呂姫は、攻め手を再開した。
指で秘所をはっきり見えるように開き、目で苛める。
董白が口を開こうとすれば、己の秘所を押し当て何も言わせないようにした。
舐めても払っても止まることなく愛液は溢れてくる。
呂姫の指がいきなり董白の菊門に進入した。
「んー!!? んぅ・・はぁ・・そこは・・だめ・・で・・!?」
指を捻りながら、ずぷりと中指まで進撃させる。
自らがやられている行いを、自覚する。 恥ずかしさはこの場合興奮を駆り立てた。
行為そのものが快感を与えてくれるのではない。 愛しい人にそれをされることが背徳の快楽を与えてくれる。
「董白・・イっていいのよ・・・。」
母親のように、胸の中で泣く我が子安堵させる声で言った。
「い・・イクって・・? 」
なんの事か判らずに言葉を返すが、それは激しい愛撫で答えられた。
指を菊門に突き刺したまま、豆を舐め上げる。
残った方の指で、秘所をかき混ぜ、押し当てた乳首を董白の腹で刺激することで自らも快楽を得る。
「いやぁ・・こわい・・こわいの・・・。 どこか・・はぁ・・に・・とんじゃい・・ぅん・・そうで・・・!?。
あぁん・・あん・・だめ・・だめ・・イッちゃう・・どこかにイっちゃうぅ! んんぁぁぁぁああん!!!」
「大丈夫・・大丈夫だから。私が、抱きとめてあげるから・・!」
絶頂へと達した董白をは涙を流していた。
そんな董白に優しい笑みを浮かべ唇を合わせ二人そのままに瞼を閉じた-
*
「ふわぁぁ・・。」
呂姫は男勝りなあくびをした。
状況を確認する。
まず、自分が居る場所。 見知らぬ屋敷のようだ。
何故このような場所にいるか。 昨晩の事を思い出す。
董白を庇って、矢を受けたまでは覚えている。
ならば、ここは孫策の館なのか? 傷の手当もしっかりとしてある。
それにしても、凄い夢を見たものだと苦笑した。
「ふふっ、あんな董白ありえないわねぇ。」
そういいながら、呂姫は己の体を抱きしめている存在に気が付いた。
「りょきぃ・・、ここなのぉ?ここがきもちいいのぉ?」
などと寝言を言っているのは董白。
「ふむ・・。 もしかして、夢じゃなかった・・?」
まぁ。いいや。過ぎたことだしと、また眠りの世界に入った呂姫も董白も一糸纏わぬ姿である。
戸の裏側で、ばつの悪いようにしている孫策が部屋に入る機会を伺っていたがそれはまだ先のことであった。
*
「もう行くのか?」
「えぇ、世話をかけたわね。」
孫策の傍らには、妻である者が付き添っていた。
夫の恩人を礼を尽くして見送ろうとしている。
「感謝するなら、董白にだな。 君が倒れた後、俺が心配するほど寝ずの看病を続けてたんだからな。」
あの後、呂姫は毒によって四日目を覚まさなかった。
董白は、別人のように呂姫を助けようとした。
呂姫の面倒は自分が見ると言い張り、素直に教えを請い、それを完璧にこなしていた。
呂姫がその事を董白に聞いても、「そんなの知らないんだから!」と顔を真っ赤にしたことから事実であることは確かだ。
「というか、董白があそこで出てこなければ不覚を取ることもなかったのだけれどもね。」
董白の方を見遣る。
泣きそうな顔になった董白の頭を撫でて、意地悪をしたことを謝った。
「冗談よ、ごめんなさい。」
「・・!分ってたわよ!」
というものの、顔には明らかな安堵が見える。
そんな二人を見て孫策の妻は声を出して笑ってしまった。
釣られて孫策も笑う。 心底、愉快そうな笑い声が響いた。
「では、私は行くわ。」
「ああ。 何時か帰ってくるなら喜んで迎える。 ここを故郷だと思っても構わない。」
「ありがとう、貴方も油断ないようにね。 戦では何があるか判らないのだから。」
遠ざかっていく呂姫達を見送りながら孫策は考えていた。
本当のことを言えば止まって欲しかった。 叶うならば将として背中を守って欲しかった。
だが、あの誇り高い戦姫は何者にも繋ぎ止める事はできないであろう。
ならば、何も言わず見送るのが同じ戦に生きる者の礼儀であろう、と。
「ね、あなた。」
「なんだ、大喬。」
「私とあの人、どちらと結ばれたかったのですか?」
そう言う大喬は笑っている。
女は怖いな、と心の中で苦笑した。 見透かされている。
「お前に決まっているさ。」
口付けをする。
そんなもので騙されるのも女の仕事、と大喬は悟っていた。
銀糸が残った口元を拭う。
空は青く、果てまで見通すことが出来る。
風は優しく、この身をどこかに連れて行ってくれそうだ。
孫策、字を伯符。
彼はこの後どのような偉業を達するのか、そのような事はその命を助けた者にも判らない。
早速疲れたといって動かなくなった董白を適当にあしらいながら、この少女が心の底で
我が身を案じてくれていたことを思い出す。
「分かったわ。ほら、おぶりなさい。」
普段と違い妙に優しい呂姫に董白は驚いた。
「え・・いや・・その・・やっぱり大丈夫!」
素直になれないのもまた一興。
そんな董白を守り続けるのも悪くないかな。
今、二人生きているからそう思える。
私はあの時董白を守り、董白もまた私を守ろうとしてくれたのだ。
何時無くなるかもしれぬ絆、ならばせめて私は命を懸けて守り通そう。
呂姫は、地の果てを見据えながら決心していた。