お題 083. 【「今日は私がするから…」】 (4悟空×猫チチ)
※表の『sweet lil' cat -猿と猫-』の悟チチ設定です。苦手な方はご注意ください。
「じゃあお湯かけるぞ」
「んだ」
頷いたチチは、猫の耳を自分の手で塞いだ。
それを確認した悟空は、チチの頭上から桶でお湯をざばりとかける。
一日の疲れをとるバスタイム。
今日は久し振りにふたりで一緒に入る事となった。
明るい所で裸を晒すのを嫌がるチチだったが、基本悟空と一緒にお風呂に入るのは嫌いではない。
いつしか、一緒に入ると必ず悟空がチチの頭を洗ってくれるようになった。
それが凄く嬉しくて、どこかくすぐったくて。
チチの至福の時間のひとつになっていた。
「泡、目に入んねぇように気を付けろよ」
「大丈夫だべ」
きゅっ、と目を閉じると、悟空の両の掌が髪を掻き分ける。
シャンプー剤の冷たさがじんわり感じた頃、少し手を動かせば忽ち泡が立ち上がった。
力の強い悟空としては、いつもこの力加減に気を使う。
チチに痛い思いをさせないよう慎重に、且つしっかりと指の腹で擦っていく。
泡でチチの長い髪がまとまり、絡まらないようにする様は最早慣れたものだ。
「んー気持ちイイだぁ」
「そうか」
わしわしと洗い続ける悟空に、やましい気持ちはひとつもない。
……確かにチチの露わになった項や、肩から背中にかけての華奢なラインが気にならない訳ではないが。
さすがにそこまで発情するのもどうかという自覚はあるのだ。
何より、洗いあげた後のチチの嬉しそうな顔が好きだった。
それを見たいが為に、チチの髪を洗っていると言っても過言ではない。
――大分甘くなったもんだと、自嘲気味に内心笑うのもいつもの事。
ぴん、と立った猫の耳も、泡が中に入らないよう洗ってやる。
するとたちまちへちゃりと伏せられた。
「ふふ、くすぐってぇだ」
肩を竦め、尻尾をゆらりと揺らすチチに、相変わらず耳が弱いんだな、と思った。
夜の営みでも、ここを攻めてやると直ぐに大人しくなるっけ……。
等と、少々如何わしい事をやっぱり考えたり。それでも、悟空のチチの頭を洗う手は止まる事無く、表情もポーカーフェイスだ。
「痒いとこねぇか?」
「ねぇだよ」
再び耳を塞がさせ、お湯をかけ泡を流す。
艶々と濡れた黒髪が、背中に張り付くように一面を覆った。
ふるふると水を切るように顔を降ると、 猫耳の毛がふわりと立つ。
「次は、今日もこれでいいか?」
「んだ」
ここからはトリートメントの時間。
髪が痛むような事をしていないチチではあったが、煌くような髪はこのトリートメントのおかげでもある。
お気に入りのそれは甘い匂いで、悟空はその匂いが好きだった。
チチの匂いだと、強く思うもののひとつ。
付けて馴染ませ、洗い流せば完了。
「うん!これで艶々だべ」
洗い終えた髪をくるりとひとつに纏め、ピンで留める。
風呂場には、トリートメントの甘い匂いが充満していた。
「悟空さ、ありがとうな」
「あぁ」
くるりと顔だけ振り返るチチの身体を、後ろから抱きすくめてやる。
華奢なのに女性特有の丸みを帯びた身体は、触れているだけで気持ちいい。
すべすべした肌もクセになる感じで。
甘い匂いが強く鼻を擽り、思わず邪な考えが浮かぶ。
しかし、今は風呂に入っているのだからそれは抑えなくては。
いつも発情していると思われたら、悟空だって心外だ。
――風呂でそういう事になる事も度々あったのだから、全くもって説得力はないのだが。
「今度は、おらが悟空さの身体さ洗うだよ」
油断していたからだ、悟空はそう思った。
いきなり立ち上がったチチは、惜しげもなく乳房を悟空の眼前に晒した。
純粋に悟空の身体を洗うつもりの、やましさなど一切ないその行動は。
欲情を押し留めようとしていた悟空の気持ちを、簡単に挫けさせた。
「……わざとなのか?」
「へ?」
可愛く首なんか傾げやがって。
内心悪態を吐くが、チチは本当に無意識らしい。
まるで腹を空かせたライオンの前に、肉をぶらさげたと同じ事だ。
「反応しちまっただろうが」
