J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ゲルハルト・シュレーダー&クルト・ブランク(1965)
CD(DECCA PROC-1288/9)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.     〃       第2番ヘ長調BWV1047
3.     〃       第3番ト長調BWV1048
CD2
4.ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調BWV1049
5.     〃        第5番ニ長調BWV1050
6.     〃        第6番変ロ長調BWV1051

  豊田 耕児(ヴァイオリン)(1、2、4&5)
  ゲルハルト・シュレーダー(ホルン)(1)
  クルト・ブランク(ホルン)(1)
  ギュンター・パッシン(オーボエ)(1&2)
  ロルフ=ユリウス・コッホ(オーボエ)(1)
  フリートヨフ・フェスト(オーボエ)(1)
  ハンス・レムケ(ファゴット)(1)
  カール=ベルンハルト・セボン(フルート)(2)
  モーリス・アンドレ(トランペット)(2)
  ロジェ・ブルダン(フルート)(4&5)
  ミシェル・デボスト(フルート)(4)
  レナード・ホカンソン(チェンバロ)(5)
  ロリン・マゼール指揮
   ベルリン放送交響楽団
    録音 1965年10月

 ロリン・マゼールがベルリン放送交響楽団の首席指揮者だった時の一連の録音の中の1つでバッハの管弦楽組曲とこのブランデンブルク協奏曲全集がありました。
 ブランデンブルク協奏曲第1番はオーケストラの響きがホールに響き渡る雄大な音楽になっています。弦楽の美しい響きとホルンの透明感のある音がバランスの良い音楽を生み出しています。第2楽章の格調高い演奏も絶品。第3楽章では首席ホルンのシュレーダーらのホルンが実に良い響きで豊田耕児のヴァイオリンとのからみも素晴らしい。第4楽章はやや速めのメヌエット、第1トリオのオーボエとファゴットの響きの良さ、勢いのあるポロネーズがあって、第2トリオは程よいテンポでホルンとオーボエの掛け合いがあります。このホルンの演奏がとてもきれいです。
 ブランデンブルク協奏曲第2番にはフランスのモーリス・アンドレがトランペットのソロを吹いています。フルート、オーボエ、ヴァイオリンのからみも良い演奏になっています。第2楽章のオーボエ、ヴァイオリン、フルートのトリオ・ソナタは華麗な響きになっています。第3楽章のトランペットは響きの美しさが絶品。フルートやオーボエも負けることなく良い響きを奏でています。
  第3番は厚みのある弦楽の素晴らしいアンサンブルが聞かれます。第2楽章のアダージョは2小節のみですが、第3楽章のアレグロは弦楽の緻密な演奏が素晴らしい。
 ブランデンブルク協奏曲第4番は2本のフルートで演奏されていて、このソリストがフランスの名手ロジェ・ブルダンとミシェル・デボストですからその響きの良さは抜群です。ヴァイオリン・ソロの響きもまたききものでしょう。第2楽章の透明感のある響きは見事で弦楽の美しさもまた絶品。第3楽章の弦楽は厚みのある演奏で重厚な響きです。
 ブランデンブルク協奏曲第5番はロジェ・ブルダンのフルート、豊田耕児のヴァイオリン、レナード・ホカンソンのチェンバロによる演奏です。申し分のない演奏でバッハを聞く醍醐味があります。ホカンソンの長大なカデンツァは聞きどころ。第2楽章はフルートのやわらかな響きとヴァイオリンの対話がきれいです。第3楽章の跳ねるようなリズムは遅めのテンポですが、ヴァイオリンとフルートの息の合った演奏が聴きどころでしょう。
 第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。
第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますがテンポの速い演奏になっています。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが悠々と演奏します。編成の大きさなのか透明感があります。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。これも素晴らしい演奏です。マゼールの格調高いバッハの演奏は大きな編成ならではのものかもしれません。


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