Nの悲劇
〜私とドラの10の約束〜

 

 

第7話 夕方の有事! 俺の家族を返せ

 ガッコー仮面は、剛田武を振り切るために、さまざまなブースに入っては出てを繰り返していた。

しかし、剛田武を振り切ることはできなかった。ぴったりとついてくる。
だが、疲れているのは同じだと言う事を自分に言い聞かせ、決して速さをゆるめなかった。 絶対に、逃げ切る自信があった。

剛田武(以下ジャイ)「てめえ、いい加減に諦めろ! もう通報されてるんだよ」

ガッコー仮面(以下ガッコー)「だったら何だ? 俺には、絶対に捕まれない理由があるのさ」

ジャイ「ふん、だったら俺にもあるぞ! 絶対にお前を捕まえなきゃいけない理由が!」

ガッコー「ああ、そうか」

ガッコー仮面は、ポケットから手榴弾のような形をしたものを取り出した。

ジャイ「ゲッ

 剛田武は、すぐに足を止めた。ガッコー仮面は、空に思いっきりそれを投げた。

『ズゥゥゥゥン!』

 大きな音がコミケの会場中に響いた。ガッコー仮面が投げたもの――それは、こけおどし手投げ弾だった。

同時に、空から無数の光線が差し込んだ。

その辺に居た人は、哀れにもこけおどし手投げ弾の餌食となった。ガッコー仮面は構わず、また走り出した。

 その頃ムナシは、とりよせバッグを抱え、こそこそとテイルズと描かれた看板の側のブースを抜け出していた。

ムナシ「やれやれ……どうして、僕はこんなことをしているんだろう……」

源静香(以下静香)「誰が、逃げてもいいって言ったの?」

ムナシは、すぐには目の前の女の子が自分を追っている者とは気がつかなかった。

ムナシ「やあ。 君も、『マシンガンズ』の雑誌買いにきたの? 僕は違うよ〜〜、春奈ちゃん派だもん

静香「のんきに買い物なんかしてる場合なの? でもいいわ、私があなたを捕まえるから」

そういうなり、ガッコー仮面に向けたように、瞬間接着銃を取り出した。

ムナシ「ま、落ち着いてよ(汗 僕はね、ガンジーとマザー・テレサを尊敬しているんだよ。何でかって? どちらもひぼ――」

ブシュッ!

 出てきた接着剤が、まっすぐにムナシの足のあたりにあたった。

ムナシ「や、やめてよ! 昔の劇団にいた頃に座長に買ってもらったボウリングシューズなんだよ!(怒)

静香「おじさん、今までボウリングシューズで走ってたの!? 今までよく逃げられたわね……でも、もう終わりよ」

ムナシは、静香の言った言葉がやっと分かった。接着剤が、地面と自分の買ってもらったボウリングシューズ(380円)がくっついていた。
それどころか、靴も脱げない。 ムナシは、やっと自分が動けないのだと分かった。

 これは、まずい。10歳年下の女の子に10000円盗まれた時よりもピンチだ。

静香は、ムナシの顔面に張り手を喰らわした。ムナシは、今まで何度も殴られた事はあるが、女の子に殴られたのは初めてだった。

ムナシ「ははは

静香「な、何がおかしいのよ」

ムナシ「いや、いいなあ、と思って。 ゲハ

静香「何よ、最後のゲハって!?」

 そのときだった。後ろから、赤いヘルメットの捕獲委員――が来たのではなかった。静香は、思わずじっとその現れた怪人を見た。
練馬区での捕獲委員をかく乱させたとの報告があった、茶色い怪人だった。

 ただし、静香はこの怪人に見覚えがあった。

ムナシ「おお! 僕って本当に運がいいなあ。 もうダメかと思ったときに、助け舟が来るなんて」

フクロマンの後ろに、明らかに見たことがある男がいた。 夕べ、通報した野比のび太の父親、野比のび助だった。

野比のび助(以下のび助)「ムナシ、大丈夫か!? 」

フクロマン「パパ、どう見ても大丈夫じゃないよ! なんかゴキブリホイホイに引っ掛かったゴキブリみたいになってるよ!」

ルルル……!

 源静香の携帯電話が鳴った。静香は、自分たちのチームが見限られたのだと知った。

静香は、黙って携帯電話を耳にくっつけた。

その間に、のび助はムナシと地面の切断作業にかかっていた。その辺にあったはさみで接着剤を切ろうとしたが、なかなか切れない。

ムナシ「ありがとう、兄さん。 僕、絶対捕まったと思ったよ」

のび助「何言ってるんだ、ムナシ。僕達、助け合わなきゃダメなんだよ!

