シューベルト/八重奏曲

ローウェル・グリーア(1991)
CD(harmonia mundi HCX 3957049)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 ミュージック・フロム・アストン・マグナ
  エリック・ホープリッチ(クラリネット)
  デニス・ゴッドバーン(ファゴット)
  ローウェル・グリーア(ナチュラルホルン)
  ダニエル・ステップナー(ヴァイオリン)
  リンダ・クアン(ヴァイオリン)
  デイヴィッド・ミラー(ヴィオラ)
  マイロン・ルッケ(チェロ)
  マイケル・ウィレンズ(コントラバス)
   録音 1991年7月

 アメリカのオリジナル楽器の団体によるシューベルトの八重奏曲です。ホープリッチのクラリネットやローウェル・グリーアのナチュラルホルンは有名です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間以上もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョからオリジナル楽器のよい響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラリネットが独特の響きで歌います。続くグリーアのナチュラルホルンは滑らかで良い響きの演奏です。まるでバルブが付いているかのような素晴らしい演奏です。弦楽とクラリネットの響きもきれいです。展開部も緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。ステップナーのヴァイオリンもよい響きです。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらナチュラルホルンのソロが高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはホープリッチの甘いクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。続くヴァイオリンとの絡みも素晴らしい響きです。木管のユニゾーンの美しい響きは聞き物です。中間部ではナチュラルホルンのソロが優雅に歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまた大変きれいです。弦楽とファゴットの響きも素晴らしいです。コーダのコントラバスのピツィカートは大変よく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。ステップナーのリードするアンサンブルは流麗な演奏をしています。ナチュラルホルンの高音がきれいに響きます。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。トリオの弦楽もよい響きです。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みが大変きれいです。第2変奏は木管のやわらかな響きがきれいです。第3変奏はグリーアのホルンが伸びやかでよい響きです。ヴァイオリンもきれいに響きます。19世紀のホルンがきれいに響きます。続くチェロの第4変奏もまた良い響きを出しています。管楽器の響きもきれいです。第5変奏は勢いがあります。ヴァイオリンとヴィオラがよく響きます。第6変奏はクラリネットと弦楽が素晴らしい響き、第7変奏は管楽器の響きが素晴らしい。弦楽の響きもきれいです。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。グリーアのナチュラルホルンはやわらかでよい響きです。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏は緊張感があります。続くアレグロは見事な演奏です。テンポは速めで細かいフレーズの演奏が素晴らしいです。まさに小さなオーケストラのようで素晴らしいアンサンブルです。オリジナル楽器による名演奏です。
演奏時間63分59秒


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