シューベルト/八重奏曲

スティーヴン・スターリング(2008)
CD(Deux-Elles DXL1145)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

  フィボナッチ・セクエンス
  ジャック・リーベック(ヴァイオリン)
  ヘレン・パターソン(ヴァイオリン)
  井上 祐子(ヴィオラ)
  ベンジャミン・ヒューズ(チェロ)
  ダンカン・マックタイア(コントラバス)
  ジュリアン・ファーレル(クラリネット)
  リチャード・スキンナー(ファゴット)
  スティーヴン・スターリング(ホルン)
  録音 2008年9月

 イギリスの室内アンサンブル、フィボナッチ・セクエンスのシューベルトの八重奏曲です。この団体の名前がフィボナッチ・セクエンス(フィボナッチ数列)というのにはまずびっくりです。意味があってのことでしょう。どのような組み合わせにも可能ということもあるでしょう。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから厚い響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。リーベックのヴァイオリンとファーレルのクラリネットが素晴らしい響きで歌います。続くスターリングのホルンは滑らかな演奏で、イギリスのホルンらしい響きを出しています。展開部も勢いがあり緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロが高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはファーレルのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。ユニゾーンの美しい響きは格別です。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまた大変きれいです。ファゴットもよい響きです。コーダのコントラバスのピツィカートはよく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。リーベックのリードするアンサンブルは快活な演奏をしています。ホルンの高音がよく響きます。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みもきれいです。スターリングの吹くホルンの第3変奏は滑らかでよい響きです。ヴァイオリンもきれいです。続くチェロの第4変奏もまた聞きものです。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。スターリングのホルンは明るくよい響きです。トリオのファゴットの響きも素晴らしいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは見事なフィナーレです。これは素晴らしいアンサンブルです。
演奏時間60分43秒。


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