花*花〜妖怪と少女〜

名無しの妖怪×女性キャラとなっています。
キツくはありませんが陵辱要素を含むので苦手な方はバックしてください。
また、ネチョシーンも少なめです。それでもいいならGO↓









――時は梅雨

 いつものように繰り返される1年も上半期という節目を迎え、
雨季が始まったかどうかという季節。

 今年は春から日差しが強く、夏の中ごろに咲くはずの向日葵はもう芽を出していた。
そんな向日葵たちが群れを成す土地、太陽の畑はとある妖怪の根城である。
その妖怪が例年より早い花の芽吹きに気分良くしていた頃、一つの異変に気がつく。
人間が侵入していたのだ。

 侵入といっても小さな女の子である、大方迷い込んでやって来たのであろう。
妖怪からすれば人間が迷い込もうがのたれ死のうがどうでもよいのだが
自分の近くで死んだり、居なくなられると博麗神社の巫女に問い詰められたりと後々面倒そうだ。
妖怪は子供を穏便に追い返そうと思いついた。

 この妖怪、外見上は人間と変わらぬ出で立ちである。
しかし、その姿を見ると人間はすくみ上がる。穏やかな表情を浮かべていてもだ。
それを利用し、怖がって逃げてくれればそれでいい。
そう思い、迷子に事情を聞く大人の様にどうしたの?と、その子に話しかけてみる。
しかしこの子供、興奮しているのか聞いているようで聞いていない。

「まだ六月なのにすごい……これ、全部お姉ちゃんが育てたの!?」
「え?あ、あぁ……まぁね」
「うわぁ、すっごーい♪」

 これがこの場所で、この二人が初めて交わした言葉。
一人の人間と一匹の妖怪の出逢いである。


――この子、何で私を怖がらないの?


 妖怪は最初にそう思った。
目の前で無邪気な笑顔を見せる人間の少女に普通なら和むのだろう。
しかし妖怪は疑問と困惑が入り混じった表情だった。


――もしかして……私のこと知らないのかしら?


 次にそう思った。
彼女は幻想郷ではかなり恐れられている、力のある妖怪の一人である。
人間は勿論、魑魅魍魎でさえ恐れをなす一匹の妖怪。
花が好きで花を操る事ができる妖怪、名前は風見幽香。

 しかし恐れられているのは花を操る事ではない、力である。
能力ではなく妖力が並みの妖怪とはケタ違いであり、
幻想郷を束ねていると言っても過言ではない境界を操る神出鬼没の妖怪・八雲紫と
双璧をなす大妖怪である。

「あれ?お姉ちゃんどうしたの?」
「あ……いや、何でも無いわ……」

 あんたみたいな子、珍しいわ……と思ったが口にはしなかった。
いつも不気味な笑顔の幽香は珍しく、この時だけは
げんなりした表情でうな垂れて、指で額を押さえていた。
何故なら、目の前の子供は自分の表面上の顔しか見えてないと思ったから。

 普通の人間ならば彼女の笑顔を見てゾっとするだろう、邪悪というわけではないが
内に秘めた恐ろしさを感じる微笑を常に浮かべている幽香を見て。

 しかしこの人間は違う。
幽香の表情を見て彼女を花好きの優しいお姉さんと思い込んでいる。
そんな無垢な子供を大妖怪である彼女が怖がらせたり、
傷つけたりと危害を加えるような真似ができるはずも無い。
彼女はこの人間を見てそんな事を思っていた。

 子供過ぎて怖がらないのは百歩譲って良しとしよう。
しかし何故この子はここに来たのか?それだけが疑問である。
この幻想郷という所は人間には住みづらい。
人里を離れると途端に妖怪や妖精、幽霊や怨霊が跋扈しているのだ。
場所や時間帯、もしくは運によっては出会わないとはいえこの太陽の畑まで来たのは珍しい。

「ここのお花が一番綺麗なんだって」
「ふーん、まぁ……当然ね」

 話を聞くとどうやらこの子は花屋の娘らしい。
店のお手伝いをしている時に客からこの畑の話を聞いて両親に内緒で来たとの事だった。

「あたしの名前は冴月麟、お姉ちゃんは?」
「幽香……風見幽香よ」
「へぇ……じゃあこれからはお姉ちゃんって呼ぶね!」
「変わってないじゃない……別にいいけど」

 幽香は少し良い気分だった。
この子は何の能力も持たない人間だが、花や自然が物凄く好きなのだろう。
自力でここまで歩いてきたという事だけでそれは言わなくても分かる。
そして自分が管理し、手入れしている向日葵の群れを見て感激してくれた。
それだけで気分がよかった。

