Blue Roses Garden > アキの話 > 第一話 アキ

アキ

 皆さんこんにちは、それともこんばんは?

 ボクの名前はアキ、ちょっと女装が趣味なだけのどこにでもいる男の娘(オトコノコ)だよ。 今日はこの間会った、ちょっとかっこよかった人の話をするね。

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 今日は金曜日。年末が近くて忙しいパパとママは今夜も帰ってこない。 ハウスキーパーの山田さんは晩御飯の準備が終わったら帰っちゃう。 遊びに行っても誰も何も言わないよね。

 まずはお風呂。体を綺麗に磨いたら、スキンケアローションでしっかりケア。 髪をしっかり乾かしたら、ショーツとキャミソールだけのちょっとはしたない格好で部屋に戻る。 次は鏡の前でしっかりお化粧。うーん、やっぱりスタンドミラーじゃやりにくいね。 ドレッサーがほしいなあ。

 さて次に着ていくもの。 ワードローブを開けて、奥のほうからブラウスやスカートを引っ張り出す。 ベッドの上に並べてあーでもないこーでもない。 結局今夜は白いブラウスとモカブラウンのスカート、黒のストッキングに決定。 スカートと同色のジャケットに、クリーム色のマフラーでおとなしめに決める。 最後に紙袋からブーツを出して、着ていくものはこれでオッケー。

 次はポーチの中身を確認。 お財布に、イオカードに、ハンカチに、ティッシュに、お化粧道具に、 スキンに、ローションの小瓶に、替えのショーツに……。 こっちもオッケー。

 さて準備完了。誰もいない家に向かって「行ってきます」を言って、いざ出発。

 うちの周りは閑静な住宅街。でも少し歩くとJRの駅がある。 電車に乗って二駅行くと、駅前に大きな繁華街がある。 目指すはまずそこだ。

 まずは家を出て、最寄の駅を目指す。この瞬間がいつもドキドキ。 御近所の人に声をかけられたらなんて言ったらいいんだろう。 「〜君のお友達のアキです」って言ってごまかせるかな。

 残念ながら(?)今日も誰もいない。ボクは足早に家から離れると、大通りに出て駅のほうに向かった。

 大通りは人通りも多い。 誰かに気づかれたらどうしよう、 今すれ違った人は変な目でみて無かったかな、 あっちのOL風のお姉さんがこっちをじっと見てるような……。 なあんてことを考えながら歩くと、だんだん顔が火照ってくる。 ううん、顔だけじゃない。 なんだか身体も熱くなってくる。 でもこのポワポワした感じが気持ちいい。

 電車に乗ると、さすがにこの時間はがら空き。 空いているシートに座って、なんとなく窓の外を眺める。 あ、反対方向の電車、満員だあ。 あれに乗ったら、きっと回りじゅうが帰宅途中のサラリーマンで、ぎゅうぎゅう押されるんだよね。 胸が押し付けられた人がボクの事をじろじろ見るかも、 ううん、それどころか後ろから押されて腰を押し付けちゃうかも。 そうしたら一発でばれちゃうかも。 もしそうなったら……。

 なあんてことを考えてる間に電車は駅に到着。 駅舎を出ると、駅前はちょっとした広場になっている。 タクシープールとバス停は駅前広場から少し離して設置されていて、 広場の中心には小ぢんまりとした噴水がある。 この噴水が絶好の待ち合わせスポットになっていて、 今も何人かの人がひとまち顔でタバコをすったりプールのふちに座ったりしている。

 ボクはプールのふちに腰掛けると、あたりを通る人を観察し始めた。 一人歩きの、かっこいい人を探す。 あの人は? うーん、ちょっとタイプじゃないかな。 あっちは? ああ駄目だ、向こうの女の人と待ち合わせてたんだ。 こっちの人はどうかな……?。

 しばらくして、サラリーマン風のスーツ姿のお兄さんを発見。 駅から出てきたのはいいけど、なんだか手持ち無沙汰って顔してる。 きっとこの後の予定とか何にも無いんだね。

