バトルドレッド

抹消さん

その1

 悪夢の夜がすぎ、いつもと変わらず平等に全てを照らす朝が来た。朝が照らす先にあるものといえば

絶望とうめき声にあふれた荒れ狂った大地だけだった。それでもなお、朝日は全てを平等に照らす。
 
 私には止められなかった、正義でないと知りつつも。

 私が「政府」に未来の技術を武器に変える方法を教えてしまったのだから。

 どうして止められなかったんだ、どうしても私の火山のように噴出す探究心を。

 いいだろう、やってやる。

 全てにけりをつけてみせる。私が作ってきた数々の作品を全て私の手でつぶしてみせる。それが私のけりの付け方だ、正義というものは存在することがないが。


バトルドレッド…

 

その2

 201X年、私はある宗教団体お抱えのマッドドクターとして生きていたときに国から極秘での戦闘兵器の開発を任されることになった。

「我々は、守るために力をつけねばならない。わが国はアメリカの犬ではなく噛み付く大神だということを教えてやらねばならん。

だが、ばれたら大神になる前にこっちの首が飛んでしまうので、君のように隠れた天才を要したのだ。どうだ?引き受けてはくれないか?」

 私のように陰に生きるものは生きていることを知らされず、死んでしまったことさえも知られない人間なのだ。

だからやつらにとって都合が良かったのだろう、たとえそれが犯罪者だとしても。

 失敗したら殺される。それはわかっていたが私にはとっても魅力的だった。

なぜか、私の懐に好奇心というものがわんさか詰まっていたからだ。

「良いでしょう、ペイとかはどのくらいですか?」

「高級官僚ぐらいはあるぞ。それに、研究費の上限は出来る限り無限に出させてもらう。」

「まあ、良いでしょう。」

 ああ、これは夢なのだろうか、科学を愛し続けた男にとってこれほど嬉しいことはない。

私は早速彼等が持ってきた資料に目を通し、必要な部分だけ全て自分の人差し指を少しきり、ハンコの代わりに押した。

「これでどうだ?」

「これで大丈夫です。後は私たちがあなたに必要なものを全てそろえますので。

明日、練馬区の第一自衛隊基地まで来てもらえないでしょうか?一様これがパスです。」

 男は資料を入れていたブリーフケースから話に出ていたカードを渡した。

「秘密とか言いながら。」

「あなたについてはきっちり基地内でやっているのでご安心アレ。それと、教祖様にはちゃんとお話しているので大丈夫です。

とはいえ、あの教団のフィクサーはあなたですよね?」

「よく調べてますね。あそこは治外法権だ、いろんな実験が出来てよかったよ。」

「その実験のために臓器ぬいたり角膜売ったりしてるんですか?」

「ふふ、彼等は喜んでくれますからね。」

「まあ、私の所轄じゃないから良いんですけどね。私の敵はわが国に危害を与えるやつらですから。それでは、そろそろ。」

 男はブリーフケースに全てをしまい、一度お辞儀をし、私からさっていった。

俺は狂ってた、でも、俺は楽しかった、でも、人を幾千も苦しめた。

 

その3

その夜、一様アイツの詳細についてきっちり調べてみることにした。

一様、噂に聞いていた自衛隊に潜む時代遅れの日本帝国軍人たちかもしれない。

確か名前は「わかりました、『まほらば』の工作員だそうです。」

 私の部屋に一人の男の秘書が入ってきた。彼は私が教団内で目をつけて、私独自の教育プログラムで極限まで賢くさせた男だ。

「ご苦労、やはり私が考えていた通り時代遅れの帝国主義のやつらだな。」

「はい、あの男は『まほらば』でもかなり優秀な闘士で200×年の某国大使館を一人で爆破したつわものです。」

「そうか、資料をおいてもう帰っていいぞ。それと、一様ボディーガードが欲しい、4人ほど選んどいてくれ。」

「は!それでは失礼します。」

 そういうと男は一礼をし、私の部屋から消え去っていった。

「『まほらば』か、意味は確か良い場所だったな。今更帝国主義を掲げても良い場所になるのだろうか?

まあ、私には関係のないことだが。」

 男が持ってきた資料をふつふつと眺め、どこかに盲点は無いか一様調べ上げてみた。

「『まほらば』は過激派のなかでも一番やばいところだ。巨大ヤクザ組織磯船会もやつらの表の顔、政府にも根を張っている。

一方、今私がやっている宗教団体『涅槃の扉』もそれと同じくらいの力はある。いざドンパチ起こしたところで耐えうる力は一様あるか。

骨川重工に協力要請も出来るしな。だが、最近骨川重工の動きが怪しい。これもきっちりチェックする必要があるな。」

 自分の目の前にあるパソコンのスイッチを入れて、秘書である男に骨川重工について探りを入れるようメールしておいた。


 私にはまだ悪を感じる心がなかった。いや、今も無いだろう。一生私は悪だ。

 

この話は続きます。

 


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