さわやかな日の光が差し込む部屋に母子の姿があった。
「ぅ〜やぁ〜」
「こぉら権。ちゃんと飲んでおくれよ」
母の腕の中でぐずる赤子は、小さな手をめいっぱい広げて母の胸をぺちぺちと叩いていた。
ぐずる孫権の声が聞こえたのか、孫堅と孫策が寄ってきた。

「権〜。こうやって のむんだぞ」
孫策は剥き出しにされていた母の乳房を口にふくみ、ちゅうちゅうと吸いつく。
それを見た孫権は、負けじと反対側の乳房をちゅっちゅっと吸いあげる。

「ん、ちゅ……へへっ。おかーさんのおっぱい、いいニオイするー」
孫策は乳房から口を離すと、手で乳房の柔らかさを確かめる。
孫堅はそんな風に甘える我が子達を見て、
すねたように口を尖らせながら、後ろからそっと妻を抱きしめた。

「なぁ、俺もおっぱい飲みたいな」
「んもぅ、それが子どもの前で言う事かい?」
「さびしい……」
「……甘えん坊」
孫権が生まれてからは、二人の息子に時間を割きすぎていたかもしれない。
肩を寄せあうことはままあっても、後ろから抱きすくめられたのは久しぶりだった。
まだ夫が自分を求めてくれることが、彼女には嬉しかった。

「一番手がかかりそうだね。夜にいっぱい甘えさせたげるよ」
「……あぁ」
仲睦まじい両親の姿を見て、幼い孫策の頬は赤く染まった。



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