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1スレ98-103 (無題) / 初心者氏

スー・・・・・・フワッ・・・・・・・ピシ!

ピキーン!
「ちっ、侵入者だ!」
「斑尾!行くぞ!」

良守と斑尾は、ほどなく学校に到着するが、烏森はいつものように暗闇の中にある・・・・・・・・。
「時音ー!」
「良守」
「おれこっち側から回るから、お前反対側よろしくな」
「指図しないでくれる?でもま、いいわ。白尾!行くわよ」

校舎の反対側を回る良守は斑尾と共に周りを探しているが、いっこうに見つからない。
「臭いはするんだけどねぇ・・・・」
「植木の間に隠れてるのかもな・・・」

スー・・・・・ぼわ〜〜〜〜〜・・・・

「良守!いたよ!」
「おう!」
斑尾のあとを追っていくと、そこには平安時代のような一重を纏った人型の妖がいた。
妖の近くに来ると、それが女の妖で、とても美しい顔をしたものだと分かった。
“・・・・女の妖?”
思わず良守が見とれてしまうと、斑尾が良守に向かって話しかけた。
「良守、あいつはまずいよ!あれは嫉女だ!」
「そねめ?」
「男に捨てられた女の恨みやつらみが集まって出来た妖だよ。心から慕う者に化けて相手を惑わせて、精気を吸い取るんだよ。あんたにゃ分が悪いね・・・・・。」
「なんでだよ?」
「あんたに雪村の小娘が滅せるかい?」
「それは・・・・!」
「いいかい、目を合わせるんじゃないよ!合わせたら心を読まれるよ!」

『童子や・・・・』

「!?まずい、気づかれた!」

「方位!定礎!けっ・・・消えた!?」
斑尾と共に妖のいた場所まで急いで向かい、辺りを見回したが見当たらない。
「斑尾!妖の臭いはどこだ!?」
「すぐ近くだよ!」

『童子や・・・・・。わらわを見なさい・・・・』
突然、良守の真後ろから声がした。
「っ!?」

それは、一瞬の出来事だった。
良守が振り返ると同時に、嫉女と目を合わせてしまったのだ。
赤く光る目を見た良守は、頭の中が走馬灯のようにグルグルと回るのを感じて脱力し、倒れてしまった。

「っ!・・・・・ちくしょう・・・・!」
「良守!大丈夫かい!?」

『おぬしは邪魔じゃ・・・・・。畜生は大人しくはいつくばっておれば良い・・・・・』

突然、嫉女の爪が伸びたかと思うと、斑尾を八つ裂きにしてしまった。
「ぎゃあっ!?」
「斑尾――――――――! くそっ、このやろう!」

かろうじて立ち上がれるだけの体力が回復した良守は、今度こそ結界に封じようと妖に向かって構えた。

しかし、目の前にいたのは時音だった。
いや、時音の姿かたちをした妖。
「なっ!?」
相手は妖だ!と自分に言い聞かせて結界を張る。
「方位!定礎!結!」
ところが、どうしても最後の言葉が言えない。

『良守、私を殺すの・・・・?』
結界の中でおびえた様子でこちらを見る時音がいる・・・・・
「!?」

たとえ妖でも姿は時音。もう、良守にはどうしようも出来なかった。
良守の意思の揺らぎによって結界も崩れ、また妖を自由にしてしまった。
今にも泣きそうな顔の良守のそばに時音が歩み寄ってきて、その頬に手を触れた。
それにつられて顔を上げると、そこには極上の美しさと淫気を宿した時音がいた。
『良守。私のこと好き?私といろんなことしてみたい?』
その目を覗き込んでしまった良守は完全に妖の術にかかり、恍惚とした表情のままうなずいた。

『いいのよ、良守の好きにして・・・・』
「時音・・・・・」

良守はそのまま、時音の唇に自分の唇を重ねた。
『ん・・・』
時音が良守の首に手を回して、良守を求める。
それにつられ、良守の口付けが深くなっていく。
時音をきつく抱き締めると、時音の口に舌を滑り込ませた。

