※強制自慰


これだけで終わればまだ良かった。
翌朝、痛む体を引きずりながら自室から出ると待ちかまえていた孔明にすぐさま捕まってしまった。そのまま部屋に押し戻され乱暴に衣服を剥かれた。壁に体を押しつけられ下を愛撫される。
昨夜の情交の跡の生々しい場所に指を出し入れされ嫌でも感じざるを得ない。尻を執拗にいじられ徐々に勃起し始める。ねだるような腰の前後運動に伴って先端から透明な糸がまき散らされ壁を汚す。
その浅ましい様をちらと見て孔明は声を出して嘲り笑った。劉備は壁に頬をくっつけたまま情けなさと気持ちよさに涙を流すしかなかった。

今日はまた違ったことをします。
そう言うと孔明はどこから取り出したのか、昨夜とはまた違った風体の玩具を劉備の鼻先にちらつかせた。同じように男根をかたどったものには違いなかったが一回り小振りで先も丸くなっている。
怯えた目で玩具を追う劉備ににっこりと笑いかけると不意に首筋に顔を寄せた。そのまま舌でなぞり時折吸いつく。小さく声を上げ身を捩る劉備の反応が嬉しい。
にやつきながらそっと臀部に手を這わせ割開いた場所に疑似性器を捻り込んだ。
痛い、痛いと最初こそ苦しげに呻いていたがすぐに慣れ一層艶めいた声で啼き始める。
申し訳程度に抽出を繰り返してから根本まで埋め込んだ玩具を残し身を引き離した。
崩れ落ちそうになる足を必死に支えながら後ろを振り返ると顔面に厚い布が覆い被さってきた。

「早く服を着て。もうすぐ時間ですから」
床に膝を突きついさっき脱がされた衣服をかき集める。
どれをどの順番で身につけたらよいかわからない。自分が今何をしているかもわからない。
「じ、時間って、なんの……」
「はあ? もう忘れたんですか? 本当に頭の出来が悪い君主殿ですね。昨晩あれほど言っておいたじゃないですか」
確かに、昨晩寝る寸前、というより気絶する寸前に何か言われたような気がする。だが思い出せない。霞がかったような頭に自分は本当にどうしようもない馬鹿なのかもしれないという気になり、頭を掻き毟りながらまたぼろぼろと泣き出してしまう。
孔明は床にべったりと座り込み全裸で泣き喚く劉備を無表情に見つめる。ただ瞳だけを隠しきれない欲望にぎらつかせながら。
「もう、しょうがないですね。会議ですよ、会議。朝一番でこれからの戦略を決める軍議を開くと言ったでしょう。君主である貴方は必ず出席しなければなりません。だからほら早く着替える! 」
「でも、今お尻が……」
「黙れ、言い訳するな」
また涙が溢れ出る。
男の癖に、こう涙脆くっちゃあいけないよなあ。これじゃ天下なんて取れないよ。
しゃくりあげながら拾った布を身につけていく。
下半身の異物と熱心に注がれる眼差しにただ吐き気がこみ上げた。
与えられる恥辱には歯を食いしばって耐えるしかなかった。




会議が開いてからもう随分経っているはずだ。
ちらちらと向けられる訝しげな眼差しに身が焼き切れそうなほどに痛い。もじもじと足を擦り合わせたところで大して楽にもならない。それどころか中の玩具が絶妙にずれて敏感な部分をこすり始めるものだからもうどうしようもない。
長机の上席でゆらゆらと体を揺すり顔を情欲に染めあげている。椅子がカタカタと床を鳴らす。

軍議に集った主要な武将や官吏たちは主のおかしな様子にすぐに気付きはしたが誰もそれを指摘しようとはしなかった。軍師と君主のいかがわしい関係は周知の事実であるということもあったが、それより何よりこの馬鹿で役立たずの君主がどんな状態であっても会議の進行にはなんの差し支えもないという理由に依る所が大きかった。
ただすぐ斜め前に座った関羽だけは絶えず気遣わしげな視線を投げかけていた。孔明は軍師らしくそこいらを歩き回りながら練り上げた軍略を得意になって講義している。
「おや、劉備殿どうしました? 厠でしたら会議の前に行っておかなくては駄目でしょう」
場に笑いが沸き起こる。劉備は更に顔を真っ赤にし椅子の上ででき得る限り縮こまる。関羽はけしからんとばかりに軍師を睨め付けている。
何事もなかったかのように会議は続く。
劉備は羞恥に身を焦がされながらもゆらゆらと腰を揺するのを止めることができないでいる。
ぐっ、と尻を椅子に押しつけると飛び出た玩具が中に押し込まれ丁度良い所に当たる。当たらないこともある。だからそれを何度も繰り返し何とかして快楽を得ようと体を前後左右、上下に揺すり続ける。
だらしなく口を開け半ば机に突っ伏した状態でがくがくと尻を振れば自然、声が漏れ始める。
軍師の演技じみた声に小さな喘ぎが重なっていく。

「ん、ん……うぅ、あ、あ、ぁ…ん」
孔明は講義を止め、じっと声の出所を見つめている。列席者たちもそれに倣い首を傾ける。関羽は呆然と目を見張りながら頬に朱を走らせる。劉備は視線に気付かず体を揺さぶり続けている。
「あ、あ、はっ……ん、んっ、く、あ、あ、あ! 」
感じる一点を捜し当てた。同じ角度で何度も刺激し射精を促す。足りない。このままじゃ、足りない。
周りに部下がいることなど忘れ、衣服の上から陰部を握り込んだ。そのまま揉みしだくように動かし、今度こそ絶頂を得ようと滅茶苦茶に尻を振った。
「あっ、あ…あ、ん、あ、あひ…あ、あぁぁあぁ!! 」
議場に響きわたる一際大きな声を上げ、イッた。精は衣服の中に吐き出され内側を白く汚した。荒い息だけが静かな議場に満ちる。
肩を上下させながら机に頬をくっつけている劉備を孔明はにやにやと見つめるだけだった。
劉備の握りしめた拳が戦慄き机をがたがたと鳴らす。
ある者はあからさまな侮蔑の意を示し冷ややかな視線を投げかけ、ある者は茶化すように隣の者と言葉を交わしちらちらと主の方を盗み見る。
またある者は明らかに好色とわかる目つきで絶頂に震える体をじろじろと眺め回した。
関羽はというと事態が飲み込めずぼんやりとしていた所を周りの者の反応で徐々に何が起こったか理解し慌てて「本日はこれにて解散! 」と叫んだのだった。
普段は無表情な髭面が大袈裟にひきつれ青くなっていた。
机に顔を伏せたままの劉備に寄り添い声をかけながら、面白そうに見物している軍師を威嚇するように睨む。

霞みぼやける思考の裏で劉備は我慢しなければ、ここで諦めたら夢が叶わなくなってしまう、と呪詛のように繰り返し続けていた。
最近の孔明があまり真面目に軍務に取り組まなくなってきているということも、孔明が役に立たなければ他に幾らでも替えの人材はあるのだということもすっかり失念してしまっていた。
悲しいほどの愚直さで酷い辱めに耐えた劉備だったがその夜、あまりの屈辱感に打ちのめされ厠で激しく嘔吐してしまった。一晩中げーげーと吐き続け涙と共に透明な胃液を垂れ流し続けていた。
格子の向こうで半分の月が嘲笑うように照り輝いている。




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