裏狩房文庫   HOME | CONTENTS

No Title

 

作者: 681
Summary: (ギンコ×?)淡幽

 

「…はっ、く、ぅうう…っ」
女は更に指で割れ目を掻き混ぜた。
机に向かってはいたが、文字を記していた指は今は体の中心を貪っていた。
もっと奥に届かせようと無意識に腰を前に突き出す。
足りない。
胸元の着物の合わせの部分から左手を差し入れた。
乳房を包むように掴めば、既に固くなった突起が掌の中心に当たる。
己の手の冷たさに背筋が震える。
女はその感覚ごと揉みしだいた。
(っこのようなことを……私は…っ)
直接的な快感と共に、淫らな行為を自ら行っているという背徳に、女は興奮していく。
突起を親指と人差し指で挟めば、悩ましいため息が出る。
ぎゅっと指で摘む。
痺れるような快感が大事な部分を中心に全身に走る。
下半身に伸ばした指と連動させて、何度も繰り返す。
股間から溢れてやまない淫液は、今や袴まで濡らさんばかりの勢いだ。
その蜜を二本の指に絡ませて、中で交互にぬるぬると蠢かせる。
頬が上気してくる。
気を抜くと艶めいた声が上がりそうになる。
でも嫌だ。
いくら滅多に人の来ない離れ屋といっても、後ろの戸は空いている。
息を摘み、ときに気だるく吐き、眼を僅かに開ければ夜の闇をぼんやりと照らす灯台の橙の光が映る。
でもすぐに眼を閉じた。
こんな一人さみしい部屋を今は見たくはない。
瞼の裏で彼の男を思い浮かべるのだ。
男のぶっきらぼうだが優しい手。
月明かりの夜にはぼんやりと光るような銀色の髪。
不思議な緑の瞳でこちらを見ているひと時。
耳元で囁かれる低い声。
男を想いながら自らを慰めるということに、少し後ろめたくなる。
しかしそれでも、ひとつひとつ、想い人を心に手繰り寄せる度に、体の快感は、倍に倍に強くなっていく。
ちゅぷちゅぷという淫らな場所からの淫らな水音が部屋に響く。
その音が大胆になるにつれて、我慢していた喘ぎが徐々に漏れていく。
「あっ、っや、…、んんぅっ」
自分で自分が抑えられない。
男を想う気持ちが快感に輪をかけていく。
声が出てしまうことを恐れて、女は乳房から掌を離し、口に指を入れた。
しかし恥を思う半面、奥底では淫らさを求めている。
咥内に侵入した自らの指に、無意識に舌を絡めていた。
唾液でぬらぬらと濡れた指を、一本ずつ舐めていく。
指先、そして指股を、充血した唇と舌で、執拗に淫靡に愛撫する。
男に奉仕するように。その男を想いながら。
唾液でぬらぬらと濡れた指を、一本ずつ舐めていく。
指先、そして指股を、充血した唇と舌で、執拗に淫靡に愛撫する。
男に奉仕するように。その男を想いながら。
「、むぅ、んむ、ふ、ふっ、はあっ」
舌を動かしながらも快感には抗えずに喉の奥から鼻を抜けるように喘いだ。
蜜壷の奥を貪欲に弄繰り回す指は止まらない。
女は我を忘れていた。
未だ形だけは机に向かい、しかし背を丸め、大きく脚を開いている。
上からも下からも自らの指を咥え込んでいる。
暗闇の中ではだけた着物から白く滑らかな肌と尖った薄紅色の突起が覗いている。
ときどき耐え難いように小さく頭を振り、それにつられてしなやかな黒髪が揺れる。
普段の女を知る者からは考えられない乱れた媚態だ。
もはや抑えられない女の嬌声が暗い部屋の中響いている。
女の中で想像した男が揺れている。
いや、揺れているのは女の衝動だ。
もう限界だ。
女は口から指を離した。
理性が外れた最後は思い切り喘ぎたかった。
指を袴の中へ滑らせる。
他方の指を挿れたまま唾液で濡れるその指で股間の花弁をぐりぐりと押さえつけた。
雷のような白い衝撃が女の全身を襲う。
そのまま、身体の中で何かが弾けるように膨らんでいく。
甘い、切ない声で、女は叫ぶように声を絞り出した。
「く、くぅうっ、あああぁっ、……ギンコっ、ギンコぉ!」

ガタガタッ!

そのときだった
後ろの戸の方からだった。
真っ白になろうとしていく頭でもはっきり聞こえた。
そして、女の耳に妙に響く低い声。
「…あ、いや、……その、だな…!?」
反射的に女は振り向こうとしてしまった。
その腰の捻りが、身体の中の自分の指を、更にソノ部分へと押し付けることになってしまった。
「!?…ギ……あぁぁあ!」
元々昇り詰める寸前だったのだ。
女はあろうことか、今まで想っていた男の目の前にして、達した。
泣きそうになりながら、女は秘所がびくんびくんと収斂していくのを感じた。

 

 

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