股間のアレが障子の覗き窓からひょっこり参上したのですけど、あの、何してるんですか。
あろうことか天を仰いでますしね。臨戦態勢です。
真面目に聞いてますよ。
女の子に、その、こういうものを突き出すに足る十分な理由があるのかと問うているのです。いやこういうものってどういうものだとかそういうのはこの際どうでもいい。
言わせたいのか。言わせたいんだな。
よーし……。
言うかばか!
えーとか言わない! つーかこれ引っ込めなさい! 恥じらいもなくぴくぴくしてるじゃないですか! 見られて興奮する性質なんですか、どういう性癖ですかもう……。
何だか相手方は辛抱たまらん様子なのですが、私は状況確認を急ぎます。
薬とは、要するに白くて粘っこいやつのことである。
直接受け取れということは、要するに手なり口なりで飲み込めということなのでしょう。
うん。
襖は開きませんし……。
えぇ……どういう父親なんですか一体……。
和服の裾を端折りながらぺたんと座り込み、ちょうど視線の真正面に君臨する性器の存在にげんなりすること頻りです。どうにもならんのでしょうか。えと、舐めないといけないんでしょうか。
どうしても?
どうしても。
ッて、あなたには聞いてません。
いや泣きたいのはこっちですから……なんで見知らぬ男性のちん――えと、そういうのを咥え込まないといけないんですかぁ……。
惜しいとか言うな!
やだもう。
さめざめと泣きます。まあ振りだけなのですけど。
しばらく泣いてみました。
えーんえーん。
あぶっ。
おちんちんで頬を突かれました。
すべすべしてる、て……褒められるのは嬉しいですけど、とりあえずこれ折ってもいいですか。えいえい。
嫌だったらあほなことしないでください。
……といいますか、掴んじゃいましたねもう。
ぴくぴくしてます。
あ、こら、気持ちよさそうな声を出さないでください。ちょ、そんな腰が動かされると……。
……し、しょうがないですね……。
ここで下手に抵抗すると、何だか勢い余って押し倒された挙句に契約以外のことまでされてしまいそうですし。それは嫌です。
……じゃあ、行きますよ?
ぐっ、と彼のモノに顔を擦り寄り、ちょっと伸びてきた髪の毛をかきあげて、今か今かと発射の瞬間を待ちわびているそれに唇を近付けます。
……ん、汗くさい……。
「はむ、んぅ……」
口の中に、肉感のある棒状のモノが入って来ます。
手のひらは障子に添え、雄々しくそそり立っている――にく、肉棒を飲み込みながら、私は一体何をやってるんだろう、と自己嫌悪に陥りもします。
「じゅく、れる……ちゅく、んむ、んッ」
「あぁ……阿求さんが、おれのちんぽ舐めてる……」
そういうこと言わないでください。恥ずかしくて殺したくなります。
私も、好きでやってるわけじゃないんですから……ほんとですよ!
……あ、先走り液が出て来ました。
カウパーって言うんですよね、私知ってます。
えろくないですよ。当然の知識です。
「ちゅ……んく、にちゅっ」
「阿求さんのくちびる、ぷにぷにして、やわらけー……口の中も、あったかくてきもちいい……」
だから、そういうことは……。
やだ、またおちんぽが膨らんで来ました。どこまで硬く大きくなるんでしょうか、信じられません……。
私は一度男根から唇を離し、名残惜しげに揺れるそれの裏筋を丹念に舐めました。くあぁ、うおぉ、とか障子越しから聞こえてくる名無しさんの声が非常に鬱陶しいですけど、その分早く終わってくれそうなので僥倖です。
こういうのは、早く済ませるに限ります。
お口の中がちんぽくさくなったら困りますし。そういうはしたない娘だと思われるのも心外です。
「はぁ、ぺちゅ……おちんちん、ぴくぴくしてますね……」
根元の部分を軽く擦りつつ、びくびく脈動する血管を舐めていきます。ちょうど鼻の頭に鈴口から噴き出した先走り液が付き、とろっとした液体が上唇に流れ落ちました。
「ふぁ……女の子の前で、がちがちに勃起して……みっともないとは思わないんですか……? んぅ、はぷっ」
我慢の限界を悟り、私は一気にちんぽを飲み込みました。
「ずじゅ……ぶちゅ、んちゅッ!」
肉棒の根元を上下にしごきながら、激しく首を振って彼を追いつめていきます。