 適当なお店でも探してたのか、あたりを見回していたお兄さんと視線がぶつかった。 目をそらさず、にっこりと微笑んであげる。 つられたように微笑み返してくれた。よーしヒット! 腰を上げてお兄さんに歩み寄る。

「こんばんわ」

「あ、やあ」

 お兄さんが戸惑いがちに返事をしてくれた。逃さないようにたたみかける。

「おひまなら今晩私といかが?」

「いや、今あんまり持ち合わせが無いんだ。だから……」

 ああ、勘違いさせちゃった。ちょっと強引だったかな。

「あ、ごめんなさい。そういうのじゃないの。 私、今夜は予定が無いんです。でも一人はさびしいの。だからもしあなたが良かったら……」

 そういって少しうつむき加減で上目遣いの目線を送る。

「ああ、俺も今夜は何も予定は無いけど」

 よしゲット! 経験上、こうくればむこうはもうその気だね。

「よかった! じゃあいきましょう」

 そういってお兄さんの手をとって歩き出す。 飲食店街(+ラブホテル街)の方向へ引っ張っていくと、 お兄さんは素直についてきてくれた。

 まずは居酒屋で適当なメニューと軽いお酒を楽しむ。 店を出ると、ボクとお兄さんの足は自然とすぐそばのホテルに向かった。 宿泊でチェックインする。 割り勘で払うって言ったのに、お兄さんは全部自分が払うからっていった。 オトコノヒトってそういうことにこだわるよね。 オトコノコにはよくわかんないや。

 部屋に入ったら、まずお兄さんとキス。 お兄さんはかなり酔いが回ってるみたい。 お酒、弱かったのかな? 舌を差し込むと、お兄さんも舌を絡めてきたので、たっぷりディープキスを楽しんだ。

 抱きしめようとしてくるお兄さんを押し止めて、ソファに腰をおろさせる。 コートと上着を脱がせ、ネクタイをはずしてあげると、ボクもジャケットを脱ぐ。 もう一度軽くキスをしてから、お兄さんの前にひざまずいた。 ベルトを緩め、スラックスのジッパーをおろすとトランクスがテントを張っていた。 お酒のんだりおしゃべりしたりしながら期待してたんだね。 トランクスの前からお兄さんのペニスをひっぱりだすと、元気良く上を指している。

「いただきまーす」

 お兄さんのペニスにまずはキス。先っぽにすぼめた唇でチュッ。 それから先っぽやさおに何度もキス。

「ん…」

 お兄さんが声をあげた。よーし、次ぎいっちゃおう。 お口を大きくあけて、先っぽをくわえる。 そのまま舌の先でお兄さんの先っぽをつんつんしてあげる。 それからゆっくり飲み込んでいく。飲み込みながら舌で裏側を舐める。 半分ぐらい飲み込んだら、飲み込むのをやめて舌を動かす。

「くっ、ふう」

 気持ちよくなってくれたみたい。調子に乗って舌を激しく動かしていく。 お兄さんの息が荒くなってきたのを確認して、 頭全体を上下するようにして激しく出し入れする。 唇をすぼめてさお全体を摩擦しながら、上下するたびに舌でも刺激する。 時々動きを止めて強く吸い上げると、そのたびにお兄さんがうめき声をあげる。 そろそかな?

「ねえ、お口でいってもいいよ」

 いったん口を離して上目遣いでそう告げると、お兄さんが無言でボクの頭をつかんだ。 お口をあけてあげると、お兄さんはボクの頭を激しく上下させる。

「んっ、んっ、んっ」

 ボクはもううめき声みたいな声しか出せない。 お兄さんにされるがままになりながら、唇と舌でご奉仕する。

 突然奥まで押し込むと、お兄さんの手の動きが止まった。 ボクののどの奥に、熱い液がたたきつけられる。 ボクはそれを夢中で飲み下した。唇をすぼめて一滴もこぼさないように。 お兄さんの射精が止ると、ボクはそのまま強く吸い上げる。 中にわずかに残っていた精液を吸い出すと、お兄さんが取っても気持ちよさそうなうめき声をあげた。

