「優しくしてって、言ったのに、激しいですっ・・・」
「すまない。曹節が可愛いからつい、ね」
まだ呼吸の荒い曹節が劉協を咎めるが、劉協に悪びれた様子はない。
「私ばっかり、ずるいです。今度は劉協様の番ですよ」
「ちょ、曹節、待てって」
「じっとしていて下さいね」
あっと言う間に劉協自身は外気に晒された。すでに覚醒しきっている。
剛直を両手で包み込み、上下にしごく。熱に浮かされたような表情。
刻一刻と、劉協の余裕がなくなっていく。
「気持ちよくしてあげますね・・・んむ」
「うっ、ああ・・・」
曹節が陰茎を口にくわえる。思わず情けない声が漏れてしまった。
口でしてもらったことはあるが、曹節が自分から奉仕するのは初めてだった。
時折曹節が、上目遣いで劉協の様子をうかがう。
「ふぉーふぇふは?(どうですか?)」
「すごくいいよ。上手だね、曹節」
ほめられたからか、劉協が感じているからか、曹節が嬉しそうに目尻を下げる。
そして上下運動の速度を上げ、舌を使い、さらに劉協を追い込んでゆく。
「もうそろそろ、まずいっ・・・」
射精が近いことを告げるが、奉仕をやめる気配はない。限界が、来た。
「で、出るっ・・・!」
「んっ、んーっ!・・・んく、んく、ごくん・・・」
口内で射精され、曹節は少し驚いた顔をしたが、そのまま精液を飲んでしまった。
口を陰茎から離し、口から溢れた分も、綺麗に舐めとる。
「うふ、お返し、いただきました」
「参ったな・・・今度は一緒に、な?」
ちょっと顔を赤らめて、曹節は頷いた。
すでに一度達していたこともあり、劉協を受け入れる準備はもう出来ていた。
「行くよ。力抜いて。」
「はいっ・・・」
曹節の上に覆いかぶさる。劉協自身が、曹節の中に侵入していく。
ゆっくり、しかし確実に、奥へ奥へと進んで行く。
やがて、二人の腰がぴったりとくっついた。
「痛くないかい?」
「もう、平気です」
「じゃあ、動くよ」
初めての時に曹節を泣かせてしまったことを、劉協はまだ気にしていた。
腰を動かしながらも、胸を揉んだり、口づけをしたりする。
「りゅ、劉協様のが、はぁっ、入ってるぅ・・・っ」
「相変わらずきついな・・・くっ」
「あっ、あっ、ふぁあっ!おおきくて、熱い・・・ああっ」
ギシギシと寝台が音をたてる。結合部から、水音が漏れる。
より深く繋がろうと、曹節が劉協の背中に腕を回した。
締め付けに耐えられなくなった劉協が、ペースを上げる。
他の場所への愛撫をやめて、腰を打ち付けることに集中する。
「すき、劉協様、だいすきっ、あっ、んんう!」
「愛しているよ、曹節・・・ぅっ、もう、出るっ」
「いっしょに、きて、きてくださいっ・・・」
一心不乱に、身体と想いをぶつけ合う。劉協が、渾身の力で最奥まで突く。
「あっ、あ、ふあぁ、ああああぁっ〜!」
大きく身体を震わせて曹節が達し、劉協自身を強く締め付ける。
それを受けて劉協もまた、曹節の中に精液を吐き出す。
吐息の音と絶頂の余韻が、寝台を支配していた。
「子供が欲しいです。劉協様と、私の」
「そうだな・・・名前も考えておかないと」
腹部を撫でながら曹節が言う。劉協もそれに合わせて、さすってやる。
性交の後は、二人でいつもこういう風に他愛無いことを話す。
もちろん、軽い愛撫や接吻を交えながらだが。
互いに全裸で、零距離。同じ布団のなかで語り合う。
性交本番よりも、この時間の方が曹節は好きだった。
「劉協様」
「なんだい?」
「また、明日もたくさん愛してくださいね?」
今からでもいいけど、どうする?・・・そう言おうとも思ったが、やめた。
「もちろん、そのつもりだよ」
ちゅっ。1回だけ、触れただけの接吻。
「おやすみなさい、劉協様・・・」
「おやすみ、曹節」
二人は、溶け合うように眠りに落ちていった。
「劉協様、朝ですよ。起きて下さい」
「んあー、もう朝か・・・」
「朝食は出来てますから、早く来て下さいね」
翌朝。まずは起床成功。実はこの半月、曹節より早く起きられたことがない。
一度、起きられなくなるぐらいまでイカせてやろうか・・・
おっと、朝から卑猥なことを考えていると、曹節に怒られてしまうな。
雑念を振り払い、正装に着替えて食卓に向かう。
「「いただきます」」
ああ、今日も飯が美味い。質素なのに、王室の朝食より美味い。
素早く食べ終え、身支度をする。曹節が上着を持ってきたので、それに袖を通す。
「今夜は、ごちそうですよ」
「・・・性的な意味でか?」
「なっ・・・」
「冗談だよ。とにかく、期待させてもらおうかな」
「もうっ!」
曹節が笑っている。今日も、私の隣で。
「じゃあ、行ってくるよ」
「どうか、ご無事で」
さあ、出勤の時は来た―
今日も、早く帰ろう。愛する妻が、待っている。