ヤナーチェクのホルン作品

組曲「青春」&コンチェルティーノ/ヤコブ・スラフテル(1991)
CD(harmonia mundi HMA1901399)

室内楽作品集
1.ヤナーチェク/組曲「青春」
2.   〃   /コンチェルティーノ
3.ドヴォルザーク/管楽セレナード ニ短調Op44

アンサンブル・ヴァルテル・ブイケンス
ディルク・デ・カルウェ(フルート)(1)
ヴァルテル・ブイケンス(クラリネット)(1〜3)
ハンス・ヴァネステ(クラリネット)(3)
ヤン・ギュンス(バスクラリネット)(1)
ヨーリス・ファン・デン・ハウウェ(オーボエ)(1&3)
ヤン・マーベ(オーボエ)(3)
ブライアン・ポラード(ファゴット)(1〜3)
ディルク・ノイェン(ファゴット)(3)
リシャール・スダーン(コントラファゴット)(3)
ヤコブ・スラフテル(ホルン)(1&2)
アンドレ・ピシャル(ホルン)(3)
 ニコ・デ・マルキ(ホルン)(3)
ヤン・ファン・ダッフェル(ホルン)(3)
マリータ・コロセク(ヴァイオリン)(2)
ペーター・ディスピーゲラーレ(ヴァイオリン)(2)
テレーゼ=マリー・ギリッセン(ヴィオラ)(2)
ロエル・ディエルティーンス(チェロ)(3)
エティエンヌ・シーベンス(コントラバス)(3)
ロベルト・グロスロット(ピアノ)(2)
 録音 1991年11月

 アンサンブル・ヴァルテル・ブイケンスによるヤナーチェクの室内楽作品とドヴォルザークのセレナードです。
 組曲「青春」は木管五重奏にバス・クラリネットが加わった六重奏です。4つの楽章で構成されています。第1楽章の「アレグロ」は木管楽器が元気に行進するような勢いです。ホルンが応援します。スラフテルの吹くホルンは明るく力強いです。大変素晴らしい響きです。第2楽章の「アンダンテ・ソステヌート」は哀し気な足取りで歩くような音楽です。穏やかなホルンやファゴットも大変きれいです。「青春」にはいろいろな道があります。第3楽章の「ヴィヴァーチェ」は元気そのものです。オーボエやピッコロ、フルートの元気な姿をホルンやファゴットが追いかけます。第4楽章の「アレグロ・アニマート」はフルートとクラリネットが主題を提示すると他の管楽器がにぎやかに応答します。ホルンの明るい響きがきれいです。この「青春時代」を思わせる音楽は楽しいです。演奏も楽しそうです。
 ヤナーチェクの「コンチェルティーノ」は2つのヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、ホルン、ファゴットとピアノのための作品です。4つの楽章で構成されていて全員の演奏は第3、第4楽章だけです。第1楽章の「モデラート」はホルンとピアノで演奏されます。単調な主題と動きのある主題があります。スラフテルのホルンは明るい響きで迫力もある素晴らしい演奏です。軽いビヴラートのホルンは実によい響きです。ピアノのグロスロットも素晴らしい演奏です。第2楽章の「ピュー・モッソ」はクラリネットとピアノのデュオです。クラリネットが華やかに忙しく歌います。ピアノも大変素晴らしい響きです。第3楽章の「コン・モト」は全員の演奏になりますが、ピアノとヴァイオリンが目立ちます。ホルンは和音だけになります。第4楽章の「アレグロ」も全員の演奏です。ピアノの響きに圧倒されますがホルンのフレーズも聞こえます。ピアノが主役のようですがヤナーチェクの素晴らしい作品のひとつです。
 ドヴォルザークの「管楽セレナード」は管楽器の他にチェロとコントラバスが入って低音に厚みがあります。4つの楽章で構成されています。第1楽章「モデラート・クワジ・マルチャ」はマーチのような活気のある楽章です。親しみやすい主題が奏でられます。第2楽章「メヌエット、テンポ・ディ・メヌエット」はメヌエットで3本のホルンが楽しそうに歌うところもあります。ワルツのようにも聞こえます。第3楽章「アンダンテ・コン・モート」はクラリネットの主題に始まり、オーボエに受け継がれていく美しい響きの楽章です。ドヴォルザークの緩徐楽章の魅力があります。ホルンのきれいな主題も聴かれます。第4楽章「フィナーレ、アレグロ・モルト」は活気のある音楽が流れます。そして第1楽章の冒頭の音楽が再現します。これもドヴォルザークらしい作品です。後半は明るい響きのアンサンブルになります。名演です。


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