「たくさん出たね」

 お兄さんのほうを向いてにっこり微笑む。

「ああ、すまない」

 お兄さんがすまなそうな顔で謝ってきた。

「あ、いいんですよ。強引なのは嫌いじゃないです」

 床から立ち上がると、備え付けのミネラルウォーターで口の中を洗い流した。 バスルームのほうに向かいながらお兄さんに声をかける。

「シャワーを浴びてきますから、服を脱いでベッドで待っていてください」

「ああ、それなら俺も」

うーん、うれしいけどまだ種明かしはしたくないな。

「あの、わたし男の人の汗のかおり好きなんです。そういうのはおいやですか?」

 思いっきり不安げな表情を作って、視線をお兄さんと合わせる。 まばたきもせずに見つめると、お兄さんが慌てて目をそらした。

「あ、いや、そんなことないよ」

「よかった」

 ひとつ微笑んで、素早くバスルームへ。 脱衣所が無いし、バスルーム自体も壁が曇りガラスなので、 胸と股間がお兄さんから見えないように気をつけてシャワーを浴びる。 バスタオルを巻いて出ると、部屋の照明が落とされていた。 弱い間接照明の明かりだけに照らされたベッドの上から、お兄さんがこっちをじっと見ている。

「はずかしいです、そんなに見ないで」

「恥ずかしがらなくていいよ。とっても綺麗だ」

 ベッドの上にあがると、キスを交わす。 お兄さんがボクを抱きしめてきた。 今度は抵抗せずに、されるがままにする。

 お兄さんが戸惑ったように腕を緩めた。 ボクはかまわずこちらから抱きつくと、 あぐらをかいているお兄さんの太ももにまたがるように身体を寄せる。

 お兄さんは目を見開くと、ボクの両肩をつかんで身体を引き離した。 その弾みでわざとゆるく巻きつけていたバスタオルが落ち、 お兄さんの前にボクの全裸が晒された。

「――君は、男、だったのか……?」

「うん、そうだよ」

 お兄さんが絶句してる。でもその表情に嫌悪の色はない。純粋に驚きだけだ。 ちょっといじめてあげよう。

「――そうだよね、男なんてやっぱりいやだよね」

 悲しそうな表情を作ると、わざと視線をそらす。 声からも力を抜いて、儚げな雰囲気をかもし出す。

「ごめんなさい……」

「あ、いや、すまない、そんなつもりじゃ」

 慌ててる、慌ててる。えへ、かわいいね。

「ほんと? ボク、オトコノコだよ、それでもいいの?」

 今度は期待に満ちた表情を作って、お兄さんの目をじっと見る。

「あ、ああ」

 お兄さんはしっかり肯いてくれた。やったね。

「――ありがとう!」

 お兄さんに抱きついて、思いっきりキスをする。 お兄さんも積極的にキスを返してきてくれた。 思いっきり舌を絡めながら、お互いの唾液を交換する。 お兄さんにぎゅっと抱きつくと、むこうからも抱きしめてくれる。

 お兄さんに横になってもらうと、両足の間に入り込んでお兄さんのペニスをくわえた。 今度は最初から激しくご奉仕する。

「なあ、こっちにもきみの……」

 くわえたまま半回転して、お兄さんの顔をまたぐように姿勢を変えた。 いわゆるシックスナインの体勢になる。 お兄さんの顔の前に、ボクの既に硬くなったペニスがぶら下がる。 お兄さんはぎこちない動きながらも、ボクのペニスをしゃぶってくれた。 あん、気持ちいいよう……。

 しばらくお互いを責めてると、お兄さんのペニスがピクピクし始めた。 ころあいかな。 いったん顔を上げてお兄さんのほうを見ると、怪訝気にこっちを見返してくる。

「そろそろ、いいよね」

 ボクはそういうとサイドテーブルのポーチを手繰り寄せ、 中からアナルローションの小瓶とスキンを取り出した。 このローションは普通のローションより油分が多く、乾きにくい専用品。 ローズオイルと香料も入っていて、かすかな香がさらに気分を高めてくれる。

