Aqua-Man50
nupanさん
プロローグ
―マーク研究所―
研究所の内部にあるカプセルの中核に“何か”の細胞が浮かんでいる。
その細胞から水色のドロドロした液体が出てきた、何秒かすると肉体になり…クローンになった。
カプセルを“何か”突き抜けカプセルが破裂した。“何か”は研究所を抜け出し、真夜中の都心へと向かって行った…。
―2056年―
人間とクローンの核戦争が起こっていた。
町は吹き飛び、何万人もの遺体が横たわる景色がどこまでも続いていた。
そんな中、霧の向こうに巨大な機械が来て、わずかな生存者に攻撃してきた。
次々と死んでいく人間。残るのは無惨な遺体だけ…
一体50年前に何があったのか…マーク博士はクローンを消滅させるべく、50年前にさかのぼる…。
第一話
―50年前―
マーク博士の目の前に現れたのは、昔、懐かしい2006年の世界だった。
「懐かしいな、この目を疑うほどだ。」
「そんな事している場合じゃないよ、博士。」
「おっとそうだった、ミゲル。行こうか。あの事件の発端場所に―」
「ヒャヒャヒャヒャヒャ!」
「やめろ、止めるんだ!」
ドガーン!ダーン!バッコーン!
「この力で世界を変えてやる、そして俺は、新世界の神になる!」
ダッダッダッダッダ…―
「世界は、滅ぶ…」
事件を思い出した博士は、急に足が早く動いた。せわしく動く足が急に止まった場所は、マーク研究所だった。
研究所は丸いドーム状になっていて、屋根がガラスで出来ている、近未来的な研究所だ。しかも高さが35mもある。
オフィスのような所だった。
「事件はまだ後だ、待とうよ。」
「いいや、根本的に50年前の自分に止めさせなければ。」
「善は急げってわけですか。」
「そういうことじゃ。行くぞ。」
2人が研究所に入っていくと、庭から物音が聞こえた。
その正体は二頭身の合金で出来たロボットだった。それも20体前後いる。
20体のロボット達は研究所の壁によじのぼり、物音を立てずに登っていった。
―20階―
頂上はコントロールパネルになっていて、エレベータの先に通路が架かっている。その先には、コンピュータがぽつんと置いてある。
通路は高架橋のようになっていて、下に電線が張り巡らされている。
その下には、30メートルの下の応接間だ。
「やっと着きましたね。頂上のコントロールパネルに。」
「ああ、後はコントロールパネルのプログラムを変えるだけたが…巧くはいかないようだな。」
2人は丸いガラスの屋根に注目した。
「ロボットだ!」
「AqaMan-50(アクアマン)の手下か?」
ロボット達はガラスを突き破り、2人に襲い掛かってきた。
第二話
ワタシハ、2006ネンノ4ガツニウマレタ。
デモ、オチツキガナカッタ。
ワカラナイケド、モノヲコワシタクナッタリ、ヒトヲコロシタクナッタンダ。
マヨナカノヨルノコト、ヒトモ、マチモ、カカガイテイナカッタコロ、ソンナワカラナイ、ウヤムヤノココロデイルト、
メノマエガ、マッカニナリ、ゴオゴオト、アツイカゼガソコラジュウヲマキコミ、スベテヲマッカニシテ、イクツカタッテ、メヲアケルト、
マックロナタテモノガ、ヨコタワッテ、オオキナケムリガ、クウキノナカヲツツンデイタ。
キヅイタラ、ワタシノトナリニ、ナンゼントイウ、ロボットガイタ。サッキノカンジョウヲオモイダスト、ロボットタチガイッセイニチラバリ、
ニンゲントセンソウニナッタ。
ワタシハ、Aqa-Man50。
ロボットとの大戦が続いている。
博士、ミゲルは、必死の混戦にまだ耐えていた。
「触れさせるもんか、絶対にな!!」
ミゲルの放った銃弾は、鈍い音をして、ロボットの鋼にぶつかり、撥ね返った。
まさに完全無欠の身体だ。舌打ちをし、もう一発、銃弾を放ち、素早いテンポでその場を離れた。
「博士、もう対抗できません。」
「そうか、なら奥の手だ。」