「……?……――!!」
悟空の言っている事を理解したチチは、盛大に顔を真っ赤にした。
「なっ、何でそんな事になってるんだべ!!」
「……指さすなよ」
いくら悟空だって、思い切り自分のソレを指さされたら居た堪れない。
第一こうなったのもチチのせいではないか。
自分は必死で我慢したというのに。
たまにチチの無防備な行動で、悟空がこんな事になるのは日常茶飯事であった。
「しょうがねぇだろ。チチが美味そうにおっぱい目の前で見せてくれてんだから」
「おっ……!み、見せてねぇだよ!!」
今更隠したって遅ぇよ。
慌てて両手で乳房を隠すチチからふいと顔をそむけながら、悟空はむんつけてしまった。
悟空だって、こうも反応する事に自然の摂理とわかっていながら、どこか悔しいと思っていたからだ。
……と言っても、やはりやぶさかではないのだけれど。
「チチには責任とってもらわねぇとな」
「!!」
ちらりとチチを見やると、先程以上に真っ赤になっていた。
あれ以上真っ赤になるもんなんだな、などと悟空は他人事のように思う。
付随するように、耳と尻尾がこれでもかというぐらいぴん、と立ち上がっていた。
『まぁそれは冗談だ』、とすぐさま言おうとした。
放っておけばおさまる……かどうかはわからなかったが、
少なからず風呂からあがったあとに、そういう事をする気満々だったのだから。
今ここでと、急ぐ必要もない。
――しかし、チチの行動は悟空の予想外だった。
「わ、わかっただよ……」
「……は?」
モジモジとし、尻尾を所在なさげに揺らしているチチに、思わず間抜けな声をあげる。
何やら真剣な表情を浮かべているが――。
「おらが、する、から……」
最後は小さな声だった。
自分の聞き間違いかと悟空は思ったが、どうやらチチは本気らしい。
「チチが?」
「ん、んだ」
「舐めてくれんの?」
「!!」
悟空のストレートな言葉に、頭から湯気が上がりそうな勢いのチチ。
俯くチチを逃さぬように、悟空の尻尾がチチの顎を掠める。
「してくれんだろ?」
「……んだ……」
する前から恥ずかしさで涙目になっていると言うのに。
無理するな、と言いたい所だが、悟空だってチチにしてもらいたいのは山々だ。
本人がすると言っているのだから、乗っからない手はない。
チチとしても、大好きな悟空だからこそ出来る事であった。
悟空が喜んでくれるなら、そう思うと恥ずかしいながらも愛してあげたいと思う。
「おら、あんまり上手くねぇけど……」
「そんな事ねぇよ。いつも気持ちいい」
悟空の台詞に、チチは一々くらくらになりそうになる。
ここが風呂場で、湯気に包まれているからだけではない何かが身体中を取り巻く。
こくりと喉を鳴らし、浴槽の淵に腰掛けた悟空の前に傅く。
目の前には、既にはちきれそうな悟空自身。
恐る恐るという手付きで、チチはそれにそっと触れる。
ぴくりと動くそれを、まずはゆっくり手で愛撫する。
「ん……っ」
悟空の声が静かに漏れた。
それに呼応するように、ゆっくりだった上下に動かす手は徐々に早くなっていく。
「チチ……」
悟空の声は、それ以上を求める合図。
チチは赤く艶やかな唇をゆっくり開き、舌をちろりと出した。
まずは、遠慮がちに先端を少しだけ突付く。
再び、悟空自身がひくりと反応した。
「ん……」
それを何度か続ける内に舌を這わせ始め、つつっと舌で撫で上げる。
ひくつくそれを思わずまじまじと見ていたチチに、悟空は苦笑いを浮かべた。
「あんまじろじろ見るなよ」
「だ、だって」
自分だっていつもこちらの裸を隅々まで見ているくせに。
――なんて事は、口が裂けても言えなかったけれど。
いつも思うが、これが自分をよがらせているのかと思うと――途端、チチの身体が内から熱った。
惹きつけられる意識、自分の手によって翻弄される悟空。
もっと反応が見たい、気持ちよくしてあげたい……。
思い切って自分の口内に導くと、男性特有の匂いと味が広がった。
さらに硬さが増した気がするのは、気のせいではないだろう。
「は……っ、チチ、気持ちい……」
