その他のホルン作品2

グレンダール/ホルン協奏曲/イングベルト・ミケルセン(1957)
CD(DANACORD DACOCD 882)2枚組

ラウニ・グレンダールの遺産
1.トロンボーン協奏曲(1924)
2.ヴァイオリン協奏曲Op.6(1916)
3.ファゴット協奏曲(1942)
4.交響詩「パンとシリンクス」 Op.5(1915)
5.ホルン協奏曲(1954−55)
6.交響曲 Op.9(1919)

トーキル・グロー・イェルゲンセン(トロンボーン)(1)
ミルトン・サイベク(ヴァイオリン)(2)
カール・ブロッホ(ファゴット)(3)
イングベルト・ミケルセン(ホルン)(5)
ラウニ・グレンダール指揮
 デンマーク放送交響楽団
録音 1954年8月12日(1)
    1956年8月8日(2)
    1956年6月3日(3、4&6)
    1957年6月1日(5)
   デンマーク放送第1スタジオ

 ラウニ・ヴァルデマ・グレンダールl(1886〜1960)はデンマークの作曲家でヴァイオリン奏者です。指揮者としてもデンマーク放送交響楽団の初代指揮者として30年活動していました。
 「トロンボーン協奏曲」は1924年の作品。3つの楽章で構成され、第1楽章「モデラート・アッサイ・マ・モルト・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ・グラーヴェ」、第3楽章「マエストーソ〜ロンド」になっています。北欧の響きとトロンボーンの歌がよく合います。
 「ヴァイオリン協奏曲」は1916年の作品。3つの楽章で構成され、第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ノクターン、アンダンテ、モルト・カンタービレ」、第3楽章「フィナーレ、アレグレット〜ヴィヴァーチェ」になっています。ロマンティックな作品です。第2楽章のノクターンは美しさそのものです。第3楽章は勢いのある演奏が素晴らしいです。
 「ファゴット協奏曲」は1942年の作品。初演者のカール・ブロッホにに献呈されています。3つの楽章で構成され、第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ、クワジ・ウナ・ファンタジア」、第3楽章「ロンド・ジョコーソ」になっています。ファゴットの穏やかな響きを主とした作品のようです。特に第2楽章は幻想的です。第3楽章はロンド楽章でファゴットの細やかなフレーズが素晴らしいです。
 交響詩「パンとシリンクス」は1915年の作品。牧神パンとパンの吹く笛シリンクスの物語です。アダージョの作品で穏やかに流れます。中間部のクライマックスでもパンの笛らしい響きが聞こえません。序奏部分とコーダにコールアングレが響きます。これがパンで、そのときに響くフルートがシリンクスのようです。面白い作品です。
 ホルン協奏曲は1954年の作品。ミケルセンのホルンで初演されていて、これが初演の時の録音です。作品はミケルセンの献呈されています。3つの楽章で構成され、第1楽章「アレグロ、モルト・モデラート、マエストーソ」はやわらかな響きで始まり、ホルンが力強く主題を歌います。この時代の作品としても素晴らしい作品と思います。オーケストラも重厚な響きを出しています。第2楽章「トランクウィロ・エ・センプリーチェ」は穏やかなテンポでホルンが美しいロマンスのような主題を歌います。第3楽章「マーチのテンポで、モデラート」は明るい響きのマーチが管楽器で始まり、やがてホルンのソロが行進するように歌います。ミケルセンのホルンは明るく透明感があり、素晴らしい演奏です。モデラートではホルンのソロが朗々と歌われます。50年代の作品に名作がまた誕生しました。聴きごたえのある演奏です。
 交響曲Op.9は1919年の作品。単一楽章の作品ですが、3つの部分があって切れ目なく演奏されます。第1部「アンダンティーノ・コン・モルト・モト〜アレグロ・コン・モルト・パッシオーネ」第2部「間奏曲、アレグレット・コン・モト」、第3部「アレグロ・ノン・トロッポ・マエストーソ・エ・ブリアンテ〜アンダンティーノ・コン・モルト・パッショーネ」となっています。北欧の風景を描いた描写音楽のようにも聞こえます。シベリウスの交響曲第5番やニールセンの交響曲第4番が完成されたころとほぼ同じ頃に書かれた作品です。近代的な作風とオーケストレーションで響きの素晴らしさはシベリウスやニールセンと肩を並べるものです。「間奏曲」ではホルンの響きが印象的です。第3部においても物語風な音楽が続きます。作品としてもよくできています。


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