「くぅ、うあぁ……! あ、あきゅうさん……だめ、もうすぐ射精る……!」
案の定、彼は即座に限界を訴えてきました。
咥内のおちんぽもこれ以上は無理というくらいに張り詰めていて、唇を往復するたびに凄い臭いが鼻に抜けて行きます。
「んじゅっ、くちゅ、ん、んんッ……!」
「で、射精る! いい、きもちいいよ阿求さん、射精すよ、射精すよ……ッ!」
がたん、と障子が大きく軋み、彼のちんぽが私の喉を深く突きました。
「んぐぅぅ!?」
一瞬、むせ返りそうになってしまった私の口に、たくさんの精液が注ぎ込まれました。
あっという間に、ずびゅ、どぷッ、と猛り切ったちんぽから吐き出された精液は、射精された瞬間から苦々しい雄の臭気を放っていましたから、到底飲み込めるような代物じゃありません。
それでも、こくこくと、眉間に皺を寄せながら精液を飲み下す私はえらい。
えろいじゃなくて。
「んぎゅ……んくぁ、こきゅ……んぐ」
青臭いおちんぽは何度も口の中で跳ね、熱くて濃い白濁液を際限なく放出します。亀頭が口の中で膨らんだり縮んだりして、そこからどろどろした液体が飛び出て来ることを思えば、これがお腹の中に出されなくて本当によかったです。
絶対、あたまがおかしくなってます。
「あきゅうさん……うぉ、舌、舌とかもっと使って……くぉ、そう、そんな感じ……」
要求が多いのも癪なのですが、わざわざそれに従う私も私です。勢いがよすぎるあまり喉の奥に流れて行く白濁液はともあれ、まあ粘っこくて正直戻しそうなんですけど、それでもぺちゃぺちゃと射精終わりのおちんぽを舐め回しているあたり、淫乱な感じがしてちょっとへこみます。
「阿求さんの口、とってもえろかった……小さくて、きゅって締まって、もう最高」
うるさいです。
最後に、萎え気味のおちんぽを根元からぎゅっと絞って精液を吸い出し、もう帰れという意味合いを込めて指で弾きます。
彼は素直に自身のモノを障子の覗き穴から引き抜き、ちゃんと着替えて部屋を後にしたようでした。
私は、口の中にまだ残っている精液の苦みに顔をしかめていました。
良薬口に苦しとはよく言ったものですが、明らかにこれ薬じゃないですからね。飲んだって何にもなりゃしませんよ。男の方が気持ちよくなるだけですよ。そりゃあちょっとは女性ホルモンが活発になってそこはかとなく綺麗になるかもしれませんけど、それくらいなら普通に恋したり化粧したりした方がよっぽど健全だと思います。
しかし、苦いですねえ……。
喉にしつこく引っ掛かっているような気がします。うぅん、ぅう!
うがいがしたいので襖を開けてください。障子でも一向に構わないのですが、もし開けたら下半身剥き出しの欲情し切った男性方十数名がわらわらと私に襲い掛かってきそうです。
口だけでも嫌なのに、輪姦なんて最悪です。この年で妊娠とかしたくないです、どこぞの大奥じゃないんですから。
それにしても、なんで襖も障子もびくともしないんでしょうか……。
さっき、男の方が辛抱たまらなくなった時がこんて言いましたよね。私の力がいくら弱いと言えども、びくともしないというのはエロの力恐るべしと言ったところなのでしょうか……。
やな世界だなあ……。
そんなところに髪の毛の艶やかさくらいしか取り得のない私が放り出されてしまったら、何だか比較的とんでもないことになりそうなのですが。
ほら、髪の毛で、とか……。
……もう切っちゃおうかな……。
と、出来もしないことを考えながら肩に掛かる髪の毛を撫でていると、隣の部屋の襖が開き、また新たな男性がやって来ました。これまた何の脈絡もなく清々しいくらい鮮やかに下穿きを脱ぎ捨て、何を考えていたのか激しく屹立した男性器を障子の空白にずいっと突き入れました。
結果、私は障子からにょきっと生えて来るちんぽを確認することになります。
真っ白な障子に、一本だけ松茸のようなちんぽが雄々しく聳え立っている光景を思うと、そのあまりのシュールさに具合が悪くなってきます。
泣きたい。
二本目、二本目って……。
しかも、今回のは前の方と比べて胴回りも長さも一段階上回っているように感じますし、きっとがちがちに硬くて火傷しそうなくらい熱いに違いありません。
