『Symphonic Flowers』▼ |
障子を通して枕元を照らす朝の日差しの眩しさに華村は目覚めた。 それからすぐには起き上がらず、しばらく布団の中で夢とうつつの境い目を行ったり来 たりしていると、早朝にもかかわらず緩やかな空気感に思わずあくびが漏れ出てしまう。 それは8畳間ほどの部屋全体に満ちた春の暖かさのせいだろうか。再び眠気を誘う陽気 を振り払おうと身じろぎしたその時、華村は隣で眠っている秋風の存在に気がついた。 金盞花(きんせんか)を溶かしたような髪をした少女が穏やかな寝息を立てているの を見て、華村は自然と笑みをこぼした。 以前は犬猿の間柄だった秋風がこうして自分と枕を並べて同じ布団の中にいることに、 華村は幸福感を覚えていた。 何代にも渡って対立し続ける華村家、秋風家それぞれの長女として生まれたがために、 一度はこじれてしまった仲。 だが、それも中学3年生最後の冬休みに起こったふたりの結婚騒動をきっかけに決着が ついた。それから華村と秋風は元の鞘に収まるどころかさらに仲を深めていき、かつての 友情が愛情に昇華されるまでの時間は短かった。 今ではまるでもう二度と取り戻せない3年間の空白を埋めるように、冬休みが明けてか ら華村達は町外れにある一軒家を借りて同棲を始めていた。 そこでふたりは誰にはばかることなく愛を確かめ合い、中学卒業と秋風のフランス留学 を2週間後に控え、その短い時間を惜しむようにひたすらただれた生活を送る毎日だった。 (昨日も夜遅くまで契っていましたし……) 目を閉じるとその時の情事がありありと思い出されて、華村は頬を赤く染めた。 全身あますことなく秋風からキスの洗礼を浴びて、彼女の唇が触れていない箇所は一つ もない。最も大事な場所は丹念に見られ、齧られ、舐められ、摘まれ、とにかく気が狂い そうになるまで弄られてしまった。 「あっ、んっ……、わたくしとしたことが何てことを……」 気がつけば寝巻きの内側から乳首が固くしこり始め、下腹部が熱を帯び始めている。 昨晩、腰が砕けるくらい秋風とお互いを求め合ったばかりだというのに、今またこうし て性欲が首をもたげている自分をはしたなく思いながらも、華村は一度催した劣情の炎を 消すことは出来なかった。 「んんっ……これはいけませんわ」 沸き起こった感情の昂ぶりに尿意すら催して、華村はトイレへと駆り立てられた。 眠っている秋風を起こさないように注意しながら、華村は布団から抜け出そうとしたが 不意に手首を掴まれた。 「……華村さん、どこへ行くんです?」 いつの間に起きていたのか、相変わらずの細目で秋風がこちらを見つめていた。 「はい、ご不浄に行こうと思いまして」 華村はそれ以上追求されないように正直に答えたが、内心は起き抜けから欲情に身を焦 がして、浅ましくも喘いでいたことに気づかれはしなかったかと気が気ではなかった。 「そうですか。あれほどもう二度と離れ離れにならないと固く約束し合ったのに、貴女と いう人は私を置いて一人で行ってしまうんですね」 「はい?」 ただトイレに行こうとしただけで重い言葉を投げかけてくる秋風に華村は首を傾げた。 その間にも押し寄せる尿意の波に急かされて腰を浮かせるものの、秋風に背後から抱き 締められて身動きがとれなくなってしまった。 「あの、秋風さん、は、離していただけると嬉しいですわ。いえ本当は嬉しくはないんで すけど、今はそうしていただけると有難いです」 「嫌です。私は貴女を手放したくはありません」 「ああっ……!」 華村は眩暈を覚えた。何故か二人の会話が噛み合っているようで、どこか少しずれてい るように思える。そして、それは秋風がこちらを困らせようとわざと言っているのだとす ぐに思い知らされた。 背中越しに聞こえる笑い声。秋風が喉の奥で噛み殺すように小さく笑っている時は、人 をからかっている時の証拠だった。 「あ、秋風さん、あまり意地悪をなさらないで下さいっ……!」 「それは貴女の方でしょう。