 まずスキンを開封する。 それから歯にあたらないように気をつけて唇でくわえると、 お兄さんのペニスの先にかぶせる。 ロールしてる部分を唇で延ばすようにして、お兄さんのペニスに装着完了。

 次にローションの蓋を開けて、中身を左の手のひらに出す。 足を開いたひざ立ちの姿勢になって、ローションをアヌスにしっかり塗りこむ。 アヌスの周りにも塗り広げると、小瓶の蓋を戻してサイドテーブルに置いた。

 枕に頭をのせてあお向けになると両膝を立て、お兄さんのほうに両手を伸ばして誘う。

「おねがい、来て……」

 お兄さんはボクにおおいかぶさると、ペニスの先をボクのアヌスに押し当てた。 でもやっぱり女の人と勝手が違うのか、うまく入らない。 腰を進めようとすると先端がずれちゃう。 ボクは両膝を抱えるようにすると、右手の中指と薬指でアヌスを押し開いた。 左手はお兄さんのペニスに添えて、先っぽがずれないように固定する。 両足はお兄さんの肩にかつがれた格好だ。

「このまま、まっすぐ、来て……」

「ああ」

 お兄さんがゆっくり腰を進めてきた。先っぽがボクのアヌスを押し広げていく。 だんだんアヌスが広がっていくのがわかる。ペニスはどんどんつき進んでくる。 すぐにカリ首の一番太いところが通り過ぎ、先っぽが僕のアヌスに入り込んだ状態になる。

「はあっ、はあ」

 お兄さんが大きく息を吐いた。ボクはお兄さんと目を合わせると、視線で先を促した。 お兄さんのペニスがゆっくりと前進を再開する。 1センチずつか、5ミリずつか、じりじりとボクの中に入ってくる。
あん、前立腺をこすられた。
くう、奥の壁をこすってる。
あ、奥に突き当たった。
こうして、お兄さんのペニスはすっかりボクの中におさまった。

「――ボクの中は、どう?」

「ああ、熱くて、根元はしっかりと締め付けて、でも中はすごく柔らかくて、とっても気持ちいいよ」

 よかった。でも本番はこれからなんだよね。

「――動いてください。ボクの中で、もっと気持ちよくなって」

 お兄さんは黙って腰を動かし始めた。遠慮がちに、ゆっくりと引き抜く。 半分ぐらい戻ったところからまたゆっくりと入ってくる。 ボクもその動きにあわせて、腰をひねったり上下させたりする。

 お兄さんの動きがだんだん速くなってきた。 抜きさしする力も強くなってきて、お兄さんの腰がボクのお尻にあたってパンパンと音を立てるようになった。 睾丸が僕のお尻を打つ。 ペニスがボクの中をこするたびに、激しい快感が背骨を駆け上がる。 ボクはもう言葉も出せない。まるで絞め殺されるみたいな喘ぎ声を上げるだけだ。 お兄さんのほうも言葉はない。全速力で走ってるみたいな激しい息づかいだけだ。 僕たちはお互い言葉も出さず、つながっている部分から湧き上がる快感をむさぼった。

 いつのまにか姿勢は変わり、ボクの両足はお兄さんの腰に回されている。 右手は頭のわきで枕を握り締め、左手はお兄さんの右手と握り合っている。 お兄さんの息づかいがさらに速くなる。そろそろ限界みたいだ。 よーし、サービスしちゃおうかな。

 ボクは両足に力を入れてお兄さんの腰の動きを止めた。お兄さんがボクの顔を見る。

「どう、した……?」

「ねえ、上にならせて?」

 お兄さんは無言でボクの背中に手を回して抱き上げる。 そのまま腰をおろして、いったん対面座位の姿勢になった。 あぐらをかいたお兄さんに抱っこされた形になる。 そのままお兄さんが後ろに寝転ぶと、お兄さんの腰の上にボクがしゃがみこんだ形になった。

 両手をお兄さんの胸につくと、ボクは腰を上下に動かす。 すぐにお兄さんの両手がボクのお尻を下からつかんで、より激しく動かした。 ボクのペニスもおもいっきり硬くなって、お兄さんの目の前で上下にはねている。

