お題 088. 【「いつもと違う・・・・」】 (カカチチ)
















見つめる黒い瞳が、不安に揺れている。
薄明かりに照らし出された黒髪がほんのり艶やかに輝き、思わず手に取るとさらりと流れた。
 
「悟空、さ」
「ん?」
 
未だどこか緊張した面持ちのチチの呼びかけに、優しく答える。
彼女の瞳に映っているのは、いつもと違う夫の姿。
 
「今日は……そのままなのけ?」
 
チチの不安はもっともだった。
今、悟空の姿は超化している状態だ。
いつもの黒髪とは対照的な金色の逆立った髪。
黒い瞳は翡翠色に変わっている。
 
この姿を、チチは嫌がった。
尖ったオーラといつもと全く違う近寄り難い雰囲気に、拒絶されたのを今でも覚えている。
けれどサイヤ人の妻だからなのか、それともチチだからなのか。
はたまた、いつも予想出来ない事をしでかす夫だからか。
こんな姿になっても、『そんな不良みてぇな格好!』と、あくまで彼女の中の基準で攻め立てた。
 
懐が深いというか、肝が据わっていると言うか。
拒絶されたのは悟空なりにショックではあったが、何だかんだと――諦めにも似たものかも知れないが、
受け入れてくれただろう事をありがたく思う。
 
この姿になっているのにも大分慣れた悟空は、超化していても昔のように刺すような雰囲気はなりを潜めた。
いつもの平常心で居られる様になり、気付けば一人称も『オラ』になっていた。
目付きも大分優しくなったと思う。
 
しかし、チチはやはりどこか不安げな揺らぐ瞳で悟空を見上げている。
それも無理はない。
初めてこの姿でチチを抱いた時、感情のセーブが利かなくて泣かせた。
追い立てては上り詰め果てる、その繰り返し。
チチの声も届かずに滅茶苦茶に身体を暴いた。
そんな風に攻め立てたのも一度や二度ではない。
 