秋風さん秋風さんと、いつまでもそんな他人行儀な呼び方で はなく、昔のように香ちゃんとか、親しみを込めて香と呼んでくださいといつもお願いし いるではないですか」 「そういう秋風さんこそ、わたくしのことをさん付けで呼んでいるでしょう!?」 また話を逸らされているのを自覚しながらも華村は反論せずにはいられない。 中学校3年間の間、お互いに苗字で呼び合うことに慣れてしまったせいで相手を名前で 呼ぶことが照れ臭く、よほど気持ちが高まらない限り言えなくなっていた。 それでもいつかは自然と秋風を名前で呼べるようになろうと思って、華村は少しずつ口 の中で慣らしている段階だった。 それは秋風も同じはずだったが、彼女は不敵な笑みを浮かべると、 「私はちゃんとあなたのことを名前で呼んでいるよ? 姫ちゃんって」 「秋風さんの、……か、香ちゃんの嘘つき!」 この時ばかりは華村も小学校時代の口調に戻って怒ってみせたが、結局そんな態度すら 恋人を喜ばせることにしかならない。 「ふふ、本当に最近の華村さんは色々と楽しませてくれますね」 「わたくしはちっとも愉快ではありません! ……まったく、もう」 華村は精一杯頬を膨らませて抗議の気持ちを表したものの、秋風の指先につつかれて萎 んでしまう。 仲直りをしてからというもの華村は常に秋風にからかわれる立場になってしまった。 ある意味喧嘩している時の方が対等だった気がするのにその均衡が崩れたのは、 (わたくしがそう望んでいるからでしょうか?) いま思えば、過去3年間、秋風と対立しながらも心の中では彼女に依存せずにはいられ ない弱さがあった。その弱さが今の秋風に対する受身がちな態度に繋がっているのかもし れない。 (結局、わたくしはとうの昔から香ちゃんにのぼせ上がっているんですね) 実際にその思いを知られると、秋風をさらに調子に乗らせるだけなので華村は口に出し たりはしなかった。 「ところで華村さん? 先ほどから落ち着かない様子ですが、トイレには行かなくてもよ ろしいんですか?」 「あっ……!」 お喋りに夢中になって忘れていたが尿意はなおも健在だった。 慌てて部屋から出て行こうと立ち上がった華村だったが、またもや秋風に背後から抱き すくめられ、無理やり布団の上に座らされてしまった。 「秋風さん! これ以上の悪ふざけはやめてください! でないと、わたくし……い、今 にもこの場で粗相をしてしまいそうなんです!」 「私は構いませんよ」 「は?」 一瞬何を言われたのかわからなくて華村は言葉をつまらせた。 「ですから、たとえ今ここで華村さんがおしっこを漏らしたとしても私は構いませんよ」 「は……い?」 もの凄く真剣な口調で言われて反射的に頷いてしまったものの、すぐその間違いに気が つき、華村は顔を真っ赤にして抗議した。 「な、何を言っているんです! わたくしをこれ以上辱めてそんなに嬉しいんですか!」 「ええ。それに華村さんこそもう我慢できないんでしょう? 手伝ってあげますから遠慮 なさらずに」 そう言い終えた秋風があっという間にこちらの帯を緩め、はだけた裾の間に右手を挿し 込んできた。 これはいけないと思い、華村はとっさに脚を閉じたが、不意打ちにうなじを甘噛みされ て出来た隙につけ込まれ、やすやすと秘所への進入を許してしまった。 「んぁっ、だめ……秋風さんっ、ぁ……んっ」 秋風の指が恥丘に繁る陰毛を掻き分け、その先にある縦列を左右に割り開くのを見て、 華村は思わず喘ぎをつまらせて唇を噛んだ。 秋風は眉目を歪ませて羞恥に耐える黒髪の少女の表情を肩越しに見やって、相手に気取 られない程度に生唾を飲み込んだ。 汗に濡れた黒髪が桜色づいた肌にまだら模様を描き、華奢な肩を揺らせてこちらにしな だれかかってくる恋人に劣情を催さずにはいられない。 次第に昂ぶってくる感情を表に出さず、秋風は薄紅色の花びらを優しく撫でつけると、 花弁の中心から蜜が静かに溢れた。 「あ、秋風さ……、そこ……ぁっ、やめ、ああっ」 わざといやらしく水音を立てながら何度も何度も陰唇を刺激すれば、華村がたまらず嬌 声を上げて身をよじらせた。 