フクロマン「近くにいた捕獲委員は、所詮人間だよ。22世紀で売られていた古銭をばらまいておいたよ、空から

ムナシは、ブースの中が空っぽなのに気づいた。あんなにいた人たちは、既にいなくなっていた。

ムナシ「なるへそ、道理で外がやけに騒がしいはずだ。一万円札を空から1億枚まけば、僕だって拾いに行くよ

 フクロマンは、適当にムナシの足のあたりにお湯をかけた。

ムナシ「熱っちい! 熱っついぞ君たち、昔の東大闘争よりも熱いぞ君達!

のび助「ああ、僕も昔は参加したものだなあ」

フクロマン「いや、パパ東大生じゃないでしょ」

ムナシ「そうだよ、早稲田生だよね、パパ」

のび助「違うよ、ムナシ。それはマスオさんだよ」

フクロマン「なあんだ、そうか。ハハハ」

静香「ちょっと! 何よもう、あんた達の会話だけでこの話を終わらせようとしているのよ!?」

 三人は、一斉に静香の方を向いた。静香の格好が、ガールスカウトの教官みたいになっていたので、たまらずに突っ込みそうになった。
しかし、突っ込む余裕はないほどの口の速さで、源静香は喋った。

静香「あなたたちのせいで、私たちはクビよ!(泣 どうしてくれるのよ、全く!
    これから、私とキャラクターがかぶってる集団が来るけど、絶対にあんな奴らに捕まらないでよ。それじゃあ

そういうと、源静香はブースを出て行った。

三人は、呆然としていた。しかし、とりあえずムナシと地面の切断作業にかかった。
お湯をかけては、空気ピストルを撃ったりして、何とか接着剤をムナシの靴から外させた。しかし、靴は離れる気配は無かった。

フクロマン「こりゃあ、もうダメだね。諦めなよ、ムナシさん」

ムナシ「いやだ! これは、大事な物なんだぞ

のび助「ムナシ、君の一度言ったらきかない性格のことは知ってる。でもな、オトナには諦めなきゃいけないときもあるんだぞ」

ムナシ「くっ……23!」

フクロマン「23?」

のび助「兄さんと言いたかったんだよな、ムナシ!(泣 お前の気持ちはようく分かるぞ!」

フクロマン「そうだったのか……」

 そのとき、誰かが思いっきりブースの中に入ってきた。フクロマンは、咄嗟に空気ピストルを向けた。

その誰かは、この話の主人公候補である野比のび太であった。

野比のび太(以下のび)「僕、ガッコー仮面に言われてここに来たんだ!」

そのとき、続けてガッコー仮面がのび太の後ろからやってきた。

ガッコー「生きてたのか、お前達……! 」

のび助は、いささか驚いたような顔をした。

のび助「き、君は……確か、のび太の家庭教師に来てた……!」

ガッコー仮面は、黙って頷いた。

ムナシ「机の引出しの裏に、エロ本を隠し持っているそうですがね」

ガッコー「黙れ。ケーブルテレビでやってる地方アニメの声優に、特別ゲストとして出すぞ。」

フクロマン「うっ! ……それはキツい」

ガッコー「ジャイアンからは、なんとか逃げ切ったがな。 のび太は、コミケの出口の方でバッタリ会ったんだ」

のび「いやあ、いいことってのは続くもんだね。何? 逆マーフィーの法則? やっと、僕達の時代が来たって感じだね」

?「そうはいかないわよ!」

のび助「え?今の声誰?」

ガッコー「折笠さんかな」

ムナシ「違うよ、釘宮様だよ」

フクロマン「違うよ、松雪泰子さんだよ」

 

何かいろいろあって集った5人組の前に、中盤最後の脅威が、姿をあらわした。

 

 

 その頃セルフ仮面とのび助の弟(柿を食べたいとぜがんだ)は、既に通報されていたことに気づいていた。
とにかく、身を隠さなければと『着せ替えカメラ』を取り出し、弟を男性ファッション雑誌の表紙に載っていた格好にした。
 しかし、その服は弟にはあまり合わない服装であった。

どのくらい合わないかというと、イケメンと呼ばれる男性にムナシの格好をさせるような酷さだった。

セルフ仮面は、『進路アドバイザー」』を取り出した。 弟に「妻と娘がどこにいるのか教えて下さい」とお願いさせた。

 すると、すぐに直・直・直と細い紙テープのようなものがとびだしてきた。

弟(柿を食べたいとせがんだ)「ねえ、こんなのあてになるの?」

セルフ仮面(以下セルフ)「まあまあ。22世紀の化学の力を信じてください」

弟「科学じゃないですか?」

セルフ「そうともいう……うん。それじゃあ魔土災炎になっちゃう

 そんなことを言いながら、歩いた。やがて、市街地を離れ、山道に入っていた。

僕のせいで、あいつらは今頃酷い目に合っているかもしれない。僕の居場所を言わせるために、拷問にかけられているかもしれない。
 南は、奈々ちゃんがいないと泣き出す。 今頃、大変だろうなあと弟は思いながら、腕の中の人形を握り締めた。