 しかし……さてどうしたものか、と幽香は考えた。この子の処置である。
幻想郷で誰も知る者がいない者、即ち外の世界から来た人間ならば
その身を引き裂き、肉を喰らい、血を畑の養分にしても何も問題はない。
その人間を知る者がこの地に居ないから。
両親や知人友人、生まれ育った世界を捨てて来ているから。
実際にこの地へ迷い込んだ外の世界の人間の九割は妖怪の餌になっている。

 しかしこの子は幻想郷で生まれ育った人間である。
この子を知る者が居る、育てた者が居る。存在が消えると思い出だけが残る。
いつまでもいつまでも、追憶が心を縛るのだ。
彼女ほど長生きをしている妖怪なら人間以上にその精神的苦痛の辛さは分かっている。
自分を恐れず普通に接して、花を愛しているという共通点まである。そんな人間を……

 ここまでで幽香は難しく考えるのをやめた。笑顔でいられなくなるから。
もっと単純に、そう……この子に危害があると巫女が煩いから
安全な場所まで送ってあげようという結論に達した。

「里まで送るわ、暗くなったら危ないし」
「なんで?……お姉ちゃん、怒ってるの?」
「あのね……家からここまで来る時、何もなかった?誰にも会わなかった?」
「うん、里を出てからは誰とも会ってないよ?」
「暗くなるとここらは妖怪だらけになるわよ、早く帰りましょう」
「うん……綺麗な向日葵も見れたし……分かった、帰る」
「送ってあげるから。また明日、お昼にでも来なさい」
「うん!」

 自分は何を言っているのだろう、と幽香は口走ってから後悔した。
穏便に追い返したかったのにまた来いと言ってしまった。
人間としての汚さ、愚かさのない少女の無垢な笑顔に癒されてしまったのだろう。
今まで彼女と目が合った人間は恐れをなして逃げるか英雄気取りで戦いを挑むかのどちらかだったから。

 帰り道に手を繋ぎながら、自分にも他人にも素直で屈託のないこの少女を見て……
与えられたものを体全体で吸収し、雨風等の環境に惑わされても太陽に向いて咲く花のようだと思った。
しかし心の中では分からなかった、本能的なモノだから。
幼き、か弱い純真を愛でて……護ってやりたいという気持ちは。

 そんな事を感じながら二人は歩き、色々な花の話などをしながら……人里へ辿り着いた――


「あれ?今日はお店じゃな……ひっ!」

 人里で、二人に出会った人間の第一声である。
花屋の娘のことは知っていようとも幽香の事は知らない。しかし知らなくても分かる。
幽香の目を見た途端、人間は挙動不審になり会話も早々に逃げ出すように去って行った。
幽香にとってはよくある事なので何とも思わないが娘は変だと思ったらしい。

「変なの……お姉ちゃん、今の知ってる人?」
「さぁね……知らないわ、どうでもいいけど……もう私は帰るわ、ってちょっ!」
「なんで帰るのー?もっと居ようよ」

 幽香はこれでお役御免だと、帰ろうとしたが
娘は幽香の服の袖を引っ張って話さない。

「なんでって……別にここに居る用事なんかないし」
「私んちお花屋さんだからぁ、見ていってよウチの花ー」
「いやいや、何で見なきゃ……」
「お姉ちゃんは向日葵見せてくれたんだから私もウチのお花見せるのー」

 もしかしてなつかれてしまったのか。
あまりに突然の出来事に戸惑っていると、ちょうどこの流れを止める人物がやって来た。

「あ、慧音お姉ちゃんだー♪」
「おや、麟じゃないか。宿題は……麟、そいつから離れろ」
「あら怖いわねぇ、歴史家さん」
「風見幽香か、貴様……里へ何をしに来た?」

 幽香を見た途端に慧音の目の色が変わった、戦闘体制に入った。
その目を嘲笑うかの様に幽香は余裕の表情で応える。
これだ、忘れかけていたがこれが本来の自分と人間の関係なんだ……と幽香は思った。
一触即発とは正にこの事である。が、しかし……