「もっと貴女の声を聞かせてください。それとそろそろお互い苗字で呼び合うのはやめま しょう?」 「わたくしはそんなつもりじゃあ……はぁっ、あぁん!」 「わかっていますよ姫ちゃん」 秋風は楽器を奏でるように細やかな指遣いを見せると、華村が切なげな喘ぎと悩ましい ため息を漏らして聞く者の耳を愉しませる。 淫らな旋律が部屋に響き渡る中、華村がいよいよ限界に近づいてきたのか小刻みに震え だした。 「もう出そうですか?」 「は、はい。でも、こんな所でするのはやっぱり嫌です。香ちゃん、お願いだから……」 「トイレでさせて欲しい? ふふ、だめです」 そう言いながら秋風は華村の尿道口をくすぐった。すると必死になって尿意を我慢して いた華村の意思とは無関係に身体の方が素直な反応を見せた。 「はぁっ、あっあっ、だ、だめ……っ!」 下腹部に溜まっていたものが体外へと放たれようとする感覚。それを何とか留まらせよ うと華村は股間を両手で押さえつけようとしたが、すでに手遅れだった。 「あっ、いやぁっ!」 と、華村が声を上げた時には勢いよく黄金色の液体が飛び出して綺麗な放物線を描いた。 ふしだらな小水が布団に花模様を作り、勢いあまって畳の上にまではみ出して湯気を上げ る。 10秒程度続いた放尿が終わる頃には部屋中にすえた臭いが充満していた。 「いやっいやっ、こんなのひどいです! 屈辱です!」 寝室で行われた排尿という醜態に華村が激しく頭を振った。先ほどまで恥ずかしさで赤 く染まっていた顔色はいまや完全に青ざめている。 他ならぬ恋人の頼みとは見られて嬉しいとは思えない行為だっただけに、今にも泣き出 してしまいそうだった。 そんな華村を見つめる秋風の表情は愉悦に彩られていた。自分で度し難いとは思ってい るが、虐めぬいた時に見せる華村の頼りなげな姿はひどく魅力的で、背徳的な悦びを抱か ずにはいられない。 それでもひとしきり満足すると、本格的に泣き始めた華村を慰めるべく、秋風は彼女の 頬を両手で包み込んでそっと顔を寄せた。 「さあ、もう泣くのはやめてください。姫ちゃんの泣き顔も素敵ですが、やっぱり笑顔の 方が私は好きですよ」 「そ、それなら最初からこんなことしなければいいじゃありませんか」 「ごめんなさい。でも、好きな人に意地悪をしたくなる気持ちはどうしても抑えようがな くて」 秋風は慈しむように唇で涙の跡を拭き取り、続けて額から顎先にかけて顔中に口をつけ る。 「そうやって今さら優しくしてくれも、ゆ、許しませ……んっむっ」 抗議の言葉を最後まで言わせず、秋風は華村の唇を塞いだ。 最初はただ唇同士を重ねるだけで華村が落ち着くのを待ち、彼女の瞳が和らいだ所で口 の中への侵入を試みた。 「んんっ!」 だが、華村はまだ怒りが収まらないのか頑なに唇を閉ざしていた。 それならばと秋風は乱れた寝巻きからまろび出た華村の乳房を揉みしだく。 「ぁんっ! やっ、香ちゃんっ……また、そんなの卑怯ですわ! んぁあああっ!」 乳首を摘むと、15歳にして肉欲に熟れた肢体が淫靡なうなりを見せた。すっかり色を失 っていた肌もあっという間に赤みが差して秋風の目を愉しませる。 「あっ、あぁっ……はぁんっ」 華村は身をよじらせて愛撫から逃れようとするが、乳首はすっかり硬くなって充血して しまった。 (まだ怒っているのですか?) 秋風は視線でそう問いかけると、 (当たり前です! もういい加減やめてください!) とでも言いたそうに華村がきつく睨みつけてきた。 秋風はその三白眼の中に欲情の炎がちらついているのを見て、華村の理性が揺らいでい るのを感じ取った。 そこで追い打ちのつもりで、すっかり尖りきった乳房の突起を強くつねった。 「ぃぐっ、かっ、あぁっ!」 痛みを覚えるほどの快感に華村が思わず大きく息を吐いた瞬間を狙って、秋風は素早く 舌先を相手の口内に潜り込ませた。 「はぁむ……んっんっ、ん……」 「ひゃ……ぁ、んー! んむっ!」 そこから華村が情欲に押し流されるのはすぐだった。 