リース/ホルン作品

ホルン・ソナタ/トゥーニス・ファン・デァ・ズヴァールト(2020)
CD(Harmonia Mundi HMM905351)

1.ベートーヴェン/ホルン・ソナタ ヘ長調Op17
2.リース/ホルン・ソナタ ヘ長調Op34
3.シュティヒ/ホルン協奏曲第1番(ピアノ編曲版)
4.ダンツィ/ホルン・ソナタ第1番変ホ長調Op.28

 トゥーニス・ファン・デァ・ズヴァールト
         (ナチュラルホルン)
 アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ)
 録音 2020年1月
  テルデックス・スタジオ・ベルリン

 ズヴァールトのナチュラルホルンによる録音です。ズヴァールトが使用している楽器は、低音域もきれいに出る楽器コール・バスです。
 ベートーヴェンのホルン・ソナタは第1楽章の提示部ではズヴァールトの流麗なナチュラルホルンが聴かれます。リピートでの演奏は即興部分がいくつかある見事な演奏です。展開部から再現部も表現力豊かな素晴らしい演奏です。第2楽章のポコ・アダージョは情感ゆたかなきれいな演奏です。第3楽章のロンドはメルニコフのピアノと良いコンビでベートーヴェンの名曲を演奏しています。最後に短いカデンツァを入れています。これは素晴らしい演奏です。
 フェルデイナント・リースのホルン・ソナタはベートーヴェンのソナタの11年後、1811年の作品です。3つの楽章で構成され、第1楽章「ラルゲット〜アレグロ・モルト」はフォルテピアノとナチュラルホルンの古風な音色による演奏ですから、少し風変わりともいえそうですが、これがオリジナルの演奏です。ズヴァールトの流麗なホルン、音階のきれいなこと、この演奏はさすがに素晴らしいものです。メルニコフのピアノも大変きれいな響きです。第2楽章「アンダンテ」はホルンが高音から低音まで縦横に演奏しています。かなりの難曲と思われます。ズヴァールトの流麗な演奏は、ここも見事なものです。第3楽章「ロンド:アレグロ」は狩りのホルンのような、力強いホルンの響きがあります。これも素晴らしい演奏です
 ヤン・ヴァツラフ・シュティヒのホルン協奏曲第1番ホ長調はピアノ版による演奏です。第1楽章:アレグロ・モデラート、第2楽章:アダージョ、第3楽章:ロンド3つの楽章になります。第1楽章はズヴァールトがシュティヒの名曲を流麗に演奏しています。この作品は録音が多いですが、ナチュラルホルンは少ないです。カデンツァの素晴らしい演奏です。第2楽章のアダージョはきれいな主題です。ストップ音が多いですがズヴァールトの演奏はきれいな響きです。第3楽章は狩りのロンドです。ホルンの楽しさがあります。素晴らしい演奏です。(なお、この協奏曲は、カール・シュターミッツがホルン協奏曲変ホ長調として編曲した作品と同じです。)
 フランツ・ダンツィ(1763〜1826)のホルン・ソナタ第1番は1804年の作品でベートーヴェンのソナタとほぼ同じ頃の作品ですがストップ音を使いますのでこもった音がよく出てきますが、ズヴァールトの演奏はきれいな音色です。第1楽章は序奏のアダージョからアレグロになると、流麗なホルンが聴かれます。第2楽章はラルゲット、きれいな主題をズヴァールトが流麗に歌います。第3楽章はアレグレット、軽快なロンド風の楽章です。ナチュラルホルンでの演奏は難しいですが、ズヴァールトの演奏は素晴らしいものです。


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