未来の婚活

技術革新が進み、ロボットが社会の末端まで行き渡るようになるにつれて、人類の少子化も加速していた。
そんな中、ある家に住む独身の男が、宅急便で届いた重い荷物を抱えて自室へと向かっていた。
「結婚するためとはいえ、緊張するな……」
「うまく出来るか心配だ」
スペースのあるところの床に荷物を置くと、早速中に入ったロボットのパーツを組み立て始める。
手に触る感触は安っぽいシリコンで、これだからお上はと愚痴りながら最後の髪の毛を取り付ける。
出来上がったのは肌色のシリコンで覆われた2つのロボットだった。
一つは体長60cmくらいの赤ちゃん型、もう一つは体長130cmくらいの女子小学生型だった。
「組立ガ完了シマシタネ。ソレデハ登録者情報ヲ入力シテクダサイ」
機械的な音声に従い、自分の氏名、年齢、職業などを登録していく。
自分と相性の良い相手を探しやすくするため、国は婚活の際に子供ロボットによる適性試験を義務付けた。
また結婚して子供を授かった大人が錯乱してDVを起こすことを防ぐ目的もあった。
数日間子どもと一緒に過ごすこのロボットは、家庭内LCN(Local Cencered Network)の情報を取得した上でデータベースに接続される。
これはリアルタイムに子供の反応を再現すると共に、自然に子どもとして対処しているか診断するためだ。
「登録終了。ワタシノ名前は「ミキ」デス。シバラクヨロシクお願い致します」
機械音から声帯を利用した声に変わる。少しびっくりしたが、心を抑えて少し屈みミキに視線を合わせる。
「よろしく。ミキ。僕は…僕は正直、まだ良い親になれるかわからないけど、頑張るよ」
「こちらこそ、お世話になります」
そう言うと彼女らはふたりとも眠りについた。データを取得するためだ。
明日からは赤ちゃん型のミキとの生活が始まる。
とりあえず必要な物を取り寄せるため、二人とつないだ手を離して男は外へと駈け出していった。

END

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