黒髪の時よりも逸る気持ちが抑えられなくて――目の前のチチに獲物のように喰らいつく。
無茶させた結果が、今の状況だ。
 
「そんな、不良の格好のまんまなんて」
 
不満を口にするチチに、思わず苦笑いを浮かべた。
いつでも、彼女の不満は『それ』だ。
 
「大丈夫。もう無茶しねぇよ」
 
そう言うと、口をきゅっと引き結んだまま頬を赤らめた。
こういう表情の時は、内心恥ずかしがってる時。
 
「そういう事を言ってるんでねぇだよ」
「そっか?」
 
あしらう様に言うと、チチは呆れた表情を浮かべた。
けれど、静かにいい意味で力が抜けたようだ。
 
そのまま優しく口付けをして、表情を伺う。
少しだけ困ったようなその表情が、可愛い。
 
「優しくすっから」
 
そう言って、再び口付ける。
今度は離さず、チチの唇を啄ばんだ。
ちゅ、と音を立て何度か重ね合わせた後、薄く開いたそこから舌を進入させた。
 
「ふ……んっ!」
 
鼻から、チチの甘い声が漏れる。
薄っすらと目を開けその表情を伺い、また目を閉じる。
チチの舌と絡め合わせ、歯列をなぞり、吸い付く。
 
「っはぁ……」
 
蕩けたようなチチの表情に、彼女の両頬を掌で覆う。
 
「チチ、すげぇ色っぺぇぞ」
「やんだぁ……」
 
角度を変え、また唇を深く重ね合わせた。
柔らかい舌は、双方に快感を齎す。
頭の芯がぼやけて、もっととねだってしまうのだ。
 
しかし、いつまでも唇だけで満足なんて出来なくて。
顎、首筋、鎖骨と口付けを落としていき、乳房の上――腋の少し横辺りに強く吸い付いた。
 
「んっ!」
 
柔らかい場所は、簡単に赤い痕がつく。
くすぐったさがより強く感じる場所は、チチの反応もいい。
 
細く浮き上がった鎖骨と、柔らかい乳房の境界線を辿るように舌を這わせて。
震えるチチの反応を見ながら、悟空はまたひとつ吸い付いた。
 
「は……」
「綺麗に痕がつくな」
 
白い肌に赤い痕は、薄明かりでも綺麗に見えた。
もうひとつ吸い付くと、チチの手が悟空の頭に触れる。
 
「あんまり、痕さ付けねぇでけろ」
「見えねぇ所だから大丈夫だろ」
 
そういう問題じゃねぇだ。
そんなチチの言葉を無視して、右乳房の横に吸い付くと、短い快感の声があがった。
 
唇を押し付ける度に、程よい弾力が押し返してくる。
悟空の口や鼻まで埋まる程の柔らかさに、夢中にならない訳がなかった。
 
「こうすっと気持ちいいぞ」
「ばっ、馬鹿!!」
 
両の乳房の丁度中央に顎を置き、両頬を挟むように乳房を寄せれば。
ふにゃりとした柔らかさと弾力が味わえる。
面白いように指も埋まり、まるでマシュマロのようだ。
 
「本当に美味そうだ」
 
上目遣いに見つめてやれば、眉を八の字に下げ、やはり困ったような表情のチチ。
 
「やんだぁ……」
 
チチを見つめたまま、指を頂へと滑らす。
身体がひくんと動き、表情に艶やかさが宿った。
 
「んぅ……っ」
「ここ、こうすると気持ちいいんだよな?」
 
とっくにわかりきっている事を改めて問い質す。
行為や口調は優しいのに、どこか意地悪なのはやはり超化しているからではないのか。
 
「ほら、こうくりっとすると」
「あぁん!」
 
快楽に歪むチチの表情を間近で見る事で、悟空の興奮は増していく。
反応を見ながら指先で擦っていたのを、摘むようにすると。
ますますチチが感じて顔を逸らした。
 
「は、あ、あん!」
「それから、こうすっとどうだ?」
 
頂への刺激はそのままに、反対側の触れていない方へ吸い付いた。
伺うように視線だけチチに向けると、顔を仰け反らせていたせいか、白い喉元が見えた。
そこですら、悟空には美味そうに見えて仕方ない。
 
「ふぅ……っう、ん、んぁ、ああん、あ……!」
 
声に導かれるように強く吸ったり、撫ぜるように舌を這わせたり。
チチの反応を見ながらしているせいか、妙に興奮する。
腹の奥底からぞくぞくと湧き上がる悦楽と、目が離せないチチの表情と。
悟空はすっかり夢中になっていた。
 
「あっ!」
 
歯を立て甘噛みし、その後じっくりと舐る。
くるりと周囲に這わせて、じゅぷりと音を立てて吸い上げた。
 
「おーすげぇ立ってる」
「や……ぁ……」
 
悟空に吸われた事によってぷくりと膨らんだ頂は、ひくひくと震えている。
唾液が薄明かりに照らされ、鈍い反射がまたそそるのだ。
 
「チチはここ、感じ易いもんなぁ」
 
じっくりと、ゆっくりと。
チチの息や体温が上がっていくのを、この姿でこんなに冷静に見ながら出来る日がくるとは思わなかった。
あの頃が嘘のように感情をコントロール出来るようになり、色んな場面で楽にはなったけれど。
それはセックスに置いてもプラスに働いたようだ。
 
感じているチチの顔が可愛いくて。
必死に与えられる刺激に耐えている姿がいじらしくて。
駆け抜けていくような快楽とはまた別の快感が悟空の中に生まれていた。
 
チチの声が好きだ。
甘く、抜けるような高い声。
感じている顔も好き。
半開きの口がセクシーで、縋るような視線が堪らない。
 
早くチチとひとつになりたいとも思うけれど、チチを目一杯感じたい、感じさせたい気持ちもあって。
我慢出来る余裕がある分、チチの反応を窺いながら悟空は身体を弄っていく。

「チチ、気持ちいいか?」
「ん……っあ……!」

腕の中にすっぽり納まる小さな身体を、壊れないように抱き締めながらチチがよがる場所を攻め立てていく。
縋るようにチチの腕が悟空に伸び、それがまた悟空に安心と言う名の愛しさを齎す。
指を滑らせていくと、チチは身体を捩るように横向きになった。

宥めるように腰辺りに口付けると、また面白いように身体をひくつかせた。
 
逃さないとばかりにそのまま腰骨を通り、付け根部分に吸い付く。
ちろちろと舐め上げ、ゆっくりと手をチチの膝裏へと移動させると、悟空はゆっくりと持ち上げるように脚を開かせた。
 
「やっ!駄目……」
「駄目じゃねぇだろ?」
 
本当は触れて欲しくて堪らないくせに。
そう言った悟空の表情は、チチにはどんな風に見えていたのか。
忽ち目を潤ませ、顔を赤らめ手で口を覆う。
 
そんなチチの姿を見て、悟空はやはり笑っていた。
 
「本当は、どうして欲しいんだ?」
 
チチに優しく諭すように囁く。
顔を近づけながら、手は何度も内腿を撫で上げて。
赤い唇がきゅっと引き結ばれ、今にも泣き出しそうな表情。
――あぁ、それがそそられるのだと、悟空は思う。
 
