有無を言わさず蓮はキョーコを自宅へ持ち帰った。

独りで住むには広すぎる、マンションへ。










【OFFICE LOVE ――――最上キョーコの受難A――――】










初めて来た時はその広さやその他諸々に呆然としていたキョーコも今ではもう慣れたものである。

会議室の一件で文句を言う気力も失せたのか、いつもなら強引な蓮にささやかな抵抗を見せる
キョーコは、今夜は道中おとなしくついて来た。


玄関に入り、蓮はキョーコを抱き寄せるとその唇を奪った。


「んっ……」


容赦なく、官能を呼び覚ますように、柔らかい舌をなぶる。

身動ぐ躯を押さえつけ、そのまま抱き上げようとした蓮だったが、キョーコに胸を押されて躯を離した。


「………もう、待って下さい……!」

「ヤダ」

「ヤダじゃなくてっ!シャワーくらい、使わせて下さい!!」

「ええ〜、そのままでいいじゃない」

「私はヤなんですっ!」


そう言うとキョーコはするりと身をかわし、蓮から離れた。

蓮は苦笑して、肩を竦める。


「そんなに浴びたいなら、どーぞ。あ、洗ってあげようか?」

「〜〜〜〜結構です!!」


真っ赤になって、ぱたぱた走り去ったキョーコに、蓮は含み笑い。





今夜も、楽しくなりそうだ。










まったく、もう……!

勝手知ったる他人の家、とばかりにキョーコは脱衣所に入ると、半ば自棄でさっさと服を脱いだ。


蓮が強引なのはいつもの事だが、今日は更に理不尽だった。

会社でのこともそうだし、そもそもキョーコは何も悪いことなどしていないのに
『お仕置き』とはどういうことなのか。

まあ、正論を振りかざしたところで蓮に口で勝てる訳もない。

諦めたように溜め息を吐き、鈍感も過ぎれば罪なんだよね、と、自分がもてる事に全く気付いていない
キョーコに対して蓮が思っていることなど露知らず、キョーコは浴室に入った。





熱いシャワーで躯に付いた泡を洗い流しながら、ふとキョーコは思った。


『お仕置き』って。

一体、蓮は何をするつもりなのだろう。

数時間前のアレは、あの場所でキョーコに躯を開かせること自体がペナルティだったのだろう。

しかし、蓮の自宅で、誰にも邪魔されることのない、密室で。

一体何をされるのか?

想像もつかないが、何故か躯の芯が熱くなってキョーコは身震いした。


や、だ………まるで期待してるみたいじゃないの、私……!!


普段の二人のセックスだとて、それなりに、結構、いやかなり…………
一晩の回数やら体位のバリエーションやら…………普通の恋人達に比べて激しいものだったのだが、
蓮との経験しかないキョーコはそんな事など知る由もない。

ただ、『お仕置き』というからには、いつもよりももっと恥ずかしい思いをさせられるに、違いない。

乱れさせられるに、違いない。

そう思うだけで、キョーコは自分が濡れ始めている事に気付いて真っ赤になった。


バカバカ、何考えてるのよ私ったら…………!!


心中で悶々とするあまり、浴室の扉が開く音にもキョーコは気付かなかった。


「…………何百面相してるの?」

「……は……?って、なんで入って来るんですかーーーー?!」

「え?オレもシャワー浴びたかったからに決まってるじゃない♪」

「後にして下さいよーー!」

「時間の節約だよ☆」

「〜〜〜〜〜〜!!」


まんまと浴室に入り込んだ蓮は、口をぱくぱくさせているキョーコの手からシャワーのノズルを取ると
自分の躯をざっと洗い流し、湯は出ている状態のまま壁の金具に固定した。