 「 や め て ! 」

 慧音と幽香の間に麟が割って入った。
小さな体を精一杯伸ばし二人を止めようとしている。
その姿を見て幽香は肩の力が抜け、またその幽香を確認して慧音も戦闘態勢を解いた。

「ケンカしないで……二人ともホントは優しいのに」
「喧嘩なんてしないわよぉ、こいつが野蛮なだけよ」
「ふざけるな、大体お前が何故……」
「だからやめて!」
「うっ……す、済まない」

 慧音は突っかかろうとしたが再び麟に制止される。
幽香も挑発こそするが麟を気にしてか、戦おうとはしない。

「お前はこの子に何を」
「迷子だったからここまで送り届けただけよ……ね、麟ちゃん」
「うん、お花の話と綺麗な向日葵ありがとう。お姉ちゃん」
「はぁ?お前が迷子を?ば、馬鹿な……だってお前は」
「それ以上は言わないで、この子は何も知らない」
「え……あ、あぁ……済まない」

 こいつは性質が悪い妖怪だ、と言おうとしたところを幽香に止められる。
幽香なりの優しさである。幽香自身は何を暴露されようが困らないがこの子は違う。
今まで一緒に居た“お姉ちゃん”が大妖怪だと知ってパニックになったりする可能性がある。
そして騒ぐ事で人里全体が恐怖に陥る事も有り得る。
だからこそ余計な口は噤ませたのだ。

「……じゃあ、私は帰るわ。怖いお姉さんが居るし♪バイバイ、麟ちゃん」
「うん、ばいばい」

 そして幽香は太陽の畑へ帰っていった。
二人は幽香の姿が見えなくなるまで見送った。

「しかし何もなかったから良かった物の……麟、勝手に里から出ては駄目だぞ」
「ごめんなさい、でも……最初から知ってたのになぁ、幽香お姉ちゃんの事」
「……っ!?」
「幽香お姉ちゃんは優しいお姉ちゃんだって……慧音お姉ちゃん酷いよ、あんな言い方するなんて」
「ホッ……あ、あぁ……ごめんごめん」

 一瞬、正体がバレていたのかと思った慧音はビクっとしたが
麟の見解を最後まで聞いてホッとしたのか肩の力が抜けた。

――そして次の日


「えぇっと、この道をこう抜けて……あった!」

 麟はまた人里を抜け出していた。
先日幽香が言った様に、今度は明るいうちから太陽の畑に来たのだ。
明るいうちから来れば好きな花を存分に鑑賞できる。

「うわぁ……やっぱりここの向日葵は綺麗だなぁ……あれ?そういえばお姉ちゃん居ないなぁ……」

 ひとしきり花に感激した後、麟は幽香が居ないことに気づき、幽香を探し始める。
幽香は妖怪だとて畑で野宿している訳ではない、棲家は別にある。
子供ゆえそれが分かっていない麟は花を押しのけ畑中を探し回った。

「ふぅ……お姉ちゃん居ない、どこかお出かけしてるのかな……あっ」

 幽香が見つからず、探すのに疲れて腰を落とした麟は近くに誰かが居ることに気がついた。
向日葵が大きいため、姿こそ見えないがガサガサと花を押し倒し、
茎を踏みつけ麟に近づいて来る者がいた。

「あ、お姉ちゃ……違うッ!」

 幽香と思い声を掛けようとしたが麟はすぐさま後ろを向き逃げ出した。
何故なら、幽香なら花を傷つけたり折ったりはしない。
即ち妖怪……そこまで一瞬で考えた訳ではないだろうが本能で気づいた。
しかし子供の足である、すぐに首根っこを捕まえられ掴み上げられた。

「なんだ、人間の餓鬼か……」
「いやいや、中々美味そうじゃないの……変な金属や装飾品も付けてないし」
「田舎はいいよなぁ、都会なんて俺達は忘れられて存在する事自体が難しいし」
「ひっ……う、うぅ……」

 麟は片手で顔を持ち上げられて喋れないが妖怪の姿は確認できた。
妖怪の数は三人、いや三匹というのだろうか。
手も足も二本ずつと、人型ではあるが人間とは似ても似つかぬ異形のいでたち。
例えるなら……麟は知らないだろうが外の世界の特撮ヒーロー番組に出てくる怪人の様な姿である。

