確信犯
目の前には何処までも続く青い水平線と、美しくコントラストを描く白い砂浜。
ジリジリと照り付ける太陽が眩しい。
そんな陽の下でさらに輝きを増したように見える金色の髪―――。
チチはその姿を眩しそうに目を細めながら見つめた。
均整のとれた上半身は逞しくどれ程厳しい修行を続けてきたのだろうかと思わせる。
そして何よりはその金色に輝く逆だった髪。
自分の夫でありながら全く別人ではないかと錯覚させられる。
その意識を感じとったのか、視線がぶつかりあった。
「どうした?脱がねぇのか?」
チチは軽く否定の相槌を打ちながら慌てて用意を始める。
此処は何処ぞも解らない海に浮かぶ無人島。
何故此処に、超化した悟空と居るのかは昨晩の出来事に遡る。
チチは季節の衣替えの為タンスの中の衣類を出し入れしていた。
その時ふと懐かしいものが目に入った。
「これ…ブルマさに買って貰っただな」
それはまだ新婚の頃、ブルマに見立ててもらったピンク地に白いフリルの付いたビキニタイプの水着。
あの頃はこれを着てよく悟空さと泳ぎに行ったものだと懐かしく眺めていると…。
「それ懐かしいな」
いつの間にか後ろに居た悟空が感慨深げに声を上げた。
「悟空さいつまでその格好で居るだ」
その時、既に悟空は超化したままだった。
未だ上手くコントロール出来ない等と言ってそのままの姿で修行から帰ってきたのだ。
「まぁ堅い事言うなよ〜修行なんだからさ」
修行、修行って!と思ってみても、何を言った所でやめないだろうと諦めの溜め息を吐いた。
「そんな事よりさ、その水着もう着ねぇのか?」
悟空の中ではまだ手に持っている水着の話題だったらしい。
チチは苦笑いを浮かべながらその水着を見つめた。
「おらもこれ着てた時より歳くっちまったしな。悟飯ちゃんも産んだしもう着れねぇかなぁ」
そう言うと悟空はチチの隣に一緒になってしゃがみ込んだ。
「大丈夫じゃねぇか?チチ全然変わってねぇじゃねぇか」
「全然変わってないって事はねぇべ」
いつになく誉めてくる悟空にドキドキしながらチチはその水着をしまおうとした。
「なぁ、明日久し振りに泳ぎに行かねぇか?」
突然の悟空の誘いにチチは目を丸くした。
いつもなら修行最優先なのに、超化すると考えまで変わるのだろうか。
「その水着着たらいいじゃねぇか」
チチは言葉を濁しながら返事をした。
泳ぎに行くのは嬉しい。
しかしこの水着を着るのはさすがに抵抗がある。
この姿を悟飯に見せるのも何だか母として恥ずかしい気がして気が進まない。
「だども悟飯ちゃんに見せるのは…」
「ふたりで行けばいいじゃねぇか」
思いもよらない言葉にチチは再び目を丸くした。
「悟飯はピッコロに任せてさ、久し振りにふたりで行けばいいさ。俺とふたりだったら着れるだろ?」
最後まで悟飯を連れて行かない事に難色を示していたチチだったが、
『僕、ピッコロさんと修行してるから大丈夫ですよ』と聞き訳のいい悟飯はふたつ返事だった。
かくして結局悟空の強い押しにより、チチはその水着を着て今此処に居る。
いくら悟空とふたりきりだと言ってもこの水着は恥ずかしいと思ってしまう。
しかも悟空は修行も兼ねてと言い超化したままだ。
なんとなく落ち着かないまま、悟空に背中を向けて着ていたTシャツを脱ぐ。
その姿を悟空はただ黙って見ていた。
現れたあの頃と全く変わらない白い背中に釘付けになってしまう。
背中からヒップにかけての緩やかな曲線のラインがなまめかしくまるで誘っているかのような気にさせる。
子供を産んだ体だからと言ってもチチが言うよりその体はあの頃よりさらに悟空を虜にする。
静かに距離を詰める悟空にチチは気付かない。
とにかくすぐ海に入ってしまおうと急いで準備をして、浜辺に向かおうとして。
急に後ろから抱きすくめられた。
「ごっ悟空さ!何するだ?!」
予期していなかった事にチチは戸惑った。
まさかこんな所でとは思っていたが、いきなり後ろから抱きしめられてどうしていいか困ってしまう。
そんなチチにお構い無しの悟空は抱き締めたまま動こうとしない。
「悟空さ、暑いだよ・・・離してけろ」
しかし、そのチチの言葉に悟空はニヤリと笑みを浮かべた後、チチの項に口付けた。
「んっ・・・!」
生暖かい吐息を首筋に感じたチチは小さく声を漏らす。
悟空はホルターネックの結び目部分を口に咥えたかと思うと一気に引っ張った。
「!!ちょっ、悟空さ、やめてけれ!」
「これ脱いだ方がもっと涼しくなるだろ?なぁ、チチ…」
そう言うと、あっと言う間に解いてしまった。
支えのなくなった水着は胸の部分が開き始め、チチは慌ててもう片方の紐を手で掴む。