そして蓮はキョーコを引き寄せると両手で頬を挟んで顔を上向けさせ、その唇を塞いだ。


薄く開いたキョーコの咥内に舌を差し入れて、中に潜むキョーコの舌を探り出す。

絡めて吸って、甘く噛むと、キョーコが震えてその両腕が蓮の首に絡まった。


こっそり笑って、蓮はキョーコの躯に手を這わせる。

頬から首筋へ、肩を撫でて胸元へ。

丸いふくらみを下から掬い上げるようにして揉み、先端を指の間に挟むと、キョーコが吐息を漏らした。


「んっ………」


暫くその柔らかい感触を楽しんで、蓮の手のひらはまた移動する。

左手でキョーコの腰を引き寄せると、蓮は右手をキョーコの双丘の間に滑り込ませた。

そっと中指を押し込むと、そこは明らかに湯以外のもので熱く濡れていて。


「もう濡れてるの?」

「やっ……違っ……」

「うそばっかり……なに?お仕置きの続き、そんなに楽しみ?」

「そっ…なことっなっ……ん!」


心の中を見透かすような事を蓮に言われ、更に熱く疼くそこに指を埋め込まれ、
ゆっくり抜き差しされて、 キョーコは真っ赤になって蓮にしがみついた。

まだ羞恥心を捨てきれない心とは裏腹に、キョーコの躯はより強い刺激を欲して揺れてしまう。

あっさり落ちようとしているキョーコに満足し、蓮は指を引き抜くとキョーコの躯を離した。


「……え…?」


不安そうに自分を見上げるキョーコに笑って見せると、蓮はキョーコの躯を浴室の壁に凭れさせた。


「ひゃん………!」


冷やりとした壁の感触に躯を震わせるキョーコの前に蓮は跪き、涙目で見下ろすキョーコの瞳を見つめた。


「見せてご覧?」

「ぁ、やぁっ………!」


否定の言葉を呟いても、キョーコの躯は動かない。

蓮はキョーコの脚を少しだけ開かせると、その間をじっくりと鑑賞した。


薄い叢を蓮が長い指で掻き分けると、現れる真っ直ぐなライン。

そっと押し開くと、綺麗なピンク色の花が咲く。

小さな花弁は幼ささえ感じさせて、それなのに淫らに潤んでいて。

妙な背徳感にぞくぞくしながら、蓮はそこに顔を寄せた。

甘い匂いが、鼻腔をつく。


「ひぁっ…ぁんっ!」


ぴちゃり。

淫靡な音を立てながらそこに吸い付かれ、キョーコは悲鳴を上げて蓮の頭を掴んだ。

ざらりとした舌の感触に、敏感な粘膜を辿られ、襞を擽られ、狭い入り口に押し入られ。

そうかと思うと自在に蠢く舌に肉芽を捉えられ転がされて、キョーコはビクビクと躯を震わせた。

膝の力が抜けて崩れ落ちそうになるが、蓮の両手に臀部を掴まれ支えられ、
結果ソコを蓮の顔にいっそう押し付ける事になってしまう。


「あっ、は、あんっ!ふ、ぁんっ、んやっ………!」


浴室内に、キョーコの悩まし気な喘ぎ声が反響する。

流れる水音にも消されない、ぴちゃ、くちゅ、という蓮の舌が奏でる音に追い討ちをかけられて、
キョーコの悲鳴が更に高くなる。


「あっ………んっ……かちょ……も、だめぇ………!」


いやらしい舌の動きに翻弄されて、でもイけるほど強い刺激は貰えなくて、
泣きそうになりながらキョーコが訴えると、蓮は漸くそこから顔を離した。

見上げたキョーコの頬は紅潮し、瞳は与えられた快楽にとろんと潤んでいる。


………準備OKかな?


