デュヴェルノワ/ホルン作品

ホルン三重奏曲第1番、第2番/フェリックス・クリーザー(2016)
CD(BERLIN Classics 0300931BC)

ホルン三重奏曲集
1.デュヴェルノワ/ホルン三重奏曲第1番ハ短調
2.   〃    /ホルン三重奏曲第2番ヘ長調
3.ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調Op40
4.ケクラン/4つの小品Op32
5.カーン/セレナードOp73

  フェリックス・クリーザー(ホルン)
  ヘルベルト・シュフ(ピアノ)
  アンドレイ・ビエロフ(ヴァイオリン)
  録音 2016年

 フェリックス・クリーザー3枚目のアルバムです。ホルン三重奏の作品が録音されました。彼は生まれつき腕がなく、足でホルンのバルブを器用に操作しながら演奏していますが、そのテクニックの凄さには驚きます。
 デュヴェルノワのホルン三重奏曲第1番は古くから知られた作品で2つの楽章で構成されています。第1楽章の穏やかな主題は美しいものでヴァイオリンに受け継がれます。第2楽章のアレグレットはポラッカ風の軽快な主題が流れます。
 デュヴェルノワのホルン三重奏曲第2番は録音の少ない作品です。3つの楽章が続けて演奏されます。第1楽章の明るい響きの主題が軽やかに響きます。クリーザーの演奏の見事なことに驚きます。これは障害者の演奏というレベルではありません。第2楽章の表情豊かな演奏、第3楽章の哀愁的なホルンの響きは実に素晴らしいものです。
 ブラームスのホルン三重奏曲は第1楽章では大変丁寧な演奏が聴かれます。ヴァイオリンとピアノは良い響きでホルンとのバランスもいいです。クリーザーのホルンはだんだん良く響くようになってきます。第2楽章のスケルツォは軽やかな演奏でヴァイオリンとピアノとの息もぴったりです。この楽章でも安定したホルンの音色で見事な演奏が聴かれます。第3楽章のアダージョ・メストは哀愁的なホルンの響きがなんともいえないです。ヴァイオリンとピアノの響きもまた素晴らしいものです。第4楽章のアレグロ・コン・ブリオはスピード感のある演奏でホルンをこれほど自在に吹くクリーザーのテクニックは素晴らしいものです。期待にたがわぬ名演です。
 シャルル・ケクランの「4つの小品」はホルン、ヴァイオリンとピアノための作品でこちらは響きが美しくフランスのエスプリ漂う音楽です。第1曲ではホルンのメロディが美しいものでロマンスのようです。第2楽章はノクターンのようです。第3曲:アレグレットは物悲しい主題が印象的、第4曲:スケルツァンドは楽しそうな雰囲気の演奏です。
 ロベルト・カーン(1865〜1951)のセレナードは11分ほどの作品。序奏は哀愁的なメロディに始まります。ホルンとヴァイオリンが切なく歌います。速いテンポの部分ではホルンの軽快な主題が流れます。クリーザーの豊かな音楽性が感じられる名演です。


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