秋風は恋人の口の中を思うさまに犯し、時には焦らすように唇をついばみ、そして溢れ 出る唾液を啜った。 ほどなくして観念した華村が積極的に舌を絡めてくるようになると、蕩けるような熱い 口付けをし続けた。 「んんー、ん……ふ、むぁ……んっ、んっ」 「はっはっはっ、あっんっ、ふ……ぁ」 もはや言葉を交わすこともやめて、秋風と華村はどちらからともなく相手の寝巻きを脱 がしにかかった。 急ぐあまり焦りで帯を緩めることすらもどかしかったが、全裸になるとそれからお互い の身体を抱き締めた。 発情した肉体から発せられる甘い香りが鼻腔をくすぐり、淫欲に火照った肌をより密着 させると火傷しそうなほどだった。 「香ちゃんの身体、熱い……。ああっ、いっ、ひぁっ」 「そう言う姫ちゃんだって……んっ、んっ、いやらしい顔してます……よっ」 形のいい乳房と乳房がぶつかり合い、硬くしこった秋風の乳首が華村の乳首を突き上げ て、少女達の背中に電流が走った。 いつしかふたりは膝立ちになって足を絡ませ合い、相手の股間を擦り立てた。 「気持ちいい……ですっ。あっ、だめっ……あっあっああっ」 粘着質な水音を上げて包皮から剥き出しなったクリトリスが刺激され、華村は今にも快 楽の頂きへ昇りつめそうになる。先ほどから頭の中で極彩色の火花が万華鏡のように輝い ていた。 「はっ、あっ、あはぁっ……姫ちゃんったら、もう音を上げてしまうのですか?」 一方の秋風はまだ余裕がありそうな表情で、しきりに腰を振ってさらに快感を引き出そ うとしていた。しなやかな肢体を上下に揺らして玉の汗を飛ばし、華村の脚を挟み込んだ 股間からとめどなく蜜が溢れた。 涎や汗、愛液で全身をぬめらせて揉みくちゃになりながら、ついに華村が絶頂を迎えよ うとしていた。 その時、秋風が身体を離した。 「え……。や……」 華村は突然のことに頼りなげな声を上げて、唇と唇の間にいやらしくかかった唾液の橋 が水滴となって落ちていくのを見た。 「香ちゃ……どうして」 「ふふ」 秋風は笑みをひとつ閃かせて、そのまま呆然と立ち尽くす少女を押し倒した。そして、 華村の股間に鼻先を埋めるとともに、自らも大胆に脚を開いて局所を彼女の顔に押しつけ た。 視界に飛び込んできた一輪の花を目の当たりにして思わず華村は息を飲んだ。 何度見ても何度愛でても決して色褪せることのない桜色の花びらが幾重にも重なり、そ の中心に溜まった蜜液がこちらの顔に滴り落ちてくる。 「さあ、今度は私を存分にいじめてください」 「えっ? あ、は……はい……」 秋風の言葉に導かれて、華村は甘くも酸っぱくも感じられる不思議な味を舌先で舐め取 りながら、蟲惑的な匂いに誘われて蜜壷に舌を伸ばした。 「んっ、むっ、んっ、んっ」 「あっ、んあっ、はあぁ、あぁあああっ!」 肉厚の粘膜が秘唇を出入りするたびに、秋風が名楽器の音色に優るとも劣らない嬌声を 上げた。 華村は愛しい秋風を喘がせていると思うと気分が高まり、もっと彼女を喜ばせようと忙 しく舌を動かした。 「どう、ですか? わたくし、うまくできていますか?」 「あんんっ、んん……。はい、とっても上手ですよ香ちゃ……んっ!」 褒められて嬉しくなった華村は、先ほどのお返しとばかりに今度は秋風を辱めるように わざと大きな音を立てて愛液を舐め取った。そして、内股にいくつもの痣ができるほど唇 で吸いついた。 「く、くぅん……そ、そんなところまで……い、あぁっ」 秋風もただ喘いでいるだけでは終わらない。 目の前にある華村の局所に唇をつけて、尿まじりの愛液を啜り上げる。そして物欲しそ うにひくつく膣口にたっぷりと唾液を流し込んで、舌先を胎内に挿入させて内側の肉襞を 擦りたてる。 「んっ、んぷっ……んふぅ」 秋風は唾液と愛液が混ざったものを舌を窄めて吸い上げる。ついでに肛門にすら指を伸 ばして、小さな窄まりを緩やかに愛撫した。 「そ、そこは汚いです。香ちゃん、やめて、やめっ……あっあっひぃっ!」 「姫ちゃんの身体に汚いところはどこにもありませんよ。貴女のおしっこだって私にとっ ては聖水のように清らかなものです」 「そんなっ……!?」 