セルフ「あそこじゃないですかね」

セルフ仮面が指を指したところに、大きな廃工場があった。東京通信工業という看板が、さび付いて、夕方の光に溶けて光っている。

 セルフ仮面は入り口まで来ると、ひとさしゆびを口の前に当てた。その瞬間、大きな音が聞こえてきた。

?「もうすぐ、委員会の奴らが来るからな。それまで、黙ってわしの盆栽でも見てろ」

?「おじいさまの盆栽は、素晴らしいんですよ」

?「あはは、といってもこんな状況で盆栽の風情を楽しめ、というほうがムリなのかもしれませんけど」
その声の後に、ズルズルと何かをすする音が聞こえた。 なぜか、おいしそうなニオイもしてきた。

そして、すぐに聞き覚えのある泣き声が聞こえてきた。

南(弟の娘)「グス……パパぁ! 助けにきてえ! まだうんちしてるの、パパぁ!」

弟の妻「南、パパはね、トイレに行かなきゃいけなかったの。パパを責めないで……
     私たちが捕まっても、パパがきっと逃げ延びて、私たちを助けてくれるわ」

南「うぇふ……」

 弟は、耳を疑った。聞こえてきた、自分の家族の声が。弟は、すぐに走り出そうと――した。
しかし、がっちりとセルフ仮面に腕を捕まれていた。

弟「離してくれ! 僕は、僕は――!」

セルフ「あなたの気持ちは、よく分かります。ですが、あなたを行かせることはできません」

弟「何でだよ! 僕のせいで、家族が捕まったんだぞ」

セルフ「あなたのせいではありません。排泄は、人間の生理現象なのです

弟「だったらなんだよ! 僕は行く」

セルフ仮面は、弟が振りほどこうとしている腕を、絶対に離さなかった。

 そのときだった。ラーメンの匂いと共に、奴が現れた。

ラーメンが好きな小池さん(以下小池)
「ズルル……エサがのこのことやってきたな……
委員長の言うとおりだ」

セルフ&弟「!? 」

 

 小池さんはカップラーメン(醤油味)をその辺にほうると、ゆっくりと銃らしきものを取り出した。

セルフ「早く、弟さんは逃げてください。 早く!」

小池「おっと、それはどうかなあ」

 小池さんは、後ろを指差した。二人は一斉に、そこを見た。廃工場のすぐそば――
小さな倉庫の引き戸が開いたかと思うと、わっと赤いヘルメットの波が出てきた。しかも、全員小池さんと同じ銃を持っている。

弟「う……うそだろ?」

セルフ仮面は、目算で捕獲委員の数を数えた。ざっと、70人は居るだろうか。それから、自分の手持ちの道具を、チラッと見た。
 何とかするしかない。でも、ここで全員捕まるのは非常にまずい。

捕獲委員が、少しずつ詰め寄ってくる。

弟「卑怯だぞ! 最初から、僕達がここに来ると思って……!」

小池「そうだよ。君たちが、その男の道具を使って、なんとしでもここに辿り着くと思っていたよ。
    一人や二人、見捨てればいいのに。バカだなあ。 まあ、そのおかげで君たちもまとめて確保することができたんだけど」

セルフ仮面は、ガンジョウを取り出した。粒を二つ取り出し、その一つを弟の手のひらにもぐりこませた。

弟「な、何だよこれ」

セルフ「早く飲んでください。これを飲むと、体が固くなります。銃の弾があたっても大丈夫です。 家族を助けるんでしょう?」

弟は、小さく「ありがとう」と呟くと、その粒を飲み込んだ。

小池「何をこそこそやってるんだい?」

セルフ「悪いですね、ラーメンマン

小池「ラーメンマン? 人がラーメン食べてるだけで、変なあだ名をつけるな。いいから、そこを動くなよ」

 そういわれたとき、もう弟は動き出していた。小池さんは、左手を振り上げた。

小池「撃て!」

 一斉に、捕獲委員が睡眠銃を発砲した。睡眠銃から吐き出された弾は、当たった者を眠らせる。
それがロボットであったとしても――

 捕獲委員の何人かがうめいた。弟は、工場の隙間に飛び込んだ。頑張れ、弟(柿を食べたいとせがんだ)君!

