ベートーヴェン/七重奏曲

管楽九重奏版/ギー・カーマイケル&ゴードロー(1997)
CD(ATMA ACD 2 2129)
 
ベートーベン/管楽器のための室内楽作品集
1.交響曲第7番イ長調Op92
     (管楽器編曲版)
2.七重奏曲変ホ長調Op20
 (ドゥルシェツキーらによる管楽九重奏版)

 モントリオール・ウィンズ
 テオドール・バスキン(オーボエ)
 ディアーヌ・ラケル(オーボエ)
 サイモン・アルドリッチ(クラリネット)
 ソニア・モーリン(クラリネット)
 ミシェル・ベテ(ファゴット)
 ジョン・クルーザー(ファゴット)
 ギー・カーマイケル(ホルン)
 ジャン・ゴードロー(ホルン)
 ブルース・バウアー(コントラファゴット)
 録音 1997年2月

  モントリオールの管楽アンサンブルによるベートーベンの交響曲第7番と七重奏曲の管楽器編曲版の演奏です。
 交響曲第7番は1816年に出版されたベートーヴェン公認の版でコントラファゴットが使われています。この作品は原曲がイ長調という華やか響きの作品ですが、管楽アンサンブルの編曲は1音低いト長調になっています。第2楽章と第4楽章も1音低くなっているのですが、第3楽章だけは原曲のヘ長調のままになっています。 第1楽章の序奏はは管楽器のみのためやわらかな響きとなっています。提示部はオーボエが主題を吹いています。ホルンが入ると力強い響きになります。提示部はリピートしています。展開部の演奏はコントラファゴットの低音がよく響きます。そして管楽アンサンブルはオーケストラを彷彿させる良い響きです。再現部はオーボエソロから素晴らしい演奏です。コーダはファゴットがベースの連続フレーズを吹いて盛り上げています。ホルンも大変良い響きです。第2楽章はト短調になっています。ここは原曲は弦楽の聴きどころですが、冒頭はファゴットとコントラファゴットが重々しく歌っています。またファゴットの対旋律もきれいです。オーボエ、クラリネットとホルンが加わって音楽の広がりが素晴らしいものになってきます。この荘重な楽章は管楽器だけでも十分聴けるものです。これは素晴らしい演奏です。
 第3楽章は原曲と同じヘ長調です。オリジナルの響きは緊張感があります。そしてリピートがあります。トリオのクラリネットとホルンが良い響きです。後半カットがあります。第4楽章はト長調で管楽器の超絶技巧の連続になります。クラリネットとオーボエはヴァイオリンのパートの掛け合いになります。ホルンの二重奏は大変素晴らしい響きです。クラリネットがほとんどヴァイオリンのパートを演奏しています。実に素晴らしい演奏です。なお、この第4楽章はかなりの短縮がありますがコーダは迫力があります。大変素晴らしい演奏です。
 七重奏曲変ホ長調Op20はベートーベンの代表的な室内楽作品ですが、これをドゥルシェツキーとミスリクが管楽九重奏のために編曲したものです。2本のオーボエ、2本のクラリネット、2本のホルン、2本のファゴットとコントラ・ファゴットによる九重奏です。管楽八重奏にコントラ・ファゴットが加わった編成です。七重奏曲はヴァイオリンとクラリネットが主導する曲ですがヴァイオリンのパートはオーボエとクラリネットが分担しているようです。オリジナルの管楽器の主題はそのまま聞こえます。第1楽章の演奏は厚みのある響きです。弦楽が入らなくても楽しめます。第2楽章はクラリネットの響きが大変きれいです。よいアンサンブルです。ホルンの哀愁的な主題もきれいです。第3楽章のメヌエットにはいやされます。第4楽章の主題と変奏はアレンジの面白さがあります。弦楽器のパートを木管で吹く難しさもあります。ホルンは良い響きです。第5楽章のスケルツォはホルンで始まるのは同じです。ホルンが活躍します。フィナーレも良い響きです。管楽器だけの演奏による七重奏曲もいいものです。カーマイケルのホルン・ソロが大変きれいです。


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