『ふっ、ん・・・・はぁ・・・っあ』
クチュクチュと二人の舌が絡み合う音が良守の耳に届く。
良守は口付けをしたまま、時音を地面に押し倒した。
「時音、時音・・・・・・」

・・・・・「ハニー!妖の臭いだ!この近くにいるぞ。・・・・おかしい、混ざるようにヨッシーの臭いもする・・・・」
「どういうこと?」・・・・・・

白尾と時音は妖の臭いのするほうへ急いで向かうと、そこには自分と良守がいた。
「な、なによあれ!?」
良守を誘うような淫靡な表情をした自分。着物の前は、はだけてしまっていて、良守がその胸元に顔をうずめ、吸い付き、胸を揉み、弄っている。
「ヨッシーとハニー!?」
時音は、自分が良守に押し倒されている光景を目の当たりにし、ショックで冷静な判断が付かない。
二人の行為はなおも続いている。それどころか、良守は自分も着物の上を脱ぎ始めてしまった。時音の袴の縛り紐にも手をかけ、袴を脱がそうとしている。
時音はその二人の光景にこれ異常ないほど顔を真っ赤にして、目をそらしてしまう。
「ハニー!あのハニーは妖だ!臭いがする!」

その言葉を聴き、はっとした時音は我に返る。
「くそっ!ヨッシーが邪魔だ!」
「まかせて! 結!」

ヒュッ! ドゴッ!
「がはっ!?」
良守は時音が放った結界によって、わき腹から横殴りにされ、妖から弾き飛ばされた。
「方位!定礎!結!」
『なっ、何!?』
「滅!」
『ぎぃやああああああ!』

妖を滅した時音は、弾き飛ばした良守へ駆け寄る
「良守! 良守!? 良守!?」
「うっ・・・・・」
「良かった、無事みたいね・・・・」
「でも、大分精気を吸い取られてるな。これじゃあ今日はもう無理だな・・・・」

ホッとしたのもつかの間、よく見れば良守のわき腹は紫色になり膨らんでいる。直接わき腹に結界が当たったのだ。骨が折れていなかっただけマシというものだった。

「どうするよ、ハニー? さすがにこのまま置いてきぼりはまずいだろうし」
「今日はもう帰りましょう。良守は私が背負って連れてくわ。家まで付いたら、式神に玄関先まで届けさせればいいし」
「そうだな〜」

その帰り道。
「ハニー」
「なに?」
「あの妖の名前、思い出したよ。あいつは嫉女といって、相手の心から慕う相手の姿に化けて、精気を吸う妖なんだ。つまり、ヨッシーの好きな人は・・・・・・」
「な、なに馬鹿なこと言ってんのよ!?」
時音は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「なあハニー、今日のこと、どう思った?」
「そうね・・・・ショックだった。良守が、もう子供じゃなくて男の人なんだってはっきり知った感じがして・・・・・。でも・・・あの妖が化けた相手が私で良かった、って思ってもいる・・・・」
「もし、ヨッシーが今夜のことを覚えてたら?」
「相当謝るんじゃないかしら?時音ごめん!って。妖がなんで私に化けたのか・・・・ちゃんと伝えてくれたら・・・・そうしたら、私・・・・」
頬を赤く染めて俯きながら白尾に言葉を返す。
「ははっ、そうか」
「忘れてたら、忘れてたで、妖相手にしたことだしね」
スィ〜〜〜〜
「まったく、ヨッシーは毎度お騒がせなことしてくれるよな〜」
「このまま、おいてっちゃおうか?」

「「ハハハハハ」」

そんな一人と一匹の話など知らずに、幸せそうに眠る良守の明日からの日々は薔薇色に変わるのか、それともまた堂々巡りの日々になるのか・・・
・・・・・

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