にやり、と笑うと蓮はキョーコに囁いた。


「続きは、ベッドで、ね?」


こくんと肯いたキョーコに微笑んで、蓮は立ち上がるとシャワーを止めた。










お互いにバスタオル一枚身に纏った状態で、キョーコはベッドの縁に座った蓮の膝の上に乗せられていた。

蓮に唇を啄まれ、キョーコは自ら唇を開いて蓮の舌を咥内に招き入れた。

くちゅ、ちゅくりという音を立てながら口付けは続く。

蓮の舌に頬の内側を舐められ上顎を擽られ、キョーコの睫が震えた。

ひとしきり互いの咥内を味わい尽くし、ゆるりと舌が離れると、二人の間に銀糸が糸を引く。

は、ふ、と息を吐きながら、キョーコは熱に浮かされた瞳で蓮を見上げた。

浴室で弄られた躯はとっくに火が付いて、行為の続きを求めてやまない。

キョーコの中には自分の躯のいやらしさに羞恥する心も勿論あったが、
より切羽詰まった欲求には逆らえず、恋人に囁いた。


「か、ちょう……早く………続き、してっ………」

「………さて、どうしようかな?」


優しげな微笑みとは裏腹な意地悪な蓮の言葉にキョーコは怯む。

そう、今日はお仕置き。

そう簡単に、欲しいものは貰えない。


眉根を寄せて瞳を瞬かせるキョーコを蓮は抱き上げ、己の膝の間、床の上にその躯を降ろした。

不安そうに見上げて来るキョーコの顔を覗き込み、口付けで紅く濡れたキョーコの唇を親指でなぞりながら、
蓮は言った。


「そうだな………じゃあ、上のお口で上手に出来たら、下のお口にも挿れてあげるv」

「……………え?」


一瞬言われた意味がわからずに呆け、腰に巻いたバスタオルを脇に放り出した蓮の股間を目の前にして、漸く。

何を要求されたのかを悟り、キョーコは泣きそうになって頭を振った。


「やっ……でき…ない………!」


嘘ではない。

今までにも、それとなく蓮に促されたことはあったが、その度にキョーコは拒否していた。

蓮も、しつこく求めるようなことはせず(『下のお口は食いしん坊なクセに、
どうして上のお口はやなんだろうね?』等とからかわれたりはしたが)、
結局キョーコは今まで唇で蓮自身を愛したことはなかった。

触れる事すら戸惑われるソレを、口に含む、というのが、どうにも怖くて堪らなくて。

大きな瞳に涙を溜めていやいやと首を振るキョーコに、蓮はゴクリと喉を鳴らした。


今日は、許さない。


キョーコを愛して止まないのに、同時に沸き上がるのは苛めたい、泣かせたいという嗜虐心。

普段からついからかってしまうのも、セックスの際に必要以上に焦らしてしまうのも、
どうしようもなくキョーコが煽るから。

初心な精神とは反対に人一倍淫らな反応を示す躯のアンバランスさに引き裂かれて悶えるキョーコを
目にする度に、蓮の興奮も否応なく高まるのだ。

後込みするキョーコの躯を引き寄せ、蓮はその口の中に人差し指を差し込んで小さな舌を舐った。


「んっ……ふ……」

「オレの言う通りにすればいいから。こっちのバージンも、オレに………頂戴?」


悪魔めいた微笑みと囁きに、キョーコの瞳からぽろりと雫が零れた。

指を引き抜き、開いたままのキョーコの唇に、蓮は芯を持った己自身を押し込んだ。


「んむっ………んっ………!」


完全に勃ってはいなくとも、キョーコの小さな口の中には半分も収まらないそれ。

それでも温かく濡れた感触に包まれて、蓮は息を呑んだ。

咥えたはいいがどうしていいかわからずにいるらしいキョーコの手を取り、蓮は根元を握らせる。


「舌、動かして?そう………舐めて、吸って……っ……手も、こう、動かして………っ………」

「んっ……ふぁ…っん……っ…」


キョーコは諦めたように瞳を閉じ、蓮に言われるまま、動き始めた。


口に含んだ先端を吸い、括れに舌を這わせる。

両手で握らされた竿の部分を、上下に扱く。

息苦しくなって、一旦口から出して、根元から舐め上げてまた口に含む。

繰り返すうちに、手の中のモノはどんどん質量を増し、重たくなっていった。


「っ……そ、なかなか……巧いよ、キョーコ………」

「ぁんっ……ふむぅ…んっ……」


最初の躊躇いもどこへやら、いつの間にか行為に没頭し始めたキョーコの纏っていたバスタオルを
蓮の指が引っ張り、それはぱさりと床に落ちた。

露わになった乳房を蓮の指にふにふに揉まれて、キョーコは躯をぴくんと震わせたが、
唇も手も蓮から離さない。

ちゅ、ちゅぱ、と淫猥な音を響かせながら、キョーコは口戯を続けた。

舌を蠢かせる度、軽く歯を立てて扱く度、蓮が張り詰めていくのを唇で感じて、
キョーコは我知らず夢中になっていた。

口一杯に頬張ったまま上目遣いで蓮を伺うと、快楽に染まった瞳に見返されて、
キョーコの躯まで熱くなる。


課長も、気持ちイイのかな………?


