敵の大群が迫ってきた。荀攸はふっと笑み、合図をだす。
「……運が、なかったですね」
敵軍主力部隊に鉄砲水が押し寄せたのと、荀攸の呟きはほぼ同時だった。
「ひゃぁぁぁ!うぅ……びしょ濡れだよぉ」
「あ……。はは、いやはや、すみません」
大水計の範囲に文姫もまぎれこんでいたらしく、頭の先からつま先までぐしょぐしょに濡れてしまっていた。
荀彧は、ぷりぷりと怒る文姫と怒られる荀攸を少し離れた場所で見守っていた。
正確には文姫だけを見ていた。
(あぁ……体の輪郭が、あんなにハッキリと見えるなんて……
な、なんだか、こころなしか、乳房が透けて見えるような……
今まで公達に負けぬよう頑張っていたけれど、水計もいいなぁ)
次の日から、荀彧の書架の中に「はじめてのダメージ計略
~水計編~」が追加された。
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