「そ、それは……。」
博士の手から、鉛のような黒い物体が取り出された。少しの爆風と大量の煙を放つ、小型の爆弾だ。
威力は小さいが、一定の間、視覚を失わせる力がある。今の状況にピッタリの爆弾だ。タイマーをセットし、博士はロボットの周りに投げつけた。
「逃げるぞ!ミゲル。」
「はい。」
二人がエレベータに乗り込み、ドアが閉まった直後、あたりは闇に包まれ、ロボットに混乱を起こした。
「今日の夜、コントロールパネルに忍び込もう。」
―そして、夜―
昼間の事件があった20階。
博士が研究所内に忍び込むのは、いとも簡単だったろう。
「博士、チャンスです。」
「これから歴史が変わろうとするんだな……。」
「ソウハサセナイ」
「誰だ!?」
「ワタシハ、アナタノハツメイヒンデスヨ。」
「やはり、そうだったか。」
「アナタハムセキニンデスネェ。」
「ロボットニ、ヤサシサトイウプログラムヲモラッテマセンヨ。」
「すまなかった。許してくれ。」
「アナタハ、ワタシヲデリートシヨウトシタ。」
「ナニカ、ムジュントイウモノガアリマセンカ。」
「……。」
沈黙の時間が続いた。
両者は動じることなく、その場に立ち尽くした。
第三話
「モウスグ、ワタシハウマレル。」
今日は、2006年4月1日。Aqa-Man50が生まれた日。あと3時間で、戦争は始まる。歴史の歯車は再び廻り始めた……。
それは3人の頭にももちろん入っていた。
「コントロールパネル二ハ、ワタシガホゴサレテイルハズダ。」
「コントロールパネルには触れさせない!」
「ミガッテダ!ニンゲンハ、ミガッテダ!!」
「それは違う!」
「ロボットハ、ニンゲンノタメニウマレテキタノデハナイ!」
「キサマラヲホロボスタメニウマレテキタノダ!」
「何だと!」
「ソレガセイギナノダ!ロボットガコノヨノスベテダ!!」
「その為に未来から来たのか!」
「キイテミヨウ。キサマニトッテノセイギッテナンナンダ!」
「教えてやろう、本当の正義とは。」
「人間とロボットが共存できると思って、私はお前を作った。」
「……。」
「お前は、この世界の平和の架け橋なんだ!」
「ソンナキレイゴト、サンザンワタシハキイテキタ!」
「モウタクサンナンダ!!」
「確かに、これまでの人間は血みどろの歴史を繰り返してきた!」
「今、この世界は変わろうとしているんだよ!!」
「シンセカイダト……。フザケルナ!」
「時間が無いんだ!力を貸してくれ。」
「シマツスル!」
バン!!
一発の銃弾で、歴史の歯車は逆回転した。
打ったのは、ミゲルだった。
Aqa-Man50は非常に攻撃に弱いので、その場で倒れた。
「ヤハリ、ニンゲンハミガッテダ。」
「ワタシハ、シンデモキサマヲワスレルモンカ……。」
「……。こうするしか仕方が無かったんだよ、博士。」
「私は、とてつもない失敗をした。」
「そうですか?」
「あいつには、悪い事をしたような気がする。」
「また、歴史はやり直せます。」
「私は、いつかそんな日が来ることを信じている。」
「ロボットと人間が共存できる、その日を……。」
コントロールパネルのプログラムは変えられ、
Aqa-Man50の息は消し止められた。
―50年後―
ミゲルは語る。
ロボットと人間はともに生活をしていた。まさに、平和そのものの世界だった。
マーク博士はロボットと人間の共存に一生を捧げた。もちろん、Aqa-Man50も同じだと。思う。
でも本当に、これで良かったのかな……。博士。
僕は、あの出来事を無駄にはしません。
終
今まで応援ありがとうございました。
感想
かなり面白いです!これからも頑張ってください!
なんせ僕シリアス苦手なもんで・・・。ケイジ 20点
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