湯気が立っているような錯覚さえ覚えます。
でも、滑稽さの観点から考えれば、下半身丸裸のまま障子に股間を押し付けている男の背中から醸し出される哀愁と来たら、松茸フロム障子といい勝負なのではないでしょうか。
どうでもええわ……。
どうせ、襖も扉も開かないのでしょう。壁を叩いても反転せず、隣の方に問い掛けても終始無言です。
やっぱり、舐めないといけませんかねえ……気が進みませんが……。
くい、とおちんぽを唇の方に向け、先程の方のようにぴくぴくと蠢動するモノをまじまじと見つめます。
つん、と鼻に来る臭いは相変わらず、その中にもどことなく懐かしさを覚えます。どうしてでしょう。
別におちんぽに興味津々ということでもないのですけど、何と言いますか、これ、どこかで見たことがあるような――。
うーん。
うぅーん。
人様のさんぽ掴みながらうんうん唸ってることを冷静に客観視すると死にたくなりますが、いやしかしこれは結構重要事項のような気、が。
……あ。
思い出しました。
稗田阿求、一度見たものは忘れない能力というかそういう厄介な脳味噌の持ち主でありまして。
その私が男性のモノをどこかで見たということは、おのずと状況は限られてきます。そして検索した中で最も目視した頻度が高く、最も身近な存在がその答え。
そう。
これ、お父様のじゃないですか。
死んじゃえばいいんですよ。
とりあえずギリギリと男根がもげるくらい握り締めて、折れるくらい下に曲げると、向こう側から言葉にならない悲鳴が漏れて来ました。障子がどたんがたんと揺れ、地団駄を踏む音が聞こえます。
本当に千切れても凄惨な光景が広がるだけですので、嗚咽が聞こえて来た辺りでお仕置きは中断しました。馬鹿なことするからです。というか、本当に洒落にならんことやってるんですけど、このひとはその自覚があるのかないのかどっちなんでしょう。
他所の女の子でも問題ありまくりだというのに、血を分けた娘の口に自身の欲望を吐き出そうなんざ一体全体どこの誰が許してくれるでしょうか。
痛みに萎えた男根が、懲りずにむくむくと起き上がって来ます。
業が深すぎて笑い話にしかなりませんが、なかなか絶望的な場面であります。
今度お父様とすれ違ったら、心臓が破裂しそうです。お父様の。
使い古された男根は、それでもなお元気に天井を仰ぎ、赤黒い幹を晒しています。覚悟を決めた、なんてどの口が言ったんでしょう。私には、実の父のモノを舐める勇気――というか暴挙に及ぶことなど、到底出来そうにありません。
けれども。
「……いいんですか?」
最後通牒を言い渡しても反応はなく、ただ膨れ上がったちんぽがぴくぴくと揺れているだけ。
お父様は、顔が見えないという状況を上手く利用した。
最初でなく二番目に現れたのも、罪悪感と欲望の折衷案だったのでしょう。出来るだけたくさんのちんぽを咥えさせた後に現れた方が効果的だったのかもしれませんが、そこはやはり男の性が勝ったのでしょう。
出来れば、父親スキルの方を効果的に発動して欲しかったのですけど、娘に対する愛が性欲に変化してしまった時点で、堕落の坂を転げ落ちていたのかもしれません。
まあ、娘ですからお母様には似てますし、お母様を愛した以上、私にそういう感情を抱けないと言ったら嘘になるでしょうが……。
「どうなっても、知りませんから……」
私はそのちんぽを優しく包み込み、手のひらに感じる確かな熱に頬を緩めてしまいました。
だから私も、とうの昔に堕ちていたのかもしれません。
こんな形の愛があってもいいんじゃないか、と思い始めていましたから。
顔が見えなければ、お父様かどうか分からない。何も言ってくれないから、明白な回答を求めることも叶わない。
真実は障子の影に消え、禁断の扉を開けなければ自責の念に駆られることもない。黄泉平坂を振り返らなければ、禁を犯すことに罪はない。
唾を飲み込む音が聞こえる。
そして、私たちは合意した。
顔のない交わり、障子に分かたれた近親相姦の契約を。
「んむぅ……」
唇で、硬く滾ったおちんぽを飲み込みます。
お父様の性器、と意識すれば背徳感にあたまがおかしくなりそうでしたから、私は先程と同じようになるだけ早く射精させることだけを意識して性器を責めていきます。
