「さて、お手前を見せていただけますかな」
慇懃な口調で、髭もじゃの半裸の男が挑発するようにそう告げる。このような男達の為に舞を
披露するなど・・・そう思うと王異はやるせなくて仕方が無かった。が、これは君主のためである、
となんとか思い直して、しなやかな全身を使って舞を披露する。
その軽いからだが宙を舞い、そして神霊に捧げるが如く聖なる舞を踊る。が、何故か男達は
不満げである。
(何なの・・・この男達は)
おぞましさを全身に感じていると、いらついたようにしながら全ての黄色の印をつけた男達が
王異を囲んだ。どこか小ばかにするような、そしていらついたような目で睨みながらである。
槍を持った髭の男は、全然駄目だな、と吐き捨てるように唾を飛ばして王異に向き直る。
「あんた、士気を高めてくれるんじゃないのかよ」
「い、今もしてるではないの・・・一体何が不満なの?」
「あのなぁ・・・こんな踊りみせられたところで俺たちの士気はあがらねえよ」
そうだそうだ、とブーイングがそこらかしこで上がる。今まで王異はそんなことを言われたことは
無い。舞を失敗してもいないし、そんなこと言われる筋合いなど全く感じなかった。
「士気をあげるっていうのはなぁ・・・こうやるんだよ!」
血走った目で男は王異を――いや、王異を包む布をひきちぎる。ビリビリ、そう音がしてあっという間に
王異のふくよかな片胸がさらされる。王異はその白い顔を真っ青にして腕で胸を隠す。
「い、いやぁ・・・!」
が、下がった先にも男がいる。露骨にいやらしい目を向けながら、尻を隠す腰布を嬉しそうに
引きちぎる。
「だ、駄目・・・何を・・・!」
「何を?お前に正しい士気のあげ方を教えてやってるんだよ・・・そらよ!」
「な・・・」
そうしながら、おしくらまんじゅうのように王異をおしつぶさんばかりに武将達が集まってくる。
方々から伸びる手に身体を玩弄される王異は、絶望の淵に追い詰められる。ただ、その表情すらも
男達にとっては興奮するための材料の一つでしかなかった。
「おぉ!いい声で泣くぜ。へへ、俺たちの士気もこれで上がるってもんよ。
お礼もたんまりしなくちゃな」
「だな。たっぷり楽しませてもらう分しっかりよがり狂わせてやるからよ」
大声を出しながら夢中になって屈強な男たちはか細い王異の身体を
蹂躙する。王異とて本来無抵抗でやられるようなやわな女では無いが
多勢に無勢である。
加えて今までに感じたことのない恐怖に出会って頭が完全に混乱して
しまっているのだ。肌を重ねたのもせいぜい夫ぐらいのものなのである。
小ずるそうな小男――裴元紹は下卑た笑いを浮かべつつ王異のやわらか
な胸を以上に尖った鼻先でつついてプルルンと震わせる。マシュマロのような
柔らかさとゴムのような弾力を感じて感嘆の声を上げる。
「やわらけぇ〜。しかも凄げえ弾力!こんな乳滅多に拝めませんぜ。
俺のこっちもあっという間にビンビンだ」
何がビンビンなのだ、と涙目を浮かべて嫌々と首を振る王異。声を
挙げようにも後ろから髭もじゃの大男――張梁にしかと口を塞がれており、
そこからは「ん〜、ん〜!」と息の漏れる音しか聞こえてこない。
「はぁ〜。このふともも、たまんねぇ!引き締まってる癖にムチムチ
しやがって…」
ダンディな声なのににやけながら王異のふとももにほお擦りして天国を
味わっているのは黄巾と間違えられやすい男――刑道栄であった。後ろの
張梁はニヤニヤしつつ、王異の首を回して回りに目を向けさせる。
「ん…んん…!!」
王異の周りを囲むようにしている黄巾兵達は目を血走らせながら
自分のモノを取り出してシコシコと扱きまくっている。
それだけで犯されそうなほどの強い視線と熱気。王異は知らず知らずの
うちにその様子に目線を釘つけてしまう。
「ふふ、お前さんの体見てたまんなくなってんのさ…まあ無理も無いがな」
きゅう、と柔らかな尻肉をつまんで、耳たぶをなでつつそんな事を言う
張梁。王異の浮かべる涙顔に次第に朱が混じり始める。
「お、こいつ顔赤くなってやすぜ…もう感じてきやがったんじゃないっすかね」
「違ぇねえ。こんだけいやらしい体つきしてやがるんだからな…よがりたいのを
さっきからずっと我慢してるんだぜこいつきっと」
往々に勝手なことを述べながら王異を好き勝手に嬲りまわす男たち。
そんなわけない、そう否定したい王異の体にも次第に変調が訪れていた。