その他のホルン作品2

ヴァレリー・キクタ/ホルン作品集/ヴァレリー・ザヴォロンコフ
CD(RUSSIAN DISC RDCD 00936)

ヴァレリー・キクタ/ホルン作品集
1.ホルンと弦楽のための協奏曲(2008)
2.バルチック・エレジー(1999)
    〜ホルン四重奏のための
3.オカ・トリプテッィク(1999)
  〜ホルン四重奏のための
  1)満月
  2)朝日の賛歌
  3)真っ赤な夕陽
4.祈り〜ホルンとオルガンのための

  ヴァレリー・ザヴォロンコフ(ホルン)(1〜4)
  アレクザンダー・ルーディン指揮
    モスクワ室内管弦楽団《ムジカ・ヴィヴァ》(1)
  アンドレイ・スマル(ホルン)(2&3)
  セルゲイ・ゴルブノフ(ホルン)(2&3)
  セルゲイ・ヴァスコヴィチ(ホルン)(2&3)
  ルボフ・ヴェンジク(オルガン)(4)
  録音 2013年(1〜3)
      2014年(4)

 ロシアの作曲家ヴァレリー・グリゴリーヴィッチ・キクタのホルン作品集です。ヴァレリー・ザヴォロンコフ(1976〜)はモスクワ音楽院出身でスヴェトラーノフ・ロシア国立管弦楽団のメンバーです。 
 ホルンと弦楽のための協奏曲は2008の作品で「2009年秋の音楽祭」でザヴォロンコフによって初演され彼に献呈されています。単一楽章で美しいドラマチックな作品です。中間部にゆったりとした低音の連続があってテンポの速い部分になるとロンド風のホルンが歌われます。後半は雄大な風景を感じさせるものでミュートを使った夕闇を思わせるところはアメリカ風にも感じます。そのあとにくる叙情的な主題は絶品。最後に冒頭の主題が演奏されます。21世紀のホルン協奏曲の中でも傑出した作品といえるでしょう。
 バルチック・エレジーは1999の作品でホルン四重奏のために書かれた小品です。キクタの祖父は第一次大戦のときに軍医をつとめていたそうでこの作品は20世紀の2つの大戦の犠牲者を悼むエレジーとしてかかれたようです。4つのホルンで歌われます。
 オカ・トリプテッィクは1999年の作品。オカとはモスクワを流れるオカ川のことでこの河に映る風景を3つの絵画として表現したものです。第1曲「満月」は思いのほか哀愁的な作品で冷たい河に映える満月を歌うようです。第2曲「朝日の賛歌」は力強さを感じさせる音楽で希望の光のように感じます。第3曲「真っ赤な夕陽」は日没の赤い太陽を歌ったものです。ミュートを使うところは朝日とは違って夜を迎える不安があることを感じさせます。
 「祈り」は2014年にホルンとオルガンのために書かれた作品です。ヴァレリー・ザヴォロンコフのホルンはホルンとしては珍しく嘆きの歌が表現できる名手のようで、祈りの表現は他にはない素晴らしいものがあります。


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