小池「何をしたかは分からないが……とりあえず、君の道具を没収させてもらうよ」

セルフ「嫌だと言ったら?」

小池「何だと?」

セルフ仮面は、無敵ホコとタテ全自動式を取り出した。

セルフ「全員、かかってきください」

 

弟(柿を食べようとせがんだ)は、急いで、家族に巻きつけられたロープを外そうとしていた。

南「パパ! (涙」

妻「何で来たのよ!? ここの人達は、あなたをおびきよせるために私たちを捕まえたのよ!?」

弟「おびきよせだっていい。 僕は、君たちを助けるって決めたんだ」

そのときだった。後ろの方から、声が聞こえてきた。
弟が振り返ったとき、その老人の一歩手前の男性と、その親戚の女の子であるミズエが盆栽を持ちながら、こちらを見つめていた。

弟「お前らか、僕の家族を連れ去ったのは」

神成「いいや。それは、外に居る小池くんの役目だ」

弟「だったら、お前らは何者なんだ!?」

 神成は、ミズエに鉢を渡した。それから、自分の背中から竹刀を取り出した。

ミズエ「ただの、技術者です」

神成は目にも止まらぬ速さで、竹刀を弟の頭に振り下ろした。 剣道の達人の前では、弟はなす術もなかった。

弟は、思った。どうして、僕の頭は痛いのだろう? 確か、セルフ仮面君から……体を固くしてもらったのに……。

妻「あなた!」

南「創価学会のことかーー!!」

神成「!? 嫌な響きだ……わしの昔の友達を思い返すな」

そういいながら、目を見開いたまま倒れている弟の手にロープを結び始めた。

弟の妻は、足で思いっきり神成の腰を蹴飛ばした。

妻「私の夫に、何をしたのよ!」

神成は、竹刀を拾い上げながら、立ち上がった。

神成「なあに、ちょっと試し打ちをしただけさ」

神成はニヤリと笑うと、妻の頭の上にも、その竹刀を振り下ろした。

どっと、夫婦折り重なるように、妻は弟の体の上に倒れこんだ。

南は、神成を怖いものを見るような眼で見ていた。次第に、また涙がこぼれ始めた。

南「パパーッ!ママーッ!」

神成さんは、竹刀を自分の背中に差すと、今度は娘の南の所に、近寄った。

南「ぐるな!鬼!ハゲじじい!」

神成さんの頭の奥で、何かの線が切れた。しかし、南の頭をなでながら言った。

神成「大丈夫だよ、ほら。もう、家族みんな揃っただろう? これで仲良く、みんな逝けるぞぉ」

ミズエは、盆栽の中にある、大きな装置をいじくりまわしていた。

 

セルフ仮面は、最後の一人を完全に気絶させると、一息ついた。

つい10分前まで居た捕獲委員は、半殺し状態になって転がっていた。金の力は、ここまで人を変えてしまうものなのか。
セルフ仮面は、改めてこの計画に恐怖を覚えた。 国民を、統一する――

 すぐに、工場に入った弟のことが頭に浮かんだ。さっきから、物音一つ聞こえない。一体、どうなっているんだ?
もしかして、弟も捕まったのか? ガンジョウを飲んでいるのに?

 セルフ仮面が、怪我した右足を引きずりながら、工場の中へ入ろうとしたときだった。
誰かが、セルフ仮面を呼び止めた。

小池さんだった。確か、一番先に自分に突っ込んできて、自分が突き出したホコの一番先に餌食になったのだ。

小池「……残念だったな。俺達はおとりだ。見事に引っ掛かったな」

セルフ「どういうことだ?」

小池「しょうゆうこと! ……お前の仲間の家族を連れ去ったのはな、お前らみたいな小物をおびきよせるためだけじゃない。
    この工場の中の、転送用装置のモルモットにするためさ!

セルフ「転送……だと!?」

小池「ああ。工場の中には、一度しか使えない、東京の留置場への転送用装置がある。
    この工場はな、その転送用装置が使えるかどうかのテスト場だったのさ。今頃、そいつらは東京の留置場に居るだろうな。
   お前が俺達に気をとられている間に、お前の仲間も、家族も全員転送されたんだよ。
   この転送用装置の量産が認められれば、思想犯罪者の護送中の逃走が防げる。お前らも、夕べの夜にやっただろう?
   そういうことが、なくなるんだよ。 この装置は、世界への輸出も決まるだろうな……物体を移動する装置!
    この工場の中に居る奴等は、その装置が使える技術者さ。 だが、一人、めちゃくちゃ剣道が――ふぶっ!

セルフ仮面は気がつくと、小池さんの顔面を無敵ホコで突いていた。

小池「ひ……ひとの……話は……最後まで……ガクッ」

 セルフ仮面は工場の中へ飛び込んだ。

そこには、誰も居なかった。ただ、工場の壁際にたくさんの盆栽が置かれていた。
その奥に――何かバカでかい機械があった。その機械の下に、人形が落ちていた。

セルフ仮面は、すぐにその人形を拾い上げた。弟(柿を食べたいとせがんでいた)は、この工場に行く途中で話していた。

南は、奈々ちゃんが居ないと泣いちゃうんです――

セルフ仮面は人形をぎゅっと抱きしめると、すぐそばにあった盆栽を蹴り飛ばした。連鎖するように、盆栽が6、7つほど割れた。

また、助けられなかった……。

 

 