「いやーしかし新鮮そうだな、そもそも人間食えるなんて何年ぶりかなぁ?」
「21年ぶりくらいじゃね?俺は肝と腿肉とっぴ♪」
「あーきったねー!じゃあ俺、小腸じゅるじゅる吸っちゃうかんな!心臓は後で塩胡椒で美味しく頂くぜ!」
「お前らは脳みその美味さを知らんのか、右脳の甘みと左脳の苦味のハーモニーが堪らんのに」

 会話だけ見れば若者が焼肉でもしているかのように聞こえる。
しかし内容は麟からすればおぞましい以外の何ものでもない。
殺すか否か、食べるか否かの算段ではなく、何処をどう食べるかで言い合っているのだから……

「んー、ぷぁっ!助けてっ!誰k」
「おっと黙らっしゃい」
「ちゃんと押さえつけとけよ、いや俺たち妖怪から助けに来る奴なんていないと思うけど」
「まぁ騒げば騒ぐほど踊り食いしたくなるが……食事は静かに頂くもんだ」
「ねぇ、人の庭で何しようとしてくれてやがるの貴方達?」
「ん、誰だ?」

 麟が騒いだ甲斐はあったようだ。
いよいよ食べられるか、という時に幽香が現れた。
まるで変身したアメリカン・コミックヒーローのようにジャジャーンと登場した。

「ここは私の庭よ、食事なら他所で……って麟ちゃん!?」
「お姉ちゃん、幽香お姉ちゃん助けて!」
「ちょ、何で今日も来てるのよ!?」
「だ、だって昨日……」
「あ、あぁ……そういえばまた来いって言ったっけ……」
「オウオウオウ、俺達イケメン妖怪トリオを無視して会話するたぁどういう了見でい!?」
「誰がイケメンよ妖獣ゲルゲ!」
「ほほう、言ったなこの……えぇと、あれ?この姉ちゃん美人過ぎて罵倒できねぇ」
「お前はもう喋るな……馬鹿野郎」

 おかしい、悪さをしようとしている妖怪をヒーローが戒めに来たシチュエーションなのに漫才になっている。
全ては空気を読まない一匹の馬鹿のせいで流れが乱れてしまったようだ。

「おい、話を元に戻していいか?」
「えぇ、そうしてくれると助かるわ」
「俺たちはこの土地に来たばかりで良く分からん所に美味そうな人間が居たんで食おうと思っただけだ」
「ああ、つまり幻想郷の生まれじゃないのね貴方達」
「そういう事だ、さあ食事に戻らせてもらおうか」
「ここは私の庭だって言ったでしょ、好き勝手はさせないわ」
「ほう、じゃあ他の場所に行ってこの子を食おう。それならば文句は無いな?」
「う……それは」

 言葉に詰まった。
昨日、麟と出会う前の幽香なら何も戸惑う事等ない。
人間が何処でどうなろうと知ったことではない、しかし……今は違う。
自分の正体を知らぬとはいえ、対等に話してくれた目の前の人間を見殺しには出来ない。

「幻想郷の外から来た者が幻想郷の人間を喰らう……気に入らないわね」
「それは済まなかった、俺達は騒ぎを起こしたい訳じゃない……同じ妖怪達とは仲良くしたいと思ってるんだ」
「えっ!?……な、何を言っているの?」
「あんたも妖怪だろう?今の口上を聞くに」

 迂闊だった、麟を助ける為とはいえ。
このままでは麟に自分が妖怪だとバレてしまう。

「ち、違うわ……私は妖怪じゃない」

 嘘を吐いた。
冷静に考えれば麟に自分が妖怪だと知られないようにしたのは人里で騒ぎになりたくなかったからである。
今自分が妖怪だと言えば、この場は丸く収まり麟も助かったかも知れない。
それならば何故、今このような嘘を吐いたのか。

 目の前に居る人間を好きになっていたからである。
知られる事で麟に嫌われたくない、会えないようになりたくなかった。

 正体を隠し、麟も助ける。
両方やらなくっちゃあいけないのが幽香の辛いところだった。
覚悟はできている――

「人間なのか?もしそうなら相当腹が据わっているな」
「オウオウオウ、人間風情が俺達妖怪様に楯突こうとはどういう了見d」
「だからお前は喋るな、では幽香と言ったな……どうする気だ?」
「どうする気もこうする気も私はその子を離しなさいと言ってるだけよ」
「そういう訳にはいかん、俺達はもう何十年も人間を食ってないんだ……それともお前が餌になるか?」
「うっ……」
「ほら、食われたくはないんだろう。だったらお前が去れ」
「く、食われてやるわよ……だからその子を離しなさい」
「ば、馬鹿かお前!?」
「いいから早くその子を!」

