マックスウェル・デイヴィースのホルン作品

シー・イーグル/リチャード・ワトキンス(ホルン)(1〜7)
CD(NMC NMC D203)

1.マクスウェル・デイヴィース/シー・イーグル(海鷲)
      〜ソロ・ホルンのための
2.ジェラルド・バリー/ジャバーウォッキー
   〜テノール、ホルンとピアノのための
3.コリン・マシューズ/スリー・カード
    〜ホルン、チェロとピアノのための
4.ヒュー・ワトキンス/ホルン、ヴァイオリンと
      ピアノのための三重奏曲
5.デイヴィッド・マシューズ/
    ホルンと弦楽のための五重奏曲Op114
6.マーク=アンソニー・タネジ/偉大な男のための祈り
     〜ホルンとチェロのための
7.ロビン・ホロウェイ/ホルン、チェロと
            ピアノのための三重奏曲

   リチャード・ワトキンス(ホルン)(1〜7)
   マーク・パドモア(テノール)(2)
   ポール・ワトキンス(チェロ)(3、6&7)
   ヒュー・ワトキンス(ピアノ)(2〜4&7)
   ローラ・サミュエル(ヴァイオリン)(4)
   ナッシュ・アンサンブル(5)
   録音 2014年1月24日(1)
       2014年6月17日(2)
       2014年9月13&14日(3、6&7)
       2011年1月24日(4)
       2014年10月18日ライヴ(5)
  
  リチャード・ワトキンスの最新アルバムです。いずれもイギリスの現代作曲家による作品です。
  ピーター・マクスウェル・デイヴィース(1934〜)の「シー・イーグル(海鷲)」は1982年にリチャード・ワトキンスのために書かれましたが、トンプソンによって初演され1991年に録音さtれていました。ワトキンスは32年の時を経て録音がかなったことになります。3つの楽章からなり、第1楽章:アダージョ、第2楽章:レント、第3楽章:プレスト・モルトとなっていて高音から低音までを縦横に使い、フラッタータンギングやストップなど演奏は困難を極めます。ゆったりと飛行する様子を表現する2つの楽章と獲物を狙うかのような動きの速い第3楽章の対比が聞き所です。
  ジェラルド・バリー(1952〜)の「ジャバーウォッキー」はテノール、ホルンとピアノのための作品で2012年に書かれました。初演は同じメンバーでパドモアのテノール、ワトキンスのホルン、ヒュー・ワトキンスのピアノで2013年に行われています。「ジャバーウォッキー(jabberwocky)」とはわけのわからないことで「ちんぷんかんぷん」ということです。聞いてみますとなるほどです。テノールの叫びと、ホルンの強烈な響きは凄いもので楽譜はどうなっているものやら、強烈なトリル、ストップ、グリッサンドの上下など今まで聞いた作品の中でもきわめて「ちんぷんかんぷん」な作品です。
  コリン・マシューズ(1946〜)の「スリー・オブ・カインド(スリー・カード)」はホルン、チェロとピアノのための作品で2009年に初演されています。メンバーはこの録音と同じでポール&ヒュー・ワトキンス兄弟とリチャードのホルンで文字通り「ワトキンス・トリオ」の演奏になりました。ホルンとチェロとピアノの編成は珍しいと思われますがチェロの重音の響きとホルンが重なると独特の響きになって興味深いものです。なお「スリーカード」だけに3つの楽章で構成されています。
  ヒュー・ワトキンス(1976〜)の「ホルン、ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲」はブラームスのホルン三重奏曲とリゲティのホルン三重奏曲からヒントを得て書かれたようで、2つの作品の中間的な響きがあります。単一楽章で、ロマン的な響きと現代的な響きと両方が聞かれます。
  デイヴィッド・マシューズ(1943〜)の「ホルンと弦楽四重奏のための五重奏曲」は2010年にナッシュアンサンブルのために書かれ、2009年に亡くなった「ニコラス・モーの思い出に」として初演されています。2つの楽章で構成され、第1楽章:アンダンテは古典的な優雅さ、第2楽章:モルト・ヴィヴァーチェはアーノルドの協奏曲のように華やかさがあります。
  マーク=アンソニー・タネジ(1960〜)の「偉大な男のための祈り」は2010年の作品でチェロ協奏曲からホルンとチェロのために編曲されたものです。チェロとホルンによる祈りは美しい響きがホールに響き渡ります。
  ロビン・ホロウェイ(1943〜)の「ホルン、チェロ、ピアノのための三重奏曲」は20010〜11年の作品。第1楽章:リベラメンテ、第2楽章:ポコ・アレグロで構成され20分ほどの演奏時間になります。ホロウェイはタックウェルのためにホルン協奏曲を書いていますが、この三重奏曲はホルンのための2作目になります。思いのほかロマン的な作品ですが第2楽章に現代的な響きが流れます。この演奏もワトキンス・トリオです。


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