呂姫お姉様が、男であれば・・・。
董白は常々そう思っていた。
もしそうであれば処女を捧げ、夫婦となって子を産み、
肩寄せ合って幸せな家庭を築く事が出来るのに。
董白は時折、夢を見る。
董白の唇を吸い、董白の華奢な身体を抱き、
董白の秘所を突き上げる相手は、決まって呂姫だった。
時に貪るように求め合い、時に愛しむように求め合う。
夢から醒めると、決まって大汗を掻いている。
体中が火照り、股間はとろりとした愛液でびしょ濡れ。
まるで本当に呂姫と身体を重ね合わせたかのようで、
心地悪さを感じる事は全くなかった。
むしろ、余韻に浸りながら自慰に没頭するのが常だった。
所詮、叶わぬ恋である。
呂姫も董白も、いずれはまだ見ぬ男の元へ嫁ぐのだ。
だが、強くて美しい呂姫お姉様が長髪を振り乱し、
歓喜の喘ぎ声をあげ、腰をくねらせて男の[モノ]を
迎え入れる・・・そんな姿は許し難いし、想像したくもない。
極めて身勝手である事は自覚している。
でも嫌なものは嫌なのだ。吐き気すら覚える。
ある晩、董白の枕元に左慈と名乗る仙人が立った。
董白が以前戯れに助けた仔猫が、左慈の使い魔だったらしい。
「お礼にひとつだけ、願いを叶えてやろう。」
左慈の言葉を受けた董白はごくりと喉を鳴らすと、声を震わせながら懇願した。
「呂姫お姉様と、ひとつになりたい。」
最近董白の姿を見ないと思ったら、どうやら三日も寝込んでいるらしい。
しかも食事を一切口にせず、医者の診察も拒否し続けているそうだ。
董白の屋敷の使用人達に懇願された呂姫は、様子を見に行く事にした。
「入るわよ」
返事を待たず、呂姫は董白の私室にずかずかと足を踏み入れた。
董白は布団から顔を半分だけ出し、バツの悪そうな表情を浮かべた。
「人払いをしたから安心して。」
「お姉様ぁ・・・。」
「もう、子供じゃないんだから心配掛けさせないで。」
「あう・・・。」
「一体どうしたのよ?」
「・・・・・・・・・・。」
「そうやって引き篭もってるから気が滅入るのよ!」
そう言うと呂姫は、布団を乱暴に掴むと一気に捲り上げた。
「ああっ、ダ、ダメぇっ!」
「えっ!?」
「いやぁ・・・見ないでぇ・・・。」
敷き布団がびっしょりと濡れており、生臭い匂いが鼻についた。
つい先程まで、寝主が自慰に耽っていた事は明白だった。
「あ〜〜〜〜〜そっか・・・・・男、か・・・・・。」
やるせない想いに涙し、眠れぬ夜を過ごす。董白もそういう年頃なのだ。
「ごめんね、私で良ければ相談に乗るから。」
「ひっく、ひぃっく・・・。」
「このままだと風邪引いちゃうから、取り敢えず着替えよう?ね?」
呂姫は懐から手拭いを取り出すと、董白の身体を優しく拭ってやった。
濡れて気持ち悪くなったのか、董白は下半身の寝間着を履いていなかった。
呂姫の手が董白の股間に伸びた時、本来【そこ】に在る筈のない【モノ】が、
ぴょこんと反り返っているのに気が付いた。
「え・・・?これ、ひょっとして・・・おちんちん・・・?」
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