スクリャービン/ロマンス

古野 淳(2013)
CD(COO RECORDS COO-038)

 悠久のペテル
1.グリンカ/北方の星
 2.アニシモフ/ポエム
3.スクリャービン/ロマンス
4.チャイコフスキー/ユモレスク
5.サルニコフ/ポエム
6.ラフマニノフ/エレジーOp3-1
7.ボロディン/セレナード
8.ブヤノフスキー/狩風スケルツォ
9.ショスタコーヴィチ/「黄金時代」より「ポルカ」
10.プロコフィエフ/「ロメオとジュリエット」より
       「ロメオとジュリエットの別れ」
11.成田為三/ 浜辺の歌(外山雄三編)
12.外山雄三/ホルンとピアノの為のファンタジー
13.リムスキー=コルサコフ/
       4本のホルンのための夜想曲
14.グラズノフ/夢Op24

   古野 淳(ホルン)(1〜14)
   奥谷 恭代(ピアノ)(2〜10、12&14)
   奥田 恭子(ハープ)(1&11)
   黒尾 文恵(クラリネット)(9&10)
   JAMSホルン四重奏団
   (古野 淳、大東 周、阿部 麿、木村 淳)(13)
   高橋 晴彦(プリペアド・ピアノ)(9)
    録音 2013年10月
   所沢市民文化センター、キューブホール

 古野 淳が久々に録音したホルンのための小品集です。グリンカの「北方(きたかた)の星」は美しい小品でハープの伴奏で歌われます。
  アニシモフの「ポエム(詩曲)」は日本で人気の高い作品です、急−緩−急の3つの部分があって演奏は難しいものです。スクリャービンの「ロマンス」は1890年に書かれたホルンのための作品です。2分足らずの短い小品ですが愛らしい曲です。
  チャイコフスキーの「ユモレスク」は初期のピアノのための2つの小品Op10の第2曲です。チャイコフスキーはヴァイオリンのためにも編曲していますが、これはカルプーヒンの編曲です。いたずらっぽいメロディは一度聴いたら忘れられないことでしょう。なおストコフスキーが管弦楽にも編曲しています。
  ゲオルギー・サルニコフ(1923〜)の「ポエム」はホルンのための作品で哀愁的な主題の流れる冒頭は美しく、そしてスケルツォ風の速いテンポの難しい部分が入り、またゆったりとした歌が流れてきます。いかにもロシア的な優雅な歌は日本人が好みそうです。
  ラフマニノフの「エレジー」は5つのピアノ小品集の第1曲でウーソスの編曲によります。録音は他にはほとんどなくてこの録音はありがたいことでしょう。曲は哀愁的な主題が流れハイトーンもある劇的な作品です。
  ボロディンの「セレナード」はピアノのための小組曲の中の1曲、バウマンが録音して知られますが、グラズノフが管弦楽に編曲した録音がありますのでそちらのほうが有名かもしれません。短い小品です。
  ヴィタリー・ブヤノフスキーの「狩風スケルツォ」は彼の作品の中でもとりわけ見事な作品といえるでしょう。ホルンのホルンらしい歌とリズムが溢れる作品です。
  ショスタコーヴィチの「黄金時代」より「ポルカ」はホルンとクラリネットとピアノのために古野自身が編曲しています。オーケストラの中でのクラリネットとホルンがからむところは、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」より「ロメオとジュリエットの別れ」も同様ですが、ホルンだけでは表現しきれないところをクラリネットと共に演奏するところが素晴らしいです。こちらも古野自身の編曲です。
  成田為三の「浜辺の歌」は外山雄三が千葉馨のために編曲していますが、ここではピアノではなくハープの伴奏で演奏しています。軽いビヴラートにはうっとりです。
  外山雄三の「ホルンとピアノのためのファンタジー」は古野の委嘱作品で2013年の作、ホルンの魅力を十分に引き出しています。遅いテンポの前半のあとに高音から低音まで使う長大なカデンツァが入って後半のスケルツォ風の速いテンポになります。最後に民謡風の主題を歌って終わります。外山ならではの作品です。
  リムスキー=コルサコフの「4本のホルンのための夜想曲」は短い小品ですが、聞けばほっとする作品で4つのホルンがきれいな和音を響かせています。
  グラズノフの「夢」は冒頭でピアノのアルペッジョが特徴的です。このロマン的、そして哀愁的な主題はホルン吹きなら吹いてみたいものです。古くはオーブリー・ブレインの録音がありますが、録音が数多くされている名曲です。


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