人間は一人では生きられない。いくら強がってみてもそれは所詮仮面でしかないのだ。
彼女は仮面を被り続けて生きていた。その仮面は強固で、自分でも気づかないうちに皮膚の一部に
同化してしまう程だった。
それに気づけないのはとても悲しいこと。そして、その悲しみは周囲を巻き込んで悲劇を生む。
彼女は果たして悲劇を回避できるだろうか。
小虎は孫家ご用達の医師の下へと運ばれていった。
あれから数日寝込んでいるが、一命を取り留めることが出来るか、今夜が山だそうだ。
(ああ・・・小虎・・・小虎・・・)
大虎は悲嘆にくれていた。自分のせいで。あの子はなにも悪くないのに。
全部、全部自分の思い込みのせいでこんな事になってしまった。
父、孫権も、親戚達も何もいわなかった。
でも、それはとても辛いことで。逆に人でなしとでもはっきり言われた方が楽だった。
(どうか・・・死なないで・・・小虎・・・)
大粒の涙が頬を伝う。泣いたのなんて何年ぶりだろう。
それも人の為に。
硬い仮面が崩れていく。一枚、一枚剥がれていくように。
(こんなところにいる場合じゃない!)
そう決心するや否や、飛び出して小虎の病室へと向かう。
「た、大虎様、いけません!」
この「いけません」がどういう意味なのか。
小虎の怪我に障るからなのか、トドメを刺しにきたとでも思われたのか。
でも。こんなところで止まるわけにはいかない。
(だって、もう後悔はしない!)
「退きなさい!」
持ち前の鋭い一声で侍女を退かすと雪崩れ込むように病室に入る。
小虎の周りには孫権をはじめ親戚が見守っていたが、大虎の姿を見ると、サッと顔色が変わる。
―きっとこの人達も私がトドメをさしにきたと思っているのだ。でも、そんなこと気にしている場合じゃない!
「小虎!小虎!お父様、小虎の様子はどうなの!?」
いつもとのあまりの豹変振りにさしもの孫権も驚きを隠せない。
「あ、あぁ・・・今懸命に治療中で・・・」
「小虎、うっく・・・死んだら、ひっく・・・駄目・・・だから・・・」
涙。それは自分のためなんかじゃない。小虎への涙。
傷ついた真っ白な手を取る。
「また・・・ぐすっ・・・遊ぶんでしょ・・・ね・・・小虎・・・!」
懸命の願い。今までいえなかった。それでもまだひねくれていたけれど。
想いを伝える。
「小・・・虎・・・死んじゃ・・・ひっく・・・だめぇ・・・」
その時。
「小・・・虎・・・?」
大虎の手を握り返す力があった。
「小虎!大丈夫!?小虎!」
「ね・・・ぇ・・・さま・・・なか・・・ない・・・で・・・」
「ああ、小虎!私の事はいいの!あんたはどうなの!」
「だい・・・じょう・・・ぶ・・・。だって・・・」
「だって・・・?」
「ねぇさまが・・・いるもの・・・」
そう言って微笑むとゆっくりと目を閉じる。
「!? 小虎!小虎!?」
慌てて手を握り返す。
その姿を見て医師が優しく微笑む。
「大丈夫ですよ、お眠りになられただけです。これで、山は越えました。もうご安心ください。」
その一言で皆がホッと息をつく。
「あ・・・あぁ・・・よかった・・・よかった・・・」
そう言うと大虎も顔を布団に埋め寝息を立て始めた。
「おやおや、あの大虎お嬢様が・・・。」
「まったく。意外な一面が見れましたな」
親戚達は暢気に笑いあう。
そうして、悲劇は回避された。
それから一ヵ月後。
小虎の部屋。
「小虎、遊びに来てやったわよ」
あいかわらず素直になれない大虎。
「ねぇさま!」
飛びつく小虎。もうふたりの間に溝なんか無い。
「ふふ、小虎ったら・・・仕方の無い子ね?」
ふ・・・あっ・・・ねぇ・・・さまぁっ!」
小虎の叫び声。でもその声は甘い。
「いやらしいのね・・・こんなに濡らして・・・」
そんな大虎の声もどこか、優しいのだ。
「だって・・・ねぇ・・・さまが・・・してくれるから・・・」
「全く、あんたはっ!」
あの頃とは違う、愛のある行為。
ペニスバンドなどいらない。
二人はその幼い秘所を夢中でこすり合う。
「ひあっ!ねぇさま・・・はげ・・・しぃ・・・」
くちゅくちゅと淫らな水音が部屋に響く。
「小虎のアソコ・・・あったかくて・・・凄い・・・」
自己主張し、ひくひくと震える二人の陰核がいやらしく絡み合う。
しとどに溢れる愛液がその興奮を表している。
「うんっ!はっ・・ひんっ・・・ねぇさま・・・気持ちいいよぉ・・・」
「小虎・・・いいっ!あんっ!」
そして高ぶるにつれ二人の腰の動きが次第に早まっていく。
ぐちゅ、ぬちゃ!
「ねぇさま、しょうこもういっちゃう・・・っ!」
「いいわよ!小虎!一緒に、一緒にっ!」
「うん!ねぇさまあっ!しょうこいっちゃうよぉ!」
ぷしゃあっ!
二人が絶頂を迎える。
「あ・・・だめぇ・・・おしっこ・・・でちゃうぅ・・・」
どうやら小虎はおもらしをしてしまったようだ。
「もう、本当にはしたない子ね?」
そう言うと優しく小虎の秘所を舐めてやる。
その姿はまるで子猫を愛でる親猫のようだ。
もう、二人に溝は無い。
これからもきっと幸せに生きていくだろう。
ずっと、ずっと、幸せに。