午後3時25分 東京の有明にて、第2波である特殊部隊が野比の一団に遭遇。

午後3時30分 野比の一団が、姿を消す。発信機の作動により、神奈川方面に向かった模様。

午後4時7分 捕獲委員65名が茨城のテスト工場に到着。拘束した野比二人を確保せずに、待機。

午後4時23分 野比らしき人物、テスト工場に到着。捕獲委員が、確保に。

午後4時30分 野比の家族3名を転送。東京留置場で確保確認。

午後4時48分 確保に向かった捕獲委員65名のうち、58名が重傷を受けたことが報告される。
        容疑者であるアラビアに居そうな男の指名手配も追加。

(第1回名字狩り推進委員会メインコンピュータより)

 

 

第8話 感じろ……作戦会議の重要さを

 

午後4時になる少し前、骨川スネ夫は、悔しそうに紙袋を握り締めながら、グチを言っていた。

骨川スネ夫(以下スネ)「もう! ジャイアンのせいだよ、むやみに怪人を追いまわしたりするから!(泣」

 その前に、剛田武は歩いている。

剛田武(以下ジャイ)「お前こそ、仕事ほっぽり出して買い物かよ? これだからオタクは」

スネ「違うよ、マニアだよ!」

源静香(以下静香)「もう、二人ともケンカはやめてよ! 逃げられたから、こうして追ってるんじゃない!」

 この三人は、『野比捕獲特別部隊第1波』として、コミケの会場に送り込まれた。
しかし、またも怪人に邪魔され、野比の集団を逃がしてしまったのだった。 

 一度は肩を落とした3人だったものの、台場から離れてレストランに入ろうとした直後に、電話があった。

『第2波も、捕獲に失敗した。 神奈川方面に逃げている模様』

 3人は、仲直りして今度こそ野比を捕まえるということになった。

静香「もし、このまま逃げられたら……どうしよう」

スネ「静香ちゃん、大丈夫だぜ。俺が、そうならないように捕まえてやるんだからよ」

スネ「そんなこといって、また上手い事逃げられたりして……」

ジャイ「テメェ! もう一度言ってみろ。 暴漢に襲われた戦前の大臣みたいにして、東京湾に沈めるぞ

 

ところで、なぜか野比のび太含む5名は、何とか台場から脱出していた。その理由は、以下のとおり。

 

午後3時25分。 野比の集団の前に、謎の集団――これも、野比と同じ5人組だった――が現れた。

月形まる代「月の戦士! 月形」

花賀さき子「花の戦士! 花賀」

ぼた子「力の限り! ぼた子」

ぼた子の親戚の女の子「空虚な限り!」

ムス子「……」

 そこには、平均年齢が引き上げられている女子グループが5名並んでいた。

とりあえず、のび太は目の前の5人組に話し掛けた。

野比のび太(以下のび)「君たちも、サイケに来てたの

ムナシ「コミケだよ」

ぼた子「いいや! お前らを捕まえにきただけさ」

ぼた子はそういうと、指の骨をボキボキと鳴らした。のび太は、まるで女版ジャイアンだなあと思い返した。

ぼた子の親戚の女の子「あなたのせいで、私は無理やりアメリカから連れてこられたのよ!どうしてくれるの?」

のび「い、いやあそんなこと言われても……」

フクロマンは、すぐにキューピッドの矢を出した。

フクロマン「どう? もう一度、射抜かれたみたい?」

ガッコー仮面(以下ガッコー)「バカ、早まるな。とりあえず、逃げるぞ」

野比のび助(以下のび助)「そうだよ。僕は、女の子を傷つけようとは思わない」

ぼた子「おい、てめえ!黙って聞いてりゃぁよお……女をなめんじゃねぞ、コラ」

のび「別に、バカになんかしてないよ。……君がちょっとだけ迫力があるだけで

ぼた子の親戚の女の子「あなた、今何か言った?」

フクロマン「いや、マジ僕の好みなんだけど。キューピッドの矢、使わせてよ」

ガッコー「落ち着けって言ったろ。……おい、どうしたムナシ?」

ムナシ「いや、トイレ行きたいんだけど、小の方」

ムナシは、飛び跳ねながらトイレタイムを要求した。それを見たぼた子とムス子以外の女性陣は、顔を赤くして抑えた。

月形「セクハラよ」

花賀「乙女の前で何て失礼なの、おじさん」

そのとき、ムナシが空気を読めずにさらに発言した。

ムナシ「乙女って意味知ってる?僕は知ってるよ、大学時代に先輩から聞いたんだよ。しょ……

ガッコー「いいから、お前はトイレに逝ってろ」

ムナシ「ご、ごめん」

ムナシは、足早にブースを出て行った。のび助は、ムナシが上手くブースから出て行ったことに目をつけた。
 この調子で、みんな逃げればいいんだな。

のび助「じゃあ、僕もトイレに行こうかな」

ぼた子「待てよ。上手い事いって、逃げるつもりなんだろう?」

フクロマン「ドキィ!」

ぼた子の親戚の女の子「やっぱりね。本当に下品な人たちね……リーダー、この人たち、どう処分します?」

のび「え?リーダー?」

 ガッコー仮面は、のび太親子をかばうように構えた。

ムス子「私だよ……リーダーは」

 そういうと、セーラー服のリボンを少しだけ触った。

フクロマン「本当に実在したんだ……セーラー服が似合わない女子高生、37年連続第1位の!?

