一日ずつ熱い歴史が追加されてゆくまだ薄い史書の字を一文字ずつ目で追う二人がいた。

「私が最強だった日々。 華々しいデビュー……
 くくく、ははっ……何もかも懐かしい」
「賈ク殿、目から汁出てますよ」
「う、うるさい」

激しく熱い戦とその歴史。
はじめは北の地と、東の都だけだった。
それが二年前の今日、国を巻き込みはじめた。
流行り廃りもあった。途中で去る者があれば、途中で来る者もいた。
それでも、戦いが熱く華やかなのは変わらない。

「何か、君主殿にお礼できたらなぁ……」
「お礼……な。
 くくく、文姫。策がないわけではないぞ?」
「え?」

賈クの顔は悪いことを思いついたときの顔だ。
文姫は躊躇する。
それでも、それが東の国の新しい君主達へのお礼になるのなら……悪くはないはずだ。

「差し当っては……そうだな、中に着てる白い服。
 それを脱ぐか変えろ。最低でも鎖骨が見えるくらいだ。」
「? ふぁ〜い……のぞいちゃ嫌だよ?」
「のぞかないから安心しろ。あと、眠そうに返事するな」
「はい!」

ついたての裏で着替える文姫。
その衣擦れの音が賈クの妄想をかきたてる。
部屋の入り口や窓に鍵をかけながら、賈クはほくそ笑んだ。

賈クの脳裏には、すでに完成図がある。
まず服。
鎖骨には色気があるので、それを見せる。
裾丈を短くするか、切れ込みをおもいきりいれる。
下着は……剥ぎとる事ができれば一番だが、はいたままでも構わない。
首の辺りがさびしくなるので、赤い服とあわせた赤い首輪で飾ってやる。

若き君主達のためでもなんでもなく、賈ク自身の趣味だ。
それでも「日頃のおかえしのための衣装だ」とでも言ってやれば、
渋々でもちゃんと実行するのがあの娘の可愛いところだ。

そして、あとは……
一枚ずつ服を脱がすのもいい。脱がさずに自慰を強要するのもいい。
そのために今、逃げ道を塞いでいるのだ。逃がしてたまるものか。

「う〜ん……これでいいの?」
賈クが振り返ると、白服を脱いだ文姫がうつむき気味にしている。
鎖骨と胸の谷間がよく見える。太腿をしっかり閉じてもじもじと恥らう姿はたまらない。
「うむ、悪くないな。では、次にだな……」


――半端になどしてやるものか。
目についた痴態は片端から言葉で責め、桃色に色づく柔肌は片端から舐めてやる。
淫虐の限りもつくせぬ生涯など、こちらから願い下げだ。


〔了〕

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