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ユキのロンリーナイト

「ほら、どうするの、ユキ?」

 後ろからユキのアヌスを責めながら、お姉さまがユキに聞いてきます。 でも、ユキの返答は決まっています。

「……ごめんなさい……、お姉さま……、リカさん……、ユキの、恋人は、お姉ちゃんだけ……」

 ユキがそう告げると、リカさんがユキのおちんちんを戒めるリボンを解いてくれました。 溢れ出る精液をリカさんがすすり上げます。 続いてお姉さまがユキのアヌスからディルドーを引き抜きました。 全身から脱力したユキから、お姉さまとリカさんが離れます。

 ベッドにくずおれたユキにアキお姉ちゃんが飛びついてきました。 ユキを抱き起こし、口移しでスポーツドリンクを飲ませてくれます。 ユキはそれをむさぼるように飲みました。

「お姉ちゃん……」

「なあに、ユキちゃん」

「……ユキ、お尻が痛いの……」

 お姉さまに極太のディルドーで責められ続けたユキのアヌスは焼け付くような痛みを訴えています。 ユキをベッドに横たえると、アキお姉ちゃんはユキのアヌスをその舌でなめ始めました。 なめられ続けているうちに痛みは消えてゆき、代わりに快感が湧き起こります。 その快感に、ユキの腰がもぞもぞと動いてしまいました。

「ユキちゃん、痛かった?」

「……ううん、もう痛みは大丈夫。それより、来て……」

 ユキはお尻を両手で拡げ、アキお姉ちゃんにアヌスを晒します。

「大丈夫?」

「うん、だから、お姉ちゃんのおちんちんユキに頂戴……」

 アキお姉ちゃんは、後ろからのしかかるようにユキの中に入ってきました。 そのまま後ろから抱きしめられます。

 中と外からアキお姉ちゃんに満たされたユキは――

● ● ●

 唐突に目が覚めた。カーテンの隙間から入る月の光に浮かび上がる、自室の天井が目に入る。

 一瞬、アキ先輩に挿入されたあと気でも失ったのかと思い、それから今のが夢だったと気づいた。 涙がじわりと湧き上がる。

 ――さびしい。

 ――お姉ちゃんに会いたい。

 ――ひとりはいや。

 僕の中の『ユキ』が涙をあふれさせる。その涙が僕の眼から零れ落ちた。

 僕の中の『ユキ』はどんどん大きくなっている。 最近では『祐樹』でいる時間より『ユキ』の時間のほうが長い。 『祐樹』でいるのは学校に行っている間と母さんの前にいるときぐらいだ。 姉さんやアキ先輩たちに会いに行くときは無論、家に一人でいるときも常に『ユキ』になってる。

 いや、それも正しくない。 学校にいるときも、母さんと話しているときも、『ユキ』が無理して男言葉でしゃべってるみたいな気がしてる。 多分、『山瀬祐樹』って言う男の子はもういないんだ。 高校生三年生男子、文芸部の男性部長、山瀬祐香の弟の『山瀬祐樹』はもうこの世にいない。 いるのは、アキお姉ちゃんの妹、ユカお姉さまのネコの『ユキ』なんだ。

 その『ユキ』が、涙を流してる。『アキお姉ちゃん』を恋しがってる。 『祐樹』にとってはあくまでも先輩だけど、『ユキ』にとっては最愛の人を求めて。

 ――ふと気がつくと、僕はもう『祐樹』から『ユキ』になっていた――

 お姉ちゃんには恋人がいます。リカさん。ユキから見てもとっても素敵な人。 二人はとってもお似合い。そして心から愛し合ってます。

 リカさんがお姉ちゃんの一番だって言うのは、お姉ちゃん自身からはっきり告げられています。 ユキのことも好きだとは言ってくれたけど、それは後輩、あるいは妹としての『好き』。 『愛してる』とは違います。

 ユキはお姉ちゃんが好き。大好き。愛してる。

 だけどこの気持ちは決して満たされない。ユキは決してお姉ちゃんの一番になれないから。 天秤はいつもユキのほうに傾いていて、決して水平にはならないのです。

 ユキがどんなにお姉ちゃんを求めても、その欲求は満たされません。 その欲求不満がユキの中にたまり、暗い穴になります。 お姉ちゃんを求めるたびに、胸の中にぽっかりあいた暗い穴がだんだん大きくなっていきます。

 お姉ちゃんを好きにならなければこんな事にはならなかった。 『祐樹』のままでいればこんな苦しみを味わうことはなかった。

 お姉ちゃんが嫌い。『祐樹』を『ユキ』に変えちゃったお姉ちゃんが嫌い。

  ――「あの、これ、僕なんですよね……?」

  ――「そうよ。とっても可愛いよ」

 お姉ちゃんが嫌い。ユキのバージンを無理やり奪った、お姉ちゃんが嫌い。

  ――「……あの、今だけでいいんですけど、先輩のこと、『お姉ちゃん』って呼んでいいですか……?」

  ――「……うん。ユキちゃんのことは、なんて呼べばいい?」

  ――「ユキでいいです。呼び捨てにして下さい。この名前、気に入りました」

  ――「分かったわ。――じゃあユキ、最後まで行くわよ」

  ――「……はい、お姉ちゃん」

 お姉ちゃんが嫌い。ユキの童貞も奪った、お姉ちゃんが嫌い。

  ――「……ユキのおちんちん、全部入ってるよ。どう?」

  ――「あっ、それ、やめて、また出ちゃう!」

  ――「いいのよ、ユキの全部、お姉ちゃんの中に出しても……」

 お姉ちゃんが嫌い。ユキを見捨てて、リカさんと愛し合ってるおねえちゃんが嫌い。

  ――「ねえアキちゃん、ユキちゃんのこと、好き?」

  ――「……好き、だけど、それは……」

  ――「じゃあ、嫌い?」

  ――「そんなことない!」

 ……駄目。自分に嘘はつけない。ユキはお姉ちゃんが大好き。 離れたくなんかないし、忘れたくもない。

 自然に、お姉ちゃんに抱かれたときのことを思い出します。

 抱きしめられたとき、体が芯から温かくなった。 キスされたとき、頭の芯がくらくらした。 そっと服を脱がされると、心臓がどきどきした。 おっぱいをなでられると、電撃のような快感が走った。 おちんちんにさわられると、腰がとろけそうになった。

