モーツァルト/ロンドK371

フェリックス・クリーザー(2014〜15)
CD(BERLIN Classics 0300647BC)

ハイドン&ミヒャエル・ハイドン/ホルン協奏曲集
1.ハイドン/ホルン協奏曲第1番ニ長調
2. 〃  /ホルン協奏曲第2番ニ長調
3.M・ハイドン/ホルン協奏曲ニ長調
4.モーツァルト/ホルン協奏曲
           変ホ長調K370b&371
       (ロバート・レヴィン再構築版)

  フェリックス・クリーザー(ホルン)
  ルーベン・ガザリアン指揮
    ヴュルテンベルク室内管弦楽団
   録音 2014年11月24〜26日&
       2015年1月26日

  フェリックス・クリーザーは生まれつき腕がなく、足でホルンのバルブを器用に操作しながら演奏していますが、その腕前の凄さは度肝を抜かれます。
  この録音はハイドンとミヒャエル・ハイドンのホルン協奏曲とモーツァルトの初期の作品を収録したものです。
  ハイドンのホルン協奏曲第1番はところどころにアドリブの入る見事な演奏です。音程の正確さはお見事ですし、クリーザーに限っては障害の影響は皆無です。第1楽章のカデンツァも素晴らしい出来です。第2楽章の美しい響き、第3楽章のトリルのうまさ、アドリブのうまさなど巨匠のようでびっくりです。
  ハイドンのホルン協奏曲第2番でもその並外れたテクニックを披露しています。足を使ってアレキを吹きこなすなど考えられませんが、それをやってのける努力は大変なものでしょう。カデンツァがよくできています。第2楽章も丁寧に吹いています。第3楽章は速いテンポでしかもきれいな音色で吹いています。カデンツァも素晴らしい。
  ミヒャエル・ハイドンのホルン協奏曲はまた最近見直されてきた作品で、そのロマンティックで第2楽章の速いテンポが注目されそうです。クリーザーのホルンはオーケストラに負けない響きがあります。この作品もニ長調で音程が難しいと思われますが、先輩たちに比肩する演奏になっています。妙に張り切ることがないだけに素直に聞けると思います。カデンツァのきれいなレガート奏法には脱帽です。第2楽章:アレグロ・ノン・トロッポはアドリブがタックウェルを意識したかのようなところもありますが実に見事な演奏です。カデンツァがまた素晴らしい。ここまで滑らかに吹かれると参ります。第3楽章:メヌエットは速めのテンポで演奏しています。アドリブは自由自在に入れていますが後半のメヌエット部分にはソロは入りません。
  モーツァルトのホルン協奏曲変ホ長調はフラグメントK370bとロンドK371が続けて演奏されます。K370bは音程がとりにくい難曲ですがこれを難なく吹いています。なお楽譜が少し異なる構成になっていてカデンツァもありません。ロンドK371は提示部の入るヴァージョンです。滑らかな演奏で巧みなレガートが素晴らしい。カデンツァは長いものでこれは見事な演奏です。


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