 ボクの腰が上下するたびに、お兄さんが荒い息を吐く。 ボクは腰をひねったり前後に揺らしたりしながら、アヌスでお兄さんのペニスをしごく。 ボクのペニスが上下左右にはねまわって、透明な液をお兄さんのおなかに振り撒いている。 腰をおもいきり落とすとペニスの先端が僕のお尻の突き当たりにぶつかって、 そのたびに激しい快感が脊髄を駆け上がる。

 お兄さんはもう限界。息がいよいよ荒くなってきた。 ボクはとどめとばかりに激しく腰を動かす。

「……っ! くっ!」

 お兄さんの腰が跳ね上がり、ペニスがボクの奥まで突き刺さった。 お尻の中でビクビク震えてるのがわかる。 あん、気持ちいいっ! 今きっと激しく射精してるんだね……。

 お兄さんの腰がベッドに落ちる。 しばらくその姿勢のまま息を整えると、ボクはゆっくりと腰を上げた。 力を失ったペニスが、ぬるり、という感じで抜け落ちる。 そっとスキンをはずしてあげると、中には精液がたっぷりだった。

 お兄さんの両足の間にひざまずくと、萎えたペニスをお口にふくむ。 全体に舌を這わせて汚れを拭い取り、最後に唇でボクの唾液を拭い取った。

「気持ちよかったね」

「ああ。でも君はまだいってないんじゃないのか? 俺ばっかり二回も」

「いいの。お兄さんが気持ちよくなってくれればうれしいから。今夜はここまでにしようよ」

 ボクたちは掛け布団にもぐりこむと、お兄さんにボクが腕枕をしてもらう形で眠りについた。

 

 ――僕は夢を見ている。ディテールはよくわからない。でもすごく淋しい……

 ――誰かとの別れ。優しい誰かが僕を置いて何処かに行こうとしてる……

 ――でもこれは夢。僕は今やさしい男の人に抱かれて同じベッドで眠っているはず……

 ――こんな夢は何処かにいっちゃえ……

 

 そしてボクは目を覚ます。目を開くと見えるのは男の人の胸……。 ボクはお兄さんにぎゅっと抱きついた形で目を覚ました。 涙がお兄さんの腕を濡らしてる。 お兄さんはまだぐっすり眠っているみたい。 僕はお兄さんの腕をぬらしている涙を唇で拭うと、そっと布団から抜け出した。 ポーチからハンカチを出し、涙を拭う。

 いやな汗で身体がぬれてるなあ。お化粧も崩れちゃってるし。 ……お風呂に入ろうっと。

 バスルームに入るとお風呂のお湯はりをスタートさせて、待ってる間にシャワーを浴びる。 お化粧を落として汗を流し終わるころにはお湯はりが終わった。 備え付けのバスオイルを浴槽にたらして、熱いお湯につかる。 身体があったまると、やっと緊張が解けてきた。

 バスルームの扉が開く音がした。裸のお兄さんがこちらを見ている。

「お兄さん……」

「――怖い夢でも見たのか?」

「え……」

「俺にしがみついて、眠りながら泣いてたぞ」

 ボクは返事が出来ない。 お兄さんはバスルームに入ってくると、ボクを抱き上げて浴槽から出した。 ボクを抱きしめて、キスをしてくれる。

「――ねえ、ローション取ってきてくれない? サイドテーブルの上に出てるから」

「ああ……。スキンはいいのか?」

「うん」

 僕はお兄さんが持ってきてくれたローションをアヌスに塗りこむと、 壁に肘をついてお尻を突き出した。

「来て……」

 お兄さんは無言でペニスを突き入れてきた。ゆうべと違ってスムーズに入る。 この体位が、ボクは一番好き。ペニスがボクの一番気持ちいいところにあたる。 ボクのペニスがあっという間に硬くなった。