「悟空さの意地悪……」
「意地悪じゃねぇさ。チチがどうして欲しいか聞いてるんだ、無理強いはしねぇぞ?」
 
やっぱり意地悪だと、チチは内心思った。
わかっているくせに、核心部分近くを何度も指で刺激しているくせに。
 
「んぅ!」
「ほら……」
 
低く囁く声と同時に、花芯近くの上部を指で擦り上げるのだから堪らない。
もどかしくて、思わず腰をくねらせてしまった。
 
「悟空さ、そこ、じゃ……」
「んー?」
 
むず痒さにも似た刺激から解放されたくて、チチは堪らず声を漏らした。
 
「その、もっと下の方……」
 
恥ずかしさに涙を瞳に溜め、悟空にねだる。
そうすれば彼が優しく、けれど不敵に笑った。
 
「ここか?」
 
それはいつもとは違う、優しい手付きだった。
 
「あー……!」
 
チチから、緩く長い、待ちに待った歓喜の声があがる。
 
いつもだったら、力に任せ何もかも奪うように触れるのに。
優しい手付きに、じっくり味合わされる快感に泣きそうになった。
 
「あ、あん!あ、あ、ん、んぅ……はぁん」
 
悟空は喉をこくりと鳴らした。
色っぽい表情しながら甘い声をあげ、快楽に溺れるチチの姿に欲情が湧き上がる。
もっと気持ちよくしてあげたいと、指で苛んでいた場所に顔を近付けた。
 
「口でされるのも、好きだろ?」
「はぁ……っ!」
 
指よりもさらに優しく、温かくて柔かい舌の感触に翻弄され、チチは身体を奮わせた。
じわりと齎されているのに何よりも気持ちよくて、もっとして欲しいと腰を突き出す。
 
「そんなに気持ちいいのか?」
「ふ……ぅん……」
 
チチの動きを感じ、悟空は目を細めた。
自分の舌の上でころりと硬さを増し、ひくひくと現れた快楽の実を、
まるで飴玉を舐めるように何度も舌を往復させて刺激してやる。
 
「ひぁ!あ、あ、んー……っ、ん、あ」
 
赤くむけ立ち上がってくる程に、チチの声がよくあがる。
口を窄めて先で吸い付き、ちろちろと舌で刺激すると、ますます高い声をあげるのだから行為は止まる筈がなかった。
 
花芯よりもいくらか下の方――襞に囲まれた秘裂が何かを欲するように蠢き始める。
たらりと溢るる蜜が周辺をてらりと光らせ、恥毛までも濡らした。
 
撫で上げながら刺激し、まずは人差し指を挿入。
チチの強い反応を感じながら、続け様に中指をさらに差し入れた。
くっと指先を少しだけ曲げ、膣壁を擦り上げれば――。
 
「――っ!!……っ!!」
 
チチは身体を強く揺らし、一瞬背中をベッドから浮き上がらせた。
 
「ひぁあ!あ、駄目、そこ、だめぇ……!!」
 
救いを求めるようにチチの手が悟空の頭に伸びるけれど。
悟空がその行為を止める事はなかった。
襞に覆われた内の、一部分だけざらついたそこは。
チチを狂わせよがらせる場所だと知っていた。
 
「あ、あ、あ、あ……――!!」
 
徐々に切羽詰っていく声を聞きながら、悟空は突起に強く吸い付いた。
 
「――ああああああ!!」
 
硬直した身体が徐々に緩んだかと思うと、大量の蜜が勢いよく溢れた。
悟空の顎を濡らし、掌、手首、シーツさえもぐっしょりと濡らした。

「チチ……」
 
悟空が優しく名を呼びながら顔を覗きこむと、チチの顔には目尻から流れた涙の筋を残していた。
虚ろな瞳は、懸命に悟空を見つめようとしているのだろうが、焦点は合っていない。
それだけ強烈な快楽だった。

高みに昇る直前、チチの身体が一瞬硬直する。
それが限界を物語る合図だと気付いたのはいつ頃だっただろうか。
 
肩で息をするチチを優しく抱きしめてやる。
昔の悟空ならば、ここで待てないままチチの内へと自分を誘っていただろう。
 
「大丈夫か?」
 
徐々に戻ってくる確かな意識と視点に感じるは、間違いなく金色の逆立った髪と、翡翠色の瞳。
いつもの彼の姿ではない、けれど、いつもの彼のようで――……。
 
「なんだ……か、いつも、の……悟空さじゃ、ないみたいだ、べ……」
 
途切れ途切れで呟いた言葉は、悟空をきょとんとさせるには十分だった。
 
「なんだよそれ?」
 
どこか納得出来ないような表情で、チチの額に張り付いた髪を優しく取る。
その仕種すら、チチの言葉の意味をますます深まらせる。
 
「だって……いつもだったら、この姿でこんなに優しくねぇだよ」
 
そう言われて、ここで初めて悟空は納得がいった。
黒髪の時と超化している時と、確かに今までは違かった自覚がある。
チチの言う事ももっともだとも思う。
けれど、なんだか心外な気もするのは我侭だろうか。
 