のび助「おまけに、表情が一度も変わらなかった時間が18年というギネス記録も持っている……

のび「そんな……かてっこないよ」

ガッコー「いや、別に勝たなくても……逃げるぞ」

ムス子「私に勝てば、逃げる許可を与えても……いいぞよ

フクロマン「なぜに殿様口調!?」

のび「いいだろう」

のび助「のび太、安請け合いしちゃダメだ」

ぼた子「もう遅い」

ガッコー「くそ……のび太のバカ野朗」

ムス子「勝負は簡単……私を笑わせてみろ」

 

ガッコー「そう言うと思ったよ」

 そういうと、すぐに表情コントローラーを取り出した。ムス子は、ムスッとした表情をさらに増長させた。

のび助「そうか! それがあれば、表情を変えられるんだな」

ムス子「ひ、卑怯だぞ、貴様ら」

 

2分後、既に野比の集団はコミケの会場から消えていた。

 

月形「私達……存在意義、あった?」

花賀「ないない」

 

 

そして、何だかんだで神奈川の隅の方の山北町の廃ビルに来ていた。その時には、もう5時前だった。

のび「いやあ、バカでよかったなあ。おかげで、みんな捕まらずにすんだよ」

のび助「ああ。この調子だったら、簡単に逃げ延びられるんじゃないか?」

フクロマン「甘いよ! 政府が、このまま黙ってるわけが無い」

ガッコー「そうだな……とりあえず、最後の作戦でも立てるかな」

ムナシ「さ、最後って?」

フクロマン「この中で、地図を持っている人は居ませんかあ?」

のび助は、買ってきた地図を広げた。ガッコー仮面は、その地図のしわをとりながら、今後の方針を話し始めた。

ガッコー「これから、一切ギャグ無しのマジな話になる。いいな?」

のび「ええ? それじゃあマズいよ」

のび助「そうだぞ、ギャグは無いんだぞ。ナイナイの岡村だぞ」

ムナシ「兄さん、それ全然意味わからないから!」

 フクロマンは、一人でカップヌードル(カップスター)をすすっていた。

それを見た瞬間、一斉にフクロマン以外の4人のお腹が鳴り出した。

のび助「お腹すいたなあ……玉子の作ったハンバーグステーキが食べたいよ」

のび助は黙ったまま、地図の上に赤ペンをトントンと突いた。

のび「ママ……離婚届け出したけど、まだ離婚してないよ? 早く、普通の生活がしたいよ」

フクロマン「あ、のび太君に言い忘れてたんだけど……野比玉子はね……片岡玉子になっちゃったんだよ

のび「そんな……ニ岡と結婚しちゃったの?」

のび助「いや、そうじゃないんだよ……うううん」

ガッコー「はっきり言えばいいじゃないかよ、今日の朝に離婚したって

のび&ムナシ「な、何だってェエェェェェェェェェェ!!??」

のび「り、離婚?離婚離婚離婚離婚……」

ムナシ「そんな……兄さん、浮気でもしたの? キャバクラの女の子達は、兄さんが好きなんじゃないよ♪
     兄さんの財布の中身が好きなんだよ!」

のび助「そんなこと知ってる!(怒) でもなあ、男には付き合いでキャバクラに行くことだってあるんだよ」

のび「……そんな……」

フクロマン「ズルル」

ガッコー「終わったものはしょうがない……フクロマン、グルメテーブルかけを貸せ。最後の晩餐と行こうか」

のび「こんな気持ちで、ご飯なんか食べられないよ。パパも、ねえ?」

しかし、のび助は平然とタラバガニのラザニアを口にしていた。

のび助「のび太……ママはな、昼前に、僕を捕まえようとしたんだ……」

のび「え……ママが……寝返ろうとしたの?」

フクロマン「マイナスなことはよく知ってるんだね、モグモグ」

 フクロマンは、あっという間に自分の分のカレーライスとお子様ランチと、スイーツと呼ばれだしたデザートをたいらげた。

ムナシは、昼間食べられなかったカレーライスとピラフと、31のアイスクリームの3分の2を、貪っていた。

ガッコー「食わなきゃ、力が出ない。さっさと食えよ」

 しかし、のび太は何も食べなかった。ショックがあまりにも大きすぎた。自分を叱った人間は、もう居なかった。

 人生で初めて、ジンジャーエールを飲んだ。

 

フクロマンは、時計を見ながら「6時になった」と言った。既に、廃ビルの中は真っ暗だった。

ガッコー仮面は、のび助の買った関東地方いっぱいの地図を広げた。

ガッコー「いいか、今度こそギャグ無しだ。最後の作戦会議だ、いいな?