 一匹の妖怪が麟を離しかけたその時、もう一匹が制止をかける。
何か嫌な予感がしたのか、ただ用心深いだけなのか一言断りを入れた。

「お前が確実に食えるようになるまではコイツは離さん」
「な、何でよ……食えと言ってるじゃない」
「実はお前は妖怪で俺達がコイツを離し、見えなくなった所で反撃したり逃げられてはかなわんからな」
「そうだ、怪しいぜ……俺達とここまで対等に話せるってこたぁ、どっかに武器とか持ってそうだぜ」
「くっ……」

 三匹とも馬鹿なら助かったのに……1人の賢い妖怪のおかげで全て崩れ去った。
幽香の作戦は図星であった。
相手は決して雑魚という程ではないが幽香ほどの妖力なら何でもない相手である。
麟をこの場から遠ざけれれば後は瞬時に抹殺できたのに。

「お前が俺達に服従し、食われる準備ができるまではコイツは離さん」
「わ、分かったわよ……」
「ではまず武器などを持っていないか調べよう……衣服を全て脱いでもらおうか」
「……チッ」

 幽香はフワリとチェック柄のベストを脱ぎ捨てると同じくチェックの長いスカートをパサリと降ろし
プチプチとブラウスのボタンを外し、下着だけの姿になった。

「こ、これでいいでしょ?」
「俺は全て脱げと言ったはずだ」
「くっ……」

 妖怪達は下着姿では不満らしい。
幽香は仕方なく、おずおずと少しづつブラジャーの留め金を外し
水気を帯びた豊満な乳房をぷるんとさらけ出し、最後の下着もするりと降ろし
普段は誰にも見せない髪と同じ色の毛が薄く見える秘所が風にさらされた。

「ぜ、全部脱いだわよ……」
「うひょひょひょ、おっぱい!おっぱい!おpp」

――ガン!

「痛てっ!」
「喋るな低脳、こういうのはな……じっくり、舐めるように観察するもんだ」
「そんなに……見ないでよ、もういいでしょ……これなら反撃は出来ないわ」

 幽香の体がビクビクと震える。
恐怖ではない、自分の庭場で余所者に従わされる恥辱。

「いいや、格闘能力が並外れている可能性もある……服従の証を見せてもらおう」
「ど、どういう事よ?」
「お前は俺たちの手に堕ちた、という証だ……まずはその口でだな」

 そこまで言われて幽香は初めて気がついた。
服など元から着ていない三匹の妖怪の股間から硬くそびえる一本の肉棒に。
麟を肩にかついだまま幽香の目の前まで来ると短く、一言だけ呟く様に命令した。

「しゃぶれ」
「もうやめて!お姉ちゃん、そんな汚いモノ……」
「お前が代わりに俺達に食われるならやめてやるぞ?」
「うぅっ……ぐしゅ、んぅ」
「いいわ、麟……私が耐えれば済む話しだから……ぺろ」

 幽香は妖怪のもとに跪き、腰を手で支え足の付け根から生えた赤黒く硬い棒の先端を舌で愛撫した。
不潔な、鼻を突く生臭いにおい。
それでも従わなければならなかった。

「……いいぞ、咥えろ」
「あむ、ん……ちゅ、むっ」
「そうだ、舌を這わせて……もっと先端を吸うんだ」
「んっ、んっ……ちぅぅ」

 幽香は奴隷になったかのように一心不乱に奉仕を続けた。
決して顔を上げないよう、肉棒に集中した。
休んで顔を上げると奴の顔が見える、麟の顔まで見えてしまう。

「ぐ、う……出るぞ、くうっ!」
「あふ、きゃっ!」

 ビュクビュクと尿道から放出された精液が幽香の顔を汚した。
花の香りがする幽香の体が生臭い液体で汚染されていく。
奉仕の疲れからか息を切らし、精液まみれの顔を紅潮させる様は
妖怪たちをなお元気にさせた。