そう思うと途端に口の中のモノが愛しくなり、キョーコの愛撫は激しくなった。

先端の窪みを舌先で抉り、滴る先走りも音を立てて飲み下す。

鼻をつく青臭い味も気にならない。

じゅぷじゅぷと、蓮自身を己の咥内に出し入れして唇で表面を刺激しながらきつく吸い上げる。


「っく……っ…キョー……コっ……」


髪を振り乱して奉仕するキョーコに、蓮の限界も近づいていた。

キョーコの乳房から手を離し、蓮はキョーコの頭を掴んで固定した。

最早完全に勃ち上がったモノを、腰をグラインドさせてキョーコの喉に突き入れる。


「んくっ……んんっ…むぐっ………」


キョーコは苦しげに眉を顰めたが、逃げようとはしなかった。

キョーコの舌や歯の程良い抵抗と摩擦に、蓮の快感も極まる。

キョーコの口の中、暴れる蓮が一際大きくなったその瞬間。


「………ぅっ……!」

「んっ…………!!!」


蓮は欲望の奔流をキョーコの喉に叩き付けた。


「んぅ………!」

「……飲んで…全部…っ………」


どろりとした粘液が口一杯に広がり、噎せ返りそうになったキョーコだったが、
熱く切ない声で蓮に囁かれ、涙を零しながらもなんとかソレを飲み下した。


「んっ………吸って……最後まで……」

「ん、んくっ………」


残滓まで吸い上げ、舐めとり、漸くキョーコは唇を解放された。

ぬるり、と引き出された蓮のそれは、一度放ってもなお、固さを失ってはいなかった。

目の前のソレに、キョーコは躯の中心が疼くのをもう我慢出来なかった。


「課長っ………も、意地悪しないでっ………お願いっ………!」

「………そうだね、上手に出来たし………ご褒美、あげる」


床にぺたりとへたり込んだキョーコを抱き上げてベッドの上に横たえると、蓮は枕元のゴムを手に取った。

包装を破き、キョーコに見せ付けるように自身に装着する。

ぴち、というラテックスの音が、やけに大きくキョーコの耳に届いた。

覆い被さる蓮の首に両手を絡めて、キョーコは叫んだ。


「はや、くっ………挿れ…てっ………!」

「………ナニを、ドコに?」


会社の会議室での出来事の再現か。

笑いを堪えた蓮の声に、抗う気力も余裕も無くて。

欲しくて欲しくて堪らないモノを手に入れんが為に、キョーコは恥ずかしい言葉を紡いだ。


「……!……蓮さんのっ…××××、あたしの××××に、挿れてぇっ………!」


次の瞬間、漸く、漸く望んだモノを手に入れて、キョーコは声なき叫びを上げて仰け反った。





待ちに待った衝撃に貫かれて、キョーコの頭の中は真っ白になった。

埋め込まれた熱い楔に、躯中が震えるのを止められない。


「んあっ、はっぁあっ!!………ぁんっ!!」

「っ…き、つっ……!!」


ずぶりと突き刺した自身をぎゅううと締め上げられて、思わず蓮も息を切らせた。

散々焦らした所為か、キョーコの膣の締まり具合が尋常ではない。

しがみつくキョーコの両腕を解きシーツに押し付け、蓮は律動を開始した。

絡み付くそこから力ずくで引き抜き、再び押し入る。

最初から容赦なく激しく抜き差しして揺さぶり、突き上げても、キョーコは全く苦痛ではないようだった。

上がるのは、歓喜に満ちた叫び声ばかり。


「ひっあ!あ、ぃ、いっ……ぁんっ……もっと……!!」


蓮を咥え込んだそこから強烈な快感が湧き上がり、キョーコを支配した。

津波に呑まれるような、錯覚。

猛スピードで、決壊が近づいて来ているのを感じて、キョーコは泣き叫んだ。

繋がったそこが燃えるように熱くて、ぐりぐり抉られるのが気持ちよくて堪らなくて。

下腹部から発生した震えが小波のようにキョーコの背筋を這い上がり、崖っぷちまで追い詰める。


「んっあっんんっ…!」


穿たれる度にぐちゅぐちゅという淫らな音が響く。

恥ずかしさに泣きそうになりながらも、キョーコは自分を止められなかった。

抑えつける手を振りほどいて蓮の首にしがみつき、両脚を蓮の腰に巻き付けて、更に奥まで誘う。

ぐ、と最奥の一点を突かれて、キョーコは背中を弓なりに反らせた。


「ひぁっ…!やっあ!」

「んっ…ココ…イイのっ…?」

「やっ!ぁんっ…ダメぇっ……そこっ…やぁっ……いちゃ…いっちゃうぅっ……!!」

「イイ、よ……イってっ…………!」