そんなチチを何か企んでいそうな笑みを湛えながらからかう。
「チチが暑いって言うからやったんだぞ?」
離して欲しいから言ったのであって、決してこんな事をして欲しくて言った訳ではない。
こんな太陽が照り付ける青空の下で自分の裸を晒すのは何としてでも避けたい。
しかし、そんなチチの思いなど無視するように緩んだ水着の真ん中の下に手を差し入れ前へと引っ張り上げる。
「やっ・・・!!」
右手は紐を押さえ、左手は悟空に拘束され身動きが取れない。
何としてでも取られまいと最後の砦の紐をきつく放すまいと握るけれど、それでも胸は露わになる。
「チチ・・・見えてっぞ?」
チチの肩越しに覗き込んだ悟空は意地悪く耳元で囁く。
ハッとなったチチは慌てて紐から手を放し、胸元に手をやり隠そうとする。
悟空はその隙に抵抗のなくなった水着を難なく脱がすのに成功した。
「こんなのいらねぇだろ?どうせふたりきりだし、邪魔なだけだろ」
着ろと言ったのは自分のクセに何とも勝手な台詞だろうか。
チチは真っ赤になりながら手で胸を隠し悟空を睨むも、一切動じない。
このまま水着を取られたままで此処に居るのは耐えられない。
まして、悟空は間違いなくこれ以上を求めてくるのは間違いなかった。
チチは焦り、目の前に広がる海に駆け出した。
「何だ?鬼ごっこか?」
口の端を上げて去って行くチチの後姿を見詰める。
全く動じず、まるで獲物をジワジワと追い詰めるような素振りで悟空はチチの後を追った。
とにかく、海に入ってしまえば首まで浸かり何とか凌げるだろうと踏んだのだが。
やはりというか、悟空は当たり前のように追ってくるのが目の端に入る。
悟空から逃れられるなど出来る筈もないのに、それでもチチは懸命に海の中を進んで行く。
この海は何処までも遠浅が続いており、足場もしっかりしていた。
だからチチは水の抵抗を受けながらも必死に悟空から逃れようとする。
一方の悟空は、本気を出せば直ぐにでもチチを捕まえられるのにそれをしない。
一生懸命逃げて行くチチをほくそ笑みながら追いかける。
超化している時はいつもの自分よりもチチを苛めたいという衝動に駆られてしまう。
いつまで経っても修行の意味などないまま、悟空はそんな自分を笑いながら徐々にチチとの距離を詰めていった。
先程より距離が縮まっている事に焦りを感じたチチはもっと早く、と気持ちだけが先走る。
と、何時の間にか遠浅が終わり一気に足場を失ったチチは突然の事に足を取られ対応が遅れた。
「きゃあ!」
胸の下辺りだった海面が一気に顔に押し寄せる。
急な事に気が動転しているチチは思うように対処出来ず、もがくように海面に手を伸ばすも届かない。
海水に飲み込まれるような感覚に襲わると同時に伸ばす腕を強く掴まれた。
「ぷはぁ!」
目の前には自分を追ってきていた悟空の姿。
溺れかけたチチを瞬時に助けてくれたのだ。
「危ねぇなぁ。気を付けろよ」
チチは少し海水を飲んでしまい咳が止まらなかった。
だから。
悟空がどんな表情をしてその言葉を投げかけたのか全く気付けなかった。
「だって、悟空さが追っかけてくるから・・・・・っ?!」
顔を見上げて文句を言おうとして、逆に唇を塞がれてしまった。
ハントの時間は終わりを告げ、これから獲物をじっくり味わう時間が始まる。
「ふ・・・っ!!」
じっとりとチチの口内を悟空の舌が蠢き、唾液までも絡めとっていく。
チチは抵抗しようと悟空の胸の辺りを叩くも、それを聞いてくれる悟空ではない。
そんなチチを他所に悟空は手を唯一布が覆われている部分へと這わせ始める。
「・・・っ悟空さっダメ・・・!!」
抵抗しようとしてバランスを崩し、再び海の中へ落ちそうになり慌てて悟空にしがみ付く。
そんなチチに気付かれないように笑みを噛み殺す。
「チチィ・・・チャント掴まってねぇと危ねぇぞ?」
優しい言葉とは裏腹に悟空の手は不埒に先程から触れている部位に侵入を始める。
やめて欲しいのに悟空から手を離すとバランスを崩してしまうしで、チチにはどうする事も出来ない。
柔かい内股に手を差し入れ撫でた後、柔らかい感触の部分を布の上から擦り上げる。
「ん・・・っ!」
途端にチチの顔が歪む。
海の中で体を弄られる事など初めての事で不思議な感覚がチチを襲った。
元々濡れている為、チチのそれを確認出来ない悟空はある程度上から擦った後横から手を忍び込ませる。
「や・・・」
足に力が入り侵入を拒もうとするも、それよりも一瞬早く悟空の指はチチの秘裂に到達する。
そっと米粒程の突起物に触れるとチチの体は思った通りに仰け反った。