「んぅ……んっ」
ぎこちないながらも舌を絡めるように這わせ、時に吸い上げる。
悟空が自分を愛撫する時のように、チチは同じように行動していた。
「そこ、もっと舐めて欲し……」
「んぅ」
いい所を教えられ、チチは少しずつ悟空が感じるポイントを学んでいく。
悟空が感じてくれるとチチもやはり嬉しくて、さらに夢中になっていく。
「ん、んあ……んー」
吸い上げつつ、口を窄め刺激する。
悟空の息が上がっていく。
「くあっ……あ、い、ぞ……」
口と同時に手でも愛撫し、悟空を懸命に愛するチチの姿は、愛しさをさらに増す。
不器用ながら慈しむよう――これは悟空の勝手な思いだが、美味そうに愛撫するチチに幸せを感じるのだ。
「美味そうに舐める、な……」
「んうぅ?!」
突然、悟空の手がチチの乳房に伸びた。
びくりとチチの身体が跳ね、耳と尻尾が動揺に揺れる。
さらに口が窄まり刺激が増した。
「こうした方が、チチも気持ちいいだろ?」
「ん、ん、んぅーーーっ」
悟空からの刺激に負けないよう、チチは必死に口に銜え続ける。
そのもがく様が、さらに快楽を与えるのだ。
両手で包み、懸命に舌と顎を動かし。
だからこそ、悟空は何よりも気持ちがいいのだと思った。
「チチ、いっぞ……」
「んっ、んぅ、ん、う……ぅ」
しゃぶる水音に、身体の奥からぞくぞくとしたものが湧き上がってくる。
愛している女が、懸命に自分に奉仕している姿は興奮せざるを得ない。
征服感を満たされる感覚は、悟空の男である本能を擽った。
左手でチチの右胸の突起を刺激し、右手で優しく頬を撫でる。
相反する行為に翻弄されまいと、チチは必死だった。
「ふ、う、んぅ、ん、ん」
へたる猫の耳、何かを乞うような瞳。
ふたりの視線が交わり、けれどどちらも行為を止める事はない。
悟空を気持ちよくしたい、悟空に喜んで欲しい。
ただそれだけで、刺激に耐え、舌を這わせ続けた。
嘔吐くのを堪え、ぐっと喉の奥の方へと飲み込んだ。
「くっ……う……!」
悟空の声が切羽詰る。
口の中のソレはさらに膨らみ、終わりが近いとチチも悟った。
苦しさに瞳に涙を溜めながらも、ただ悟空の為に行為を続ける。
もう少し――懸命に舌を這わせ吸い上げて……。
「チ、チ……ぃ……!」
ぐい、と悟空の両の掌がチチの頬を掴む。
と、己から離した次の瞬間、勢いよく白い精が吐き出された。
びくびくと波打つそれは、筋を立て中々止まらない。
「は、は、は……」
「……っ……は……」
お互いが息をあげる。
浴室に響く吐息は、徐々に落ち着きを取り戻していった。
「大丈夫か?」
再び、優しく悟空の手がチチに触れる。
チチはゆっくり頷き、涙目の瞳を向けた。
「気持ち、よかったけ……?」
上目遣いでみつめてくるチチが愛しくて。
悟空の掌が、チチの頬を撫ぜる。
「あぁ。すげぇ気持ちよかった」
その一言だけで、チチは満たされた。
何より、悟空が喜んでくれた事が嬉しかった。
不器用であり、不慣れでもあり、もしかしたら満足させきっていないかもしれなかったけれど。
それでも、こうして自分の手で悟空を高みへと上り詰めさせた事が幸せだった。
「さて」
達したばかりだというのに、悟空はすっくと立ち上がった。
チチとしては今の今なので、何かと恥ずかしくて視線が合わせられない。
モジモジしながら俯いていると――。
「きゃっ?!」
いきなり、ひょいと身体を抱えられた。
慌てて悟空にしがみ付くと、近くにあったのは不敵に笑う彼の表情。
「次は、チチを気持ちよくしねぇとな」
「!!」
チチは目を見開く。
頬を赤らめ、先程まで悟空を愛撫していた小さな唇がきゅっと引き結ばれている。
その様に、悟空は何故か堪らない気持ちになった。
「そんな可愛い顔して。ぜってぇ逃がさねぇ」
そう宣言したけれど。
チチに逃げる手立ては元々ないし、そんなつもりもない。
次は、チチが甘い声を漏らす時間。
続きは、ふたりのベッドだ。
書きたかったこと↓
悟空がチチの頭を洗うのと、チチのご奉仕
…で、結局風呂ネタ第二段です