「ひ?!あっあ、んっあっはぁっ!!」


どうにも出来ない一点をピンポイントで攻め立てられて。

感極まった声を上げ、キョーコは達してしまった。


「くっ……ふ、はぁ………」


強烈な締め付けに耐えて蓮は声を漏らした。


………さっきキョーコの口に出しといて正解だったな……☆


高められた状態でキョーコに挿入していたら、繋がった瞬間に昇天させられていたかも知れなかった。

そのくらい、キョーコのソコに包まれた時の快感は激しかった。

イかせる前にイかされるなんて情けない羽目に陥らなくて良かったなぁ、などと思いつつ、
蓮はキョーコの瞼に口付けた。



繋がったまま、ごろりと転がって、蓮は自分の上にキョーコを乗せた。

震える唇から漏れるキョーコの吐息が落ち着いてくるまで、ふわふわとしたキスを繰り返す。


「ん………」

「ちゃんとイけた………?」

「ん………」


未だ余韻から覚めやらずな返答をするキョーコの躯を起こさせて、蓮は自分の上に跨らせた。


「やんっ……!」

「も少し、頑張ろうね☆」


角度を変えて突き刺さった蓮自身にぴくんと震えたキョーコの腰を掴み、蓮は前後に動かした。


「やぁっ……まっ…てっ……」

「待てない〜♪」


キョーコの内側を擦り上げるのと同時に、入り口の少し上、きっと充血しているだろう肉芽を
刺激するようにすれば、キョーコの唇からはまた嬌声が上がった。

呼応するように自身を締め付けられて、蓮の下腹部にも力が入る。


「んふっ…ぅんっ……!」


完全に快楽に飲み込まれたキョーコの瞳に見下ろされ、蓮の心はぞくりと震えた。

蓮が見上げる中、キョーコの腰が自ら動き出す。

蓮がそっとキョーコの腰から手を離しても、その動きは止まなかった。


「んっ…ぅんっ…!あっ……んっ……!」


唇を噛み、眉根を寄せながら、蓮の腹部に両手を付いてキョーコは腰を揺らした。

その様子を瞳を細めて蓮は見守る。

箍が外れた時のキョーコは、言葉では言い表せない程に淫らで、そのくせ美しくて。


「んんっ……あっ…あ!」


ぐん、と胎内で反り返った屹立に、キョーコの喉も仰け反る。

堪らなくなって、蓮は再びキョーコの腰を掴むと、一旦持ち上げて落とすと同時に突き上げた。


「いっ……あっ!やっあんっ!!」


ベッドのスプリングがぎしぎしと軋む。

額に汗を浮かべながらも、蓮は何度も何度もキョーコの躯を突き上げた。

ざくざくと突き刺されて、キョーコに再び臨界点が迫る。


「あっ…や……も、れんっ……」

「な、に…っ?」

「れんっ…もっ……イってぇっ……!!」


がくがく揺さぶられながら漏らされたキョーコの言葉に、蓮は上半身を起こすと華奢な躯を抱き締めた。


「いい、の……?」

「んっ……もっ…お願いぃ………!!」


これ以上は躯が持たない。

切羽詰まったキョーコの泣き声に、蓮は吐息を吐いた。


蓮とて、実はもう限界。

それは勿論内緒だけれど。


「しょうが……ない、ねっ……」

「あっ…ん!あっ!はぁっ………!!」


再び押し倒されて、両脚を限界まで広げられ。

ずんずんと突き上げられるのと同時に、ひっそり息づいていた肉芽を蓮の指先に捏ねられて。


「ぃやあっ!んあっ、ぁああっ!!!」

「っ………っ…キョー…コっ……!!」


蓮が弾けるのと同時に、キョーコは意識を手離した。










薄ぼんやりと意識は回復したものの、腰が抜けた状態のキョーコは、
いつもの如く蓮に抱き上げられて寝室と浴室の間を往復した。

汗やら何やら洗い流してさっぱりしたキョーコはベッドに沈み込み、
ご機嫌で腕枕をしてくれる恋人の横顔を眺めた。



私、なんでこの人が好き、なんだろう?



顔は物凄く綺麗。背も高い。脚も長い。頭もいいし、仕事も出来る。お金持ちで、
それなりに人望もあって(………それはきっと彼の本性を知らないからに違いないけれど)。

でも所構わずキョーコを苛めるし、えっちだし変態だし強引だし理不尽だし、
我が儘だし子供っぽいし……………。


つらつら考えれば考えるほど、プラス面よりもマイナス面ばかり思い浮かんできて、
キョーコは結構本気で悩んだ。


私…………ほんとに課長のこと好き、なのかしら……?!


