第九章「暴走」
(記:すずらんさん)
一方で、街では例の「アルティメットシイング」が暴走していた。何人もの人が血まみれで倒れている。
先ほど、団体に電話をかけた尾崎哲也は、いつの間にかここへ来ていた。一人の留学生の女の子が哲也のところへ走ってきた。
「助けて。変な奴が暴走してるの!」
そんなことはとっくに知ってる。でも、どうすればいいのかわからなかった。その子に返す言葉がなかった。
「何してるの。早く警察とか救急車を呼んでよ。あんた携帯あるんでしょ」
哲也は何の意味もないと思いつつ、携帯を取り出して救急車と警察を呼んだ。
数分後、救急車とパトカーが来た。怪我をした人たちが次々に運ばれてゆく。警察も、暴走する”変な奴”を倒そうとするが、
結局ほとんどがやられた。
「早く周りの人たちを非難させないと」
少女は哲也の手を引っ張った。しかし、哲也は少女の手を振りほどいて逃げたどこへ行くのかは本人も知らない。
ただ、その少女の瞳が純粋すぎて、”あいつら”のせいにした自分が腹黒く思えたから、その少女から離れたのだ・・・。