のび太の肩に、ムナシがよりかかってきた。のび太は、必死でムナシの体を突き飛ばした。そのまま、ムナシは倒れた。

ムナシ「もう、僕は眠いよ……昨日から一睡もしてないんだよ?」

そういいながら、自分の靴下を触りながら言った。結局、彼はボウリングシューズを脱いでから、靴を履いていなかった。

のび「そうか、僕は一度寝たけど、ムナシさんは寝てないんだ……」

のび助「それを言うなら、僕も寝てないよ」

ガッコー「情けないな。 捕まりたいのなら、寝てもいいぞ」

フクロマン「そんな、30人31脚のSPに出てくる、小学生相手に本気に説教してる鬼監督みたいなこと言わないでよ!

のび助「フクロマン、具体的な説明ありがとう!(涙 」

のび「ねえ、少しぐらい寝させてあげようよ」

ガッコー「……『睡眠圧縮剤』を出せ

フクロマン「ガッコー仮面……!(涙」

 フクロマンはガッコー仮面の懐の深さに感動しながら、睡眠圧縮剤をムナシに渡した。

これを飲んで寝ると、1時間の睡眠が10時間分になるという、夢のようなクスリである。

 

ガッコー「……(怒) 三回目だが、今度こそ、マジな話だぞ

のび「そんな深刻な話しなくても、大丈夫だよ(笑) ここにずっと居れば、見つからないと思うけど」

フクロマン「のび太の言うとおりだよ。 バトル・ロワイアルでも川田が言ってたよ。
       『このゲームはな、じっとしているのが比較的賢い行動だ』って」

ガッコー「……ちょっと待て。今、セルフ仮面から連絡だ」

のび助「ああ、そっちにも一人いたんだっけな……やれやれ、でも後数時間だ。数時間逃げれば、僕達の勝ちだ」

ガッコー仮面「……そうか。分かった」

フクロマン「どうしたの?」

ガッコー仮面は、学生服のポケットを探りながら言った。

ガッコー「ああ……まず、一つ悪い知らせだ」

のび「え? ジャイ子が漫画家デビューしたの?

ガッコー「違う。 茨城に行ってた、お前らの親戚が捕まったんだよ。三人も、だ

のび助「そんな……まさか、弟(柿を食べたいとせがんだ)の家族が。捕まったのかい?」

ガッコー「そのようだ……セルフ仮面は今、のび郎の残した家族が居た、壁紙ハウスの中で休んでるらしい。
      指示を出せ、とのことだ」

フクロマンは、ふうとため息をついた。のび助は、悔しそうに歯噛みしていた。

のび「だ、大丈夫だよ! ここに居れば――」

ガッコー「いや。多分ここに居られるのは、夜の7時くらいまでだろう。間違いなく、嗅ぎつけられる」

のび太は、露骨に嫌な顔をした。

のび「どうして、そう決め付けるんだよ? 案外、市街地とか……横浜とか探してるかもよ?」

ガッコー「本当に、そう思うか? もう、とっくに俺達の行動パターンは読まれてるんだよ。分かりやすく、田舎に逃げたのが致命的だったな

のび助「じゃ、じゃあどこに逃げれば良かったんだよ? そもそも、君たちが早く来れば、他のみんなも助けられたかもしれないんだぞ?」

のび助は、必死で反論した。

ガッコー「俺は頼まれただけだ、ドラえもんに。でなけりゃ、お前らなんか助けに来なかった」

のび助「ほ、本気で言っているのか?」

フクロマン「うん、本気じゃなけりゃ、こうでも言わないよね」

のび「みんな、ケンカなんかしてる場合じゃないよ」

のび助&ガッコー「お前のせいだろうが!(怒)」

のび「うう……」

フクロマン「けど、とにかく早く次の行動を決めなきゃ」

ガッコー「……とりあえず、三手に分かれるか」

のび助「三手? 二手なら聞いたことがるが……」

のび「つまり三つの手に分かれるってことだな」

フクロマン「まんまじゃないか!」

ガッコー「俺とのび太、のび助とフクロマン、ムナシ

のび助「何ッ? ムナシは一人になっちゃうじゃないか」

ガッコー「別にいいだろ。こいつ、のび太より足手まといだし」

 

のび「そんな……このまま、ムナシさんを置いていけって言うの?」

フクロマン「いや、別にそんなこと言ってないよ」

のび「でも、そう言おうと思ったんでしょ?」

フクロマン「勘違いしないでよ! こいつは、そんな奴じゃないよ。なあ、ガッキー?