「おいコイツを持ってろ……では幽香、こちらに尻を向けろ」
「なっ、もういいでしょ!まだ……」
「尻を向けるんだ」
「うぅ……わ、分かったわよ」

 幽香は麟が見ている前で四つんばいになり妖怪に尻を向け、ひざを立てた。

「フン、まるで盛りのついた犬だな……触れてもいないのに濡らしてやがる」
「この姉ちゃんよぉ、ガキの見てる前でチンポ咥えて興奮してるんじゃね?」
「うぅ……んっ、ぐす」
「なんだ、目に涙溜めて……泣くほどチンポが待ちきれねえのか、仕方ねぇな」
「あ、おい馬鹿!」
「……ひぐぅっ!」

 麟を持っているよう言いつけられた妖怪はその手を離し幽香の秘所に
そそり立った棒を突き入れた。
手を離したという事は麟は自由になるということ。
しかしそんな事はおかまいなしに妖怪は目の前の肉壺を貪る様に快楽に酔っていた。

「やっ、あんっ!」
「馬鹿野郎、人質が逃げちまったじゃねーか!」
「くっ、ん……大丈夫だよ、こんだけ感じてる状態で反撃できねぇだろ」
「……ま、それもそうだな」

 後ろから挿入した妖怪は幽香を抱き上げ胡坐をかき、背面座位の形で突き上げた。
腰を上下に動かしながらじゅぷじゅぷと淫猥な音を立て両の手で水袋の様な乳房を揉みしだき、
ぷくりと起った乳首を親指と中指でコリコリとしごき上げる。

「あんっ、やだっ、本気でぇ……感じ、ちゃうぅっ!」
「唯の馬鹿かと思ってたら意外にテクニシャンだなお前……うおお、もう我慢できねえっ!」
「あ、おおっと!」
「俺はこっちを使うぜ!」

 情熱的な交尾に我慢しきれなくなったもう一匹の妖怪が幽香の正面からもたれかかり、
二人の結合部の後ろの穴、即ち幽香の菊座にヌルヌルとした触手の様な細く長い男性器を押し当てた。

「やっ、そっちだめぇぇぇっ!」
「うひひひ、コイツのチンポが当たってちょっと気持ち悪いが中の具合は最っ高だぜ!」
「お前ら……俺はまた口か……まぁいい、もう一度咥えてもらおうか」
「あっ、んっ!んぶぅっ!」

 二匹の体温を間近で感じ、両の穴で性器が擦れ合う。
三匹ともに幽香の体に夢中になり、その体に精液をぶちまけることだけを求めている。
麟が逃げ去った今、格好の反撃チャンスなのだが幽香もまた
無理やりとはいえ快楽に溺れさせられ反撃どころではない。
三匹が射精する事に集中しているように、幽香の体も三匹の性器に無意識で奉仕を続けていた。

「いいぞ、肉の壁がうねって……搾り取られそうだっ、くうっ!」
「こっちも……そろそろ催してきたぜ」
「俺もだ、うぐ……今度は飲めよ」
「ん、んぐ、ぷはっ!やらぁ、こんなのにっイカされっ、ああんっ!」

 幽香の意思は三匹から逃げようとするが体は快楽を求め男性器を貪るように腰をくねらせる。
その相乗効果が三匹の射精を早め、また幽香自らも絶頂を迎えた。

「ぬおおー、イクぜイクぜイクぜぇぇぇっ!」
「あ、あぁ出るよ、直腸に全部出るっ!」
「く、出すぞ……全部飲めっ!」
「んぅ、んっんっ、んぶぅぅぅぅぅっ!!!」

 ドクドクと三匹の穢れた液体が胃、膣、直腸へと幽香の体内に取り込まれる。
絶頂を迎えた幽香はその場に倒れこんだ、その時……

「野符『GHQクライシス』ッ!!!」
「な、なんだこの弾の群れは……ぐああっ!」
「だ、誰だ……ぬわーーーっ!」
「貴様、何者だ!?」
「幻想郷で悪事を働く妖怪が居ると聞いてな……おい風見幽香、もう我慢しなくていいぞ」
「あぁ〜……ふ、フン……別に助けなんか待ってなかったわよ……『花鳥風月、嘯風弄月』!」
「な、なんだ!?向日葵が……襲って、うわぁぁぁっ!!!」

 麟は里に戻り慧音に助けを求め、陵辱の現場へ来た。
そして慧音は二匹の妖怪を屠り、幽香も最後の一匹を瞬時に仕留めた。
元々この程度の相手だったのだ、枷が無ければ本当に何でもない敵だった。