「酷い言い草だな」
「だってそうだべ?」
「……まぁな」
 
結局思い当たる節がありすぎるので、悟空も頷く羽目になるのだが。
 
「いつもこの姿の時は、おらの言葉さ聞かねぇで、ひとりで突っ走っちまうだよ」
「もっと乱暴に抱かれたかったとか?」
「そういう訳じゃねぇだ!」
 
冗談めかして言ったのに、チチは思い切り否定するからまた苦笑いを浮かべてしまった。
悪かったという気持ちがない訳じゃないから、悟空は何も言い返せなかった。
 
「優しいおめぇさは、嫌いじゃねぇだよ……」
 
思いがけないチチの言葉に、悟空は目を丸くした。
その言葉が恥ずかしかったのか、チチはふいと視線を逸らした。
穏やかな気持ちでチチを見つめ、悟空はふっと笑う。
――あぁ、彼女にはいつだって敵わないのだと思い知らされる。
 
「……いいか?」
 
愛しさで心が一杯で。
早くチチとひとつになりたいと、心が急いている。
どんなに余裕が出来たと言っても、やはりそうしたい気持ちには変わりない。
 
「んだ……きて、悟空さ」
 
導かれるように、ゆっくりと己をチチの内へと埋没させていく。
落ち着きを取り戻していたチチだったが、再び齎された熱と刺激に、忽ち口から甘い声を漏らした。
 
「はぁ……!」
「っく……、チチ、気持ちい、い……」
 
絡みつく蜜と襞が、悟空に強烈な快感を与えてくる。
まだ動いていないというのにこの感覚は、いつでも悟空を夢中にさせるのだ。
 
奥まで到達すると、まるで吸い込まれるような感覚に包まれる。
――この姿で、こんなにもチチの熱や柔らかさを実感した事があっただろうか。
いつも余裕などなく、チチの声を遠くに聞きながら、ただ乱暴に身体を奪っていた。

見詰め合った黒い瞳は、揺れていた。
けれど、もう不安の色は滲んではいなかった。

どちらからともなく唇を重ね、深く繋がる。
じんわりと、しかし全てを満たすような想いが身体中を支配した。

「動くぞ……」

名残惜しむようにゆっくりと引き抜き、再び最奥を目指して突き入れる、これの繰り返し。
徐々に早まっていく速度に、ふたりの息をあがっていった。
 
「はぁん!あ、あ、あ、あぁん!ん、んぅ……っ、ご、くぅ……」
「は、は、……っ!ん、チ、チ……ぃ……!!」
 
すがり付いてくるチチの腕、ふたりがひとつになっているのを証明するような水音。
見つめ合い求め合って、高みを目指していく。

「悟く、さぁ……おら、おら――もう……!」
「あぁ、オラも……っ今、楽にしてやるからな」
 
きゅっ、と口を引き結び、捩じ込むように己を叩きつける。
柔かくうねる熱い秘所に翻弄され、どちらが先に果てるかもわからない状態。
転がり落ちるように快楽に呑み込まれていく。
瞳を閉じれば、チチの息遣いがリアルに感じられた。
 
「悟空さぁ……離さねぇ、で……けろ……っ!」
 
微かに漏れる吐息と共に齎される言葉。
それを受け止めるように深く口付け強く抱きしめる。
 
「……っ、は……っ」
 
お互い舌を出したまま離れ、間にどちらともつかない銀の糸が引いた。
瞳に映るは、求めやまない愛しい女の姿――。

「あ、あ、……っ!!」
 
強く、チチが高く啼き、抱きしめる腕に力がこもった。
快楽に堕ちて行く表情は、悟空だけしかしらないもの。
 
翡翠色の瞳に映るチチの姿も。
黒い瞳に映る悟空の姿も。
全てリアルで、揺ぎ無いもの――。

チチの求める腕を心地良く感じながら。
想いを噛み締めるように、悟空はその瞳を閉じた。
 


 











過去にweb拍手にてUPしていたものを加筆修正…が、全く面影がありません…
コントロール出来るようになってからは、超化していてもちょっとは優しくするようになったんじゃないのかな?
という妄想

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