ガッコー「ガッコー仮面だ(怒) ああ、のび太の言うとおりだ。俺達は、コイツを置いて逃げるのが得策だと思う」

のび助「ムナシをおとりに使えっていうのか?」

ムナシ「ん……むにゃ。泰子さん、僕はしにましぇ〜ん!」

のび「……確かに、置いていった方がいいかも」

バシッ!

のび助が、のび太の頬を叩いた。のび太は、思わずのび助を見た。

のび助「バカ野朗! それでも、僕の息子か? 人を出汁に使って逃げる何てなあ、臆病者のすることだぞ!
     俺はな、お前をそんな人間にしたくないんだよ……」

のび「パパ……僕、間違ってたよ。パパがおとりになるんだね!

のび助「いや、そういうことが言いたいんじゃなくて、ね?」

ガッコー「なるほど……自分からおとりになりたいとは志願するとはな……」

フクロマン「パパ、本気なの?」

のび助「ちがぁぁう!(怒) 別に、そんなんじゃねえから。麻生の総理のポスト、ねぇから!

のび「違うよ、閣下は絶対にチンパンを追い出して、総理になるんだよ

フクロマン「チンパン? チノパン? 千野志麻?」

ガッコー「いや、まあ別におとりはいなくてもいいんだがな」

のび「そうなの?」

ガッコー「とにかく、3つに分かれる。バラバラに分かれて、政府の勢力を分散するんだ。
      そうすりゃあ、かく乱くらいはできる。 とにかく、全員が捕まらなければいいんだけどな」

のび助「なんだ……そういうことなら、早く言ってくれよ……」

ガッコー「ただし、最後の一人が重要なんだ。誰か、泳げる奴が居なくちゃいけない

のび「な、何で?」

のび助「誰かが、相模湾に飛び込まなきゃいけないんだよ」

のび「そうなの?」

ガッコー「その通り。 だが、それだけじゃない。東京湾に向かって泳いでもらう

フクロマン「やっぱりおとりじゃないか!(泣 」

ガッコー「最後まで聞け。 そいつには、千葉まで行ってもらう」

のび「どうして、また千葉へ戻るのさ?」

ガッコー「実は、さっきセルフ仮面から内部情報が届いた……。茨城の捕獲委員の隊長が、データを持っていたらしい。
      捕獲委員の内部情報だ。政府のまでは分からなかったがな……、意外にも、千葉の捕獲委員が1番少ないらしい。

     それに、千葉と東京の奴らも、大体の奴らが神奈川に向かっているはずだぞ」

のび助「それじゃあ、神奈川に残った4人が、危ないじゃないか」

ガッコー「心配するな。俺は、タケコプターを3つ持っている。フクロマンは、飛べるだろう?
      後は、残りの3人がタケコプターを使う。 それで、とりあえずは神奈川から埼玉・群馬へ行く」

フクロマン「僕、飛べんじゃん」

のび「その意気だ!」

のび助「ううむ……空に逃げるのか……それじゃあ、今度は逆に海に行く方の1人が不利じゃないか

ガッコー「この中で、泳げる奴は居るか?」

のび「僕はムリだよ。パパも、ねえ?」

のび助「な、何だって? 僕は、少しは泳げるよ」

ムナシ「むにゃ……僕は、高校のときにラスト・スイマーと呼ばれた……」

のび助「……ムナシ、頑張れ」

のび「結局、海に逃げるのはムナシさんしかいないのか……」

ムナシは、自分の境遇を知らずに、ぐっすりと眠っていた。

ガッコー「最後に、最終兵器の『月のツキ』を渡しておく。 とりあえず、3等分しておくか」

のび「ええ? それじゃあ、運が1時間になっちゃうよ」

フクロマン「しょうがないよ、のび太君。僕は、とりあえず寝る」

ガッコー「お前も寝るのかよorz」

 そのときだった。今まで真っ暗同然だった廃ビルの中が、急に明るくなった。

のび「え? 何々?」

フクロマンは、全員にひとさしゆびを口の前に出すしぐさをした。ガッコー仮面は黙って頷き、奥の部屋へと走った。

フクロマン「政府の連中が、ついにここに来たのかも

のび「大丈夫なの?」

のび助は、ムナシをたたき起こした。ムナシは、一向に起きる気配がない。のび助は、自分がのび太を置いていった記憶が甦った。
僕は、起こさなくちゃいけない。

ムナシは、のび助の30回目の張り手で、やっと起きた。

ムナシ「え? もう終わったの?」

のび助「まだ終わってない。これからだ、ムナシ」

のび助は、黙ったままムナシにえ海底探検ごっこ関連の道具を渡した。

ムナシ「ん? 隕石でも落ちたの?

 

午後6時 野比の集団が、神奈川県山北(やまきた)町に居る事が発覚。

午後6時12分 捕獲委員4300人が、神奈川山北(やまきた)町へ。

午後6時16分 発見。確保に向かう。

(第1回名字狩り推進委員会メインコンピュータより)

 

この話は続きます。

 


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