「大丈夫か風見幽香、とりあえず服を……」
「お姉ちゃん大丈夫?痛くない?」
「べ、別に助けなんか求めたわけじゃないん……って麟!?」
「ん?どうしたのお姉ちゃん?」
「ちょ、ちょっと歴史家!こっち来なさい!」

 麟が居る事に驚いた幽香は服を着るなり突然慧音の頭を抱きかかえ、
麟と少し場所を離し聞こえぬようにヒソヒソと文句を垂れた。

「ど、どうしたんだ!?」
「り、麟がここに居たら私が耐えた意味がないじゃない!思いっきり弾幕放っちゃったわよ!」
「なーんだ、そういう事か!」
「馬鹿、声が大きい!」

 確かに幽香の言うとおりである。
幽香が三匹の妖怪になすがままにされたのは麟に自分が妖怪だということを知られたくなかったからだった。
そして慧音が助けに来たのはいい、幽香にとどめをさせたのもいい。
しかしその現場に麟が居ては何の意味も無い、全てがぶち壊しである。

 しかし懸命に抗議する幽香を意に介さず慧音は、麟の所へ戻り全てを語った。

「麟はな……最初から知ってたんだと、お前の事」
「はぁ?……本当なの、麟?」
「うん、幽香お姉ちゃんは妖怪だけど……優しくて、暖かくて……良い妖怪さんだよ」
「……だから何の警戒も無かったわけ?」
「うん♪花が好きな人に悪い人なんかいないよ、人間も妖怪も」
「はぁ……」

 幽香は全身の力が抜け、ガックリとうな垂れた。
最初から言ってくれればあんな陵辱など受けずに済んだのに。
その事で麟を咎めたりはしないが自分が今まで耐えた事に意味が無かった事を
再認識するとガッカリするな、というほうが無理である。

「いや、私もさっき麟に怒られたんだ……妖怪だからって差別するなってな」
「えへへ……」
「確かに考えてみれば身を挺して他人を護る者は悪い奴じゃない、妖怪だからとか人間だからとかって
 そんな下らない事で境界線を張っていた自分が恥ずかしくなったよ、人間にも悪党は山ほど居るしな」
「慧音お姉ちゃん、最後のは余計だよ」
「あっははは、こりゃ一本取られたな」
「くっ……うぅ」
「ど、どうした風見幽香?」
「……お姉ちゃん、泣いてるの?」
「ククク……あはは、はーはっはっは!はぁ……いや、何か面白くて……ね」
「え……?」

 幽香は笑った、久々に心から笑った。
こんな人間が居るなら、こんな半妖がいるなら……捨てたものではない。
幻想郷と幻想郷に住む者たちに心の壁を作る必要は無い。

「麟、またここに来なさい、今度はちゃんと護ってあげるから」
「うん!」
「おい、しかし人里からここまで来るのに……」
「心配ならそこの頭でっかちを連れて来てもいいわよ」
「頭でっかちとはなんだ、大体な……」
「はーいそこまでよ慧音お姉ちゃん、じゃあね幽香お姉ちゃん……また絶対、来るからね!」
「いつでも来なさい、折れた向日葵は私の力で治しとくわ……またね」


 このあと、何年先も何十年先も何も心配することはない。
全ては杞憂に終わるだろう、人間の行く末も妖怪の行く末も何も……そう思う必要はない。



  お し ま い 





後書き

間に合ったぁぁぁぁぁぁっ!!!
無理やり間に合わせたというのが正解かも(ry
物語を重視したためネチョシーンが少なめになってしまった、というのは多分建前です。

幽香を陵辱したかったのと今回のテーマを合わせるとこんな感じになってしまいました。
タイトルは花の妖怪と花屋の娘って意味です、カプじゃないですが。
このテーマがかなり厄介だったよママン……(´・ω・`)

後、名無しキャラはあくまでモブキャラなので変に目立たせたくはないのですが
何故か変な個性がついて勝手に動き出すんです、名無しの汁男優の分際でw

冴月麟というのは皆様知ってるとおり紅魔郷のデータに名前だけ入っている没キャラ(?)です。
ググったところ以前花屋の娘にこの名前をつけたSSがあったらしく
主要キャラに名前がないとSS書きづらいのでこの名前を流用しました。
べ、別に幽香と麟でゆうかりん!とかいうマイナスK級のギャグじゃないんだからねっ!

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