じぃぃ、と自分を見つめるキョーコの視線に気付いて、蓮は言った。


「どうしたの?あんまりイイ男で惚れ直し「違います」……」


被せ気味できっぱり否定されて蓮は苦笑い。

そのままの表情でキョーコを見下ろすと、不思議そうな色を浮かべたキョーコの瞳にぶつかった。


「なんで私、課長のこと好きなんだろう、って思って」

「……………」


仮にもたった今あれだけ愛し合った恋人に対して言うにしてはあまりにもなその言葉に蓮は軽く凹んだ。


………お仕置き、ちょっとやり過ぎたかねぇ?いや、またお仕置きか……?


きょとんと無邪気に見上げてくるキョーコは、自分が軽く蓮の地雷を踏んだことなど
気付いてもいないのだろう。

まあ、そんな天然なところにも、蓮は惚れてしまっているのだけれど。

苛める口実にもなるしね、とこっそり思いながら、蓮はにやりと笑って、言った。


「そんなの、決まってるじゃない」

「……?」

「オレが、キョーコのこと愛してるからだよ?
 キョーコが、オレを好きにならずにはいられなくなるくらい、深く、激しくねv」

「……っ?!ば、ばかっ……」


言われた言葉に真っ赤になって、キョーコは布団を被って顔を隠した。

くすくす笑う蓮の裸の胸に、同じく生まれたままの躯を閉じ込められるように抱き締められて、
キョーコはふぅ、と吐息を零した。


ぴたりと合わさった肌から、蓮のぬくもりと鼓動が伝わってくる。



結局、蓮の言うとおりなのかも知れない。



昔読んだ雑誌の一節をキョーコは思い出した。

いわく、「セックスの後の彼の行動で、どれだけ愛されているかがわかる」というもの。

やるだけやって後は知らん振り、というのは最低で、躯目当ての付き合いの可能性大。

アフターケアをどれだけしてくれるかで、彼の貴女に対する気持ちの大きさが計れます、云々。

思えば事後、蓮がキョーコをほったらかしにしたことなど一度もない。

大抵は動けなくなってしまうキョーコをお風呂に入れてくれて、
喉は乾いていないかだとかなんだとか、色々世話を焼いてくれる。

ベッドに二人で潜り込んで眠る時も、蓮はキョーコを抱き締めて離さない。

優しく髪を撫でてくれる蓮の手や、額や瞼に触れてくれる蓮の唇が、キョーコは大好きだった。

激しいセックスの最中よりも、愛されている気がして、胸が熱くなった。





蓮のことを愛している、と、素直に想えた。





恋は、するものじゃなくて、落ちるもの。

理由なんて、所詮後付けに過ぎない。

どんなに苛められても、理不尽なことを要求されても、受け入れてしまうのは、
キョーコが蓮のことを好きだから。


きっと、そういうことなのだ。





「蓮さん………」

「………ん?」

「………好きですっ………」


小さな声で囁いて。

恥ずかしそうに蓮の胸に顔を押し付けてしまったキョーコをぎゅうっと抱き締めて、
蓮はキョーコの髪に鼻先を埋めた。



知ってるよ。

でも、言葉にしてもらえるのは、とても嬉しかったから。



「お休み、キョーコ。………愛してる」



真っ赤になっている小さな耳に囁いて。





明日も明後日も、ベッドから出れそうもないね、などと思いながら、蓮は瞳を閉じた。















end.

愛しの怪鳥より、私の変態発言を受けて書いてくださったエロSSv

・・・・・に!副怪鳥が挿絵を描いてくださったのですよー!!
それを裏開通記念に下さいましたvvv
うう・・・ありがとうございますーvv

もう、ご奉仕させられてるキョーコちゃんが泣いてる姿が可愛くて可愛くて・・・!!!
課長がキョーコちゃんの頭をなでなでして、「いい子だね」とか思ってそうなのが・・・萌えです。
ああキョーコたん、愛されてるなぁ〜〜vv って。
(・・・でも鷲掴みで鬼畜度UPでも萌え・・・とか話してたのは内緒・笑)

ああやっぱり、お下品上等!!

ブラウザバックでお戻りください。

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