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『待っています』
いつからだったろう。
夢の中の誰かを、強く、熱く、求めている自分に気がついたのは。
差し伸べられた手。触れ合う肌。
夢の中だというのに、これほどリアルに記憶が蘇るのはどうしてだろう。
逢いたい。逢いたい。
求めてやまないこの心は、どうしたというのだろう。
それも、ここ最近、特にひどくなっている気がする。
いや、予感。
運命がまわり始める、その時が近いことが。
彼に過去の記憶はない。
当たり前だ。人は新しくこの世に生まれ出でるとき、過去の記憶は奥深くに封印される。
それが誕生というものだ。誰も彼を責めることなどできやしない。
もちろん、その声の主にも。
しかし、その人にはわかっていた。
すべてを理解し、それでもかの人を求めた。強く。熱く。
そして。
今、再び。
二人は巡り逢う。
= Fin =
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