 いつのまにか、ユキのおちんちんは固く屹立しています。 先端からこぼれる透明な蜜が、お姉ちゃんを求める涙のようにも見えます。

 そしてアヌスも。お姉ちゃんに悦びを教えられ、お姉さまに調教されたアヌスが、ペニスを求めてうずいています。 すっかり性器に作り変えられてしまったユキのアヌスは、寂しさを埋めてくれるペニスを求めてうずきます。

 さっきの夢の余韻とお姉ちゃんとの記憶で火照った体は、このままでは寝付けそうにありません。

 ユキはベッドから降りると部屋の明かりをつけ、衣装箪笥に向かいます。 まずショーツをひとつ出し、ベッドに放り投げます。 次に引き出しの奥に隠した袋を引っ張り出してベッドに戻り、袋の口を開けました。

 ユキの秘密の道具袋です。中にはゴム製のディルドーと、バイブレーターと、柔らかい刷毛。 スキンとローション。

 それから、写真。ユキとお姉ちゃんのツーショット写真を、ラミネートフィルムでシールしたものです。

 小道具を確認したら、まずパジャマを脱ぎ、全裸になります。 これからすることを考えると、それだけで興奮が高まってきました。

 右手の中指にローションをたらし、その指でアヌスをマッサージします。 すっかり慣れているアヌスは簡単にほぐれ、指を根元まで受け入れました。 指を増やしながら、アヌスを拡張していきます。

 すっかりアヌスがほぐれたら、バイブレーターにスキンをつけ、その上からローションをまぶします。 ベッドに立てたバイブレーターの上にしゃがみこみ、先端をアヌスにあてがいます。 冷たい感触にアヌスがきゅっと締まりますが、そのまま体重をかけました。

 ずぶり。

 ちょっと太目のバイブレーターを、ユキのアヌスは難なく飲み込みました。

 先端が奥にあたるまで飲み込んだバイブレーターのスイッチを入れます。 最初は「弱」に。モーターの音とともに、ユキのアヌスの中がゆるゆるとかき回されます。

 アヌスの快感に耐えながらベッドに横たわり、枕もとにディルドーを引き寄せます。 次に、右手に刷毛を、左手に写真を持ちました。

 刷毛でそっと乳首をなでます。こちらもすっかり開発された乳首が、ぬるま湯のような快感を送り込んできました。 写真のなかで笑うお姉ちゃんの姿を見ながら、左右の乳首を交互に刷毛でいじります。

 すっかり興奮したユキは、枕もとに転がるディルドーに口を近づけます。 まず先端にそっと口付けします。それから、手を使わずに口の中に含んでいきます。

 アヌスをバイブレーターに犯されながら、ディルドーを口に含んでもてあそび、刷毛で胸を責める。 しかも愛する人の写真を見つめながら。 はたから見たら淫らこの上ない、決して人には見せられない姿です。 もしお姉ちゃんに見られたら、恥ずかしくて死んでしまうかもしれません。

 想像の中のユキは、お姉ちゃんのペニスでアヌスを犯されながら、お姉ちゃんのペニスにお口で奉仕し、お姉ちゃんにおっぱいを吸われています。 もはや想像と言うより妄想と言うべきかもしれません。整合性などはなから無視でした。

 刺激的な妄想と物理的な刺激に、ほどなくユキは限界に達します。 ペニスとアヌスが痙攣し、つま先がぴんと伸びました。 右手が刷毛を放し、左の乳首をぎゅっとつまみました。 反射的に、左手をペニスの前に持っていきます。 ユキのペニスから飛び出した白い粘液が、写真にあたって湿った音を立てました。

 想像、いえ妄想の中のユキは、アヌスと口に精液を注ぎ込まれながら、お姉ちゃんの顔に精液をぶちまけていました。

 しばらく呼吸を整えます。まずやることは写真を清めることでした。 付着した精液を口をつけて吸い取り、そのあとウェットティッシュで丁寧にふき取ります。 それからバイブレーターのスイッチを切りました。 ディルドーについたよだれもウェットティッシュでふき取り、刷毛と一緒に道具袋に収めます。 腰に力が入らないので、ベッドに座ったままの作業です。

 後片付けをしていると、むなしさがこみ上げてきます。 『祐樹』のときは、自分で処理しても「すっきりした」としか感じなかったけど、 自分で慰めた後のユキは消えた性欲の変わりにむなしさを感じてしまいます。

 道具袋を床に置くと、ユキはショーツを身につけます。 スイッチを切ったバイブレーターは抜かず、その上から穿きました。 そのままパジャマは身につけず、裸のまま布団にもぐりこみます。

 『祐樹』ではなく『ユキ』のまま、お尻におちんちんの感触を感じていれば、 さっきの夢の続きが見られるかもしれない、 夢でだけどお姉ちゃんに愛してもらえるかもしれないと思いながら、 ユキは部屋の明かりを消しました。

―了―


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