「むちゅ……くちゅ、んん、ぶじゅっ!」
おちんぽ全体に唾液をまぶし、滑りがよくなった状態で首を前後に動かす。その動きに連動して、すぼまった唇がおちんぽの先端から竿の根元まで丁寧に刺激していきます。
ぶるぶると気持ちよさそうに脈動するおちんぽを留めるように、突っ張った皮を引き伸ばすように根元を掴みます。うく、と確かに彼が喘いだのを聞き、意識した訳でもないのに顔が綻びました。
意識しちゃいけないのに、彼が啼くたびに、どうしてもお父様の気持ちよさそうな顔が目に浮かびました。
「くちゅ、じゅるる……んぶ、じゅっ、ちゅぷぅ!」
それと同時に、お父様のおちんぽを口に含んでいることの背徳感が、瞬く間に頭を埋め尽くします。
私、お父様のおちんぽを咥えてるんだ……。
それだけじゃなくて、お父様が気持ちよさそうに唸ってるのを知って、心から嬉しいと思ってる。悦んでる。
おかしいよ。
でも、口の中いっぱいに広がるちんぽの存在が、お父様のそれだと思った瞬間にとても愛しく感じられる。それは事実だ。唇を動かすたび、舌でくびれを舐め、頬の裏の粘膜で亀頭を撫でるたび、快感に喘ぎ、腰を突き出す仕草が可愛くて仕方がないんだ。
どうしようもない。
抗いようもない堕落の快感が、私を押し潰そうとしていました。
けれども私はその衝動に逆らうことも忘れ、お父様が褒めてくれた髪の毛をお父様のちんぽに包みながら、丹念にしごいてあげることに夢中でした。
髪の毛は先走りの液と唾液が絡み付いてぐちゃぐちゃになっていましたが、それがまた何とも言えない快感を伝えていることは、お父様の喘ぎ声からも分かりました。
「お父様、いま、私の髪の毛でこすってるんですよ……お父様が、きれいだって褒めてくれた……ふふ、もうぐちゃぐちゃになってますけど……」
こすり上げるたびにぬちゃぬちゃと音を立て、亀頭と幹のくびれに指の腹が掛かるとまたひとつ喘ぎがこぼれました。障子の向こう側でお父様が仰け反り、おちんぽが私の頬を突きます。
髪の毛でこするなら、こちらの方が都合いいかもしれません。
「やだぁ……お父様のおちんぽ、とっても熱いです……」
私は、右に流した髪の毛と頬の間におちんぽを挟み、おちんぽに頬ずりしながら手のひらを動かします。ぷにぷにと柔らかいほったぺにびくびくと燃え滾るおちんぽが擦り付けられ、間近に感じるおちんぽの脈動に、汗臭くて雄臭いお父様の臭いに、恍惚の吐息を漏らしてしまいました。
きっと、信じられないくらい顔が火照っているに違いありません。
雁首から溢れ出る先走り液は、あっという間に私の髪の毛と頬を濡らします。べちょべちょに塗れた顔とおちんぽの官能的な臭いに身体が震え、今にも射精せんと震えているおちんぽを見、そろそろ解放してあげなければという使命感が芽生えました。
手のひらでしゅっしゅっとおちんぽをしごき、震えながら私を睨んでいる亀頭に小さく口付けを交わして。
「気持ちよかったら、すぐに射精してくださいね……ちゃんと、一適残らず飲み込んで差し上げますから……」
お父様のちんぽを、それと知って深く飲み込みました。
ぱんぱんに張った亀頭が喉の壁に当たり、戻しそうな衝動に駆られる一歩手前でずぞぞッと音を立てながら引き戻します。唇は度重なる往復にふやけていましたが、小さくて締まりのある唇はお父様にも好評のようでした。
「ぐちゅ、ずじゅる、んぶ、んん……ちゅぱ、ちゅぷ……!」
根元に添えた手も小刻みに動かし、口をいっぱいに使ってお父様を追い詰めていきます。喘ぎ声の調子も徐々に上がっていき、間もなく限界が訪れることは明らかでした。
「ずゅ、じゅるる、ぷちゅ……ん、んぅ、んぷぅッ……!」
髪の毛を揺らしながら首を前後に動かし、じゅくじゅくといやらしい水音を立てながら、お父様が果てるのをただただ待ち焦がれていました。
そして終局は唐突に、お父様が腰を強く突き出し、それを留めるように舌を押し付けた時でした。
「あぁ、はぁ……!」
これ以上は堪え切れない、と漏らした悲鳴の果てに。
亀頭が一気に膨れ上がり、喉が完全に塞がれて呼吸を忘れかけた頃。
「んぶぅぅ……ッ!!」
