ある日の深夜、麋夫人の寝室には何故か人影が二人・・・
「・・・んっ・・・趙雲殿っ・・・やはりこの様な関係は止めましょう・・・」
趙雲に愛撫され喘ぎ声をあげつつも、麋夫人は懇願するように言う。
「・・・貴女は口ではそんな事を言いながら、ここはこんなにも私を求めてる。」
麋夫人の恥部に手を伸ばしながら言う。
麋夫人は趙雲の愛撫によって適度に高められ、恥部には愛液が溢れ出ていた。
「そ、それは・・・」
麋夫人は顔を赤らめてうつむく。
「私が貴女を求めているように、貴女も私を求めている。違いますか?」
麋夫人は答えなかった。答えられなかった。図星だったのだ。
「だんまりですか・・・それなら・・・」
趙雲は体勢を入れ替え、麋夫人の正面から覆い被さった。
「貴女を理性では拒めても、本能では拒めないような快楽に導いてあげますよ。」
そう言って趙雲は己のモノを麋夫人の恥部に挿入した。
「ああっ!」
麋夫人は思わず嬌声をあげる。
「動きますよ。」
趙雲がそう言うと、腰をゆっくりと動かし始めた。
ずちゅ・・・ぬちゅ・・・いやらしい音が部屋に響く・・・
「あっ・・・んんっ・・・ふぁぁ・・・んっ・・・」
麋夫人はたまらず喘ぎ声をあげる。
趙雲は段々と腰を動かすペースをあげる。
麋夫人も趙雲を求めるように腰を動かしていた。
「・・・くっ・・・我慢・・・できない・・・」
趙雲がそう言うや否やさらにペースをあげた。
「あんっ・・・んっ・・・あっ・・・あっ・・・」
麋夫人の嬌声も一際大きくなる。
お互いがお互いの身分も立場も忘れ、快楽に身を委ねていった。
「んんっ・・・」「ああっ・・・」
そして二人は同時に果てた。
事後、抱き合うようにして、舌を絡ませる二人。
だが麋夫人は別の事を考えていた。
『趙雲殿は私の事を本気で愛していらっしゃる』
『そして私も心の中では趙雲殿を求めている』
『でもそれは駄目な事・・・私は玄徳様の妻・・・』
『ああっ私はどうすれば・・・』
麋夫人は心の中で思い悩んでいた。
月日は流れ長坂の戦い、劉備軍は曹操軍の凄まじき追撃を受けていた。
麋夫人は甘婦人の子、阿斗を抱き、廃屋の前で助けを待っていた。
「趙雲・・・」
麋夫人はため息をつく様に呟く。もう会えないかもしれない・・・
ちょうどその頃、趙雲は麋夫人を探し、辺りを疾走していた。
ただただ麋夫人の事を思い・・・
やがて小さな廃屋を見つける。
もしかしたら・・・趙雲の予感は辺り、麋夫人を無事に見つけ出すことが出来た。
「貴女が見つかって本当に良かった・・・」
思わず麋夫人を抱きしめる趙雲。
麋夫人も思わず涙した。
が、麋夫人の心の中にいつの日にか思ったことがフラッシュバックした。
『私がこのまま生きていても心から結ばれる事が出来ない虚しい夜が続くだけ・・・』
『それに趙雲殿は玄徳様のために働くべきお方、もし私との事が玄徳様に知られてしまったら・・・』
麋夫人には自分が死ぬ事がお互いのための事のように思えた。
視界の先には・・・枯れ井戸が見える。
麋夫人は唐突に趙雲を突き放すと、阿斗を趙雲に渡し、枯れ井戸へ駆けた。
「なっなにを・・・」
趙雲が焦って叫ぶ。
麋夫人は趙雲の方を振り返ると声を振り絞ってこう言った。
「趙雲殿、どうかその子をよろしく頼みます・・・」
これでいいんだわ・・・麋夫人は落下感を感じつつ、夫と、自分が愛した只一人の男の事を思い浮かべた。