香霖ぐマイウェイ

―――最初に

 冷静に文章中の表現を頭に思い浮かべながら読んで下さい。




「あーやっと見つかった。ここね、香霖堂とやらは。」

 幻想郷の中にある人間の里と妖怪が住む森の中間、その場所にその店はあった。

「ごめんくださ〜い!」
「ん?おやおや、珍しいお客さんですね。」
「あの〜痛み止めの薬を作るのに必要なケシが欲しいんだけど…」

 ブレザーの上着を着て頭には兎の耳を生やした少女が尋ねる。

「う〜ん…ここ数ヶ月はあまり取れなくてねぇ〜…養殖はしていないのでね。」
「少しならあるんですか?あるだけ頂けないですか?」
「あるにはあるんだけど…お得意さんの魔女が予約中でしてね。
 まあいつ取りに来るかは分からないんだけど。」
「そこを何とか…(狂気の瞳)」

 香霖堂の店主、森近霖之助は上目遣いで懇願する少女に困惑する。

「う…いや…しかしだね…」
「お願いですからぁ。」

 さらに顔を近づけられて哀願にもにた表情を間近で見せ付けられ
遂に観念したのか、魅入られてしまったのか香霖の態度が少しづつ変わる。

「…しょうがありませんね」
「やったぁ!ありがとうございます!」
「ただし!少し僕に付き合ってくれればですがね…ハァハァ」
「うっ…それってまさか…」
「お察しの通りですよ、さあっ!」

 香霖が覆い被さるように少女に襲い掛かる。

「狂気に魅入られすぎたか…人間如きがあんまり舐めないでよね!」

 身の危険を感じた少女は特徴的な形をした弾幕を展開する。
しかし香霖は見切ったように避わす。

「フッ…弾幕薄いよ、何やってるんだい?」
「くそっ弾幕が避けれるってことは…あんたも弾幕使い!?」
「あまり公には見せないがね…一応妖怪と人間のハーフなんでね。」
「じゃあ本気で行くよっ!あんたも撃ってこないと死ぬわよ!」
「フッじゃあお言葉に甘えて反撃と行こうか!フォォォ!クロスアウッ!」

 そう言うと香霖は突然服を全て脱ぎだした。
全裸になり両手を頭の後ろに置き、何故か網タイツを履いている。

「わっちょっと何やってんの変態!」
「さあ味わいたまえ…私の弾幕を!」

 香霖は仁王立ちのまま股間にそびえ立つ物から白い、
オタマジャクシの形をした無数の弾を放つ。

「ひぃっ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!」
「ん?どうしたんだね?さあ弾幕ごっこをしようじゃないか?ホラホラ!」
「イヤぁ!近づかないで!」
「近づかないとショットが当たらないだろう?ほ〜らほ〜ら」

 両手を頭の後ろに置いたまま腰を前後左右に動かしジリジリと近寄ってくる。
白い弾を飛ばしながらくる異様な光景に少女は後ずさりする。

「イヤ!来ないで!来ないでぇ!!!」
「ほぉら追いついた…」ピタッ!
「いぃやぁぁぁーーーーーーー!!!!!!」

 顔に香霖の股間が張り付いた途端、少女は断末魔のような
悲鳴をあげ、そのまま気を失った。

「…もう失神してしまったか…暴れたりないなぁフォオオオッ!」

 その現場の数百メートル先で悲鳴を聞いた者二人ほどがいた。

「今の声は何?香霖堂の方から聞こえたけど…確かめなきゃ!」
「こんなところで女の子の悲鳴…これは事件の匂い!スクープスクープ!」

 あっと言う間に二人は香霖堂で鉢合わせる。

「あら新聞屋さんじゃない、あなたも悲鳴を聞いてきたの?」
「あっ霊夢さんでしたね、ちょっと事件の匂いがしたものですから。」
「じゃあ何がおきたのか確かめてみましょう!」

バタンッ

「霖之助さん!今の悲鳴はなに!って…な、な…なんて格好を…!」
「おや霊夢、なあにちょっと弾幕ごっこをね。」
「香霖堂さん、その格好で言われても…そもそも弾幕使えたんですか!?」
「ああ…まだスペルも使ってないのに失神されちゃってね…続きに付き合ってくれるかな?」
「(霖之助さん目に赤みがかかってるわ…狂気じみてる)…そこの新聞屋さんが相手するわ」
「えっ?ちょっと霊夢さん!私はまだなにも…」
「そうか、君が次の相手か…フォォォォォ!」

