第四十四章
「冷戦時代」
(記:抹消さん)
第6感が俺の背中を稲妻のように駆け巡る。
本能的に俺と近い何かを感じた。
あの研究室の牢屋にぶち込まれているとき、体を触られたり切られたり薬をぶち込まれたときにいつも近くで感じていたあれだ。
二人っきりの監獄の夜
俺は興奮のあまり寝台からは寝起き、牢屋の窓から月を眺めた。月を眺めていくうちに腕から異形な音が出始める。
骨を鳴らす音
肉がち沸き踊る音
ああ、うつくしい外にいる「君達」へのレクイエムだ!
すると下のほうから声がする。
バベンスキーの声だが、なんだかいつもと違う恐ろしい声だった。
「興奮するのか、お前はまたあの殺人マシーンへと戻ってしまうのか?」
あの時のこと、さすがにやりすぎたと反省している。
でも、興奮してしまうのだ。
「なあ、アンタ俺の昔を知っているみたいな口ぶりだが、教えてくれないか?俺の過去を」
バベンスキーは手をあごの下に回し、少し考えてから独房の片隅にある木製の年季の入った椅子に足元を見ながら座った。
「あまり思い出したくないことだが、お前を抑える精神剤になるかもしれないな……いいだろう、教えてやる。だが、後悔するなよ…」
聞くからに俺が気が狂いそうな話をしそうだった。
だが、俺には硬い覚悟が出来ていた。
「よろしく頼むよ。」
バベンスキーはその重い頭を上げ、俺に語りかけた。
「まず、忘れもしない冷戦時代の話をしてやろう。おれは、ロシアのエージェントそしてある部門の科学者で、赤い疾風と
いうコードネームをもらっていた。1953年確か冬の時期にアメリカ軍が俺の所属していた生物工場に攻撃を仕掛けてきた。
そのメンバーにはウラジオストック核工場を単独で撃破した兵がいた。コードネームはブラックピーターパン
その本名は深田 狂四郎という。」
深田狂四郎…コレは俺が日本にいたときに使っていた名前だ!
「もうわかったろう、君はすでにアメリカ軍の統治下にあったんだ。」