もはやその言葉が嘘か真実か確かめることも出来ないまま、華村は秋風の反撃に翻弄さ れる番だった。 その頃にはいつもなら朝食を用意をしている時間帯になっていたが、秋風と華村は攻守 ところを代えながら飽きることなくクンニを繰り返した。 「んぁああん! か、香ちゃん、そろそろ学校に行く準備もしないといけませんよ?」 「あっ、はっ……そんな無粋なことを言わないで下さい。今日はこのままふたりで、ね?」 「は、はい……そうですね。わたくしもそうしたいです。あっやっ……んー!」 残る学校行事は卒業式だけでたいした授業もないのが幸いだった。後は何も憂うことな く情事に耽ることができる。 だが、延々と続くと思われた淫らな行為にもひとつの終わりが訪れようとしていた。 「あぁっ、ああんっ、うん、んっ! 香ちゃん、許してっ! わたくし、もうだめぇ!」 めくるめく快楽が華村の理性を削り取り、絶頂を我慢するのもすでに限界だった。 それは秋風も同じなのか、身の内に持て余した淫蕩な熱気を耐えかねて今にも感情を爆 発させかねない様子だ。 「まだ我慢して、姫ちゃんっ。あふっ、はっあっ、一緒に……一緒にイきましょう!」 「は……はいっ!」 ふたりは気持ちを確かめ合い、最後は無我夢中になって恋人の性器にむしゃぶりついた。 秋風が子宮口まで届けとばかりに舌を深々と挿入すれば、華村がささやかに実った淫芽 を唇で挟んでお互いを快楽の頂点へ追い詰める。 頭と股間が交錯している体勢では相手の喘ぐ顔が見れないのが残念だったが、もはや身 体を入れ替える余裕すらなかった。 「きゃぁっ! イくっ! あっ、いやっいやっ、香ちゃんっ、あぁっ、ああぁあ〜っ!」 「あくぅっ、私も……だめ、あっあっあっああっ、イきます! 姫ちゃぁああああん!」 名家の令嬢としてのおしとやかさはどこへやら、少女達はあられもない声を上げて髪を 振り乱す。 断続的に襲いかかってくる快楽の余韻に華村は唇を噛み締めて耐え、秋風は全身の筋肉 を弛緩させて身動きすらままならい。 と、不意に秋風が背中を大きく仰け反らし、腰を振るわせた。 「香ちゃん?」 「は……ぁ、ごめんなさい。姫ちゃん、受け止めて……」 華村は最後に残った理性で秋風の言葉の意味を悟ると、愛液の飛沫を上げる股間に唇を 宛がった。ほどなくして口内に温かな液体が流れ込んでくた。 秋風が快感のあまり失禁したのだ。 「はぁあああ、あっはぁ、はっはっ、ああ……」 「ふむぅっ!? んっ! んっ! んむぅっ!」 華村はとめどなく溢れる尿をこぼすことなくすべて飲み尽くしていく。 自分の排泄物には不浄のものとして嫌悪感すら抱くが、不思議と秋風に関しては気にな らなかった。 愛しい人のものに汚いものはない。そんな心の表れだろうか。 今なら排尿行為を見たいと言った秋風の気持ちもわかる気がした。 (それとも……もしかしてわたくしは騙されていますか?) 薄れていく意識の中でそう思いながらも、またひとつ恋人と通じ合えるものが出来たこ とにささやかな喜びを得た。 「ありがとう姫ちゃん」 柔らかな声音と感謝の言葉が聞こえて、華村はいつの間にか秋風が頭を並べて顔を寄せ ていることに気がついた。 「あ……、香ちゃん。お布団を洗って干さないと。今日はとってもいい天気です」 ほとんど寝かかっているせいか、そんな的はずれな返事をしてしまった。 「ふふ。さあ、私も疲れましたから今はもう一眠りしましょう? そして起きたらまた一 緒に……」 「はい、香ちゃん」 秋風はまるで子供のように素直に頷く華村の頭をそっと腕の中に抱え込むと、黒髪を撫 でながら歌を歌い始めた。 それは幼い頃、秋風が華村のために送った初めての歌。 (そうでした。香ちゃんはいつもこうして子守唄代わりに歌を聞かせていましたね……) 優しげなメロディーに心地よさを覚えながら、華村はつかの間の眠りへと落ちていった。 (Fin)
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