 掛け声とともに再び白い弾幕を飛ばしてくる。

「うわっなんですかこれはっ!」
「流石幻想郷イチの俊足…よく避ける…しかしそれでは近づけないよ…掠って近づかなければフォォ!」
「近づきたくないしカスリたくもないですよ!霊夢さんタッチ!交代を…あれっ!?」
「私用事思い出したから帰るわ!頑張ってね!」
「そっそんなぁ!って逃げてるのに近づかないで下さいっ!」

 さっさと逃げる霊夢を追いかけようとするがその間にも腰を揺らしながら香霖がにじみ寄る。

「被写体に近づかなければベストショットは取れないだろう?もっと近づきたまえホラホラァ!」
「うわぁ弾がっ!」カシャッ!
「やりますね…私の弾幕を消すとは…では私のスペルをお見舞いしよう!フォオオオオ!」
「いやぁ!フィルムが中々まけない!」
「では行くぞ!恐符『プリンス香霖-Illusion-』」

 広い間隔で白い弾を飛ばした瞬間、香霖は文の目の前に瞬間移動し新たな白い弾幕を飛ばす。
その間も異様な腰の動きは変わらない、いや激しさを増すばかりだ。

「いやぁっ!来ないでっ!」
「ハッハッハ、シャッターチャンスじゃないか!ほぉらイリュージョン!イリュージョン!」
「いやっ!いやぁぁぁぁぁ!!!」

 眼前に迫る「恐符」に必死の形相で逃げ惑う文。
一分ほど経っただろうか、文には何時間にも感じられたが…

「むう、よく逃げ切ったな…スペルの時間切れのようだ…ふんっ!」

 掛け声と同時に香霖は姿を消した。

「た…助かったの…?はぁ…」

 疲れきったのか文はその場にもたれかかる。
しかしもたれかかった耳と頬の間に違和感があった。

「ふぅ………あれ?なんか生暖かい感触が…」
「それは私のお稲荷さんだ」
「きぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 文がもたれた顔の近くには香霖の下半身が密着していた。
悲鳴をあげて逃げようとするが網タイツで身体を拘束された。

「いやっかっ身体がっ!…そうだ!」カシャッ!
「あっあれっ?」

 カメラを撮るが網タイツは弾ではない、当然消すことなどできなかった。

「タイツは消えないのっ!?それにアイツはどこへ!?」
「フハハハ、ここだよ!文君、とっておきのスペルを喰らいたまえ、漢触『地獄のタイトロープ』!」
「いやぁ!許してぇ!」

 天井からブリッジの態勢のまま文の顔目掛けて香霖の股間がゆっくり降ってくる。
じわじわと迫ってくる一つの棒と袋が腰の微妙な動きでゆらゆらと視界を揺さぶる。

「だめぇ!来ないで!来ないでぇ!」
「そうか、では少し離れよう。」

 香霖は眼前まで迫ると少し後ろに戻った、と思ったのもつかの間
再び文にじわじわと股間を近づける。

「ま、またぁ!やめてぇ!」
「そうかじゃあ戻ろう。」

 同じやり取りのくり返しで数十分が過ぎた。
恐ろしいヒットアンドウェイに文の精神は限界に達していた。

「いやぁ…もう…一思いにしてぇ!」
「ほほう、じゃあリクエストに応えよう!」

 ピタッむにゅ…ぐりぐりぐり…

「どうだね?私のお稲荷さんは!?そぉれそぉれ…うっ!失礼、弾幕が暴発したようだ。」
「あ…あひゃひゃひゃ…うひぃ…ブクブクブク」

 暴発した白い粘りのある「弾幕」にまみれながら
文の目に焦点は無く薄ら笑いを浮かべ口元からは涎と小さな泡が出ていた。

「成敗っ!」シャキーン!
「…はっ…!?僕は今まで何を…」

 正気に戻ったが…その問いに答えられる者はいなかった…

                             糸冬
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
後書き

天知る地知る霖の汁!
変態と開き直った香霖にかなうものはあまりいない!
味を占めた香霖の次の獲物は…!?

次回の香霖ぐマイウェイは…あいたっ!ごっごめんなさい…


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