待ちに待ったたくさんの精液が、私の口に発射されたのです。
「んちゅ……ぷぁ、くちゅ……」
どぴゅ、ずびゅるるッ、と濁り切った射精音は一回切りではなく、数回にわたり私の咥内に響き渡りました。
びくんびくんと震えるおちんぽを舌で押さえ付けても、それはお父様の快感を促すだけで何の抑止にもなりませんでした。
射精の勢いは凄まじく、量も濃さも先程の方と比較になりませんでしたから、飲み込むのには苦労しました。
舌に絡み、咥内に溜まっていく父親の精液。
それが喉の奥を伝うたび、背徳による快楽が電流となって脳を蹂躙しました。
きもちいい。
実の娘にちんぽを咥えさせたお父様と同じように、お父様のおちんぼを咥えて、その精子を飲んでいる私もまた、どうしようもなく気持ちがよかったのです。
「こく、ぅん……じゅるぅ、ぷちゅ、んぐ……んくっ」
萎えることを知らないちんぽから残りの精子を吸い出し、約束通り最後の一滴まで余すところなく飲み込みます。小さな手のひらで大きなちんぽをこすり、ちゅるちゅると父親の精液を吸っている光景は、滑稽を通り越して喜劇的ですらありました。
「ちゅぷ……ぷぁ、はぁ、はあ……」
唇から抜き放ったちんぽは、一回の射精にも負けず、年齢による衰えも感じさせないほどに元気でした。やはり射精時よりは柔らかくなっているものの、ぬらぬらとした竿を掴み、軽くこすると瞬く間に元の硬さを取り戻します。
お父様も、障子からおちんぽを抜くことなく、ただ黙して佇んでいました。
だから、私は。
「もっと、もっと……この稗田阿求に、苦いお薬を飲ませてください……」
恍惚とした笑みを浮かべ、すっかり精子臭くなった唇で、そんな言葉を吐き出していました――。
――ぱたん。
私は栞を挟むこともなく神妙に本を閉じ、行灯ひとつの明かりに照らし出されたもう一人の存在に目を向けました。
まあ、いろいろ端折って説明すると私のお父様なのですが。
布団にくるまり、仰向けに眠っている――ように見えますね。しかし、うちの父は瞳を開けたまま眠るというびっくり奥義を体得している色物じゃありませんので、これは起きているという形になります。
はい、お父様注目。
何故貴様がここに……! と言いたげな顔ですが、それはこの日記が全て語ってくれるところだと思います。
はい、お父様の日記ですね。
……ふふ、お顔が青褪めておりますが、体調が優れませんか?
多分、身体が痺れているのは私が配合した痺れ薬だと思いますけど。いやなに、ちょっとした天才の方にご指導を賜ったもので、これといった特殊な味はしなかったでしょう。
ああ、お察しの通り、お母様にもご協力を仰ぎました。
血の気が引いていますが、まだ、死なないでくださいね。
お母様は、お父様の処遇は私に一任すると仰いましたから、私の与り知らぬところで朽ち果てられると困るのですよ。
さて、実の娘に劣情を抱いている、と。
問題は、それが書物として残っていることです。まあそれは焼き捨てるなりお父様に食べてもらうなりすればいいのでしょうが、あくまでお父様の中に留まっていればいい欲望が、紙に著され、私の知るところとなってしまった。
これは問題です。
私、お父様は好きなのですけど、流石にここまでしてあげられるだけの感情は抱いていないのですよ。
困りましたね。
釈明も弁明も必要ありませんが、更生の余地は与えられるべきだとも思います。私のお父様ですから、純粋に私を愛していたと取ることも不可能ではありません。
ですから。
一度目は赦します。
ただ、ちょっと可哀想な目に遭ってもらいます。
今は言いませんよ。言ったら恐怖が半減するじゃないですか。
ふふ、良い顔です。
ですから、二度とそのような想いを口に出すことがないよう、しっかりと教育致しますから。
……ああ、途中でお母様にも手伝ってもらうことになりますが、お父様――いえ、犬に選択の余地はありませんよ?
去勢されなかっただけ、ありがたいと思いなさい。
それに、盛りの付いた犬のくせして、人間みたいな言葉を発するんじゃない。
――ほら、返事は?
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