水の中で悟空の指は少しずつチチを暴き攻め立てていく。
そして目的の場所に指をゆっくり差し向けると、水の中でも解るほどそこは滑りを帯びていた。
「へぇ・・・水の中でも解るんだな」
その言葉にチチは顔から火が出そうになる程真っ赤になった。
こんな海の中で体を弄られた挙句、そんな恥ずかしい事を言われて耐えられる筈などない。
「悟空さ・・・やめてけれ・・・」
必死の懇願も悟空には届かない。
沿わせているだけだった指を滑りを帯びているその秘裂に差し入れた。
それと同時に空いている片手でチチの体を少し持ち上げ上半身を海面から上げる。
目の前には甘そうに熟れたチチの乳房。
「やぁ・・・あぁ・・・」
赤く可愛らしい頂を舌で突付き、ギュッと押し付ける。
下から上へと何度か舐め上げた後、口の中に含み舌で転がす。
それと同時に下では差し入れた指を出し入れさせる。
「はっ!・・・あ・・・・!!」
チチは必死に悟空の肩を掴む。
翻弄され、いつ果てるか解らない自分の意識を繋ぎとめるように離さない。
「もっと声出していいんだぞ?俺たちしかいないんだから」
目の前の金色の髪をした夫はそう言って自分に笑いかける。
でもその笑みは優しくもなければ、労わるでもない。
自分を追いたて堕とす、ハンターのような企んだ笑みだ。
「あ・・・あ・・・っ!!」
チチの声は悟空に導かれるように高くなっていく。
それと比例するように水の中で弄られている自分の中は冷たい海水が入り込みながらも熱を帯びていく。
悟空の指に絡まるチチの愛液・・・。
「チチ・・・そろそろ挿入るぞ」
そう言われて一瞬意識が引き戻された。
まさかこのまま海の中で・・・?
チチの疑問と不安をその表情から感じ取った悟空は再びあの何かを企んだような笑みを浮かべた。
「砂浜だともしかしたら砂が入るかもしんねぇだろ?だったらこのまま此処で挿入た方がいいだろ」
そう言うや、水着の前部分から自分自身を取り出し、チチの水着を思い切り横にずらした後宛がう。
チチはこれからどうなるか不安になりながらギュッと目を瞑り悟空にしがみ付く。
「は・・・ぁ・・・っく」
悟空は小さく声を漏らしながらチチの内に侵入する。
それと同時にひんやりと再び海水が入り込む感覚に襲われる。
だからだろうか、いつもより悟空が熱く感じてしまう。
「あぁ・・・っ!」
全て入ったと同時に悟空は勢いよく腰を突き上げる。
海の中だからなのだが、立ったままの挿入は深くチチの中に入り込み、奥を強く攻めたてる。
突き上げられるような感覚にチチの意識は次第に遠のいていく。
チチと悟空を包む水面は激しく波打ち音を立てる。
それに溶け込むようにチチの喘ぎ声が響き渡った。
「あっ!悟空、さ・・・あぁ・・・・!!」
快楽に飲み込まれて何も考えさせなくさせる。
海の中に居る事で体を支配する浮遊感はいつもより強く感じる。
それによって体も軽いせいか、はたまた超化しているせいか、悟空の攻め立てる力はいつもより強い。
チチの限界はいつもより早く訪れた。
「悟空さ・・・もう・・・・っ!!」
快楽に歪むチチの表情を見るだけでこの心は満たされていく。
誰も見た事もない、まして誰にも見せる事などある筈無いチチの感じている顔。
超化しているといつもよりチチを攻め立てたいという気持ちを強く感じた。
チチが感じれば感じるほど、チチの内は悟空に絡みつき締め付けるのだ。
今日はいつもより開放的だからなのか、それともこの海の中というシチュエーション故なのか。
チチの声は甘く悟空の耳を擽り、やがて悟空も果てを求めさらに強く腰をチチに打ち付ける。
「―――あぁ・・・っ!!」
「はぁ・・・・!!」
首を仰け反らせて果てたチチの内にすぐさま悟空は白濁したものを流し込む。
ドクリと脈打ちながら全てを吐き出した悟空の体にチチは全ての意識を放り出し凭れ掛かった。
その後意識を取り戻したチチは頬を膨らませて悟空を睨んだ。
「全くっ何でこんな事するだ!!海は泳ぐ所だべ!!」
そう言うチチに悟空は笑って誤魔化すように唇を塞ぐ。
「そうは言ったってチチだってすげぇ感じてたじゃねぇか」
そう言えばチチの顔は案の定真っ赤になる。
口をパクパクさせながら必死に自分を睨んでいるチチが可愛くて仕方ない。
超化した自分をコントロールする事は日常生活においては大分慣れてきてはいたが。
チチを抱く時はまだ感情をコントロール出来ねぇな・・・・。
そんな全くもって検討違いの事を考えながら、悟空は再びチチに口付けた。
カカさんの台詞の一部をEPYからいただきましたv
素敵な台詞を考えてくれたEPYに捧げます