「んっ、あっ、ああっ!」

 ゆうべとはちがい、我慢せずに思い切り嬌声を上げる。

「かわいい声だね。ゆうべは我慢してたのか?」

「んんっ、うんっ、ゆうべは、おにいさんを、きもちよく、してあげるっ、ために」

「そうだったのか。じゃあ今度は俺が君を気持ちよくしないとな」

 お兄さんはそういうと、僕のアヌスを激しく突く。 同時に左手で僕のペニスをしごき始める。

「あんっ、それっ、きもちいいっ!」

「おちんちんが気持ちいいんだ?」

「うんっ、そうっ、おちんちんが、きもちいいの!!」

「こっちは? どう?」

 そういうと、お兄さんが腰を突き上げる。 お兄さんのペニス、ううんおちんちんがボクのアヌス、ケツマンコをえぐる。

「あんっ、そっちも、きもちいいよう!! おしり、ケツマンコ、もっとついてえっ!!」

「ケツマンコだなんて、はしたないなあ。そんな子にはお仕置きだな!」

 そういうとお兄さんはおちんちんで激しくボクのケツマンコを突く。 同時におちんちんもしごかれて、僕は悲鳴だかあえぎ声だかわからないものを上げながらもだえた。

「くっ、そろそろ、いくぞ!」

「うんっ、きてっ、お兄さんのザーメン、ボクにいっぱい出して!」

 やがてひときわ強く突き上げると、お兄さんはボクの中にザーメンを解き放った。 熱い粘液がボクのおなかの内側を打つ。 その衝撃に、ボクのおちんちんからもザーメンが飛び出した。 一撃ちごとに下半身が痙攣し、それがまた甘い刺激を引き出す。

「ああんっ、おにいさんっ、ボク妊娠しちゃうっ!」

 やがて二人の射精は終わった。 足腰の力が抜けたボクの下半身を、お兄さんのおちんちんが支えてる。 顔を後ろに向けると、お兄さんがキスをしてくれた。

 お兄さんはそのままボクを横抱きに抱き上げた。 硬いままのおちんちんが入ったお尻から甘い刺激が湧きあがり、僕はため息を吐く。 お兄さんはそのまま湯船に入る。僕たちはつながったまま一緒にお湯につかった。

「ねえ、抜かないの……?」

「チェックアウトまであんまり時間無いからな。出来るだけこうしていたい」

「……ありがと」

 ボクはそのまま、お兄さんの胸に寄りかかった。

 バスルームを出て身体を拭いていると、どこかにあるスピーカーからアナウンスが流れてきた。

『お時間まで後一時間です。延長される場合はインターホンからお申し付けください』

 お兄さんがボクの顔を見てくるけど、ボクは首を横に振る。 そのあとはお互いに無言で髪を整えたり、化粧を直したりした。

 自分の服を整えると、お兄さんにコートを着せてあげる。 ココでちょっとしたいたずらをする。 昨日穿いていたショーツをお兄さんのコートのポケットに滑り込ませた。 新品や洗いたてじゃない、ボクの汗とあそこのにおいがちょっぴり沁みこんだショーツ。 そっくり同じデザインの替えショーツを持ってきておいたから、お兄さんは気がついてない。 どこで気がつくかな? 人ごみや電車の中で落っことしたりしないといいね。

 ホテルから出ると、冬の冷たい空気がボク達を包んだ。 お兄さんがためらいがちに話し掛けてくる。

「なあ、よかったらまた……」

 ボクは続きを言わせず、お兄さんのほっぺたを両手ではさむとキス。 唇を離すと無言で首を横に振る。お兄さんもそれ以上続けてはこなかった。 並んで駅前の噴水まで歩くと、ボクは駅へ、お兄さんはバス停のほうに向かう。

 さようなら……。

 一度だけ振り返ってから改札を通り、ホームに上がる。 電車は数分で来た。 電車に乗ると、ドアのすぐそばに座る。

 電車が走り出すと、その揺れに合わせてお尻の中でお兄さんの精液が揺れ動いてるみたいな気がする。 ボクは胎内に感じるお兄さんの名残に穏やかな快感を覚えながら、シートに背中を預けて力を抜いた。

― 了 ―


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