「わかった。闘おう」
「休!」
 一騎打ちを受け入れた馬休に馬鉄が噛み付く。
「鉄。俺達は何としても逃げ延びて親父達と合流しなきゃいけないんだ。その為には手段なんて選んでられない。違うか?」
 迷いなく決意を込めた眼差しで自分を真っ直ぐと見つめる馬休に、馬鉄は口ごもる。
「……そうだな。わかった。俺達にはやらなきゃいけない事があるもんな」
「話は決まったみたいね」
 いつの間にか馬に跨り、鉄鞭を構える董白に二人は向き直る。
「ああ、悪いが一瞬で決めさせて貰う」
「悪く思うなよ!」
「くす、それじゃあ…行くわよ!」
 その言葉を合図に三人は馬首を返し、充分に加速をつけ互いの相手に向け突撃した。
勝負は一瞬で決まった。少女相手に二人掛かりとは言え二人は満身創痍、更に相手が少女と言う事もあり若干の油断もしていたのだろう。一合目で馬休が馬から弾き飛ばされ、二合目で馬鉄が馬上から崩れ落ちた。
「ははは!弱いねぇ」
 そんな董白の声を聞きながら、二人の意識は闇へと落ちていった。
「董白様。お見事でございます」
 一部始終を見ていた従者達が董白の元へと近づく
「して、この二人は?」
「宮殿へ戻った後、体を綺麗に拭いた上で私の部屋へ連れてきなさい」
「御意に」
 その言葉を最後に従者達は気絶している二人を運んで言った。
「まずは二人……ふふ」
 その顔に艶やかな笑みを浮かべ董白はひとりごちた。

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